入学してから、浅打を与えられ寝食を共に過ごす。そして、剣術や鬼道、座学等の勉強を行い死神や鬼道衆や隠密機動等に行くための育成が行われる。
柊晴は斬魄刀を振るい鍛錬を行ったり、瞬歩を鍛え上げていた。主席で驕ることは無い。と言うか柊晴にとっては主席合格なんてどうでもいいことである。そんな肩書きは邪魔だと言わんばかりに鍛錬に時間を費やしている。
そんなある日の鬼道の演習にて。
「第一班前へ」
『はい!!』
鬼道の演習場にて赤火砲の訓練が行われていた。順番を待つ間は正座をしなければならないがこの程度で根をあげる訳にも行かないので柊晴は順番が来るまで待つ。それまでは目星をつけている人物や知り合いの鬼道を見る。
幼馴染である桃が放つ赤火砲は他の人物とは異なり、落ちることなく的の半分を破壊する。それだけで感嘆の声が周りから聞こえる。柊晴も素直に桃を褒める。
「やるな、桃。的に当てるなんて」
「ううん、たまたまだよ」
「たまたまでも凄いよ!他の皆届いて無かったし!」
桃の隣の女子生徒も桃の事を賞賛していた。そんな風に話していると再び驚きの声が耳に入る。声のするほうを見ると、的の真中に命中させた人物がいたのであった。金髪が特徴の人物である。
「いまの……あの人が撃ったの!?的の真中に当ててるわ!」
「すげぇな。っと、感心してる場合じゃねぇな。次は俺の番だな」
「シュウくん頑張って」
桃は何時ものようになんてない風に言うが、柊晴は転けそうになりながら桃に言う。
「霊術院でシュウくんと言うのはやめろ。恥ずかしいだろうが」
「えー、そういうものなの?」
「普通はそうだろ」
溜息を吐きながらも前に出る。そして的を見る。そして訓練をつけてもらった時の事を考えていた。
(鬼道も都さんや海燕さんから教えられたが、詠唱は覚えるだけでいいと言われたな。俺の霊圧で詠唱しようものなら演習場を破壊するんじゃないかと言われたしな。詠唱は破棄するか)
構えて的を見る。丁寧に両腕を前に出し
「破道三十一、赤火砲!」
放たれる柊晴の赤火砲は他のクラスより大きく、その大きさで狙った的の半分を破壊する。
「チッ、狙いが甘いか……」
舌打ちをし自分の下手さを悔やんでいると、大きな音が耳に入り衝撃に巻き込まれる。
「ぬあ!?」
衝撃に巻き込まれ一回転して転がり吹っ飛ぶ。柊晴は頭を抑えて顔を横に振りながら何が起きたのかを確かめると、隣の人物が黒焦げになって口から煙を吐いていた。鬼道の講師の人物は
「阿散井、お前後で補習な」
「……はい」
補習を言い渡していた。次の演習は木刀を持ち斬術の演習である。そこでは綺麗に的撃ち抜いた人物と阿散井と言う人物が打ち合っていた。
阿散井は先程の鬼道の演習の事もあり、取り返そうと必死になり強引な攻めをしている。それに圧倒されて金髪の方は終始押されっぱなしで一本を取られる。
「へぇ、中々やるじゃん」
柊晴は阿散井を見ながらそう呟く。周りは阿散井がやり過ぎだというがそれほど必死なんだろうと柊晴は思っていた。
「御厨!次はお前だぞ」
「あっ、はい!」
柊晴は呼ばれて前に出る。柊晴の体格は同じ霊術院生の男性で見ると小柄ではある。だから、柊晴と打ち合う人物は楽に勝てると踏んでいた。
「よろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
二人は一礼をした後、構えて稽古を始めるが……。
「なっ!?」
柊晴の相手は宙を舞い、柊晴の背後で落下する。一瞬の出来事である。誰もが驚愕する。体格差何てものは無かったかのように、圧倒的な実力を持って決着は着く。
(相手にならないな……そりゃ、こっちは1ヶ月とはいえ現役の副隊長を相手にしたし、数年も毎晩当たれば即死の殺し合い擬きをしてたんだ。まぁ、副隊長に稽古つけてもらったのはズルだよな)
内心苦笑いを浮かべて今日の演習を終える。そして、柊晴は霊術院の敷地内を歩き回り、偶然、阿散井と阿散井に負けた金髪を見つける。
「何してんだ二人揃って」
「君はさっき相手を一瞬で倒した……ええと」
「御厨柊晴だ、よろしくな。で、二人の名前は?」
二人に名前を問う。二人はすぐに答える。
「僕は吉良イヅルよろしく!」
「俺は阿散井恋次、ひとつよろしくな。で、吉良、さっき言ってた相手を一瞬で倒したって言うのはなんだ?この小さいのがそんなことしたのか?」
小さいと言われた柊晴は少し頭に来たがそこで怒れば自分の小ささを露呈するだけである。
「失礼だよ阿散井君。彼は体格の不利をものともしない斬術の才の持ち主だよ。僕や君でも勝つのは難しいんじゃ無いかな?」
「へぇ、それは面白そうだな。今度の時間、俺と手合わせしてくれよ!俺も強くなりたいんだ」
阿散井にそう言われて柊晴は頷き
「ああ、良いぜ。お前がバテるまで付きあってやるよ。その代わり、直ぐにへばるなよ?」
「上等!!」
阿散井は闘志を燃やして柊晴に言う。吉良も負けてられないと密かに闘志を燃やしていた。そんな時周りが騒がしい事に三人は気づき、人が集まる方へと行く。そこでは人が門の前に列をなしてたっていた。
「桃、お前も来ていたのか」
「あっ!シュウ……柊晴君も来ていたの」
やっと柊晴と呼んだ事にホットするがそれを置いておいて柊晴は聞く。
「ああ、何か騒がしいしな。で、これはなんの集まりだ?」
「何でも護廷十三隊の隊長が学院の視察に来るんだよ」
「隊長さん!?」
桃は驚いた声を上げる。柊晴はなるほどと頷き踵を返す。
「おい、見ていかないのかよ?」
「こんな機会そうないよ!?」
阿散井と吉良は柊晴を止めるが。柊晴は振り返りながらに言う。
「隊長を見たからって強くなるわけでもないし、それにお世話になっている訳でも無いしな。俺は部屋に戻って斬魄刀に話しかけてくるわ」
そう言うと柊晴はその場から立ち去り、自室に戻り斬魄刀を手に持ち瞑想をする。すると、切りあっていた空間に辿り着く。
「こうして斬魄刀を介していると、すんなりここに来れるから良いな」
赤い刀を持つ剣士がたっている空間に柊晴も降り立つ。
「……アンタ、話せるんだろ?初めて斬魄刀を貰った時に名前だけスっと名乗って。その後は、いつも通りに斬り合いばっかりに戻って……。どういうつもりだよ」
柊晴がそう言うとその人物は言う。その人物は簡単に言う。
「名前は伝えた。だが、まだ向こうでその名を呼んでもらっていない」
「ああ、呼んでないな。いやだって、お前の力は嫌という程身をもって体験してるから迂闊に開放なんて出来ない」
柊晴は自身の体験を思い出しながらに言う。受けることも一太刀でも致命的なダメージを与えて来て、遮蔽物なんてお構い無しの飛ばす斬撃。霊術院では間違いなく試せない。
「だから、向こうで私の名を呼ぶまで、段階は上げない」
そう言うと剣士は赤い刀を構える。
「こい、お前が開放した時振り回されないよう身を持って復習だ。開放と同時に極まる位はしてもらうぞ」
「結局いつも通りかよ!」
そう言い瞑想の中でも斬り合いと言うなの鍛錬が行われる。その日は集中しすぎて寮の夕飯を食べ損ねる結果となる。
その1週間後
「今日だっけ?現世での実習って?」
「そうだよ、しっかりしてよシュウくん!現世で魂葬の初実習だよ!」
そうだったと柊晴は思い出したように言い集合場所に向かう。そこでは1年が並んでおり、台の上には6回生が居た。
「まず簡単に自己紹介しておくぞ、6回生の檜佐木だ」
「蟹沢です」
「青鹿だ」
「この三人で今日のお前らの先導にあたる」
そういうのと同時に1年生がザワつく。
「何だ?有名人何なのかあの先輩達」
「知らないのか!?達じゃない、真ん中の一人だ!有名なんてものじゃない!」
「具体的にどう凄いんだよ?」
阿散井と柊晴が吉良に質問する。吉良が檜佐木について説明する。数年ぶりの護廷十三隊の入隊が決定している6回生であること、席官も確実だと言われている人物ということも。
「因みに……彼はこの学院の入試には2回落ちているから……そういう意味では次席合格の僕の方が才能は上かもしれない……」
「へぇ……」
「意識してるのな」
ジト目で吉良を見る二人。そして蟹沢の説明が始まる
「それじゃ、ここからは三人一組で行動してもらうわ。予め教室で引いてきてもらったクジを見て記号が書いてあるわね?同じ記号の人を探して組を作って頂戴」
そう言われて確認する。吉良、阿散井、桃が同じで柊晴が違う組だった。
「じゃあ、互いに頑張ろうな」
「おう!」
「うん、頑張ろう!」
「柊晴くんしっかりね!」
そう言い班に分かれ、現世に行き、魂葬の実習が始まる。
「よし」
「上手ね、1年でここまで上手に魂葬ができていたら、魂魄が痛がる事無く消えるわ。筋が良いわね」
「そりゃどうも」
実習は恙無く進行する。6回生の蟹沢に筋が良いと言われてホッとする柊晴。他の二人が終わるのを待ちながら、辺りを見渡していた。
(ここが現世か……尸魂界と違うなぁ。明かりもあるし凄いな)
そんな事を考えていた。
そんな時、視界の端に何かが映る。本能が警鐘を鳴らし、斬魄刀に手をかけさせた。同じように気づいた蟹沢が
「檜佐木くん……!」
名前を呼ぶより襲われる。蟹沢は自分が死ぬと直感で理解した。防御が間に合わないことも。だが、最低限報告はできたと考えた時
「うらァ!!」
1回生で小柄な部類に入る男子生徒がその一撃を弾く。爪を弾かれた虚は仰け反る。その一瞬で全員が何が起こってるのか視線が集まる。
「な……何だ……!?何だよあれは……!?」
「
1回生は恐慌状態に陥り、6回生も大きく動揺する。ただ一人、冷静に巨大虚を見ていた。
「何とも想定外って奴だよな?先輩。動けるか?」
「あ、ありがとう」
蟹沢は驚きながら一歩下がる。檜佐木は直ぐに指示を飛ばす。
「蟹沢!青鹿!一年坊共を連れてできるだけ速く遠くまで逃げろ!!時間稼ぎはする!」
「でも!」
「死ぬ気なんてない!急げ!!」
檜佐木の指示で蟹沢と青鹿は一年を先導して戦線を離脱する。
「尸魂界へ救援要請!!こちら、6回生筆頭檜佐木修兵!!現世定点1026番、北西2128地点にて巨大虚の襲撃を……」
時間稼ぎのために残っていたがもう一体の巨大虚が現れ檜佐木に攻撃を仕掛ける。皆んなが逃げる中、雛森は足を止め
「どうして……あたし達皆逃げているの?」
「何を言っているんだ!逃げろと言われたじゃないか!!実習中は引率者の命令は絶対だ!!」
「助けようと思うなよ!さっきのは御厨が反応したから助かったんだ!俺らが何人でかかっても……」
二人が止めるなか、第三者の声が桃の耳に入る。
「それでも見捨てられないんだろ?桃」
隣には幼馴染の柊晴が立っていた。桃は柊晴の表情を見る。柊晴は桃を見据えて優しい声色で問いかける。
「怒られるのは目に見えているし、危険だろうな死ぬかもしれないけど、助けたいんだろ?」
「うん……。誰かが死ぬのなんて見殺しにするのなんてできない!」
桃はそう柊晴に話す。柊晴嬉しそうに微笑み桃の背中を叩く。
「それじゃあ行くか!あの先輩を助けに!」
「うん!」
そして2人は走り出す。それを見た阿散井と吉良も意を決したように悪態をつき
「「くそっ!!!」」
同じように走り出す。檜佐木の命を奪わんとする巨大虚の凶爪を間一髪で止める。
「……お前ら……!!」
「申し訳ありません!命令違反です!」
「助けに来たんだから見逃せよな先輩!!」
「右に同じく!やれ!桃!」
男性三人が爪を止め、その間を潜り抜け、桃が詠唱する。
「君臨者よ!血肉の仮面・万象・羽ばたき・ヒトの名を冠す者よ!焦熱と争乱、海隔て逆巻き南へと歩を進めよ!破道の三十一 赤火砲!!」
完全詠唱の赤火砲をゼロ距離で放つ。巨大虚が避ける事は出来ず命中する。
「よし!!」
柊晴と檜佐木以外はやったと思う。しかし、絶望はそこでは終わらない。
「いや、ダメだ」
数えるのも億劫になるほどの巨大虚が正面に現れる。四人の表情が暗くなる。全員が死ぬのが確定したと言わんばかりの光景だ。
「う……うわ……」
「そんな……」
「仲間を呼びやがったな……」
「巨大虚がこんなに……バカな……!」
四方を巨大虚に囲まれる。
「いやだ……死にたくないよ……」
吉良が弱音を吐き、桃も崩れそうになる。そして隣に立つ柊晴の袖をつかもうとする。謝りたくて、自分が言わなければ巻き込むことは無かったと。しかし、その手は空を切る。
「え?シュウ……くん?」
巨大虚に向かって歩き出していた。桃は手を伸ばすが、その手すらも届かない。
「ダメ……!」
今にも泣きそうな桃の方を見て、
「頑張ったな……後は任せろ」
そう口を動かす。そして斬魄刀を構えて霊圧を抑えるのを少し緩めて、告げる。
「一切断ち斬れ――――『
解号の言葉を告げると同時に、斬魄刀が変化し刀身が紅く一回り長くなり幅も少し広く直刀へとなる。そして振るわれた斬撃は目の前の巨大虚を縦に三枚に斬って捨てる。
「まさか……一年坊が始解を……!?しかもなんていう霊圧だ……!」
檜佐木や皆んなが驚く中、柊晴は斬魄刀を肩にかけ巨大虚を見据えながらに言う。
「さて、お望み通りの初始解だ。行くぞ、相棒」
斬截にかたりかけ、巨大虚と戦闘を始める。鋭い爪で襲いかかってくる虚の爪を斬截で切断する。その威力はナイフでバターを切る様に容易に、一切の抵抗感も無くいとも簡単に斬り落とした。
そして、瞬歩を使い姿を消したかと思えば、次の瞬間には……
「退け、デカブツ!」
正面数体の虚を両断して見せた。袈裟斬り、逆袈裟斬り、一文字に斬り捨てる。
「一気にカタをつけるか……たしかこうして……!」
そして斬截に霊圧を込める。その霊圧は圧縮され、刀身がより紅く光る。そして放つ。
「ぶった斬れ!!」
放たれた霊圧の斬撃は飛翔し、建物諸共綺麗に残りの巨大虚の一切を斬り捨てる。相手の防御をお構いなく切断し消滅する。
「あ、あっという間に……」
「全部倒しやがった……」
吉良と阿散井が空いた口が塞がらないと言わんばかりに言う。桃は無事で良かったとへたり込む。
「よし!全員無事で、一件落着だな」
そして嬉しそうに始解を解除した斬魄刀を鞘に納めて歩み寄る柊晴が居た。
御厨柊晴の斬魄刀について。
始解:斬截
解号:一切断ち斬れ
変化:鍔が消え、刀身が紅くなり、幅が少し広くなり、長さが一回り長くなる。
能力:物理、霊子を問答無用で両断することが可能で霊圧差、強度は関係なく切り伏せる。
感想、お気に入りお願いします!