双極では、藍染が死神の虚化について話していた。死神の虚化、虚の死神化、相反する存在の境界を取り払い高みへと上る手段。藍染は虚化の死神化に着目していた。
「自らの霊圧を消すことができる虚、触れるだけで斬魄刀を消すことができ、死神と融合する能力を持つ虚。その全ては御厨柊晴に全て倒されていたが、惜しい存在ではなかったよ。新しい存在と言うには粗末な存在であったさ。当初は御厨柊晴がどうやって死神と融合した虚を切り離したのかは気にはなったが……今となっては気にするほどでは無い」
そして求めている物がルキアの魂魄の中にある事、一連の事件は全て藍染が仕組んだ事を話したのであった。そしてルキアの魂魄に埋め込まれている崩玉を取り出した藍染はギンにトドメを刺す様に指示を出す。しかし、その凶刃は
「水天逆巻け『捩花』!!」
とある男の言葉と共に防がれる。ルキアを救った人物は二人。海燕と白哉である。白哉がルキアを藍染から奪い返し海燕が市丸の神槍を捩花で受け止めていたのだ。
「ッ!兄様、海燕殿!?どうしてここに!?」
「何とかしてやるって言ったろ?遅くなったが助けに来たぜ、ルキア!」
「……無事で何よりだルキア」
海燕は神槍を弾き返し構える。そして一歩前に出る。
「やっと兄貴らしくなったじゃねぇか、見ない間に素直になったな?」
「黙れ、貴様に答える必要は無い」
そうかい、と海燕は嬉しそうに笑いながら、藍染達と相対する。
「さてと……随分と俺の所の隊員を虐めてくれたみたいじゃねぇか」
副隊長でありながらも、隊長格に引けを取らない霊圧を放ちながら対峙する。藍染はニヤリと笑いながら斬魄刀を抜こうとする。しかし、それよりも早く海燕の捩花が藍染の眼前に迫る。しかし藍染は余裕の笑みを崩さない。その刃は市丸によって防がれる。
「市丸……テメェ!」
「怖い顔をしはりますなぁ。止めたんはお互い様やろ?」
二人は距離を置きぶつかり合う。隊長格の市丸の猛攻を流水の如く槍で流して捌く。そして鋭き薙ぎ払いや突きを放つが、市丸に防がれる。攻防一体の戦いが繰り広げられる。
「思ったよりやるようやね。流石、柊晴くんの上司やね」
「うるせぇよ……その煽り叩けなくしてやる!」
再び仕掛ける。視界の端、藍染が斬魄刀を抜こうする。その直後、夜一と砕蜂が瞬時に藍染を拘束する。
「動くな、筋一本でも動かせば」
「即座に首を刎ねる」
「これはまた、随分懐かしい顔だな」
藍染がそう言うと東、北、南の門番が敵対してくる。
「どうする?幾ら君達でも、僕を捉えたまま彼らとは戦えまい」
「そいつはどうかのう?」
夜一がニヤリと笑うと空から兜丹坊と空鶴が舞い降りる。
「遅かったのう!空鶴!兜丹坊!」
「遅かったとは随分なこと言うじゃねぇか!まぁ、いいタイミングだっただろ?さァ、行くぜ兜丹坊!」
下では空鶴が兜丹坊と共に門番と相対する。上では他の隊長・副隊長が集結する。松本が市丸を抑え、檜佐木が東仙を抑える。
数の上では圧倒的不利であり、斬魄刀を抑えられている所からも鏡花水月による突破も不可能。藍染達の負けは動かない。そう、何者かの介入が無ければ。
「済まない、時間だ」
夜一が上を見上げる藍染に釣られる形で上見て叫ぶ。
「離れろ砕蜂!!」
光が藍染を二人を隔絶するように藍染を囲う。更に光が降り立ってきている場所から空間が割れ、手が出てくる。
「莫迦な……!」
大虚が大量に空間を割り出てきたのだ。
「ギリアンか!?何体いやがんだよ!?いや……まだ奥に何か居るぞ!」
更に光が二本降り注ぎ、市丸と東仙を囲う。
「逃げる気か!」
射場が斬魄刀を抜くが山本総隊長が止める。
「あの光は『
四十六室から都に背負われて出てきた柊晴も双極の丘へ降り立つ光を見ていた。
「三本……つまり今回の三人か……一番最初に降りたところにいるのが……藍染か……!」
都の背中から降り立ち、一度片膝を着くが直ぐに立ち上がり光を睨みつける。
「どうするつもりなの柊晴くん」
都が問を投げる。柊晴は怒りを露わにして言う。
「何、タダで逃げられるのが嫌なんで手痛い反撃をするだけですよ……ルキアも、海燕副隊長も十三番隊も……いや、今回あいつが傷つけた人は多い。それに桃と冬獅郎も傷つけた……!無傷で逃げれると思うなよ!!」
ここまで怒りを顕にしているのは初めて見る都。荒れ狂う霊圧は柊晴が斬魄刀を握るのと同時に、鎮まる。
嵐の前の静けさのように。そして、この日
「――――卍解」
柊晴は二度目の卍解を使用する。自身の身長より大きい、刀身が紅い大太刀を手に握りしめて立つ。
「――――
握られた大太刀の刀身を一度自身に向ける。
「何を!?」
「先ずは、アイツにかけられている完全催眠を断ち切る。アイツの言う通り、綻びを作ってるなら、卍解で切れないわけが無い」
軽く首を切る。少し出血するが手でなぞると傷は塞がる。それほどまでに綺麗な傷だったのだ。そして、柊晴の目論見通り、鏡花水月の完全催眠は斬刹・神薙之太刀によって言葉通りに切り伏せられる。
「さて、それじゃ……本命行くか……」
斬刹・神薙之太刀を上段に構える。今出せる霊圧を注ぎ込む。なお攻撃しようとする柊晴に都は話す。
「柊晴くん、あの光は反膜と言って、大虚が仲間を助けるために出す光よ!光の中は隔絶された異空間となり、攻撃など外部からの干渉を受け付けないのよ!?」
都が忠告するが、柊晴はニヤリと笑い答える。
「隔絶されてようと、外部からの干渉が通らなかろうと関係無い……!誰であろうが何に守られてあろうが……必ず斬る!!!」
構えられた斬魄刀は主の言葉に応えるべく目標を切る。
「一切を断つ!!
振り下ろされ、絶対の一閃が放たれた。技を放った柊晴は膝から崩れ落ちる。出血し卍解も維持が出来なくなる。しかし、口角を釣り上げていた。
「大虚まで手を組んでいたのか……何の為にだ」
「高みを求めて」
浮竹と藍染は問答をする。浮かび上がる藍染を見上げる浮竹と見下ろす藍染。
「地に堕ちたか藍染……!」
「……傲りが過ぎるぞ浮竹。最初から誰も天に立ってなどいない。君も僕も、神すらも。だが、その耐え難い天の座の空白も終わる」
メガネを砕き、髪をかきあげて言う。
「私が天に立つ」
直後、四十六室の方角から高い霊圧が迸るのを感じ取る。その霊圧が瞬時に柊晴のだと気づいたのは柊晴の卍解を見た事のある海燕とルキアだけであった。そして感じた直後
「っ!?」
藍染の左肩口が肩甲骨辺まで何かに斬られたように出血する。それだけではなく、反膜の一部が切られたように点滅する。
「何っ!?」
藍染は片膝を着き驚愕の表情を浮かべる。『反膜』で護られている筈の藍染が突如負傷する自体に東仙やその場に居た全員が驚く。
「何が起こった!?」
「斬られた?反膜の内側に居る藍染が!?」
「いや、驚いたね……そんな芸当、一体誰が……いや、それよりも何処から斬ったと言うんだい?」
しかし、ルキアと海燕は驚くことは無かったしかし、確実に生存を知るきっかけにはなった。
「アイツ!思ったよりピンピンしてるじゃねぇか!」
「柊晴!」
それを聞いた浮竹が二人に聞く。
「今のは柊晴なのか!?」
「はい、アイツは以前、虚に乗っ取られた都を救うために、使ったんですよ卍解を」
「使ったのか卍解を!?しかも都の件は十年前所では無いぞ!?そんなにも前から……!」
「はい、柊晴殿は私達二人の前で虚のみを斬りました。そんなことが出来るのは……柊晴殿だけだと……!」
浮竹は嬉しくなりなが笑いが声に漏らしながらに言う。
「だからと言って『反膜』の内側の藍染を斬るか!」
かなりの深い傷を負った藍染は忌々しげにその方角を見る。『反膜』の隔絶された世界すら関係ないと言わんばかりに藍染は斬られた。しかし、藍染の腕を切り落とすことは叶わず、負傷させるだけに留まる。いや、左肩口が肩甲骨辺は斬られているため無事な方の腕で押さえつけるしかないのだ。藍染にとって幸いな事に、斬撃は上の方にズレていたのか完全に両断され無かった。治療さえすれば何とかなる程の重症で済んだことである。
それでも致命傷になりかねない重症には他ならない。
「くっ……予想外……だな……」
藍染はそれでも苦悶の声を押し殺し、眉を顰めて立ち上がる。大虚の手の上で赤く染った隊長羽織を脱ぎ捨て大虚と共に姿を消した。ここにルキアと旅禍の騒動が終結する。
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次回、尸魂界編エピローグ