暑い日々が続きますが、皆さん熱中症に気をつけて無理せずいきましょう!
決戦を見据えて
五番隊隊舎では新しい隊長の着任の挨拶が行われようとしていた。十番隊隊長、日番谷冬獅郎と大差の無い背丈の人物が隊長羽織を身にまとい、五番隊隊士達の前に姿を現す。
「新しく五番隊の隊長になった御厨柊晴です。至らない点はあるとは思いますが、これからよろしくお願いします!」
『よろしくお願いします!!』
無難な挨拶を柊晴は行い着任の挨拶を終える。隊長の執務室を桃に案内して貰い仕事の確認を行う。
「隊は違うから仕事も違うのは当たり前だけど、そこまで大きな違いは無い感じだな」
「そうだね、大まかの流れはこんな感じだよ。でも、驚いたよ。まさか、新隊長がシュウくんだなんて」
桃は少し笑いながらに柊晴に言う。柊晴もその言葉を聞き苦笑しながらに言う。
「俺もまさか隊長になるなんて思っても無かったよ。それもアイツの後釜に座る事にもな」
護廷十三隊、ひいては尸魂界を裏切った大罪人、藍染惣右介。柊晴、桃、冬獅郎にとって因縁深い相手であり、桃の元上司でもある。
「う、うん……。でも!今の隊長はシュウくんだから!改めてこれからよろしくね!御厨隊長!」
桃は笑顔で柊晴に言う。裏切られた直後で大変だったと言うのに引き継ぎの資料や説明も柊晴の為に作って居たのは話を聞いた柊晴は分かっていた。
(……決着は必ずつけないとな)
拳を強く握りしめて柊晴は笑顔で答える。
「ああ、よろしくな桃!」
内心で決意を固める。次、藍染達と相対した時には切り伏せると。
そんな決意をしながらも五番隊で隊長としての業務を行う。そして、業務を行いながら藍染の功績をまじまじと見る事になる。
(……確かにこの形態なら効率も良いし、隊士の休みも確実だし、給料計算にも無駄が無い)
人心掌握の為なのか死神の業務に見兼ねたのかは本人のみぞ知る話なのだが、藍染が隊長になってからの仕事の能率向上や隊士の業務の見直し等、数を上げればキリがなかった。
(はっ、最悪の裏切り者だが隊長としては最高だったという事か。……他の隊士もこのやり方に慣れてるだろうし、態々効率を下げる程の事でもねぇな。改めて……すげぇな)
隊長としての手腕は認めざるを得ない所か参考になり、勉強にすらなると柊晴は感じていた。感嘆な心の声をもらしながら業務に当たる。担当地区の虚討伐や現世での任務等の割り当て、救援等も行う。
積極的に時間には上がり、皆が帰りやすいようにしたり、話をしてコミュケーションを取り、馴染むように色々行っていた。そんなある日
「隊首会?……隊長就任して以降初めてだな」
伝令を受けて柊晴は椅子に掛けてあった隊長羽織に袖を通して
「行くか」
一番隊隊舎に足を運ぶ。柊晴が着く頃には他の隊長達も集まってきていた。
「それではこれより―――隊首会を執り行う!」
山本総隊長の号令と共に隊首会が執り行われる。議題は裏切り者の三人について。そして『破面』について話が行われた。
そしてその中で現世にいる死神代行黒崎一護達と共闘することも視野に入れる事になり、その現世組と合流する面々が議論され最終的には
「現世には十番隊隊長、日番谷冬獅郎、副隊長松本乱菊。そして死神代行と縁がある六番隊副隊長阿散井恋次、十三番隊、朽木ルキア、十一番隊、斑目一角、綾瀬川弓親の六名を派遣する。異論は無いな?」
山本総隊長の確認で六名が決まる。そして
「して、御厨柊晴。お主の斬魄刀の能力で藍染の鏡花水月を解除出来ると言うのは本当かの?」
山本総隊長が柊晴を見る。その言葉に冬獅郎と更木以外が大小あるが驚いた表情になる。柊晴は口を開き。
「恐らく可能だと思います。藍染本人が言っていた事なんですけど、少なくとも、始解の時点で鏡花水月の催眠に綻びを作り出すことが無意識に出来ていたみたいです。それで、卍解して自分に掛かっている鏡花水月を断ち切りました」
「それは本当か!?」
砕蜂が声を上げて驚き柊晴の方を見る。京楽は笠を上げて感心したように呟く。
「全く、すごい子だね浮竹?」
「ああ、自慢の子の1人だからな」
浮竹は誇らしいと胸を張って言う。柊晴は嬉しそうにしながらも続ける。
「けど、いくら解除しても向こうは再び鏡花水月を使ってくる。それなればまた解除する。後手に回るしかないのと、解除方法的に、対象が固まっている必要がある。戦闘時の解除の事を考えると頭が痛くなる話です」
柊晴は解除する側としての懸念点を上げる。解除方法が現状あるのが鏡花水月の催眠を斬る事である。
「だが、藍染の鏡花水月が解除できるなら話は別だ。出来るのと出来ねぇとじゃ話が違う。それだけで戦い方に幅が出る」
冬獅郎が静かにそう言う。冬獅郎は藍染と相対した。その結果鏡花水月の効力もあっただろうが敗北したのだ。全てが鏡花水月で負けたとは冬獅郎も思っていないが、鏡花水月を何とかしないと二の舞になるとは理解していた。柊晴は確かにと頷く。山本総隊長は口を開き話す。
「では、隊首会の後御厨隊長の卍解で隊長、副隊長の面々に掛かっていると思われる鏡花水月の催眠に解除を行ってもらおう。その後、日番谷隊長が率いる面々は現世に、他の隊長、副隊長は決戦の準備をするように!」
山本総隊長のが言う。そして隊首会が終わり、柊晴は斬魄刀を取りに戻る。
「行ったり来たりで大変だなぁ……」
少し愚痴りながらも斬魄刀を手に持ち一番隊舎へと向かう。自分一人だけなら慌てなくてもいいが、今回は他の隊の隊長、副隊長も待っているという事もあり瞬歩を使って往復したのだ。
再び一番隊舎に戻ってくると全員が並んでいた。壮観と言う他ない光景であり、ある種恐ろしい光景でもある。
(これが敵の視点か……絶望感すげぇな)
苦笑いをしながら合流する。
「来たな。それでは、御厨隊長。儂らに掛かっているであろう鏡花水月を斬ってくれ。全員その場を動くな」
山本総隊長が柊晴に斬るように言い、全員にその場から動かない様に指示を出す。柊晴は斬魄刀を抜き
「――――卍解」
静かに卍解を告げる。
「斬刹・神薙之太刀」
自身の身長より大きい、刀身が紅い大太刀を握り隊長、副隊長達と向き合う。
そしてその柊晴と向き合い、それぞれが息を飲んだり戦いたいと思ったりする。
(正面から見るとこうも威圧感があるのかアイツの卍解……!)
海燕は正面からその卍解を見て冷や汗を流す。都を救った卍解、藍染に一太刀浴びせた卍解と正面から向き合う。戦う訳では無いが、緊張感が場を支配する。
「これが……シュウくん……御厨隊長の卍解」
「ああ、これがアイツの卍解だ……オレも初めて見るけどな……」
桃と冬獅郎も緊張していた。ただ、鏡花水月の催眠を斬るだけの筈だが。
「それでは行きますよ」
柊晴が構える。膨れ上がっていた霊圧が凪いだように静まる。護廷十三隊の柊晴を除く隊長副隊長を視界に収め、藍染の霊圧残滓、鏡花水月のトリガーを認識し斬刹・神薙之太刀を一閃、横薙に振るう。瞬間一気に柊晴の霊圧が跳ね上がり一陣の剣圧が隊長、副隊長の間を駆け抜ける。
柊晴の視界には藍染の霊圧残滓、鏡花水月のトリガーを斬った事を確信する。
「終わりましたよ。と言っても、普段だと何も変わらないと思うので眉唾物だとは思いますが。少なくても、藍染からしたらもう一度解放を見せなければならないのには変わりはありません」
柊晴は卍解を解除し斬魄刀を納刀する。それを見て山本総隊長は頷き。
「では、それぞれ準備に当たるように!」
そうして解散となる。その後一度、五番隊隊舎に戻り、桃は柊晴を連れて五番隊隊舎の道場に行く。
「こんな所に連れてきてどうしたんだ?桃」
桃は意を決した表情で柊晴に言う。
「私を鍛えてください!」
桃は頭を下げて柊晴に言う。柊晴は驚きながら
「どうしたんだよ急に。戦い方も、斬魄刀の性質も分野も違うのにどうしたんだ?」
柊晴が腕を組み理由を聞く。桃の斬魄刀は鬼道系の斬魄刀であり、桃自身も鬼道を得意とする。柊晴とは異なるタイプである。
「確かにそうだけど……それでも剣技、剣術で身近で強い人はシュウくんだから……。真央霊術院の時からそうだったから。それに、これから、あの人達と戦うことになったら、私は間違いなく今のままじゃダメだと思うの……」
藍染達の襲撃を受けた時、為す術なくやられたこと。このままじゃ足を引っ張る事になることを感じて、柊晴に話をした。
「だから、私は強くなりたい!守られるだけじゃなくて、シュウくんやシロちゃんの助けになれるように!!何も出来ないのは……見てるだけなのはもう、嫌だから!!」
強い決意の眼差しを柊晴に向ける。柊晴はその瞳を正面から受け止めて木刀を手に取り
「分かった、時間の許す限り修行するぞ。けど、オレは教えるのは上手くないから、ひたすらに数をこなすぞ」
柊晴は木刀を桃に向けて構えて言う。桃は息を飲みながら木刀を手に持ち構える。こうして柊晴と修行をするのは初めてである。柊晴は少し笑みを浮かべて
「それと同時に桃は桃の長所を伸ばしていけ。桃は俺があんまり得意じゃない鬼道があるんだから」
柊晴は桃に助言をした後、腰を低く落とし
「体に木刀が一撃でも入れば、仕切り直し。死んだも同然と言うことで……」
「う、うん!」
「加減は無しで行くからな!本気で来いよ!!」
こうして五番隊の二人の修行が始まる。
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ここだけの話、先遣隊に入って一護達と交流も考えました……。