斬れない物は無い、故に全てを断ち斬る   作:皐月の王

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山場の一つに差しかかりましたー

良かったら楽しんでいってください!


全てを断ち斬る一閃

対峙する柊晴と虚。都以外の死神は血痕を残して姿がなかったり、下半身が存在しなかったりした。

 

「柊晴……くん……!」

 

都も立っているのがやっととの状態であった。しかも、斬魄刀が手元にない。

 

「気をつけて……あの虚、斬魄刀を消す力を持ってる……わ……」

 

柊晴は都の言葉に目を見開き驚く。

 

「斬魄刀を!?なるほど、だから都さんの斬魄刀が無いわけだ……」

 

斬魄刀を消す。それは死神にとっては驚異的で天敵とも言える能力である。しかも、発動条件までは現状不明なため厄介この上ない。

 

「また、頭が足らない餌が来たのか?ひひっ!美味しそうじゃのう!」

 

「黙ってろよ……お前。徹底的にぶちのめしてやるから……。懺悔の言葉何て聞き入れて貰えないと思えよ!」

 

下卑た笑いをする虚を前に柊晴は霊圧を抑える事はせず腰を落とし構える。虚は笑いながらに触手を一斉に柊晴に伸ばす。柊晴は斬魄刀を抜刀し、一瞬で通り過ぎ足を4本切り落とす。

 

「迅い!!だが!!」

 

虚も触手で柊晴に攻撃を仕掛けるが丁寧に一歩動きその尽くを避けられ、空を切るのみ。

 

「……ぬぅ!?」

 

流石の虚も全く攻撃が当たらず、一方的に攻撃を当てられるともなれば、驚愕に染まる。小柄で素早い動きは、姿を捉えることすら困難……なんて生温い話であり、影すら捉えさせない。

 

「まさか……これ程とはな小僧!!」

 

「小さいからって舐めてたって、言い訳に使うなよ?」

 

「小僧が、舐めた口を使いよるわ……!ここまで嘗められては……!」

 

声のする方に触手を伸ばすが既に姿は無く。空を切る触手は逆に切り落とされ、万事休すとなるが、虚は不愉快な笑いを浮かべ

 

「貴様の負けだ!!」

 

虚は弾ける様に糸みたいになり飛翔する。柊晴は飛び退き回避するが、狙いは最初から柊晴では無い。

 

「都さん!」

 

それは都の傷口から侵入する。そして対峙していた虚の外骨格は糸が切れた人形の様にその場に落ちる。

 

「大丈夫ですか都さん!」

 

柊晴が近づくと都が柊晴の方に顔を向ける。

 

「なんじゃ……儂を呼んだか?小僧」

 

「っ!貴様……!」

 

最悪の予感が脳裏を過ぎる。肌の色目元が変化し、先程まで対峙していた虚と瓜二つとなる。

 

「ほう、いい表情になるな!良いぞ、お前から喰らってやろう!」

 

襲いかかってくる都を乗っ取った虚。柊晴は寸前で後ろに飛び退き回避する。虚は落ちている斬魄刀を拾い上げ、柊晴と打ち合う。

 

その時、

 

「都!柊晴!」

 

「都どの!柊晴!」

 

海燕とルキアが現着する。しかし、二人からすれば何故、都と柊晴が戦っているのかが分からない。柊晴は叫ぶ

 

「都さんが虚に乗っ取られた!!」

 

「な……に?」

 

「そ……そんなことが……!?」

 

二人は驚愕と目の前のどうしようもない現実で固まる。虚の方はルキアを見て

 

「ほう、美味しそうな奴がまた来たのか、ひひっ、ひっ!」

 

柊晴から離れてルキアに飛びかかる。

 

「予定変更だお前から食べてやる!」

 

「都どの!」

 

ルキアは叫ぶことしか出来ない。しかし、海燕がルキアと虚の間に入り、虚が振るう斬魄刀を自身の斬魄刀で止める。

 

「目を覚ませ都!そんな奴に負けんじゃねぇ!!」

 

「語りかけても無駄じゃ!完全に乗っ取っておる!儂も霊体、こやつも霊体、人間の体に入り込んだとは訳が違うぞ!!霊体同士の融合だ!!永劫、解けることなどない!!」

 

「くっ!!都……!!」

 

「そんな……都どの……!」

 

海燕での選択肢は自然とひとつに絞られる。だが、その選択は愛する者を自らの手で斬ることに他ならない。幾ら副隊長であろうとも、直ぐにそんな判断を下すこと困難である。そんな瞬間、

 

「縛道の四、這縄!」

 

這縄が虚に絡みつき引っ張り寄せられる。それを行った人物は

 

「柊晴!」

 

「なんじゃ、小僧そこまで喰らって欲しいのか!望み通りにしてやるぞ!」

 

柊晴は斬魄刀を構えながら言った。

 

「海燕さんに刃向けせんなよ……!それに、随分とナメた真似しやがって……お前だけは絶対に斬る!!」

 

柊晴の霊圧が怒りに呼応する様に高まる。

 

「あっ……が……!」

 

「朽木!っ!なんて霊圧だ!!」

 

ルキアが息苦しく感じ立っているのもやっとな霊圧を放ちながらに柊晴は構える。

 

「聞いていなかったのか?儂を切ると言うことはこの女も切ると言うことだぞ?小僧であるお前に出来るわけが無い!」

 

虚は出来るわけが無いと叫ぶ。

 

「良いんだ柊晴!お前がそんな事しなくても!決着は……!」

 

海燕がそう言おうとした時、柊晴の言葉が三人の耳に入る。

 

「俺の斬魄刀に斬れない物は無い、故に全て断ち斬る!!」

 

柊晴の放つ殺気と霊圧に押されて後退りする虚。しかし、それよりも早く、柊晴は言霊を紡ぐ。

 

「―――卍解」

 

その次の瞬間、虚は斬られていた。

 

「は?」

 

認識すらも赦さない一閃が虚を両断する。愚かだと一蹴しようと嘲笑おうとした時に気づく。乗っ取り融合していた死神、都に流血は無く、自分だけが斬られていると。そして、柊晴の言葉が耳に入る。

 

「理解したか?これが、断ち斬るという事だ」

 

「そ、そんなバカな!?何故だ!何故そんなことがァァァァ!!!」

 

断末魔を上げながら虚は消滅する。そして乗っ取られていた都はその場に崩れ落ちる。残るのは自身の身長より大きい、刀身が紅い大太刀を肩にかけて立っている柊晴と目の前で起こった出来事に反応が出来ていない海燕とルキアだけであった。

 

「柊晴……アイツ、いつの間に卍解を……?それだけじゃねぇ……」

 

「虚だけを……斬った?奴は解けることは無いと言っていたが……それすら関係無いと虚だけを斬ったと言うのか!?」

 

柊晴は卍解を解き、斬魄刀を鞘に収める。

 

「海燕副隊長!何をしているんですか!!都さんを!」

 

柊晴の言葉にハッとした海燕は走り出す。

 

「都!」

 

海燕が都に駆けより抱き起こすと、柊晴が斬ったであろう傷はなく、肌の色も、目元も元に戻っていた。そして、海燕の呼び掛けに都はうっすらと目を開る。

 

「あら、助けに来てくれたのね……ありがとう、海燕」

 

「ああ!元に戻って……良かった!都!!今運ぶからな!気をしっかり持てよ!」

 

海燕は都を抱えて、柊晴に言う。

 

「ありがとな柊晴……!お前には礼を言っても言いきれねぇ……!」

 

「礼なんて……卍解の件を黙っててくれたら良いんで!早く四番隊に運んでください」

 

「お、おう!そうさせてもらうぜ!助けてくれて本当にありがとな。朽木!お前も四番隊の手配、俺に知らせてくれたのありがとうな!」

 

「い、いえ!私は柊晴の指示をそのまま実行に移しただけです!」

 

そういうと海燕は走り出した。残ったのは柊晴とルキアだけである。

 

「柊晴……今の卍解は……一体何をしたのだ?」

 

「見てたのなら分かるだろ?」

 

ジト目でルキアを見ながらに柊晴は言う。なんてない風に話す。

 

「簡単な話……斬っただけだ。都さんと融合した虚の虚だけを断ち斬っただけ。もう良いだろ?あと、卍解の件は黙ってろよ?あんまり知られたくはねぇから。それじゃあ行くぞ」

 

「え、あっ!待ってくれ柊晴!」

 

帰る柊晴を追いかけてルキアも帰還する。都は海燕に抱えられて四番隊に引き継がれた。重症だったが、命に別状はなく、虚に融合されていたと四番隊も聞いていたが、融合の後遺症も無く、魂魄も正常との事だった。しかし、鎖結が損傷しており、以前のようには戦えないため、十三番隊のサポートや真央霊術院での講師をする事となる。勿論、浮竹の計らいと都に意志の確認を行った上での決定である。そして

 

「空いた三席は柊晴君でいいと思うわ」

 

「俺もそう思う」

 

「ああ、今回の都を助け出した件と都と海燕の推薦ともなれば俺も文句は無いな。寧ろ俺も推薦しようと思っていた!」

 

「おめでとう柊晴!」

 

「い、いや、マジか……三席にか……」

 

突然の席が上がることで驚いていた柊晴。五席から四席もそうだが、四席から三席に上がるのが早いと思っていたというのもある。しかし、抵抗しても無駄だと言わんばかりに海燕と浮竹が笑みを浮かべていた。そしてルキアは純粋にめでたいなぁという表情で、柊晴は諦めたように両手を上げる。

 

「分かりました、三席ありがたく努めさせて頂きます」

 

こうして柊晴は三席へとなる。




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