副隊長代理として
「……あー!もうっ!嫌だ!!!どんだけあるんだよ!?」
柊晴は半缶詰状態になりながら多忙な日々を過ごしていた。海燕の代役で副隊長代理をしながら三席の仕事をこなし、尚且つ隊長の業務も行っていたのだ。浮竹は各方面にルキアの減刑の件の話と六番隊に海燕の件での謝罪を行い等で無理をしたため床に伏せる状態になった。
現在は仙太郎と清音がそばにいるため問題は無い。柊晴も。
『隊長には悪いけど、無理しようものなら簀巻きにしてでも寝かしておけ!!」
と指示を飛ばしているため誰も柊晴の仕事を手伝う者がおらず、並行してルキアを何とかすべく嘆願書を……。と行きたい所ではあるのだが、柊晴は多忙すぎてそれ所では無い状態だった。簡単に言うと余裕が無いのである。
「御厨副隊長代理!」
「なんだよ?」
缶詰状態になっている柊晴に慌てた様子の隊士が戸を開けて報告する。
「虚の討伐の救援要請が来てます!」
「こんな……っ!俺が行く!後の業務回しておけよ!!って、要請場所どこ!?」
「南78区です!」
「南78!?遠いな!?え?まじか……仕方ねぇ!」
斬魄刀を手に持ち、瞬歩で現場まで駆け抜ける。南78区と言うかなり遠い距離を全力で駆け抜けながら更に瞬歩を繰り返して辿り着く。
「おお!救援が来たぞ!」
「御厨副隊長代理殿!」
柊晴は虚を見ながら苛立ちを隠せない様に吐き捨てる。
「仕事、仕事、仕事!嘆願書に嘆願書!いい加減いい返事位寄越せよ!クソジジイ共が!!!」
斬魄刀を抜刀せずに飛び出し瞬時に虚の眼前に肉薄する。そして圧倒的な霊圧を足に乗せ、仮面目掛けて蹴りを叩き込む。虚の仮面はいとも簡単に砕け散り、消滅する。小さな体型から想像も出来ない威力の白打の威力に他の死神達が驚く。
「なっ!蹴りの一撃で!?」
「これが市丸隊長や日番谷隊長の様に真央霊術院を1年で卒業してきた人物の力か!」
「流石!御厨三席!いや、今は副隊長代理か!」
驚いたり感心してる死神達に柊晴は言う。
「他には居ねぇよな?」
「はい!もうこの地区には……」
「それじゃあ、後始末と報告は戻ってきてから聞くから俺は先に戻るぞ!」
そう言うと瀞霊廷に戻る為に走り出す。現場に居た時間は僅か5分にも満たない時間であった。しかし、移動時間は5分では済まない。距離があるため少し時間がかかり、十三番隊舎に戻り、執務室で息を切らせながらに机に突っ伏す。
「ぜぇ……ぜぇ……はぁ……死神になってこんなに多忙だったの久々だ……斬截と精神世界での鍛錬もあんまり出来てねぇとは最っ悪だな……!」
嘆願書の答えが帰って来ない事の苛立ちとここぞとばかりに舞い込んで来る仕事に対する疲労感で甘味を食べたくなるほど脳を酷使して、虚討伐の援軍で遠くに行ったりとゆっくりしたいと吐きそうなのを堪える。
「もう……ルキアの処刑まで二週間切るのに……仕方ねぇ、奥の手視野に入れるか」
そんな言葉を呟きながら覚悟を決め、再び書類と睨めっこが始まる。そして、夜が更け蝋燭の火を頼りに仕事を行う。戻ってきた時には仕事が増えていたので半ば諦めた表情を浮かべながら取り掛かる。一人で作業切り盛りする柊晴は今日は寝れないなと密かに別の覚悟を決め込み仕事を行う。
仕事は日が昇り、しばらく経ってからも続き……。
「や、やっと……片付いた……今日は……寝るぞ!」
期限が大丈夫なのも含めて全て終わらせた。しばらくは追われなくても済むほどに徹底的に仕事をこなした。それこそ緊急事態にでもならない限りはである。
眠い目を擦りながら、水を浴びて汗を流して寝巻きに着替え、布団を敷く。部屋前に
『就寝中』
の札を立てかけていざ眠ろうとした時。
【隊長各位に通達!隊長各位に通達!只今より緊急隊首会を招集!!】
と言う伝令が来る。柊晴は無視して寝るのを決め込もうかと一瞬考えたが、海燕に十三番隊を頼まれているのもあって恨めしそうに起き上がり、
「戻ってきたら、飯は絶対奢ってもらう……休みも貰いますよ海燕副隊長……!」
恨めしそうに言いながら死覇装に着替えて指定された場所へ走り出す。
「え……?柊晴くん……最近眠れてる?」
「ホントですね……柊晴さん隈酷いですよ」
「え?そう?まぁ……最近は凄い眠いけど……」
柊晴が着いた時には雛森と四番隊副隊長の虎徹勇音が先に来ていた。そして柊晴の表情を見て心配する。柊晴も柊晴で心底だるいと言わんばかりに眠いと発言する。
「御厨君来ていたんだね……顔色悪いけど大丈夫かい?」
「お、おう。この二人にも言われたぜ。仕方ねぇだろ、十三番隊は今バタバタしてるしな」
「だとしてもしっかり寝るべきだよ」
三番隊副隊長になった吉良も合流して柊晴の顔をみて心配する。その後もゾロゾロと副隊長が集まってくる。そんな中、十番隊の副隊長である松本乱菊が柊晴に話しかける。
「あっ!柊晴じゃない!志波副隊長の代理で来てるのよね。大変よね、今の十三番隊!何時でも十番隊に遊びに来ても良いのよ!隊長も喜ぶし!とう言うかちゃんと寝てるの?隈凄いわよ?しっかり寝ないと身長伸びないわよ?」
「い、息が……!ら、松本副隊長……!あ、後身長の件は……!!」
正面から抱きしめられて胸に顔を埋める事になり息が出来ないと抗議する。その光景を見ている九番隊副隊長の檜佐木修兵と七番隊副隊長の射場鉄左衛門が様子を見ていた。
「子供体型やからかのう?あんなに可愛がられるのは」
射場は羨ましそうに言うが
「かも知れないっすね……。でも、あんな視線を向けられてて羨ましいとは俺は思わないですけど」
檜佐木の視線の先には冷ややかな視線と怒ったような何とも言えない表情の雛森が居た。檜佐木は苦笑いを浮かべるしか無かった。
「なるほどのぅ……。あれが鈍感と言うやつか」
射場が納得したように頷く。更に少し時間が経つと阿散井も合流する。
「そうか、志波副隊長は今はそうなのか」
「ああ、この間の一件で謹慎中でな……おかげで俺が忙殺されているんだがな」
「仕方ねぇだろ。あれだけの事をしたんだからな……。あの真っ直ぐさは尊敬できるけどな……」
阿散井は苦い表情を浮かべながらに言う。そして柊晴と他の同期の顔を見ると思い出したように
「そう言えば、代理とは言えあの時の四人がここに居るなんてな」
「そうだね、柊晴君も代理とは言え今は副隊長だしあの頃の僕たちが見たら驚くかもしれないね」
「そうだね!私達四人が副隊長になるなんて。柊晴君は代理だけど、本当にあの時の実習の時を思ったら驚くよね」
三人は感慨深そうに言うが等の本人の柊晴は笑顔で拳を鳴らしながらに言う。
「おう、三人そこに並べよ。代理をここぞとばかりに言いやがって……!」
阿散井、吉良、雛森は正式な副隊長ではある。しかし、柊晴はあくまでも代理であるのだ。いくら真央霊術院時代からの仲とは言えど三人同時に言われれば頭に来るものがある。
「お、おう!待てよ柊晴こんなところで!」
「そうだよ御厨君!揶揄ったのは謝るから!」
「冗談だよシュウ君!」
「問答無y―――ぐぼっあ!?」
「みくりんみーつけた!」
柊晴が圧を掛けながら三人に迫っている時に突如として十一番隊副隊長の草鹿やちるが柊晴の背中に頭突きの形で突撃をしたのである。柊晴が不意を突かれた形になり前に転がり壁に激突する。
「みっくりん!剣ちゃんがまた戦いたがって居たよ!……みくりん?」
壁に激突した柊晴の意識は寝不足も相まってトドメを刺される形となった。草鹿が柊晴をつつくが完全に伸びていたのは言うまでもなく、30分は意識が戻ることは無かった。
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