斬れない物は無い、故に全てを断ち斬る   作:皐月の王

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遅れて申し訳ございません!


戦いは終えて

「……すげぇ、久々に寝た気がする」

 

身体は限界を超えて疲労が蓄積されている中での市丸の卍解による攻撃での致命傷一歩手前の重症と重症しているのに関わらず卍解を使用すると言うコンボにより今まで昏睡状態になっていたのである。柊晴が目を覚ました時には日は真上まで登っていた。

 

「……」

 

それこそ、素っ頓狂な言葉が口から零れる程である。柊晴が目覚めたのに気づいた四番隊隊士が驚きながらに言う。

 

「御厨三席!?お目覚めになられたのですね!待っててください!今、卯ノ花隊長をお呼びしてきます!!」

 

そう言い慌てて病室から出て行く。柊晴は体を起こし、思考がまともに出来る様になってきて自身の不甲斐なさに拳を強く握りしめていた。そんな事をしていると

 

「お目覚めになられたのですね。気分は如何ですか?」

 

戸を開けて四番隊隊長、卯ノ花烈が柊晴の病室に入る。柊晴は確かめることがあると言わんばかりに卯ノ花に尋ねる。

 

「俺のことは良いんです!!それより、冬獅郎と桃はどうなったんですか!?」

 

必死な表情で卯ノ花に聞く柊晴。卯ノ花は頷き答える。

 

「日番谷隊長、雛森副隊長は無事ですよ。お二人共、貴方より先に目を覚まされてそれぞれの隊を指揮されております」

 

その話を聞き柊晴は胸を撫で下ろす。心底良かったと言わんばかりにほっとしていた。

 

「良かった……。生きてて良かった……!」

 

拳を額に当てて声を震わせて言う。それを見ている卯ノ花は微笑みながら言う。

 

「二人は貴方が目覚めたか復帰してからも見に来ていましたよ。二人だけではありません、阿散井副隊長や吉良副隊長……十三番隊の面々も様子を見に来ていましたよ」

 

「そう……ですか」

 

柊晴は外を見ながら再度拳を強く握りしめて呟く。

 

「もっと強くならないと……大口叩いてあのザマじゃ……!」

 

柊晴の脳裏に浮かぶ光景は切られて自身の血の海に沈む幼馴染二人の姿である。守るつもりだったが守ることが出来ず、二人を傷つけられ、自身もやられてしまった。自身の事はどうでもいい、ただ本当に腹に据えかねているのはやはり二人を傷つけられ、それに対して何も出来なかった自分自身の不甲斐なさである。そんな柊晴に微笑みながら卯ノ花は言う。

 

「水を差すようで悪いですが、先ずは、休むことが先決です。当分は退院出来ないと思ってくださいね」

 

その言葉を聞いて柊晴は首を傾げる。

 

「ど、どういう事ですか!?傷はもう大丈夫で……」

 

抗議をしようとする柊晴を笑顔の圧で圧倒し話す。

 

「御厨三席、傷のこともありますが、貴方の身体はこれまでの多忙な業務により疲労が蓄積されています。そんな状態で重傷を負い、卍解まで無理して使っため、貴方が思っている以上に身体に負担がかかっているのです。過労と必要以上の消耗です。その結果が五日間の目を覚まさなかった事にも繋がります。四番隊隊長として、そんな状態の貴方を退院させる訳には行きませんので入院は継続です」

 

しかし、柊晴はそこまで説明されてなお食い下がろうとしたが、発せられる圧に負けて首を縦に振るしか無かった。

 

視察を終えて卯ノ花が退室した後、柊晴は外を眺めていた。市丸と白哉に言ったこと、自分が大切だと思っているものが何一つ自分で守れなかった事を胸に秘めて拳を強く握る。

 

(旅禍が来なければ……ルキアは助かっていなかった……。専念したというのに、冬獅郎と桃がやられて自分もこの体たらく……。情けねぇなんてもんじゃねぇな。もう絶対、桃を傷つけさせてたまるか……!)

 

外を、空を睨みつけて柊晴は一人で誓っていた。その直後慌ただしい足音が近づいてくる。そして戸は勢いよく開かれ

 

「シュウくん!」

 

「柊晴!」

 

来訪者が姿を見せる。その来訪者は冬獅郎と桃であった。息を切らせながら走って来た二人を見て柊晴は改めて二人が元気なのを見て嬉しい気持ちと情けない気持ちが込み上げる。しかし、

 

「冬獅郎、桃。聞いてたけど、大丈夫なんだよな……良かった!」

 

何よりも言いたかった言葉。良かったと口にする。生きていた事が良かったと伝える。

 

「良かった……じゃないよ!五日も目を覚まさなかったんだよ!?どれだけ心配したと思ってるの!」

 

桃が柊晴に詰め寄り涙を浮かべながらに言う。冬獅郎はその後ろで腕を組みながら

 

「お前が何を考えているのかは大体は分かる。俺も同じ気持ちのはずだからな」

 

静かにそういう冬獅郎の表情は悔しさと静かに怒りを燃やしている表情であった。

 

「とりあえず、無事に目を覚ましたのは良かった。卯ノ花隊長からは聞いている。しっかり休めよ。柊晴」

 

「ほ、本当にそうだよ!もう無茶したらダメなんだから!!」

 

「……分かってるよ。でも、お前らも無理とかするなよ」

 

互いに互いを大切に思う気持ちは変わらずその日は暮れていく。そして更に一週間が経過する。旅禍の面々が現世に帰ったと耳にしたのが少し前の事と考えている柊晴は退院の許可が下りたので身支度をしていた。

 

「……久々の復帰か。先ずは、不在の間の謝罪と斬截と鈍った身体を叩き起す所からだな」

 

呟きながら四番隊隊舎を後にして、十三番隊隊舎に戻ってくると、浮竹が急いだ様子で迎える。

 

「浮竹隊長、長い間不在申し訳ございまs」

 

「いい所に来たな柊晴!隊首会に一緒に出るぞ!」

 

腕を引っ張られ隊首会が行われる場所へと連れられる。

 

「ま、待ってください浮竹隊長!隊首会ってなんで俺まで何ですか!海燕副隊長が復帰された今俺が待機室に行く理由が無いでしょ!」

 

「そう言えば説明がまだだな」

 

浮竹は思い出したように話をする。

 

「藍染達が離反した事によって、三つの隊が隊長不在なのは分かるな?」

 

「ええ、吉良の居る三番隊、桃の居る五番隊、檜佐木さんが居る九番隊ですね」

 

「ああ。隊長三人の抜けた穴は何とかしたい話なのは分かるな?」

 

柊晴は頷く。

 

「藍染達に備えて戦力は整えたいという事ですね。でもそれとなんで俺が隊首会に行くのが繋がるんですか?」

 

柊晴の質問に対して浮竹は笑顔で答える。

 

「俺が新しい隊長に推薦したからな。卍解も使えるし、実績もある。それに、京楽も朽木隊長も、日番谷隊長も卯ノ花隊長も推薦してくれたしな!」

 

その事を聞き柊晴は口を開いたまま固まる。そのまま引っ張られるまま走り叫ぶ。

 

「どうしてそんな大切な事を先に言わないんですか!!!」

 

柊晴の絶叫が響くが既に後の祭りであった。半ば強引に連行され、他の隊の隊長達の前に立つ事になった。一番隊舎の一室で三人が離反したと言えどそれ以外のた並び立つ隊長は壮観である。

 

「総隊長、十三番隊三席御厨柊晴を連れてきました」

 

柊晴の隣に立つ浮竹が山本総隊長に報告をする。山本総隊長は頷き。

 

「うむ。では、隊首会を始めるかの」

 

柊晴は内心ではどうしてこうなったと叫びたかったが状況を聞いている以上、この場から逃げる事は出来ないと諦めていた。

 

「さて、まずは御厨三席」

 

「は、はい!」

 

緊張して上ずりそうになる自分を何とか抑えながら返事をする。

 

「ほっほっほ、そんなに緊張せんでも良いわい。お主にはやってもらいたい事があるでな」

 

山本総隊長は微笑ましいと言わんばかりに笑いで、場を和ませる。柊晴は幾分か緊張から解き放たれる。しかし、要件が分かっている以上身構える。

 

「新たな五番隊隊長に、お主を任ずる。受けてくれぬか」

 

抜けた三人の隊長の一枠を担えと言う話だった。これに関しては浮竹より聞いていた為、就任命令には動揺は無かった。

 

「……理由を聞かせて頂いても良いですか?」

 

然して自分を隊長にすると言う山本総隊長の真意を聞くべく、絞り出すように尋ねる。

 

「抜けた隊長の枠を埋めなければならんのは浮竹より聞いておるな?」

 

「はい」

 

「卍解を習得しており、尚且つ、反膜に守られていた藍染惣右介に一太刀入れたお主なら隊長として実力は申し分ないじゃろう。それに、お主の卍解は特殊なのは聞いておる。過去に当時の十三番隊三席の志波都を虚と融合した状態から切り離したと言う報告も聞いている」

 

その話を聞いて表情が変わる。苦虫を噛み潰したような表情を浮かべて考える柊晴。

 

(都さんに口止めはしてないし、藍染を切るために使ったら嫌でもこうなるよな……。でも俺は隊長は向いてないしなぁ。流石にあんな過労を経験すると……第一自己管理も出来てなかったし。その結果があの末路だ。そんな奴が隊長になるべきじゃない)

 

大きく息を吐き山本総隊長を真っ直ぐに見据えて柊晴は話す。

 

「総隊長、恐縮ですがその申し出をお断りさせて頂きたいです」

 

「して、その理由は?」

 

開眼し柊晴を見据える山本総隊長。柊晴は頬を掻きながらに言う。

 

「向いてないと言うのありますし、俺、自己管理もまともに出来て無かったんですよ?そんな俺が隊長なんて務まらないでしょ。そのせいで痛手を負いましたし……自分の守りたい人たちを守れなかった。そんな奴が隊長になるべきじゃないと俺はそう思ってます」

 

柊晴は自分が思っている事を伝える。

 

「しかして、短い期間であっても隊長、副隊長の業務、本来の業務をこなし、十三番隊を動かしていたのはお主では無いのか?」

 

「それは、そうしないと十三番隊が回らなかったですし……同じ隊の仲間を助けるのに踏ん張りどころだと思ってましたから……」

 

柊晴がそう言い淀むと山本総隊長が

 

「それだけの気概があるなら十分じゃ。隊長としての責務や責任は就任して直ぐに一朝一夕で出来上がるモノじゃないわい」

 

目を見開きそう言い放つ。冬獅郎も柊晴に声をかける。

 

「柊晴。お前は向いてないと思ってるかもしれないが、俺はそうは思ってねぇ」

 

「そうだよ柊晴君。僕達は君が隊長に就いてくれれば良いなと思ったし、君の力を認めているんだよ」

 

京楽も柊晴に声をかける。

 

「日番谷隊長、京楽隊長」

 

「大丈夫ですよ、最初は分からない事も多々あるとは思いますが、その為に副隊長や席官の隊士もいるのです。無論私達に聞くのも一つの手です」

 

「うだうだ考える必要は無いだろ。自分がしたいようにすれば良いんだよ」

 

卯ノ花と更木も声をかける。白哉は何も言わないが分かっているだろうと態度で示していた。

 

「俺からは何も言わなくて良いかな!他の皆が言ってくれてるし!でも、言うとしたら何時でも頼ってくれていいからな!何時でも遊びに来ていいからな」

 

「浮竹隊長……」

 

柊晴はそれぞれの隊長からの言葉を受け、覚悟を決めたように山本総隊長を見る。

 

「答えが決まったようじゃな」

 

「はい!隊長の件、受けさせていただきます」

 

ここ日、五番隊の抜けた穴に新たな隊長として柊晴が就任する事となった。背負う隊は五番隊。藍染が居た隊であり、幼馴染が副隊長を勤める隊である。




次回から破面編に入るかもです!
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