斬れない物は無い、故に全てを断ち斬る   作:皐月の王

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掟と情

「はぁ!?ルキアが殛刑!?どういう事ですか!!重罪と言えどおかしいでしょ!!浮竹隊長!!」

 

「そうですよ!!いくら何でも殛刑は罪が重すぎますよ!!」

 

十三番隊舎は荒れていた。海燕と柊晴は納得出来ないと浮竹に抗議をしていた。

 

事は数ヶ月前に現世に任務で赴いたルキアが行方不明になった事が始まりである。それだけでも大いに荒れたが、霊圧の反応が出たとなり総隊長が捕縛を命じて六番隊の隊長朽木白哉と副隊長になった阿散井が連れて戻ってきたのだ。十三番隊はルキアの生存を喜び、罪を償って戻ってきた時には暖かく迎え入れるつもりだったが。

 

現世にて少年に死神の力を譲渡したことで判決は、第一級重禍罪。殛刑が言い渡されたのでだった。

 

「不自然に刑が重いのは確かだ……。しかし、ここからの判決を覆すのは……」

 

「確か、六番隊の隊長と言えばルキアの兄貴の白哉ですよね?」

 

海燕が静かに浮竹に質問をする。浮竹は頷き答える。

 

「ああ、六番隊隊長の朽木白哉はルキアと兄妹だ。本人からもそう聞いている」

 

その答えを聞いた海燕は一言礼を言い、背を向けて歩き始める。

 

「何処へ行くんだ海燕!」

 

「決まってるでしょ!六番隊舎ですよ!!朽木隊長にルキアの事を言うんですよ!!兄貴のアイツが真っ先に動かないのはおかしいでしょ!!だからアイツの所に!!」

 

「待ちなさいアナタ!」

 

我慢がならないと海燕は出口に向いて歩き出していたが、すぐに都に止められる。

 

「直接に言いに行く前に、十三番隊で出来ることをしてからよ。中央四十六室にルキアちゃんの減刑を願う書簡を送るのが先よ!!皆、この判決には腹を据えかねているわ。でも、だからこそ手順は踏まないといけないの。分かるでしょ副隊長さん」

 

都にそこまで言われた海燕は大きく深呼吸をして皆に頭を下げる。

 

「悪ぃ皆。副隊長なのに熱くなっちまった」

 

「謝る必要なんて無いですよ副隊長!」

 

そして、十三番隊で減刑を求める嘆願書を書くと話になった時に

 

「話は聞かせてもらいました!!」

 

「私達も書かせてください!!」

 

仙太郎と清音が部屋に飛び込んでくる。

 

「仙太郎さん!清音!」

 

「こう言うのは数が多ければ無視も出来ないだろ!!」

 

「それにルキアちゃんを助けるためだし!一緒に書かない手は無いよ!!」

 

仙太郎と清音も加わり嘆願書を書き始める。同じ机で同じ願いのために筆を走らせる。そんな時に海燕が言う。まだ、怒りが収まらないと言わんばかりに

 

「これでもダメならやっぱり朽木隊長の所に行って、減刑を求めるように言います。それでもダメなら……双極ぶっ壊してルキアを助け出すしかねぇな」

 

堂々と皆に言う。一切の迷いなく言う所に都はあらあらと笑う。浮竹は頭を抑える。

 

「海燕副隊長、どうやって双極を破壊するんですか!!」

 

「ああん?そりゃ……アレだ、それも考えるんだよ!」

 

仙太郎の質問に答えられない海燕は苦しまぎれに考えると話す。現状十三番隊に双極を破壊する術が無い。どうにかするためには避けては通れない道だが……。

 

「柊晴君の斬截で斬ってしまえばいいんじゃないですかね?」

 

清音のその言葉に清音以外の時が止まる。そして、

 

「その手があったか!ナイスだ清音!柊晴行けるか!」

 

「行けると思いますよ……いや、必ず斬ります!」

 

柊晴が頷き斬ると宣言する。それに海燕と仙太郎と清音が笑う。

 

「最悪の手段はどうにかなりそうだな!」

 

「そうですね!いざと言う時は任せるぞ」

 

「必ずぶった斬ってよ!柊晴!」

 

そんな話をしている隊士達に頭が痛くなるのを感じながらも浮竹も

 

「お前達、俺がいる前で堂々と……。まぁ、本当にどうにもならない場合は、双極を破壊して助けるのも案として考えないと行けないかもしれないな。柊晴の斬截以外にも壊せる手段を探す必要はあるな」

 

隊長である浮竹も壊すのには前向き気に話をするくらいであった。

 

そして、十三番隊はルキアの減刑の嘆願書を出す。返答が来るまでは動けないのでそれまでは通常通りに勤務に入る。

 

しかし、嘆願書を出したがなんの動きもなく、1週間が経った。何の動きも返答も無い所か、ルキアに面会も叶わないと言う事にいよいよ海燕の我慢は限界を迎えていた。

 

「隊長……すいません、俺やっぱり……もう、我慢なんて出来ません……!一言、言わねぇと気が済みません!」

 

そう言うと海燕は十三番隊舎を飛び出す。

 

「待て!海燕!っ!ゴホッゴホッ!!」

 

浮竹が止めようとしたが発作を起こしそのまま崩れ落ちる。

 

「大丈夫ですか!?浮竹隊長!」

 

柊晴は浮竹に寄り添い崩れ落ちるのを支える。浮竹は柊晴の死覇装を掴みながらにいう。

 

「柊晴……海燕を……ゴホッ!と、止めてくれ!!」

 

柊晴は浮竹にそう言われるが、どちらかと言えば殴り込みに行きたい派であり、海燕の気持ちも分かる。なんなら、双極を今直ぐにでも破壊しに行きたいくらいである。柊晴は拳を強く握り。

 

「……まだ、その時じゃないという事ですか?」

 

「ああ……まだ、早い……!それに、ルキアも海燕も大事な俺の部下だ。また、十三番隊を……盛り上げるのに二人を失う訳には行かないだろ?」

 

その言葉を聞き、柊晴は大声を出してとある二人を呼ぶ。

 

「仙太郎!清音!浮竹隊長を頼む!」

 

「おう!任せておけ!」

 

「了解です!!」

 

二人に浮竹を任せて柊晴は走り出す。海燕の霊圧を辿り向かう場所は六番隊隊舎である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「朽木隊長に会わせろ!!」

 

海燕は六番隊舎に入りそう叫ぶ。流石の海燕も斬魄刀は十三番隊舎に置いてくる理性はあるが、そこまでであり、他の隊舎に殴り込みに来ている時点で怒り心頭で我慢ならないと言った様子である。

 

「何だ、何だ?いきなり来て朽木隊長に会わせろだなんて」

 

六番隊のガタイの良い隊員が出てくる。その隊員に話しかける。

 

「ちょうどいいところに来たな朽木隊長の所まで案内してくれ。少しばかし言いたいことがあるんだ」

 

「何処のどいつか知らねぇが、いきなり来て朽木隊長と会わせろなんて……!会わせるわけねぇだろ!」

 

ガタイの良い六番隊士は海燕に掴みかかろうとする。

 

殴り込みに等しいことをやっている上にいきなり来て隊長に会わせろと言うのだから、この対応は仕方ない。平時なら海燕も事前に事を運ぶが、そんな余裕も無ければ、考えにすら至れない状態である。

 

しかし、哀れ、六番隊士。相手は十三番隊を実質仕切っていると言っても過言では無い副隊長なのである。その掴みかかりは受け流され、

 

「ひっ!?」

 

「そうかい、なら――――」

 

勢いを利用して自身も拳を強く握り締め、六番隊隊士の顔面目掛けて拳を叩きつける。そのまま勢いよく床に叩きつけられた隊士は失神する。

 

「勝手に上がらせてもらうぜ」

 

海燕は六番隊舎に上がり込み執務室を探す。途中止めに来る隊士を白打で対応し、できる限り軽傷で済む様にはしながら突き進んで行く。とは言っても、殴られた隊士はどれも一発で失神する威力の拳を叩き込まれているため、気持ち程度の手加減である。

 

「一体誰が殴り込みに来たって言うんだ!?」

 

六番隊副隊長に昇格していた阿散井が止めに来る。そして殴り込みに来た人物を見て固まる。

 

「し、志波海燕……副隊長……!どうしてアンタが!」

 

「よぉ、阿散井副隊長。どうしても何も無いだろ?」

 

鬼気迫る表情で阿散井に言う海燕。そして歩みを進める。阿散井は海燕の前に立ちはだかり止める。

 

「ま、待ってください!海燕副隊長!今のアンタを隊長に会わせる訳には行かないでしょ!」

 

「退けよ、阿散井……!」

 

「っ!退きません……志波副隊長!」

 

二人が睨み合う。阿散井は冷や汗を流しながらに立ち塞がる。目の前にいるのは、柊晴とルキアの上司である志波海燕であり、副隊長歴で言えば先輩である。実力も上なのは明白である。

 

そんな時

 

「騒がしいぞ恋次。まだ、事態を収拾がつかないのか?」

 

海燕の探し人であり、阿散井が今の海燕に会わせたくない人物である六番隊隊長朽木白哉が姿を現した。海燕は阿散井を押しのけて白哉に掴みかかるべく歩みを進める。

 

「待ってください志波副隊長!」

 

止めようと肩を掴んだが、次の瞬間には。

 

「ぐっ!?」

 

海燕の肘が腹に深々と刺さり更に、手刀の様な形で顎をはね上げられる。

 

「がっ!?」

 

一瞬何をされたか分からなかったが、痛みで何処を攻撃されたのかは理解出来た。

 

「あ、あの……一瞬で!?」

 

動揺している合間に海燕は白哉の眼前に辿り着き、睨み合うような位置で海燕から。

 

「白哉さんよ……ルキアの為に何かしてやれなかったのか?」

 

白哉は表情は変えないが、纏う空気が重くなる。冷たい視線を海燕に向けるが、海燕は怯むことなく白哉の目を真っ直ぐに見ている。

 

「これは朽木家の問題だ。兄に関係は無い」

 

「んなわけないだろ!!アイツは俺の部下だぞ!!部下を守るのが上司の勤めで、仲間を守るのは当たり前だろ!!」

 

大きな声で白哉に叫ぶ。怒りを込めた声は六番隊舎を揺るがす程のものである。白哉の視線が冷たく鋭いものとなり、海燕を射殺す様にその視線を向ける。霊圧で建物が軋む音が聞こえ、阿散井も少々息苦しくなる。

 

「その為に、兄は掟を軽んじるというのか?」

 

「掟の為に仲間や家族を見捨てるくらいなら、俺は掟と戦ってやる!」

 

海燕は白哉の胸ぐらを掴み、腕を振り上げる。

 

「ましてや……掟の為に妹を見捨てるなんて……それでもテメェはアイツの兄貴かよ!!」

 

そのまま拳を白哉の顔面に叩き込む。白哉は殴られた衝撃で数歩後退りする。

 

「白哉、わざと殴られやがったな!?」

 

唇の端から流れる血を腕で拭いながら白哉は言う。

 

「兄の相手をするのは無駄だからな。もう気は済んだだろう」

 

「テメェ……!」

 

もう一度掴みかかろうとしたタイミングで海燕の動きが止まる。いや、止められた。腰をしっかりと掴んで離さない自分より小さな死神によって。

 

「柊晴!」

 

腰に柊晴がしがみついていたのだ。ぶら下がる形で。

 

「離せ!柊晴!コイツは!!」

 

「これ以上殴ったら!十三番隊はどうなるんですか!?都さんはどうするつもりですか!それに朽木隊長を殴っても何も変わらないですよ!!」

 

柊晴の言葉で海燕は白哉の掴んでいる手を離し、

 

「悪ぃ、柊晴……迷惑かけた……」

 

そのまま出口に向かう。柊晴は海燕の腕から離れて降り立ち。大きく溜息を吐く。

 

「……柊晴、オレ」

 

「情けないぜ、恋次。同じ副隊長なら止めろよ」

 

「ははっ……無茶を言うんじゃねぇよ。でも、確かに情けねぇな」

 

弱々しい表情を浮かべている阿散井の横腹に手刀を入れる柊晴。

 

「あだァ!?な、何すんだよ!?柊晴!」

 

「本っ当に情けねぇなと思ってよ。それに、大事なヤツくらい意地でも何とかしようとしろよ」

 

耳元で言う柊晴。阿散井は顔を赤くして柊晴に殴り掛かる。

 

「て、テメェ!避けんじゃねぇ!」

 

「当ててみろよノロマ!……海燕副隊長は捕まえたし、俺も帰るよ。朽木隊長!阿散井副隊長!ご迷惑おかけしました!」

 

柊晴は阿散井の腕をすり抜けて一礼して立ち去ろうとする。柊晴は足を止めてそのまま白哉に尋ねる。

 

「朽木隊長、本当にルキアを助けることは出来ないんですか?」

 

「既に極刑は決まっている。決まった事に異議申し立てなどしない。ルキアは罪を犯した。そこにどんな事情があろうとも、情に流されては掟の意味など無い。罪があるなら、裁かれなければならぬ、刑が決すれば処されねばならぬ」

 

淡々と言う白哉に溜息を零しながら、振り返る事はせずに言う。

 

「なるほど……な。そりゃ動かない訳ですね」

 

「納得したか?」

 

白哉の問に柊晴は黙り、振り返りながらに答える。

 

「理解はしても、納得は出来ないです。ですから、もしも仮に掟が俺の大事な人達を殺せと言うなら――――」

 

振り返り真っ直ぐに白哉を見据えながらに言う。

 

「その時は掟を斬り伏せます」

 

「そうか……」

 

「では、失礼します」

 

そう言うと柊晴は立ち去る。

 

「恋次、彼奴の名前は分かるな?教えてはくれないか?」

 

「え?アイツは十三番隊三席の御厨柊晴ですよ」

 

「そうか、奴がルキアの……」

 

何かを納得した様に目を一度伏せ、その小さな背中を見送っていた。

 

そう言い、柊晴は立ち去り、十三番隊舎に向かう。十三番隊舎に辿り着くと、都に正座させられて、拳骨を入れられた状態で説教を受けている海燕が居た。そして、六番隊舎に攻め込んで、隊士を殴り飛ばし、六番隊隊長を殴った事で問題になりそうだったが、浮竹が海燕を庇い大事にはならなかった。しかし、形だけの罰を与えないと行けないということで、海燕は実家に暫く謹慎と言う沙汰を言い渡された。そして謹慎の間、海燕の代役を柊晴が行うこととなった。




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次回から原作、尸魂界編始まります!

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