葦名の白兎、ミレニアムに忍ぶ。   作:ラストおはぎ症候群

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私「SEKIRO好きな人とかが読んでくれたら嬉しいなあ…あわよくば評価バーが柿色になったら嬉しいなあ」(就寝)

評価バー「蛇の生柿色です」
日刊ルーキー「1位です」

ミ゜「私」

危うく回生するところでした。
お気に入り登録、感想、評価付与、本当にありがとうございます。

 


第二話:早瀬ユウカの憂鬱

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 学校から寮の自室に帰ってきて、時刻はもう夜中前。持ち帰った事務作業もないから、あとはもう寝るだけ。

 けれど私は、どうにも寝る気分にはなれなくて。勉強机に腰掛けたまま、考え込んでいた。

 

「……………」

 

 そっとスマホを立ち上げてフォトアプリを開く。写っているのは、現セミナーの役員メンバーで撮った写真。私と、ノアと、リオ会長と、そして……無邪気に笑っている、コユキ。

 

 黒崎コユキと言えば。

 その特異な能力を見込まれてセミナーにスカウトされたはいいものの、すぐさまクビにされるくらいの問題児。

 自由気ままに行動してはトラブルばかり引き起こす、ミレニアム屈指の混沌と騒乱の元にして、走り回る変数の塊。以前オデュッセイアのクルーズ船のカジノでセミナーの金をひたすら溶かし、危うくミレニアムを破産させかけたなんてことも記憶に新しい。

 そんな風に、いつも目をキラキラと輝かせてとんでもないことをしでかす、セミナーの悩みの種であり……底抜けに明るくて、とても賑やかな、そんな女の子だった。

 

「コユキ……」

 

 写真に目を落とせば、そこには私たちのよく知るコユキがいる。

 

 けれど。今のコユキからは、明るい笑顔も、騒がしい声も、聞こえなくなってしまった。

 

 今日のことだってそう。自分で言うのもなんだけど、かなり素っ頓狂な叫び声を上げた私たちに対して、コユキは揶揄うことも煽ることもなく、ただ無言でこちらを見上げるだけだった。私の知っているコユキなら、『何変な声出してるんですか』、なんて風におちょくったりして来てもいいはずなのに。

 

(…………あなたに、何があったの?)

 

 今のあの子の姿を思い起こす。

 

 光のない目。物憂げな表情。時折つまらなそうで、寂しそうで、悲しそうな様子を見せる姿。

 

 まるで、どこか遠い場所に、大切なものを置き忘れてきたような。

 

 危う気で儚げで、見ていて胸が痛くなるような、そんな雰囲気を今のコユキは纏っている。

 

 あの日から、ずっと。

 

 

 

 

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

 

 

 

 コユキが前触れなくいなくなるのは、いつものことではあった。事件を起こしては反省部屋に入れられ、その度に脱走してはまた入れられて、そんなことをよく繰り返す子だったから。

 異常に気づいたのは、コユキがいなくなった日から2日後。どれだけ調査しても、居場所を突き止めるどころか、なんの痕跡も足跡も見つけられないことに気付いてからだった。

 

 ミレニアムは比較的新興の学園。当然設備やセキュリティは最新のものばかりだし、記録用のカメラなんてそこら中にある。

 ミレニアムの外にしても、この情報社会では人が動けば何かしらの痕跡が残る。

 

 なのに、何もない。影も形も見つからない。ある日を境に、黒崎コユキという人物の軌跡が完全にロストしている。

 

『お願いです……!あの子を、コユキを……探してください……!!』

 

 言い知れぬ不安に駆られた私たちは、大勢の人に協力を呼びかけた。C&C。ヴェリタス。ミレニアムの様々な部活の生徒たち、更には全校生徒にも目撃情報を募り、果てには連邦生徒会……『シャーレ』の先生の力も借りて、他校にまで。

 

 それでも、コユキは見つからなかった。どこを通ったなんて、そんな些細な手掛かりすら。

 

 コユキ自身が何かしらの方法を手に入れて、自分の意思で消えたとは考えられなかった。ミレニアムから出るまでならまだしも、それ以降なんの音沙汰もないのは、あの子の性格上ありえなかったから。

 

 コユキの身に何かがあった。それも重大な何かが。もっと言うなら────何者かに、拉致された。そう結論付けられるのに時間はかからなかった。

 事は見る間に大きくなり始めた。キヴォトスの全ての学校で生徒の安否確認が行われた。いずれの学校にも、コユキのような不可解に消息不明となった生徒はいない。ようやく分かったのは、それだけだった。

 

 誰かが言った。まるで、神隠しに遭ったみたいだ、と。

 

 それ以降、何の情報も得られないまま。1週間、2週間、3週間と過ぎて行って。

 

『ユウカちゃん……!コユキちゃんが、コユキちゃんが……!!』

 

 一ヶ月と少し経った頃になって。前触れなく消えたコユキは、前触れなく現れた。

 

 見つけたのはノアだった。

 コユキが通ったことのある道、通りそうな傾向のある路地を、何度も何度も見て回っている最中、突然吹いた風に思わず目を瞑った後、近くに倒れているのを発見したらしい。まるで、()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 コユキの状態もまた不可解だった。

 くすんだオレンジ色の見慣れない服──強いて言うなら、百鬼夜行連合学院で見られるような和服に近い──を身に纏い、おまけに銃の代わりに刀を携えている、そんな奇妙な装備で。

 

 

 そして何より。

 

 

 その服や体の至る所が、血で赤く染まっていて。

 

 

 その身体は、夥しい数の傷が刻まれていた。

 

 

 

『一瞬、最悪の事態が頭をよぎりました』

 

 ノアにしては本当に珍しく、弱々しい声でそう語っていたのを今でも覚えている。見た瞬間、死んでいるんじゃないかと思った。そう感じさせるほど酷い状態で。全身の血の気がさあっと引いて、危うく自分も気を失いそうになった、と。

 

 幸い息はあり、運び込まれた病院で治療を受けた。かなりの大怪我ではあるが、命に別状はないと言われ、駆けつけた私はノアと二人で崩れ落ちそうになる程安堵した。

 

 ただ、と。担当した医師は続けた。

 真新しい傷以外に、身体全体に古い傷跡がいくつも残っていること。

 自分で傷つけてできるようなものではなく、むしろ何者かに襲われなければできないような怪我であること。

 あそこまで重症を負わされたことから、コユキの精神面に大きな懸念があること。

 

 聞いているうちに、色んな感情に襲われた。あの子の身に何が起きたのか。もし誰かの仕業だとするなら、あの子にあんなことをしたのは誰なのか。なぜ、そんなことをしたのか。思考を巡らす内に、疑念と怒りはどんどん膨れ上がって。

 

(コユキ……!)

 

 そして、あんな目に遭わされたあの子のことを考えた途端、悲しくて、辛くて、仕方がなくなって。気付けば私は涙を溢れさせていて。隣にいるノアも、同じように顔を覆っていて。病院の待合室で、私たちはずっと泣いていたように思う。

 

 

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

 

「うっ……ぁ…………」

「あ……コユキっ!!」

「ゆうか……………せん、ぱい…………?」

 

 重体だったにも関わらず、コユキはその後すぐに目覚めた。怪我の治りが想像よりも早いと、担当医も驚いていた。

 ナースコールで駆けつけた医師や看護師が検査や問診を終えたあと。数日かけて行われた体調のチェックも不思議なほど問題なく。メンタルケアに最大限注意を払いつつ、混乱している様子のコユキに少しずつ状況を説明することになった。患者を安心させるため、という理由で、一番親しい関係と言えた私も立ち会う形で。

 

「ここって……キヴォトス、なんですよね」

 

 開口一番、コユキが聞いてきたのはそんなことだった。

 ……違和感のある質問。まるで、今までキヴォトスにはいなかったかのような言い方。

 

「…………この4週間近く、キヴォトスの外に居たの?」

「────────え?」

 

 思わず呟いた私に、今度はコユキが不思議そうな声を上げた。いや、もっと言えば唖然としていた。言っていることが理解できない、という風に。

 

「それ、だけ……?そんなはず、ない……!だって私、あそこで、ずっと、()()()……!」

「コユキ……?」

「………………ゆめ、だったの……?ぜんぶ……?」

 

 震える声で呟くコユキ。かろうじて聞こえた言葉に引っかかるものがあったけれど、それを問う前にコユキが顔を上げた。

 

「……私が、倒れてるのを見つけた時のこと。詳しく、教えてください」

 

 そう言ったコユキに、状態が状態だったことから担当医は難色を示していたけれど、教えて欲しいとせがむコユキに根負けする形で、私に目を向けて来た。自分が責任を持つから、可能な範囲で答えてあげて欲しい、と。

 

 正直なところ、私もかなり怖かった。コユキがもし何か良くない記憶を、もっと言えばトラウマのような心の傷を抱えているとしたら。私が話したことでそれを抉ってしまったら、と。

 けど、なにか切実な想いで訴えかけてくるコユキを見ているうちに、断ることもできなくなって。

 

 結局、私は。慎重に、コユキの反応を見つつ言葉を選びながら話していくことにした。コユキが突然消えたこと、それ以来ずっと探していたこと、ある日突然現れたのをノアが見つけたこと。見つけた時の状況も。

 

 怪我についても恐る恐るながら触れたけれど、コユキは特に反応はしなかった。というよりも、傷を負っていたことについてはもとより受け入れているように見えた。

 

 少しだけホッとしたのも束の間、私が倒れていたコユキの状態────和服に似た妙な衣装を着て刀を携えていたことに触れた途端、コユキの目の色が変わった。

 

「それ、どこにありますか」

「え?」

「私が持ってたっていうもの。今、それ、どこにあるんですか」

「え、えっと、周りにあったものは何とかミレニアムで回収して、コユキが身につけてたものは病院から返してもらって、今は特異現象捜査部に────」

 

 

「返して下さい」

 

 

 その一言を聞いた瞬間。まるで心臓を握られるような、そんな錯覚を覚えた。

 

 

「それ。返してください」

 

 

 聞いたことのないような冷たい声。睨んでいるわけでもない筈なのに、底冷えするような視線。得体の知れない威圧感。上手く呼吸もできなくなりそうな感覚。

 

「ぇ……ぁっ……ゔっ!?」

 

 まともに声が出せなくなったような、押し殺した声しか絞り出せなくなった私に、痺れを切らしたコユキが、がばりと起き上がって掴みかかってきた。

 

「返してくださいっ!あれは、私のっ!みんなのっ!……返して……返せっ!!!」

「や、やめっ、やめてっ、コユキっ!」

 

 どこからこんな力が、と思うほど強く胸ぐらを掴みながら叫んだコユキ。周りから看護師や医師が止めに入ろうとするけど、姿()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、まるでびくともしなかった。

 

「ぁ────」

 

 そのあまりの剣幕に身が竦んでしまった私だったけれど。無理に動いたせいで点滴の針がよくない刺さり方をしたのか、腕から血が垂れているコユキを見て、心配が怖さをギリギリのところで上回って。

 

「落ちっ、着い、てっ……!」

 

 夢中になって、コユキを思いっ切り抱きしめた。

 

「はっ、はあっ、はあっ、はっ……………ぁ……………」

「大丈夫、大丈夫だから……」

 

 ぎゅう、と強く抱きしめ続けていると、コユキがふっと身体の力を抜いた。

 そっと、ゆっくりとコユキの身体を押して、ベッドの上に腰掛けさせる。すぐにコユキを宥めるように背中を撫でつつ腕の処置をする看護師を横目に、口を開く。

 

「…………ヒマリ先輩たちに渡した分は残らず回収、コユキが退院するまで、全部私が責任を持って管理する。絶対粗末には扱わないし、勝手に弄ったりもしないし、させない…………それで、いい?」

「……………はい。……………ごめんなさい」

「うん。大丈夫よ」

 

 申し訳なさそうに謝るコユキにできるだけ優しく声をかける。急に暴れたことや腕の小さい怪我のこともあって、今日の面会はここまでとなった。

 

「あの、ユウカ先輩」

 

 担当医とお互いに頭を下げあっていると、看護師に囲まれながらコユキが声をかけてきた。

 

「お願いが、あって……」

「お願い?」

「はい」

 

 そこでコユキは、一度言葉を切って、続ける。

 

「ひとつでいいんです。さっき言ってた物の中から……もし、病院に持って入ってもいいものがあったら……持ってきて欲しいんです」

 

 

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

 

 その次の日。

 前の晩から昼にかけて、なんとかコユキが言っていた物品を約束通り纏めて保管した後。その中から見繕い、医師と相談して持って行っても大丈夫そうなものをひとつ抱えて、私はもう一度面会に来た。

 

「あ……ユウカ先輩……」

「コユキ。いま、大丈夫?」

「はい。それより、先輩……」

「安心して。ちゃんと持ってきたから」

 

 そう言って、私は鞄の中からそっと包みを取り出した。壊れたりしないように綿の緩衝材と布でくるんだそれを、コユキは恐る恐る解いていって。

 

「────────ぁ」

 

 中に入っていたものを見て。コユキは息を詰まらせた。

 

 

 私が持ってきたのは、小さな黒い塊。

 

 多分だけど、手のひらサイズより一回り大きいくらいの、人の像……の、ようなもの。

 

 顔らしき部分は変な表情になっていた。引き攣った笑顔のような、苦しそうに見えるというか。でも、底抜けに明るい笑顔のようにも見える。どことなく、コユキの表情を思わせるような、そんな顔。

 

 恐らくだけど、木か何かに彫られて作られた像──それが、()()()()()()()()()()()()()できたもの。

 

 

「…………………?」

 

 隣にいる担当医が怪訝そうな顔をした。私自身、これが一体何なのか、どうしてこれを選んで持ってきたのか、自分でもわからなかった。ただ、これは病院から返してもらった物で──手術前に、大事そうに懐にしまってあった物と聞いた。だから──

 

 

「やっぱり」

 

 

 黒い像を手に取ったまま黙り込んでいたコユキが、ぽつりとそんな言葉をこぼした。

 

 

「全部、夢なんかじゃ、なかったんだ」

 

 

 その声は、震えていた。黒い像をぐっと握り締めて。

 

 

「なんでっ……」

 

 

 気付けば。コユキは、泣いていた。

 

 

「────なんで、今更っ!!」

 

 

 昨日よりもずっと大きな声で。ずっとずっと、悲痛な声で。

 

 

「ずっと、ずっと、諦めてたのに!!もう戻れないんだって、ずっとここで生きてくんだって!そう思ってたのに!!なんで、なんで、今になってっ!!」

 

 

 その言葉が何を意味するのか、私たちにはまるでわからなかった。コユキも、私たちに聞かせているわけじゃなかったんだろう。

 ただ、耳を塞ぎたくなるくらい、聞いているこっちの胸にも刺すような痛みがあるような、そんな声で。

 

 

「なんでっ……わかんないよ……おおかみさん……」

 

 

 ここにはいない、誰かに。泣きじゃくりながら、何度も何度も問いかけていた。

 

 

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

 

 あの日から、もうしばらく日が経った。

 

 コユキの傷は順調に治り、退院の日はかなり早く訪れて。ひとまずコユキは、ミレニアムに戻って来た。

 でも。豹変と言っていいほど変わってしまった性格を含めて、コユキの身に何があったのか。その詳しい所は、何ひとつとしてわからないままだった。

 

「…………このままで、いいのかな」

 

 意を決して、本人に尋ねたことだってある。けれどコユキは、『自分でも何があったかよくわからない』、としか言わなくなってしまった。

 それは、嘘ではないのだと思う。あれは、『コユキ自身にも何が原因で姿を消していたのかはわかっていない』、そういう言い方だったから。そして────これ以上、話す気はないという意思表示でもあって。

 そこから先に、私たちは踏み込むことができなくなっていた。

 

 コユキが失踪した日からずっと、コユキが戻って来てからは頻度を増して、二人きりで相談に乗ってくれているノアは言っていた。焦りは禁物だと。コユキは自分から私たちに関わってくれてもいるんだから、と。

 

 セミナーの仕事がしたい。そう言ってきたのはコユキからだった。驚きつつ理由を聞いた私たちに、コユキはやっぱり多くは語らず、それでも『何かしていたかったから』と、『何もしないよりは』、とだけ言った。

 

 それ以来、本当に真面目に手伝ってくれて。今はもう、正式にセミナーとしての席に復帰する形で参加している。

 

「…………でも、やっぱり………」

 

 ノアの言っていることも、わかる。私たちから距離を置くでもなく、むしろ前よりも私たちといる時間を増やそうとしている節さえある。

 それでも、私の中の不安は尽きない。だって、あの子は。

 

「……………………」

 

 今日のコユキを思い返す。

 持っていた鞄からはみ出ていたもの。あの戻ってきた日に持っていた、刀。

 コユキはあれを、肌身離さず持ち歩いている。

 

 また別の日の記憶を掘り起こす。

 コユキの近くに鎮座していたという、あの6本腕の不可解な石像。

 自室に戻って良いと言っても、こっちが良いと自分から使っている反省部屋の中まで運び込んで。

 コユキはずっと、あれに向かって手を合わせている。何度も何度も、繰り返し。

 

 そしてまた、別の日の記憶を掘り起こす。

 病室で渡した黒い像。コユキはあれを、ずっと大事そうに抱えている。

 ある時は。胸の中に抱きながら、静かにまた泣いていたことだってあった。

 

 そのことが、どうしても。私の心をざわつかせるのだ。

 

 

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

 

 とはいえ、コユキのことばかり考えてもいられない。

 セミナーの業務はうかうかしているとひっきりなしに溜まっていくし、ミレニアムはトラブルばかり起こる。

 

 …………特に、こっちの事情なんて知ったこっちゃないと事件ばかり起こすゲーム開発部とか!

 

「モ〜モ〜イ〜!!!!」

 

 生徒会室に誰もいないのを良いことに、確実に主犯格であろう生徒の名前を叫びつつ頭をガシガシとかく。最近は大人しかったと思えばすぐにこれだ。

 

「全くもう……なんなのよあのブースター付きのローラースケート……はあ………」

 

 十中八九エンジニア製の発明品だろう装備まで用意して逃走を図った四人組を思い出しながらため息をつく。

 追いかけるのも手間だし、先に仕事を終わらせてから部室で待ち伏せするかな、などと考えていると、不意に廊下から声が聞こえた。

 

「────ユウカ先輩、ちょっといいですか。ドア開けて欲しくて」

「コユキ?ええ、ちょっと待ってて」

 

 どうしたんだろう、何か大きな荷物でも抱えているのかな。そう思ってドアを開ける。すると……

 

「あ、どうも」

 

 廊下にいたのは、やっぱりコユキ。そして。

 

「むきゅぅ〜……」

「………」

「……びりびり…びりびりが……」

「じょ、じょうたいいじょう……まひ……」

 

 何やら身体のところどころをぷすぷすと煙を上げながら焦げさせているゲーム開発部の四人だった。

 

「捕まえてきましたよ、ゲーム開発部」

「…………………いや何が何して何があったの」

 

 なんでもなさそうな顔で言い放つコユキに、ひたすら困惑しながら私はそう言った。

 

 





「なにやら焼け焦げてるらしい黒い像とはなんぞや」についてはまた後ほど。
次回はVSゲーム開発部。概ね武装した四猿みたいなもの。
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