金田少年の生徒会日誌 作:珍明
原作には登場しないけど、不動高校学園祭殺人事件にはちょいと出るし、投入
ポアロが成犬に近付き、仔犬だった頃の可愛らしさが薄れつつある……事ではない。
「
「従妹のフミだよ。フミ、前に話した冬美な。今夜は泊ってくから」
「社さん、今日はお疲れさま~♪ ウチの学園祭、どうだった?」
「ええ……七瀬さん、楽しかったわ。来年から同級生ね、同じクラスが良いなあ……」
「冬美ちゃん、都ちゃんのお母さんから聞いたけど。雪影高校……去年、野球部が夏の甲子園まで行けたんでしょ。今年出場しなかったのって、なんで?」
「モグモグ……ふぇ? お母さん、マジかよ……冬美、そう言うの……先に言っといてくれ」
「はじめ宛ての年賀状に、ちゃんと書いてあったぞ」
折角の夕食の席、
「はじめオニ~イチャ~ン、学園祭……どうしてフミに声かけてくんなかったの~?」
「あ? おめえ、不動小でやる地区文化祭に行くっつったじゃん」
フミの怒り狂った笑顔の意味を察し、はじめは鬱陶しそうに言い訳。
そのタイミングで、夕方のニュースは地域のお知らせコーナー。TV画面に不動高校学園祭の様子が、映し出された。
そう、画面いっぱいのワンちゃん達。ポアロも同族へ気付き、仲間へ入りたそうにテレビへ近寄った。
「これ! 絶対、面白いヤツじゃん。なんで、教えてくんなかったの! スミレに聞くまで知らなかったっつ~の!」
悔しい。よりにもよって、この愛の美少女探偵をライバル視するクラスメイトから教えられた。屈辱である。
「フミちゃん、怒った顔も
「そうなのよ、もう……誰に似たんだか……」
(お前だよ、お前)
冬美と伯母伯父の会話から、猫被り……いやいや、お客様の前で失礼ない態度を見せてしまった。
フミのキャラクターが疑われる。ここは、素直に反省だ。
「俺、ちゃんと……犬のふれあい広場の話、せんかったっけ?」
「言ってない! ねえ、連れてって、連れてって~」
「勝手に友達、連れて来いよ」
「フミ、まだ9歳だもん。お小遣い足りな~い、美味しい物、食べたいなあ(奢れ、コラァ)」
はじめが首を傾げても、フミは許さん。
「しょうがないわね、フミちゃん。明日は朝の7時には、家を出るわよ? 帰りは、ウチのお父さんに頼んでみるわ。生徒は学園祭の打ち上げあるから、遅くなるの」
「打ち上げには、付いてくんなよ」
美雪は基本、フミの味方。はじめの面倒そうな顔に、胸のすくう思いだ。
翌朝、フミは元気溌剌と起床。
まだ6時台だと言うのに、伯母達は先にお出掛け。冬美の見送りとあって、寝坊助なはじめも起きていた。
「それじゃあ、戸締り忘れないでよ」
「うい~す、お母さん。冬美、征丸の事……頼んだぜ」
「うんっ。今回の礼だと思えば、安いモノよ」
はじめの真剣な眼差し、冬美はしっかりと受け止めている。彼はまた人の世話を焼いたのだと、察しが付いた。
「本当、母さんの遺伝子強いなあ」
伯父の呟きは称賛と呆れが混じり、フミはクスリッと笑った。
さて、やって来ました不動高校学園祭。
お目当ては勿論、犬のふれあい広場。フミはパンフレットを受け取った瞬間、駆け出した。
「待て待て、先ずはこっち……小宮山さん! フミ、この人は前にポアロと暮らしてた人だ」
「あ……」
「
「この子、はじめちゃんの従妹なんです。ポアロを一番、可愛がってくれてるの」
「ポアロの家族?」
「……はい、フミ様。いずれ……ポアロは、お迎えに行こうと思います」
「え? 小宮山さん、それじゃあ……」
「……っ」
フミの質問にも、小宮山はわざわざ膝を折り、視線の高さを合わせた。淑女の扱いを心得ていると感じた時、はじめと七瀬はハッとする。
「近々……正式に、ご挨拶を……」
「そうか、小宮山さん……ありがとう」
小宮山の目尻の下がった笑顔に、はじめは心から嬉しそうだ。滅多に見せない本心、彼によって良い吉兆なのだと感じた。
急なポアロとの別れを突き付けられたが、フミも同じ立場。クソ親父……気まぐれな父親・
そんなジーンッと来る場面は、ハイお終い。
20頭の犬、犬、犬。しかも犬種がバラバラ。どの子も吠えずに、ピシッと整列。夢のような光景に、感極まった。
「リアル101匹ワンちゃんだあ~♪」
「桁、チゲえよ……」
フミは大興奮によしよしと撫で回し、はじめはやれやれと言いながらも見守った。
ふれあいの順番を待つ人の中には、はじめへちょっかいをかけてくる赤ん坊もいた。犬と同じ扱いにクスクスと笑いが起こっても、彼は平然としていた。
その優しさに、赤ん坊は二パッと笑う。和みが一気に広がった。
「……相変わらず、キミの周りでは笑いが絶えないな」
「立花さん!」
「はじめちゃんっ、青山さんよ。来てくれたんですね」
列の間から、
「美雪ちゃん、あの人……誰だっけ?」
「警備員の立花さんよ、秋絵ちゃん」
「秋絵が言ってたじゃない。ほら、旧校舎がどうのって……」
「青山さん、その後は……」
「ああ、もう区切りは付いた。桜樹さんにも言ったんだが、
はじめのちょっと遠慮がちな笑顔にも、青山はとても穏やかだ。絶対、事件関係者だと察する。フミは空気を読み、犬と戯れた。
「フミちゃん、あたし当番に行くね。楽しんでいって♪ はじめちゃんも、あるんだから……時間見てね?」
「俺、宣伝係でこの辺にいちゃダメか?」
美雪がニッコリとオカタイ笑みで校舎の時計を指差し、はじめはフミを口実にサボろうとしている。彼らしいと言えば、そうだが、高校生のする事ではない。
うだつが上がらないところは、従妹として恥ずかしい。
「ほら、はじめ。当番、行くんっしょ。付いてってやるから、急ぎな」
「うへえ~、来なくていいって……」
「
「そうなんじゃない? ソックリだもん」
フミとはじめの攻防を、
『大ミステリー博覧会』は正直、普通。
他人の活躍した記事や未解決事件を読み、書かれていない真相が頭に浮かぶ。いっそ、自分が解決して警察から報酬を貰う手もあるだろう。
「よせよ、フミ」
「まだ、な~んにも言ってねえだろ」
お互いが真面目に推理すれば、いくらか金になる。でも、はじめは本来は生真面目な気質。スケベな一面はそれを隠すカモフラージュ、フミは知っている。
「
「「いえ、遠慮します」」
「
「キンダニを可愛くした感じね」
「「「ほお、ちっこい
「……フミです。はじめお兄ちゃんが、お世話になってます」
はじめのクラスの催し物・お化け屋敷へ行けば、クラスメイトに可愛がられる。お菓子も貰えて、役得だ。
「……
「朝基、思ってても……口に出すな。噛みつかれんぞ」
前髪の長い眼鏡・
廊下を歩けば、不動高校の美人率が高い。
「
「六野先輩、これ……アイタッ、従妹のフミっス」
「お姉ちゃん、モデルみたい~。はじめお兄ちゃんも、隅に置けないんだから♪」
「フフフ……ありがとう。私は写真部のメイド喫茶にいるから、いつでもおいで♪
「よし、フミ。次は、なんとなくあっちだ。六野先輩、後でメイド喫茶行きますんでっ」
「ん?」
教えられた教室には行かず、フラワーアレンジメントの催しへ突入。そこは女子ばかり、お年寄りから子供まで居る。
「宗像先輩、花……めっちゃ似合いますね」
「ウフフフ、そう?
はじめは
「
「ああ、美雪の……友達か。ウチの学校にこんな可愛い子いたかなあって……」
「はじめまして、フミで~す♪」
「あら、悲しいくらい……花の似合わない人がいるわ」
「げえ、スミレっ」
「う、わわ……。フミ、引っ張るなって」
終わった瞬間に現れたクラスメイト、はじめを連れて速攻で逃げた。
開桜学院囲碁部により講座、指導教室。
意外と多いのは、
「
「いや~将棋なら、よくジイチャンと……」
「あたしも~将棋なら……」
「海峰、見た目で判断してやるなよ。可哀想だろ。いいぜ、2人がかりで来いや」
やはり、将棋と違って囲碁は手加減が難しい。勉強になった。
「
「何に驚いて、落すんだよ……ったく。フミ、草太だ」
「こんにちは、草太オニイチャン。焼きそば、おいしそう~♪」
「おおっ、
「ほ、本物だあ……」
「実在したんだなあ~、
(はじめ……、どんな噂流してんだ?)
(イタッ、俺のせいじゃねえよ……)
コーヒーカップやメイド喫茶、高校生のお祭りを堪能しながら、思う事はひとつ。
「美雪お姉ちゃん、ず~っとなんかの当番してない? それなのに、はじめは~?」
「うっせ~な、美雪がお人好しなんだよ。ちょいちょいサボっても、バレやしねえわい」
「それを支えるのが、はじめの役目じゃねえのかよ。ったく……三行半叩きつけられても、知らねえぞ」
「三行半って……時代劇かっ」
出たサボり癖。
美雪のような才色兼備の優等生。幼馴染を言い訳したままでは、いつ切れてもおかしくない縁だ。
フミには、彼女のような
本性込みの親友は得られても、相棒にはならないだろう。フミの方が、持たない。
はじめの贅沢ぶりに呆れ、周囲を見渡す。
そこへ知っている生徒が通りかかる。意外にも女連れ、しかも手を取り合っていた。
――完全に恋人同士です。本当にありがとうございます。
「はじめ……先、越されてんな」
「なに……あ! フミ、いいか……あいつらの邪魔すんなよ。絶対だぞ、振りじゃないからな!」
奴をからかってやろう。
フミが悪巧みの笑顔を見せれば、はじめは慌てふためいた。
「邪魔するんやったら、帰って~♪」
「げえ、
「こんにちは、
「はじめまして、フミです」
「なんや、
「あなた……何を言っているんですか、分身に決まってるじゃない。よく出来ているわ、
「婆ちゃん、ボケてます?」
「婆さんの天然は、天下一品なんやで。今日は浮かれとるさかい、ワシも付いて行かれへん」
(……この感じ、ああ……分かった。あの野郎の……)
はじめがツッコミを控えるなど、
「
「婆ちゃん、そんな……いつも悪いっスよ」
(……この言い方、こいつ……相当、お世話になってんな)
元々、我らの祖父の影響もあり、お年寄りには弱い。可愛がってくれるなら、尚更だ。
「遠慮せんでええって、
「ありがとう♪ おじいちゃん」
「婆さん、どっかで
「そうね、そろそろお暇しましょう」
「!」
はじめと
「おじいちゃん、エセ関西人だね?」
「……っ」
ほんの意趣返しのつもりだったが、思いの外、効いたらしい。
「誰も気付いていない……そう、思ったかね?
声に含みなんてない。寧ろ、明るくて気さくな口調。
だが、フミは臓物を鷲掴みされた感覚を味わう。怒らせた。叱られた。そんなありきたりな単語、絶対に合わない。
彼と目を合わさなくて、良かった。心から、安心した。
「あなた、何してるんです?」
「お別れの挨拶やて~♪ ほな、さいなら。
「さようなら、おじいちゃん」
臓物の震えを自覚しながら、フミは負けまいと笑い返す。彼は興味を無くしたように、振り返らなかった。
「フミ、
「!? な、何のコトだよ。はじめ~」
流石、はじめは鋭い。でも、ここで認めたら負けだ。
「あのジイチャンが……急に、つまんなそうな顔してたからよ。フミが面白くねえコトでも、言ったのかと思ってさ」
「……言って、ねえしっ」
はじめはやれやれと頭を掻きながら、所感を述べる。フミはこの上なく、納得してしまった。
フミが時折、同級生と話が合わない時に感じる。強烈な虚しさ、つまりは退屈。
(……呆れやがったな、あのジジイ!! なんて、大人げない!!)
理由が分かれば、腸が煮えくり返る。
この屈辱、如何にして晴らそうか。もう決まっているが、とりあえず心で叫んだ。
「はじめ、奢れ! 美味しいヤツ!」
「イタッ、フミ……暴力はよくない!」
「2人とも、お待たせ~」
はじめへ体当たりと八つ当たりを交互に行い、美雪へ時間いっぱい甘えてやった。
村上「……モグモグ!? また俺か……え、閲覧ありがとうござい……ゴホゴホ。この後、フミちゃんは七瀬さんのお父さんのお迎えがあって、帰りました。さて、次回は『露西亜人形殺人事件・五重奏との対面』!! 代休を北海道で過ごす?
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