金田少年の生徒会日誌 作:珍明
新学期の登校初日、
彼の自宅へ急いだが、誰も対応してくれない。ご近所の人へ聞いて回れば、先週、警察が訪問した後に遠野夫人が発狂して倒れ、救急車を呼ぶ騒動になったと教えてくれた。
それ以上の事情を知る者は、いなかった。
翌日、
何事かと思えば、亡くなった
まさか、
金田祖父母や姉・さとみは遠慮し、冬部弁護士と居間に2人。事細かな説明を受けた後、便箋の封が切られた。
堅苦しい文面を要約すれば、
「こちらが金田君の相続分です」
丁寧に梱包されたスケッチブックはページが手作りの紐で綴られており、「色が着けられなかった下描き」とメモが挟まれていた。
開く。
次を開く。
次、次、次。全部、
最後のページに目を見張る。
愛した伯父・
目の前がボヤけた。
目眩かと思えば、涙だった。絵の中の自分が遠くに感じた。
もう紙を濡らさぬよう、卓袱台へ置く。それしか、出来なかった。
「……小林さんの……葬儀は?」
「小林さんは司法解剖の後、大学病院の検体に出されます。検体後、大学病院側より埋葬されるでしょう」
冬部弁護士の淡々とした口調は聞き取りやすく、正確な情報を脳髄に行き渡らせる。彼は普段、非行に走った未成年者を担当する。感傷的な相手の対応にも、慣れ切っていた。
そこに憐みや情けが混じっていれば、
それさえ見抜き、小林画伯は冬部弁護士へ依頼した。只の友人の息子でしかない自分をそこまで大切にしてくれたのに、何も返せない。
――相手は誰だ?
知らねばならない。
故意か無差別か、小林画伯を殺した動機。衝動的か、計画的か、事件の真相。
悲恋湖に沈んだ犯人の遺体は未だ、発見されていない。
――湖を枯らしてでも、見付け出す!
脳髄に浮かんだ言葉が吹雪のように叫び続けた。
更に翌日。
週刊誌記者・
開発計画が進んだ悲恋湖リゾート、その会員権を巡ったモニターツアー。コンダクターを含め、選別された9人。3年前の沈没事故、オリエンタル号の生存者。
知り、分かり、理解し――判断材料は揃った。
――遠野先輩が小林画伯を……。
動悸は不明。
だが、ツアーを企画した観月旅行会社の親会社は遠野家の経営する大企業。
オリエンタル号の乗客名簿を入手でき、養父に企画を提案し、選抜にも細工し、監視と言う名目でツアー参加者に紛れ込める。遠野先輩
事件の遭ったツアーとは言え、未成年者だけでなく、他の参加者も公表されない理由。
遠野家の跡取り息子が犯行の後に死亡、大企業の醜聞を世間に晒さない為だ。
これらは集めた情報により、憶測しただけの言い掛かり。
当事者達と捜査した警察関係者しか、知らない。誰とも答え合わせなんて――出来ない。
「……ごめん、金田君……俺、役に立った?」
「――はい、ありがとうございます――」
無論、宇治木も知らない。口から溢れた感謝は本心なのに、自分でも嘘っぽく聞こえた。
もっと、相応しい言葉を返したかったが、何も浮かばなかった。
週明けの月曜日、
つまり、学校をサボった。無断欠席である。
行先は北海道、函館の異人館ホテル。
当選したミステリーナイトが今週の金曜日開催される為、参加しに行くのだ。
飛行機なら、時間短縮。けれども、空港は意外にも足取りを辿り易い。家族に気付かれる恐れがあった。
今の自分を誰かに、見られたくない。
封筒に入った参加券を見やり、小林画伯と最後に話した内容を思い返す。彼は抽選に落ちても、一緒に行くと約束してくれた。
〝
そもそも、
あちこちからのギシギシッと人の動きが寝台を通して伝わり、ボソボソと話し声も聞こえてくる。他の乗客も起床したなら、一も動き出そう。
学ランに袖を通し、学帽を被る。安堵感に包まれ、涙が落ち着く。
――これは追悼の旅、心なんて踊らない。
走行中の車窓を眺めながら、湯気の立つコーヒーの香りが鼻をくすぐる。なのに、味はしない。他の乗客が賑わう朝食は別世界の出来事、現実もなく、ブラウン管の向こうを見ている気分だ。
「キミ、ここ座っていい?」
(……座ってから、聞いた……)
長髪を背中に流し、前髪を揃えた眼鏡の女性。
「キミ、東京の人よね。死骨ヶ原湿原ホテルに行くの?」
「……」
「あそこのホテル、4月の事件から客足が絶えないそうよ。『幻想魔術団』、最後の舞台。創立者だった左近寺ってマジシャンも、ソロマジックショーの事故で亡くなって……犯人は指名手配の逃亡中。話題が尽きないったら、ありゃしないわ」
(……この人、まさか……高遠さんの変装?)
『銀流星』は終点こそ、死骨ヶ原駅だ。しかし、途中の旭川駅にも停車し、大方の乗客はそこで下車していく。
それに死骨ヶ原湿原ホテルは先述の通り、GW中に世間の関心を集めた事件現場。いきなり、初対面の相手に振る話題ではない。怪しさ全開。
だが、
「……どこかで、お会いしましたか?」
「ううん、初対面よ。キミだけ、他の人と違ってノスタルジックだからさ。タイムスリップとか、コールドスリープで過去から来た学生だったら、面白いと思ってね」
「それは面白いどころか、世紀の大発見になります。……残念ですが、ここに居るのは何の面白味もない只の学生です」
「いやいやっ。こんな平日に列車で優雅な朝食タイムやっちゃってる時点で、十分に面白いわよ。学生さん♪」
どうやら、学生服が目立つらしい。
既に廃校になった学校の制服、不動高校生とバレない偽装の意味もあった。身元を探られては厄介故、差し障りない話題へ変えよう。
「行先は函館駅です」
「ふう~ん……もうちょっとで着くわね。折角なら、私と一緒に死骨ヶ原まで来ない? キミの制服姿、とっても映えるわ。素材になってくれるなら、バイト代として運賃と宿泊料金も出してあげるっ」
最初の質問に答えてみれば、
「貴女は小説家か、編集の方でしょうか?」
「当たり! 私は小説家の右竜 あかねよ。言い当てられたのは初めてだわっ」
眼鏡の縁を押しながら、
「……貴女のお名前、書店で拝見しました。先月に新刊を出されていますね」
「ウフフ……名前も知られているなんて、嬉しい」
親しき現役推理小説家と年齢も近そうに見受け、
何の企みもない。彼女はただの通りすがりだ。
「湿原ホテルのバイト代、食事は付きますか?」
「! ええ、勿論よ。キミを見ていたら、創作意欲が湧いちゃってね。ちょっとロマンチックな話が書けそうなの。……あ、キミの名前も教えてよ。登場人物の名前にしたくないから」
予定日までは函館市内を適当にウロつこうと思っていた為、バイトを引き受ける。
ご満悦の右竜先生はウットリしたかと思えば、名を問われる。名前自体に興味なく、これから書き綴る登場人物と被らせない為だそうだ。正直すぎる態度が殊更、可笑しい。
(名前……)
一瞬、口ごもる。右竜先生は
もう少しの間だけ、彼女には自分を知られたくなかった。
「
「OK、狭山クン。3日間、ヨロシク♪」
顔も知らぬ他人の名、妙にしっくりくる。
右竜先生は疑わず、この自己紹介を物語の始まりが如く、心躍らせていた。ウェイトレスに運ばれた朝食を美味しそうに召し上がる姿を見て、
3日間だけの仮の自分。丁度、良かった。
函館駅停車中に切符を買い足してもらい、終点の死骨ヶ原駅へ到着。
区切られた線路はトレイン・シェッドに護られ、長い旅路を労わるような優しさを感じた。
「狭山クン……荷物、それだけ?」
「はい、身軽なのです」
ステーションホテルと名高い死骨ヶ原湿原ホテルは目の前にあり、古風な洋館そのものが乗客を出迎えていた。
「5階建て? こんな辺鄙なトコロ、そんなに部屋数揃えて……お客さん来るワケ?」
(高遠さんの……一世一代の大魔術を起こした舞台……)
それ以上に、
到着してから思うのも何だが、何の覚悟もないままに来てしまった。湿原地の為だろうか、薄い霧がとても幻想的だ。
先を歩く御一行が赤い煉瓦を見上げ、感嘆の息を吐く。
「素敵な場所……思い切った甲斐があったわね」
「おいおい、演奏するのは別館だぜ」
「これは劇場も期待できるって」
右竜先生のキャリーバッグを持ちながら、彼らよりも先に自動ドアをくぐり抜ける。緑の絨毯と赤い壁紙、白い柱、バランスの良い配色。格調高い広々とした内装が目に飛び込み、見入った。
ホテルを出発する客人達と入れ違いになり、ジロジロと見られた。
ある女性は瞬きせず、足まで止める。異様な視線が全身に突き刺さり、
(タイムトラベラーとでも、思われたんかな?)
「予約した右竜です。もう1部屋お願いできる? 彼の分よ」
「畏まりました。お客様、こちらへお名前とご住所を……」
「ようこそ、いらっしゃいました。城様、当ホテルの支配人・長崎と申します」
「お世話になります。本番前にリハーサルをしたいので……」
「皆は先に荷物の確認を……」
死骨ヶ原湿原ホテル支配人・
「あの集団は何?」
「社会人クラシック楽団の方々です。今夜、劇場でコンサートが催されます。お客様も是非、ご鑑賞ください」
部屋のキーを受け取り、右竜先生も集団に興味を持つ。フロントスタッフの説明はあまり、聞きたくない内容だった。
「もしかして、東京で活躍されている……サンフィッシュ室内楽団ですか?」
「はい、その通りです」
フロントスタッフの回答を聞き、チクッと胸が痛んだ。
〝8月にコンサートの予定があるわ……金田君、良かったら……〟
かつての同級生に誘われたかけた声が蘇り、
「へえ、私はその辺にはあんまり興味なくてね。狭山クンはコンサート、聴きに行く?」
「いいえ……ですが、右竜先生にお勧めします。素人であるには、惜しい演奏力をお持ちだそうですよ」
チェックインを済ませ、
インテリアに翡翠の原石が置かれても、興味は湧かない。
ベッドへバッグを放り投げ、背中を預ける体勢で床へ座り込んだ。
激情が心臓を発端に血液の如く、巡る。学ランごと自らを抱き締め、深呼吸してみる。神経を襲うざわめきが深々と治まった。
誰もいない。
他人の声も聞こえない。
本当の独り。
小林画伯との約束以外にも、
湿地帯に囲まれ、外界から隔離された陸の孤島。こんな辺鄙な土地へホテルが建築された意味、深く理解出来たように思えた。
心が落ち着けば、体感も正常となってジワッとした蒸し暑さが肌につく。
いくら避暑地と銘打った北海道でも、土地によっては霧が発生する程の湿気が纏う。折角の学ラン、脱ぐしかない。
チェックのカーテンを開けば、白樺の大木。これなら、外からも見えにくい。本当、都合の良い部屋を割り振られた。
右竜先生の部屋を訪ねた後、ホテルの散策に付き合わされた。
ホテルバーは勿論、劇場の下見にも向かう。湖の中島に建てられた円柱型、跳ね橋以外に渡る術なし。
「あれが例の事件が遭った……ある意味でも、舞台ね」
(……近宮 玲子の……)
天才マジシャンが最期を迎えた現場と知ってはいるが、自分でも意外な程に何とも思わない。
彼女が亡くなった時刻は深夜、まだ夕方故に実感が湧かないのだろう。
そこにホテルスタッフが現れ、跳ね橋を下ろす。ガガガッと音を立て、向こう岸へ繋がる様子は見ていて楽しい。
「こんにちは、同じ列車に乗り合わせた方……ですよね? こんな所で、どうしたんですか?」
「ああ、サンフィッシュ室内楽団の……私達は散策です。そちらはリハーサル?」
楽器ケースを運ぶ一行がゾロゾロと続き、城が気さくに声を掛けて来る。右竜先生が対応した。
「あら、ご存知? 今日の公演は宣伝してないのに」
「ひょっとして、東京の人?」
「ご想像にお任せします」
ハープの
「普段は日曜日に、コンサートをやってるのね」
「はい、今回は全員で有給休暇を取ったんです」
「でも、わざわざ曰く付きの劇場を選ばなくても……まさか、事件を知らない?」
「いえ、ちゃんとニュースを見ましたよ。……他人事に思えなくて、どうしても……ここで演奏したいなってね」
右竜先生もズケズケと質問しているが、苦笑交じりの城は律儀だ。息を抜いた微笑み方から、彼も今の心情を誰かに聞いてもらいたかった。そんな気がする。
「今夜7時ですので、お2人も聴きに来て下さい」
「ええ、是非。ね? 狭山クン」
「……はい」
吉野の誘いに右竜先生が勝手に答え、
結局、サンフィッシュ室内楽団のコンサートを観賞する羽目になった。
前の座席付近は既に埋まり、
劇場の暗がりに身を沈めれば、遠野先輩の笑顔が脳裏に浮かんだ。あの晩を思い出させ、視界と脳髄が乖離した。
自分ではない他人の体にいる。そう思えば、心が楽だ。
「見ていて飽きないわね、狭山クン」
「……そうですか?」
隣にいる右竜先生がクスリッと笑い、現実に引き戻される。否、離れた体と心が繋がったのだ。彼女に会えて良かったと心から、思う。
――曲目、ショパンの『ノクターン』
時刻も夜の帳が下りた頃、静かな雰囲気に相応しい曲が体の芯を揺さぶった。
照明が上がり、拍手が巻き起こる。
もっと聴いていたい演奏が終わり、
「コレよ、コレ♪ やっぱり、タイムトラベラー物で行こう。ああ、奥ノ木クンを連れて来れば良かったわあ。狭山クン、私……徹夜するっ。朝まで声をかけないでっ」
「……おやすみなさい」
夕食を終えた後、右竜先生は興奮冷めやらぬ内に執筆の為、引きこもる。今夜はお役御免らしい。
自由行動になったが、
足は自然と劇場へ向け、歩く。
湖の水面が風に揺られ、涼しい風が頬を打つ。跳ね橋も上がってしまい、どこにも人影はない。他の行楽地がない為、劇場をライトアップする照明が無ければ、建物の周辺は闇に閉ざされるだろう。
(近宮 玲子は……真夜中に天井裏へ行った……)
どう考えても、罠なのに対策を練らなかった。
(貴女が死んで……息子さん、人を殺しましたよ)
己を死へ追い込んだ弟子への報復は考えていた。
(どうして……生きようとしてくれなかった?)
八つ当たりの感情が脳髄を支配し、吹雪が荒れ狂った。
「お客様……狭山様!!」
「!? ……はい?」
その低い声に呼ばれ、勢いよく振り返った。
糸目の長崎支配人が血相を変え、
「危のうございます故……お部屋にお戻りください」
「……危ない……? ……!?」
注意を受け、自分を見下ろす。足元の石が僅かに崩れ、湖の闇がこちらを覗き込む。傍から見れば、確実に落ちる手前だ。完全に誤解させた。
「いえ、その……自分、ここで死にませんよ。決して……」
「……狭山様、アナタは……っ」
慌てて取り繕おうとしたが、長崎支配人の顔色は更に悪くなる。暗がりでも分かる程、青褪めていた。
事件の事柄にしては、違う。
長崎支配人はチェックインの際、サンフィッシュ楽団を出迎えていた。にも関わらず、飛び込みの宿泊客の名を迷わずに叫んだ。
彼は「狭山 恭次」を知っている。
「長崎さん……自分が何でしょうか?」
「……いえ、私の勘違いにございます」
流石、ベテランの支配人。追究をかわすのが上手い。だが、
「長崎さん、教えてください。貴方の知る「狭山 恭次」を……自分、知りたいです」
「……畏まりました。どうぞ……中へ、外はお体を冷やします」
真実が知りたい。その真摯な態度で頼めば、長崎支配人は決意したように口元を引き締める。湖に背を向ける彼の足取りは、過去へ戻る支度をしていた。
支配人室へ招かれ、ソファーを勧められる。遠慮なく座ったが、別の緊張に体が強張った。自分の部屋、何だったらロビーでも良かった。
「あれは5年前の11月の出来事でした」
前置きしながら、長崎支配人は紅茶を淹れてくれる。目礼にて感謝を伝え、
5年前の冬、あの事故が遭った半年後。
「狭山 恭次」の名を使い、1人の女性客が宿泊に現れた。
「女性……ですか?」
「はい、明らかに偽名とは思いましたが……よくある事ですので、素性の詮索は致しませんでした」
消灯時間以外、跳ね橋も渡らず、劇場を遠巻きに眺めて過ごす。吹雪が酷かろうとも、簡単な防寒具だけで立ち続けた。それは今にも湖へ飛び込みそうな勢いに見え、長崎支配人は急いで声をかけたと言う。
〝アタシはここで死なない。決して!!〟
吹雪の中でも、彼女は泣いていた。
悔やみに満ちた涙を放って置けず、長崎支配人は急いで暖炉の前へ座らせた。
そこで事情を聞けば、兄に赦しを請いに行ったが、何もかも遅かった。誰の責任でもないから、誰も憎めず、恨めない。そんな胸中を語ったそうだ。
「兄に赦し……?」
「生まれた時から、お互いに嫌い合っていた。けれども、尊敬はしていた。誰よりも努力家で……それが報われたから、天才ともてはやされた。そう、悲しそうに……笑っておいででした」
奇妙な感覚に襲われ、
次いで、長崎支配人は感慨深げに目を閉じた。瞼の裏に彼女の表情が見えるのだろう。憐れむ口調から、語られた思い出話にゾッとする。
「他に、何か言っていましたか……?」
「一通り泣いた後……近宮 玲子さんは本当に亡くなったのかと聞かれました。ソックリさんとか、実は別人かとか……後にも先にも、そんな質問してきたのは……その方だけです。ですが、狭山様のお名前を拝見するまで……すっかり、忘れておりました」
非礼を詫びるように、頭を下げられた。
白髪交じりの頭部を見るとはなしに見つめ、
(……アイツだ……)
母・
(……伯父さんが、
離婚後、東京の金田家を追い払われてから、横浜市を住まいへ選んだ理由。
この身は氷室伯父が立ち直り、会いに来てくれるのを待っていた。いつか、待ち切れずに自分から会いに行っただろう。
天才画伯に瓜二つの顔、隠し子と誤解されるのは明白。そうなれば、母子共々、口封じに殺される。
だから、偽者から隠す意味もあった。
通報しなかった理由は
オリエンタル号の事故直後、小林画伯の入院に爆笑していた。あれは死別の恐怖に対する裏返し、だったのかもしれない。
竜王丸船長の航海日誌を読み、裁判の不正を知った。嘘吐き達の隠蔽工作が許せなかったのではない。兄の死を知っていたからこそ、小林画伯の身に何らかの危険が及ぶと感じていた。
所詮は憶測、答え合わせする相手はいない。
(……母さん、……小林さん……死んじゃったよ……)
にいみの捜索願を記してから、初めて言葉が浮かぶ。彼女に伝える為でもなければ、返事も要らぬ。
家族の誰にも真相が言えず、たった独りで泣いていた。
その涙への手向けに過ぎない。どうか、届くように――祈った。
俵田「俵田だ、閲覧ありがとう。俺もこれから、函館へ行かんとな。道警とはこの前、合同で捜査したが……まさか、同じ刑事と組まされんだろ。さて、次回は『異人館ホテルへの寄り道・後編』!! 函館の夜は冷えるから、さっさとタクシーに乗りな」
金田 一
オリ主、不動高校生徒会執行部役員
冬部 蒼介
吸血桜殺人事件ゲストキャラ
右竜 あかね
聖恋島殺人事件ゲストキャラ
長崎 功史朗
魔術列車殺人事件ゲストキャラ