ご了承ください!
そして今回の話は好き嫌い分かれると思いますが、良かったら楽しんでいってください!
雛森桃は緊張していた。ただ、幼馴染の異性を誘って、二人が合う休日に現世に行かないかと誘うだけなのだが、以前飲みに行った時に言っていた言葉が頭から離れずどうしても二人だけと意識すると顔が熱くなるのであった。それだけではなく、もっと遡れば初実習の時から、幼馴染や弟に近い感覚は別のものに変わっていたのかもしれない。
「もう……どうしてシュウくんの事を考えるとこうなっちゃうんだろう……」
自覚はあるが、考えないようにする。考えれば顔を見ただけで何も話せなくなる様な気がして仕方ないからである。
「でも、あんまり会えてない……シロちゃんに相談しようにも、シロちゃんも入隊して十番隊の所属になったからそんなに気軽に行けないし……」
相談相手が居ないのも拍車をかけていた。阿散井は現在十一番隊、吉良は四番隊に所属している。見事に同期が離れ離れ状態である。故にある種、孤軍奮闘の時が来たというわけである。
それでもいざ誘うとなると緊張すると言う未来が見えている。枕を抱えて顔を赤くして悶える桃。
「でも、こんなんじゃ……ダメだよね。シュウくんを誘うだけ!友達と遊びに行くだけ!」
そう言い聞かせて、明日の休憩時間時に十三番隊舎に行こうと決めた桃であった。
そして、次の日。桃は死覇装に着替えて死神の業務や鍛錬を滞り無くこなし、休憩時間を待つ。そして休憩時間になると十三番隊舎に向かう。そこで出て来た二人の男女に桃は質問する。
「す、すみません十三番隊の方ですか?」
「おう、俺は十三番隊副隊長の志波海燕だ、こっちが嫁の都だ」
「志波海燕の妻の都です。よろしくね」
「ふ、副隊長!?すみませんでした!私は五番隊の雛森桃と言います!よろしくお願いします!」
「おう!しっかりしてるな、よろしくな!」
海燕は笑顔で答え、都も微笑ましく桃を見て、話しやすいように質問をする。
「そういえば十三番隊に用があるのでは?ここには副隊長もいるし何でも言っていいわよ」
「茶化さないでくれよ。でも、話を聞かないと要件は分からないしな。とりあえず話してくれないか?」
海燕と都は桃の話を聞く。桃は二人が親身に聞いてくれるので落ち着き話すことが出来る。
「はい、シュウくん……柊晴くん今十三番隊舎にいますか?」
その質問に海燕は腕を組み、頷きながら答える。
「アイツなら中に居る筈だが……。何なら呼んで来ようか?」
「え!?えっと……その……」
モゴモゴと緊張している様子を見た二人は何かを察し動く。
「あ、都すまねぇ、忘れ物したから取ってくるから五番隊の子、少し相手してくれるか?」
「え?」
「ええ、良いわよ。早く取ってきてね」
「おう」
海燕は足速に隊舎に戻り、都はそれを笑顔で見送る。桃は着いていけないと言わんばかりに混乱する。都は目線を桃と合わせて
「雛森さんは柊晴君のお友達?」
「ええ、まぁそうですね。同じ所の出身でよく遊んでもいましたし、シロちゃん……最近十番隊に入った子とも一緒で三人で遊んだりしてました」
「幼馴染なのね」
「はい!シュウくんとシロちゃんは何時も言い合いをしてあたしがそれを止めて」
桃は都に真央霊術院に入るまでの柊晴の話をする。背丈が小さいから弟の様に見ていたということ、料理が上手だけど、時より食材ごとまな板や机を切ってしまっていたことや、冬獅郎と良く言い合いをしていたことを。そして、真央霊術院で一緒に入学しての一番最初の実習の話をする。霊圧が感じ取れない巨大虚の襲撃の際に自分の思いを汲んで一緒に助けに行ってくれ、その末に囲まれて死を覚悟したが、柊晴が始解して巨大虚を一掃したこと。
そして、入隊して初めて四人で食べに行った日のことを話すと、都が微笑ましいと言わんばかりに笑みを浮かべていると。
「おーい、都ー柊晴を連れてきたぞー!」
「確かに休憩中ですけど何ですか?用って……桃?」
「しゅ、シュウくん!?」
「あら、いいタイミングね」
あらあらと言う都。桃は柊晴に会いに来たが色々話した後に本人が来るとは思ってもみなかった……。いや、まさかこのタイミングで来るとは思ってもみなかった為、顔を赤くする。
「ああ、丁度鍛錬から戻って休憩に入るタイミングだったからな。忘れ物次いでにな」
あくまでも忘れ物の次いでと誤魔化す海燕に柊晴は突っ込む気は無く、桃が来たから自分を呼んだんだと考えていた。柊晴は顔を赤くしている桃を見つけ
「久しぶりだな、桃。元気にしてたか?」
「あ、うん!久しぶりだね、シュウくん」
「顔赤いけど大丈夫か?」
「え!?そ、そんな事無いよ!大丈夫!」
勢いが空回りしている桃の様子に首を傾げながらも、柊晴は頷き、納得する。
「それで、俺に用があるんだよな?態々十三番隊舎まで来て俺の所在確認をしたくらいだし」
「う、うん」
桃が何故か緊張しているのは柊晴も察している。その理由までは柊晴には分からない。だが、柊晴は急かす事もせずに桃が話すまで待つ。桃は意を決して尋ねる。
「シュウくん!三日後って予定空いてる?」
「三日後か……ああ、空いてる。その日は休みだし……。ですよね副隊長」
「ああ。と言うか、俺が休暇取らせた。たく、休めって言っても中々言うこと聞かねぇからなぁ。少し無理やりだったがな。まぁ、その甲斐あって今噛み合った見てぇだな」
海燕は胸を張って言うが都に横腹をつつかれ、縮こまる。柊晴と桃は苦笑いをしながら話に戻る。
「って事で、予定は空いてる。それがどうかしたのか?」
「え、えっと……一緒に現世に遊びに行こうって……誘いに」
しりすぼみに言葉が小さくなるが、柊晴は頷きながらに言う。
「現世かぁ。そう言えば現世に遊びに行ったこともなかったし気になってたから、渡りに船だな。よし、三日後だな!」
「え?良いの?」
桃は驚いたように言う。柊晴は首を傾げながらに
「そっちから誘ってきて何を言ってんだよ。行くんだろ?」
その言葉に胸が高鳴り、顔が熱くなるのを桃は感じながら何度も頷き
「うん!それじゃあ!三日後!穿界門前で!」
そう言うと足速に去っていた。柊晴は見送りながらも
「昼飯序でだから一緒にどうかと言おうと思ったんだけどな……。まぁ、アイツ顔赤いし体調悪かったのか?」
そう考えている柊晴を海燕と都は微笑ましく見て、
「俺達も休暇が取れたら現世でも行くか?」
「あら、素敵な提案ね楽しみにしてるわ」
そう言いながら二人は昼食を食べに向かう。
そして、何事も無く三日後。穿界門を潜り現世に降り立つ。
「封印……何で俺だけ」
「はは……仕方ないよ。シュウくんの霊圧が異様に高いから」
二人は義骸の街中を歩く。柊晴の霊圧が異様に高く、本来は隊長、副隊長に施される封印を柊晴にも行われている。だが、今回のお出かけには支障はあまり無いのも事実。
「現世に来ることがあんまり無いから、アレだったけど、こうして見ると尸魂界と全然違うよな。見る物が新鮮というか」
「そうだよね、歩いている人の服とか私達が今着てる服とか楽そうだもんね」
普段の私服の事を思い返しながら歩き出そうとした時、柊晴が言う。
「今日の服装似合ってるぞ桃」
「へ?」
思わぬ不意打ちにフリーズ仕掛ける桃。柊晴はそのまま歩く。桃は思わず走り寄り
「い、今のどういうこと!?」
問いただすが、柊晴は
「そのままの意味だよ」
それ以上語ることなく現世の街並みを見て回る。尸魂界では見たことの無い店や建物、乗り物等があり、ある種のアミューズメントパークに来たような錯覚を覚え、見て歩くだけでも楽しんでいた。そして、そんな時ソフトクリーム屋を見つける。
「桃!彼処のソフトクリームってなんか美味そうだな。一緒に食べようぜ」
「うん!」
屋台の前に並んでそれぞれ違う味を注文し店の人から受け取る。
「姉弟でお出かけかい?弟くんはお姉ちゃんの言うこと聞くんだよ」
「なっ!?」
「ぷっ……!ふっ!」
第三者から姉弟扱いされた挙句、弟扱いされる柊晴。思わず笑いそうになる桃は堪えるのに必死である。柊晴は顔を赤くしながらも、言い返すことなく黙って受け取り、ベンチに腰掛けて文句を言う。
「確かに!桃より身長は低いけども!弟扱いはねぇだろ!」
「もう、そんなことで怒らないの」
「そういう風に言うな!余計に弟に見られるじゃねぇか!」
桃が宥めるつもりがつい小さい子に言うみたいになり余計に柊晴の羞恥に油を注ぐ。
柊晴はため息を吐き、ソフトクリームをスプーンで食べる。柊晴はチョコレート、桃はバニラである。
「うん!甘くてうめぇ、しかもひんやりしてる!」
「こっちも美味しいよ!食べやすいし!これがソフトクリームかぁ」
幸せそうに食べる桃を見て、柊晴は自身のソフトクリームをスプーンで一口乗せて
「ほら、桃!こっちも食べてみろよ!」
「良いの?それじゃあ、いただきます」
柊晴のチョコレートのソフトクリームを食べる。桃は目を輝かせながら
「うん!そっちのも美味しいね!ほら、こっちも」
桃も同じようにバニラのソフトクリームを柊晴に食べさせる。
「うん!こっちも美味しいな!」
「でしょ?美味しいね」
二人が仲良く食べていると、通りすがりの主婦や女性等に
「姉弟で食べさせ合い微笑ましいわね」
「二人して可愛らしいね」
そう言われる柊晴は気にせず自身のアイスを食べていた。桃も笑顔で食べていたが、よくよく考える。今自分が何をしたのかを。
(待って……今、あたしシュウくんに食べさせて、そして食べさせて貰って……!!)
意識した瞬間茹でダコのように一気に顔が赤くなる。その反応を見ていた通りがけの主婦は
「ねぇ、あの子顔赤くなってるわね」
「間接キスに驚いたのかしら」
間接キス。その言葉が桃を更に刺激する。
(か、間接キス!?げ、現世にそんな文化がががが!?え!?つ、つまり……!)
考えれば考えるほどソフトクリームの食べる手が止まりそうになる。首を横に振り、ソフトクリームを食べて顔の火照りを拭おうとする。急いで食べ終えると同時に、柊晴も食べ終えていた。
「そんなに急がなくても良かったのに。まぁ、良いか。桃、紙くず一緒にとか捨ててくるから寄越せよ」
「え、あっ、うん」
言われるまま紙くずを渡すと、柊晴はゴミ箱を探しにその場から離れる。落ち着いた空気の中桃はベンチに座り周りを見渡していた。同じように男女でゆっくりしている人もいれば、男性が一人で休憩していたりと様々である。柊晴を待っていると
「なぁ、そこのかわい子ちゃん。俺達と遊ばねぇ?」
「え?」
如何にもガラ悪いと言わんばかりの男性何人かが桃に話しかけてきた。
「ごめんなさい、今日は友人と来ているから……」
桃はやんわりと断るが、男達は引くことはなく。
「あんな小さい子と遊ぶより楽しいよ?」
「弟くんだろ?弟くんの面倒を見るのは大変だろ?俺たちと遊んで苦労を忘れようぜ?」
しつこく誘ってくる。桃は初めての事で強く断れず、表情が暗くなる。どうしたらいいのか分からず連れていかれそうになっていると。
「お前ら何してんだよ」
柊晴が戻ってくる。
「シュウくん!」
嬉しくて、表情が明るくなる。柊晴はなんてない風に言う。
「遅くなったな。ゴミ箱が中々見つからなくてな、時間がかかった。気を取り直して見て回ろうぜ」
そして、男たちの間をすり抜け桃の手を引くが、男に柊晴の肩が掴まれる。
「ちょっと待てよ坊主。いま、俺達がこの子と話してたんだぜ?」
「そうだぜ、お子様は向こうで遊んでな」
ニヤニヤと笑いながらに言う男たち。柊晴はため息をつき、睨みつけながらに言う。
「手を離せよ。時間はそうねぇんだよ」
いくら凄んでも霊圧を封じている以上子どもが威嚇している程度にしか映らない。それを見て男たちは笑うが、柊晴は再度ため息を吐き、桃に言う。
「走る準備しておけよ」
「え?」
桃が言葉の意味を理解するより早く、柊晴の拳が男の腹に深々とめり込む。
「おごっ!?がっ……!」
男が腹を抱えて蹲る。
「このガキィ!!」
もう一人が怒り柊晴に殴り掛かるが足を引っ掛けられ転倒し、顎を蹴られて気絶する。残りの数人も白打で叩きのめし、桃の手を引っ張り走り出す。
「もう!やり過ぎだよ!」
「霊圧も何も込められてないんだ。少し痛い程度で済むだろ!それに」
柊晴が桃の手を引きながら振り返り言う。
「桃にあんな顔させたし、現世の観光の時間も削られるからな、手早くしたかったし、それに自分で決めたこともあるしな」
桃は思い出す。飲み会の後運ばれている時の
『危ない時には守ってやるからな』
言葉を思い出し、巨大虚の時の姿が重なる。そして、桃は自覚する。
(ああ、そうか。あたし……シュウくんの事が好きなんだ……)
自覚した思いは蓋をして見ないふりをする事は叶わない。だが、蓋をしていた時よりも前向きに自分の気持ちを見ることが出来る。
「ん?どうかしたか桃?」
「ううん。何にもないよ、シュウくん!」
今のこの時間が桃が死神になって何より愛おしいと思えた。そして、その後も見て周りそれぞれの隊への土産を買う。
「あー、楽しかったなぁ!桃!」
「うん、また来ようね!」
二人は楽しかったと互いに笑顔で言う。そして穿界門を繋ぎ、尸魂界に戻る前に柊晴が
「桃!これ!せっかく現世に来たから、似合うと思って」
紙袋を渡す。桃は嬉しくなり柊晴を抱きしめる。
「ありがとう!シュウくん!」
「良いって!それともう戻るんだから離せよ!何時までも弟扱いしたがって……」
柊晴は引き剥がしながらに言う。しかし、桃は首を横に振り嬉しそうに言う。
「ううん、そんな事ないよ」
「は?それ、どう言う……」
「ほら、行くよ!」
桃は柊晴の手を引き共に尸魂界に帰る。桃にとって今日という日が掛け替えのない日になるのであった。
雛森の可愛さが出せていたら幸いです!
ヒロインなのに最近出番なくてごめんなさい!
お気に入り、感想よろしくお願いいたします!
恋愛は難しいですねw
柊晴の身長は136cn 体重は30kg の想定です。