斬れない物は無い、故に全てを断ち斬る   作:皐月の王

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えー、年末になってしまいました。長らく止まって申し訳ございませんでした!


刻々と迫る時

柊晴による修行は厳しいものだった。木刀で打ち付ける威力は怪我しない程度の威力で口も厳しくは無いが、本気の殺気と速度と鋭さで副隊長の桃と打ち合う。

 

「っ!」

 

木刀で受ける際には加減は極力していない為、受ける度に桃の手は痺れていた。それ程に衝撃を伴っていたのだ。

 

決戦を見据えて桃が柊晴に頼み込み始まった修行は早くも一ヶ月が経とうとしていた。

 

「はぁ……はぁ……はぁ……」

 

汗を流し肩で息をしている桃と汗を流すどころか息を切らしていない柊晴。同期であるはずだがこれ程に差がある。と言っても柊晴の場合は斬魄刀に鍛え上げられたと言っても過言では無い。

 

「大分剣技の方は鍛えられたとは思うぜ?」

 

「え?……本当?」

 

柊晴は頷きながらに話す。

 

「始めた頃なんて大抵一撃に反応出来なかった桃がこうして打ち合うことが出来ているんだからな。現状、俺の本気にそれだけ反応が出来ていたら大抵の奴には正面からこられてもある程度は対応できるはず。あとは桃の長所ともう一段階上に辿りつけば言うことは無いと思うぜ」

 

柊晴の言葉を聞き桃は嬉しそうな笑みを浮かべながら頷く。

 

「ありがとうシュウ君!ここからは独学でやってみるね!」

 

雛森の言葉に柊晴は頷き。

 

「ああ、頑張れよ。でも、副隊長の仕事も忘れずにな」

 

「シュウ君こそ隊長の仕事忘れないでよ!」

 

二人はそんな軽口を叩きながら仕事に戻る。その後十二番隊の技術開発局に足を運び現世での日番谷先遣隊の報告書類や戦闘記録を見ながら分析をする柊晴。

 

(帰刃……俺たちで言う所の卍解と考えていいらしいな。形態変化というのが厄介かも知れないな)

 

厄介。そう考えているのは隊長としての視点での話である。柊晴自身は斬ることが出来れば勝てると考えていた。

 

(まぁ、斬ることが出来ればの話だけどな)

 

現実問題これに尽きるのである。

 

「おやおや、話は聞いていたが随分珍しい人物が来てるものだネ」

 

後ろから声をかけられ柊晴は振り返りながら一礼をする。

 

「データ見せて貰ってますよ。涅隊長」

 

柊晴の白々しい笑顔にどの口で言うかと言わんばかりに不機嫌を隠そうともせずに

 

「フン。阿近に『見せなければここにある機械を誤って壊すかもしれない』とか脅しておいて良く言うヨ御厨隊長」

 

抗議の言葉を言う涅。息を吐きながら柊晴を見下ろしながらに尋ねる。

 

「それで、見たいものは見れたのかネ?」

 

「まぁ、見れましたかね。日番谷が限定解除しても苦戦する相手……まぁ、退けることが出来ているから多少は問題は無い。けど、松本副隊長、阿散井副隊長、他の副隊長と実力は何ら遜色無い斑目三席、綾瀬川五席が結構やられているのを見ると。それに死神代行も大怪我……」

 

そう真面目に話す柊晴に涅は何も言わず踵を返し

 

「君が何を考えているかは私には関係の無いことだヨ。記録を見せるのは今日だけだ、明日は以降は見せる気も無いから小さい脳に記憶するんだネ」

 

「ええ、せいぜい記憶しますよ。どう斬れば良いかをね」

 

「その野蛮さは五番隊の隊長と言うより十一番隊と変わりないネ」

 

涅の言葉を耳に入れながらも柊晴は

 

「それでも今は五番隊の隊長なので」

 

と静かに返していた。

 

(今の桃なら十刃以外とならなると考えていたが……押し切るには……桃の長所の鬼道を上手く組み合わせた戦術が求められるという事か……。予想より相手はかなり手強いな……いや、何とかなる。立ち回りに関しては本気の俺の攻めを防戦と言えど何とか出来る様にはなったんだしな。過保護は桃の自信にも強くなるのも阻害する。それに桃の覚悟を受け取ったのは俺だしな)

 

柊晴は息を吐き技術開発局を後にする。その足で十三番隊隊舎に足を運ぶ。

 

「久しぶりだな柊晴!あっ!今は御厨隊長だったな!」

 

「むず痒くなるから呼び捨てでお願いしますよ海燕副隊長」

 

「はっはっ!そういう訳にも行かねぇだろ。俺は十三番隊の副隊長。お前は五番隊の隊長。他の隊の副隊長が他の隊長を呼び捨て何て出来ないだろ?」

 

海燕が腕を組みながら柊晴に話をするが柊晴はジト目で海燕を見上げながら

 

「それにしてもお前呼びじゃないですか」

 

「それはお前……アレだよ……公の場じゃなければ良いんだよ!と言うか隊長呼び止めろ言ったのそっちじゃねぇか!」

 

海燕に頭を拳で挟まれてねじ込むようにお仕置をされる。

 

「で、隊長に用事か?態々足を運んできたんだ、ただの世間話でも無いんだろ?」

 

「はい、破面についてです。日番谷先遣隊の戦闘映像を見ての情報を共有しようかと。流石に各隊長も準備はしてるとは思うんですけど」

 

「なるほどなそれで古巣の十三番隊に。良いぜ、話を聞かせてくれ敵は抜けた三人の元隊長だけじゃねぇんだろうしな」

 

そして柊晴は日番谷先遣隊と破面の戦闘について情報を共有をする。

 

「なるほどな……その話からしたら向こうはかなり手強そうだな」

 

「あとどれ位の時間が残されているか分からないのが肝ですけど……海燕副隊長はどうですか?」

 

「おう!俺も準備はしてるぜ!あのままじゃ行けないのはあの時に痛感しているからな。副隊長としても情けねぇ姿は見せられねぇしな!」

 

そう言う海燕の姿は頼もしく写り、柊晴は頼りになる副隊長だなと感じた。

 

「柊晴も準備をしているんだろ?自分とこの幼馴染の副隊長をかなり鍛えているみたいじゃねぇか」

 

「向こうが望んだことだからな。別にしごきとかはしてませんよ。業務に支障がない範囲で大怪我するような加減無しでやってませんよ」

 

「そんなの分かってるよ。お前は教えるのは感覚派で下手だが、手合わせを通じての鍛錬ならお前の加減は絶妙だからな。その辺は心配はしてねぇよ。ルキアを鍛えたのもほとんどお前だしな」

 

柊晴はその言葉を聞いてそう言えばと思い返していた。ルキアが毎回ボロボロになったのを今でも思い出すと。

 

「とりあえず、情報ありがとうな」

 

 

今度こそ柊晴は五番隊に戻り少し休憩した後に業務に取り掛かる。

 

その翌日。日番谷先遣隊が尸魂界に帰還した。穿界門前で出迎えに来ていた柊晴は帰還した面々の表情を見て内心大きく息を吐く。

 

(井上織姫という子が連れ去られてそれの救出がダメだという話だったよな。考えあるんだろうけど、総隊長は頭硬そうだからなぁ。改めて考えても恩人に対する仕打ちじゃねぇよな)

 

「ルキア、恋次」

 

「御厨隊長……」

 

「私たちは」

 

「分かってるよ、それも含めて話があるから五番隊の隊舎まで来てくれよ茶は出すから。冬獅郎も破面について聞きたいから来いよ」

 

「ああ」

 

そうして五番隊隊舎にて朽木ルキア、阿散井恋次、日番谷冬獅郎、松本乱菊が集まり柊晴と桃がお茶を提供しながら話を聞く。

 

「戦闘記録見せて貰ったけど、結構厄介そうな連中だったな。特に十刃と呼ばれるような奴らは特に面倒くさそうだったな。隻腕の奴でも、瀞霊廷に殴り込んで来た黒崎の卍解状態でも何か仮面が割れた後は一方的だったしな」

 

「ああ、破面との決戦を控えているなか残りの時間がどれだけ残されているか……それに」

 

ルキアに視線が集まる。井上織姫を助けに行きたいという話なんだろうと考えながら柊晴が少し息を吐く。

 

「井上織姫を助けに行くんだろ?ルキア、恋次」

 

「柊晴!」

 

冬獅郎は柊晴の名を呼びながら諌めようとするが柊晴は制止させて続ける。

 

「俺は戻ってきた連中を"虚圏に向かわせるな"何て命令は受けてないし。案外、朽木隊長に言ってみたらどうにかなるんじゃないのか?」

 

「しかし、それでは兄様のご迷惑……」

 

柊晴は少し考えながら

 

「頼られた方が案外嬉しいのかもな?海燕副隊長を見てるとそんな感じがするし」

 

「そういうものなのか?」

 

ルキアが難しい表情をしながら柊晴に聞く。柊晴は

 

「俺は兄弟がいる訳じゃないから分からないけどな……でも、大丈夫な気がする。まぁ、強行突破する時は隊長権限で穿界門は何とかしてやるよ。その時がきたら五番隊舎に来い」

 

「はい!」

 

「おう!」

 

そういうとルキアと恋次は五番隊舎を後にする。

 

「隊長になっても相変わらず無茶苦茶言うのね御厨隊長は」

 

「ハハ、そこがシュウくんらしいと言えばらしいですけどね」

 

「隊長としてはどうかと思うけどな」

 

松本、桃、冬獅郎がそれぞれ言うが柊晴はため息を吐きながら

 

「無理矢理隊長にしたのは向こうだ。なら、多少は目を瞑れってもんだ。隊長である俺達は動けねぇし、向こうは準備が整ってる。ならやる事は一つ」

 

柊晴はそう言うと冬獅郎と向き合い。

 

「上げれるだけ上げるぞ、互いにな。互いにやられっぱなしは性にあわないだろ?」

 

ニヤリと笑う柊晴に小さく笑い冬獅郎

 

「ああ……!やるぞ柊晴」

 

二人はそう言い五番隊隊舎を出る。

 

「乱菊さん!私達も準備をしましょう!」

 

「ええ!良いわよ雛森!付き合ってあげるわ!」

 

副隊長達も動き始める。残された時間は多くは無く何時でも万事の為に備える。

 

柊晴は冬獅郎との鍛錬が終わった後、再び十三番隊に向かい、とある人物にたのみごとをした。

 

そして三日後

 

「六番隊副隊長阿散井恋次殿及び十三番隊副隊長志波海燕殿同じ十三番隊朽木ルキア殿、三名の霊圧が隊舎から消えた模様です!現在 我が隠密機動第二分隊・警邏隊が瀞霊廷全域に捜査範囲を拡げて捜索中であります!」

 

と言う報告を聞く。

 

「御厨隊長いつの間に?」

 

桃が柊晴に聞くが柊晴は少しニヤリと笑い

 

「さぁな、俺は何も言われてないからな。あの隊長も許可出したよなぁ……」

 

書類を片付けた柊晴は斬魄刀を持ち

 

「こっちも仕上げだ」

 

最後の仕上げに取り掛かり決戦の刻を待つ。

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