金田少年の生徒会日誌 作:珍明
オペラ座館の事件後に容赦なく、期末テストする不動高校よ
リアル7月17日に投稿したかったけど全然、間に合いませんでした
誤字報告により、修正しました。ありがとうございます
17日、不動高校は期末テスト明けの休み。
教室で教科担当の先生と1対1、真正面から監視されて拷問。答案用紙を埋めた瞬間に終了、追い立てられるように下校した。
「……左近寺が亡くなったのですか?」
「はいっ。今日、その人のソロマジックショーだったんです。竜二が観に行っていて、公演中に……っ」
ピエロ
本日のピエロ左近寺・ソロマジックショー、初公開の『無重力岩・天外燃失』を披露中にアクシデントを訴えたが、救出は間に合わずに死亡。次いで
居合わせた警視庁捜査一課の
それらを聞き、
「……他にケガ人は?」
「報道には上がっていませんね。竜二に聞きましょうか?」
「おいおい、店員さん。こっちは食事中なんだ。人が燃えた話なんて、止してくれっ。なあ、一堂さん?」
「俺は平気っ、事故の話には慣れてるからっ」
深刻に言葉を交わす中、眼鏡を掛けた男性客に睨まれる。先月からの常連客、今日は新規の方と同席もお願いしている。早速、仲良くなったのか、
「――失礼いたしました。気を付けます――」
「……わからりゃあ、良いんだ。可愛い格好して話す内容が物騒……? 聞き流したけど……アンタ、事故の話に慣れていると言うのは?」
「そういう目に遭った人達の話♪ 飯時だし、具体的には言わないでおくよっ」
「警察の方ですか?」
「そんな大げさなモンじゃないっ。俺……」
「お喋りばっかりしてないでっ、運んで!」
一堂へ興味本位で問えば、店長の怒声。
仕方なく、昼ピークを乗り越えた頃に彼は退店してしまう。初対面な気がせず、掴みどころのない和やかな人だと感じた。
「バイトちゃ~ん、俺を慰めて……。ああ、佐木君……さっき、弟君に会ったよ」
「片倉さんっ、アナタも観に行ったんですよね。竜二から連絡、受けてます」
「あら、そうなの? 大変だったわね。片倉さん、コーヒー奢るわっ」
「片倉さんは左近寺さんに興味ないと思っていました」
「さとみちゃんがね、招待券を貰ってたの。俺はただの代わりっ、来なくて正解。本当……人間キャンプファイヤーは勘弁だぜ」
一瞬、片倉は憂いを帯びた笑み。さとみの無事を暗示され、
「店長、今気付いたけど……髪切ったんだね。似合うよ。バイトちゃんも短い髪にしたら、どう?」
「「本当ですね。今、気付きました」」
「コイツら……片倉さんに免じて、許してあげるわ」
「片倉さん、話を変えますが……明智さんとお会いになられましたか?」
「ああっ、会ったぜ。今日って意味じゃなくて、先週な。電話では言い忘れたけど、キミの見舞いへ行った時だ。それで……ずっと聞きたかったんだが……バイトちゃん……もしかして、
瞬間、竜太さえも貝になった。
病室の表札は基本、保険証の姓を使う。姉弟で別姓と知られるのは当然。
片倉を含めた見舞い客には退院後、お礼の電話で大忙し。彼とは此処でも会える為、二言三言で済ませていた。
そのツケが今、来た。
「……流森会長には黙っていて、もらえますか?」
「あ~……ならっ、事情は聞かないでおく(会長と一緒だったって……黙っとくか)」
流石、空気を読むに長けたマジシャン。片倉はすぐに納得してくれた。これで
晩方、流森会長から直々に連絡を受けた。
TV画面にはチャネラー
さとみは未成年で死骨ヶ原湿原ホテル事件の報道に名はなく、既に流森奇術会へ移った身。『近宮マジック団』そのものとは関わりなく、一先ずは安泰に過ごせる。金田祖父母と共に流森会長へ電話越しの感謝を伝えた。
そして、真相を知らねばならないと決意した。
「呪い」ではなく、仕掛けがあるならば、さとみの身も危うい。剣持警部が妥当だが、守秘義務の関係で難しいだろう。
そんな気持ちで迎えた翌日の不動高校。
「失礼過ぎんだろ、金田っ。放課後……時間くれ。昨日の事だっ」
「左近寺キャン……いえ、事故の件ですね。分かりました」
不謹慎な事を言いかけた為、
演劇部も終えた放課後、
店内には剣持警部、明智警視、そして竜二とテーブルを陣取る。
どうやら、直接に伝えてくれる様子。守秘義務などの疑問は多々あるが、野暮な質問はしない。それに彼らが揃うのならば、理由はひとつ。
「剣持さん、明智さん、こんにちはっ。佐木君、昨日は大変でしたね」
「はいっ。片倉さんから本当は……さとみさんが来るはずだったって……、あんな物を見なくて良かったです」
「金田君。どうぞ、こちらへ」
「看守が目を離したホンの5分程の間だったそうです」
明智警視は挨拶を抜きに早速、本題。
高遠は看守に日付を尋ね、まんまと独房から姿を消した。無人と化した部屋を見つめ、呆然とする看守の姿が目に浮かぶ。
「自分が「マジシャン」である事に心底、拘る……高遠らしいやり方だ。……マジックを犯罪に使うなんて、マジシャンの風上にも置けねえぜっ」
「
「そりゃあ、金田君のご家族はマジシャン関係の方ばっかりよ。はじめちゃんだって、気を遣うわ」
空になった
そして、肝心の左近寺焼死はやはりだが、「殺害」。
〝熱い!! 早く、助けてくれぇ!!〟
発火剤のリンが使われた「岩」は本番に点灯されたスポットライトの熱で発火温度を超え、実演中に点火。当たり前の欠陥要素、リハーサル云々よりも素材で分かるはずだ。
「……? 何故、左近寺さんはよりにもよって、リンで「岩」を作ったのですか? 自分でも危険だと分かります。小学校で理科の授業を受けていなかったのでしょうか?」
「金田センパイ、身も蓋もない……」
「いえ、佐木君。金田君の言う通りです。左近寺は疑うべきだった。このマジックが本当に安全なのか、自分の頭でね」
「そうよ! 金田はトリックノートの話を知らないっ」
「「あっ」」
純粋に疑問だったが、竜二に呆れられる。明智警視は意味深に手帳を2つ、テーブルへ並べる。そこで亡くなった近宮 玲子が遺したトリックノートの説明を受け、
「盗んだマジックだったのですか……
「そうです。近宮さんは殺される以前から、このノートが弟子達に狙われると感じ取っていたのでしょう。わざと欠陥トリックを書き込み、いつか、奪った相手に制裁を受けるように仕向けた。高遠は奪われたノートを見て、それに気付いたんでしょう。だからこそ、彼は逮捕されたんです」
――復讐の〝取り〟を己の母親に譲る為に
悍ましい程に美しい親子愛、ぞわっと背筋が粟立つ。
下らない理由で近宮は死に、残間家は一家離散。彼女が遺した殺意は下手をすれば、左近寺達以外の劇団員も巻き込まれていただろう。
(……似た者同士かよ。高遠さんと近宮 玲子は……本当、クダラねえ)
追い詰められた心理状態を考慮せず、
「高遠は天性の犯罪者です。このまま野放しにすれば、いずれ……また『地獄の傀儡師』として何かをしでかすでしょう。それを防ぐ為にも先ず、残間さんには宮城県警が張り込みをします。彼は高遠と一番、多く面会をしていました。逃亡先の有力な候補です。金田君のご家族にもしばらく、捜査一課を張り込ませて頂きます」
「……その必要はありません」
「金田?」
明智警視の決定を即座に拒み、
「高遠さんは2度と自分の家族を巻き込みません。自分は信じますっ」
「……金田、お前……まさか、高遠に同情して……」
「
驚愕以上の発言を聞き、
本心を告げないと納得されない様子。
「高遠さんに同情の余地はありません。ですが……あの人は近宮 玲子の名にかけて、誓ったのです。自分はそれを信じますっ」
「……キミが信じようとも、張り込みは付けさせて頂きますっ」
高遠の敵にはならない。かと言って、味方もしない。その曖昧な考えを警戒してか、明智警視の視線は更に鋭くなった。
「いや、金田の言う通り。そいつは無駄だっ。高遠程の切れ者が! 真っ先に警察が目を付ける金田達に近付くはずがない。心配しなくても……俺が捕まえてやるさ! ジッチャンの名にかけて!!」
(……やっぱし、高遠さん……なんか、違う)
「はじめちゃん……」
やはり、高遠の誓い方は違和感を覚えるけれども、言葉に出来ない。ただ、彼には自分へ害を成す意思はない。その確信だけはあった。
だが、
そんな心の余裕はなかったと言い訳しよう。
結局、無駄な張り込みは残間の周辺だけに留めるらしい。宮城県警に敬礼。
ファミレスのコーヒー代は剣持警部が払い、領収書を受け取る。警察の経費で落ちると学んだ。
「
「何言っとるんだ……
「は、はい……」
「……っ」
感謝を口にすれば、剣持警部はため息を吐く。竜二だけが返事をし、礼儀正しいはずの七瀬は黙り込んだ。
明智警視も何か言いかけたが、その整った唇を閉じる。
――これで
この場にいない高遠の声が耳元で囁かれる。
否、脳髄の奥に浮かんだ言葉へ勝手に彼の声を当てただけだ。
復讐を完遂しても尚、『地獄の傀儡師』は存在し続ける。天国を諦めた彼の地獄巡りは始まったばかり。そんな生き方を憧れず、共に歩もうとも思わない。
――水沼モコウヤッテ、死ネバ、良カッタノニ
ただ、高遠は同じ気持ちを抱えず、歩いていける。
それが少しだけ、羨ましい。
だから、せめて祈ろう。彼の旅路の果てに、ひと欠けらの安息がありますように。
○●……――俺は超一流の大学で教授候補のエリートだ。
学長直々に縁談話を持ち込まれ、不要な人間関係を清算するのは同然の摂理。
「5千万よっ。ビタ一文、負からないんだから!」
高っ。
そんな法外な額の手切れ金、払えるワケないだろう。だが、約束されたエリートコースの為に仕方ない。下手に出て、分割払いを要求した。
一先ず、50万は用意。
金の受け渡しを知り合いに見られたくない為、元カノが経営する『大草原の小さな家』を訪れた。
始めて来たが、年齢に見合わない少女趣味な内装に辟易。
「次もこの金額よっ」
「!?」
元カノは勝ち誇った顔で札束の枚数を改め、俺は殺意が湧いた。次は払わない。絶対に殺すと胸の奥で決意した瞬間、カランカランッと来客の鐘が鳴った。
丸い眼鏡を掛けた男だ。キッチリとしたスーツは会社員より、俺と同じ「先生」の立場にあると感じた。
糸目がスッと元カノの手にある札束を捉え、男の表情が強張る。途端、俺はゾッとする。彼の地雷を踏んだと分かった。
「い、いらっしゃいませ♪ 和島さん、今日は早いんですね。すぐにコーヒーをお出ししますっ」
「店長、それは何回目だい?」
慌てた元カノが気色悪い声を出し、金をレジ台へ突っ込む。和島と呼ばれた男の声はよく通り、緊張感が増した。
「キミ、何回目?」
「……初めてだ」
不正を見抜かれ、叱られた気分になる。俺と歳は変わらないだろうが、
「そうか……だったら、店長っ。それで手を打ちなさい」
「「!?」」
救いの神、降臨。
俺は感謝して拝み、元カノがわなわなと慄く。久方振りの引き攣った表情を見て、胸が空くわれた。
「キミ達の事情は知らない。けどね、店長。それ以上は取り返しが付かなくなるっ。お互いにねっ」
「……和島さん、だって……この人……私を捨てて、他の女と……ずっと、尽くして来たのに」
教鞭を取る教師のような貫禄、元カノはポロポロと泣き出す。思い返せば、交際中も彼女は涙ひとつ見せず、高慢ちきな態度。最初は自立心の高い女性だと感心し、段々と嫌気が差していた。
面倒な展開になり、俺は頭を掻く。
「大丈夫、店長は魅力的だ。俺が何度もコーヒーを飲みに来るくらいにっ。ずっと飲んでいたいんだ」
「和島さん……」
一世一代の告白シーンっぽい。甘酸っぱさに吐きそうになり、俺が帰ってからやって欲しい。よし、帰ろうと忍び足で戸へ近付いた。
「キミもっ、程々にしときなよ。皆まで言わなくても、分かるね?」
「……はいっ、以後……気を付けます」
「ちょっと待ったっ」
和島は俺を呼び止め、諫める。教授並みに怖くて、素直に従う。そこへ元カノはギロッと睨んで、詰め寄った。
「1カ月! ここのコーヒーを飲みに来なさい! それでチャラ! 分かった!」
「ええ……1カ月もお前の顔……はいっ、寛大なるご処置をありがとうございます! また明日!」
血走った眼から目を背け、俺は悪態吐く。和島の引き締まった口元が開く前にビビりながら、承知。店を飛び出した。
――それが先月の事。
無理やり、時間を作っては店に通う。字面だけ見れば、いかがわしい店と誤解されそうだ。だが、実際は健全な飲食店。後ろめたい事など、何もない。5千万円を払うよりは安い。
ひと月も通えば、店の状況把握で出来る。
普通に繁盛している。
昼も夜も満席、外での行列は当たり前。客に相席を頼むのも屡々。
「虹枝っちじゃん、偶然♪ ここ、ウチのクラスでも流行ってんの」
「べ、別に直美が来ると思って来たワケじゃないわ」
不動山学院高校2年生・
(ウソだろう? こんな悪趣味な店に……)
俺は当初、客の神経を本気で疑った。だが、繁盛の理由はすぐに知れた。
「――いらっしゃいませ――」
「バイトちゃ~ん、コーヒーお代わり♪」
呼ばれたバイトはピンクのフリフリエプロン、茶色髪にウェーブを靡かせた。
カ・ワ・イ・イ。
バイトちゃんは前髪で顔が見えずとも、足の運びや指先ひとつ、男をドキッとさせる仕草を心得ている。客層も観察して見れば、俺と同じかそれ以上の年齢の男性陣ばかりだ。
下心満々の目でバイトちゃんを見るな、汚れる。
「素敵なお店ね、佐木君っ」
「桜樹先輩、来てくれたんですかっ」
魅惑的な少女までおり、目の保養。すっかり忘れていたが、バイトは他にも眼鏡の小僧・佐木がいる。よく聞けば、15歳の為に食事無料で扱き使われるお手伝いだそうだ。
可哀そう。
しかも、バイトちゃんは出勤日が分からずに会えない日もある。3週間近く、お目に掛けない時は俺が泣きそうになった。元カノ店長が嫉妬に狂って始末し、山に埋められていないか、本気で心配した。
「お兄さんもバイトちゃん目当て? オレも~、あの子って~見ていて飽きなんだよなあ」
「赤沢さん、話の途中よ。何度言われても、コラムは書きませんっ」
ケタケタッと笑うのは編集者・
来店の度、次は誰を見かけるのか楽しみになった。
和島とも時折、同席する機会は何度もあった。話せば、塾の講師だと言う。俺の教え子が何人も通った塾であり、全てに納得した。
足繫く通い、本日は約束の最終日。
バイトちゃんが復活、素直に嬉しい。しかし、妙に痩せている。夏バテか、無理なダイエットかもしれないと俺は不安になった。
「――お客様、相席よろしいでしょうか? ――」
「ああ、構わねえぜ」
「ありがと、俺は一堂。よろしくっ」
勝手に一堂 百太と名乗った優男が相席になり、ツイていない。でも、バイトちゃんと喋れた。隠さずにガッツポーズ。
「アンタ、この店に慣れた感じ? 俺、初めてでっ。一度は来たかったんだ♪」
「ああ、そう……」
一堂はワクワクしながら、メニューを見やる。俺は適当にホットケーキセットを勧めておいた。
そんな中、食事気分を害するニュース。マジシャンの焼死事件が店内を騒然とさせた。
バイトちゃんはゴシップ好きなのか、佐木とコソコソ話す。可愛い顔して、似合わない。ちょっとキツく叱って、心が痛む。一堂の反応がより、不気味だったのは言うまでもない。
初めて、元カノ店長を頼もしく思えた。
「コーヒー、美味かったよ。それに……短髪も良いな。衛生的だっ」
「!? クスッ……また、どうぞ」
会計の時に最後だと思い、胸の内を明かす。久方振りに元カノ店長の純粋な笑顔を見た気がした。
「――ありがとうございます――」
「またな……」
バイトちゃんは惜しいが、元カノとの縁切りが大事。果さない約束をして、俺は店を出た。
駅まで道のりが遠い。
俺は路上に出て、タクシーへ乗り込む。後ろの座席へ座った瞬間、一堂が飛び込んで来る。血相を変え、勝手にタクシーのドアを無理やり閉めた。
「出して、お願い! お金は出すから! 早く!」
「は!? あんた、一堂さん……何を……!」
「百太!! 待って~!」
ぜえぜえと息を切らせ、一堂は請う。俺が後ろを振り返れば、若い女が必死の形相で追いかけて来る。メッチャ、怖い。運転手も事態を把握し、行先も聞かずに発進させた。
「……あ~え~と……もしかして、あれは……元カノ?」
「……っ」
詮索する気はないが、無言状態はキツイ。俺が問えば、一堂は俯いたままに頷く。そこで彼女は
「……はあ、前の職場で一緒だった……んで?」
「俺が……悪いんだ。大事な仕事を放り出して……姿を晦ましてさ。……悪いと分かっても……彼女には会えない。会うと……思い出す……」
ポツリ、ポツリと一堂は懺悔する。俺は彼の虚ろな目付きが何を意味するのか、知っていた。
大学の教え子でも時折、見かける。経済的、精神的に行き詰り、逃げ場のない人間。これが教え子ならば、自業自得と斬り捨てる。他人故に同情心が湧くのだ。
「ヒデエ、職場だ。反吐が出るっ。忘れちまいな、元カノも何もかもっ」
「……俺がブッチしたのに?」
まさか、俺も大好きだった連ドラ『黒霊ホテル』の番組製作会社とは後にも先にも、思い至らなかったのは許して欲しい。
「あったりめ~だろ! 人はな、幸せになる権利があるんだよ。それに昔の女が邪魔だってんなら、捨てりゃあイイ! こうやって逃げ出したくなる程、無理なんだろ? 開き直れ! そんで、前の職場の誰よりも幸せになりなっ。それがアンタなりの復讐ってもんだよ」
「……!? ありがとう……名前は?」
「名乗らねえでおくよ。巻き込まれたくねえしっ……俺もアンタの名前、忘れるわ」
「……ハハッ、分かった。通りすがりの人っ」
俺は無責任に言いたい事を言っただけだが、一堂はようやく顔を上げる。店で会った時と同じ、掴みどころのない妙な優男の顔になっていた。
タクシーの運転手は冷やせを掻いたが、俺達の様子にホッとしていた。
最寄り駅だと追い付かれる心配があり、二駅遠くの場所でタクシーを降りる。代金は一堂が現金で払い、領収書も貰った。
「まさかとは思うが、都内勤務?」
「いや、東北だよ。ちょっとしたデザイン事務所に勤めてんだ」
「そこまで聞いてねえし、デザイナーにゃあ見えねえな。広報担当か、マーケティング部か?」
「おっ、当たり。広報担当だ。今夜の新幹線で向こうに戻らないとっ」
遠くの勤務先を知り、俺は安心。一堂とは再会を約束せず、別れた。
なのに、秋頃。
俺は再び、一堂と絵上、そして、彼の父親との騒動に巻き込まれる。代わりに春上映予定の劇場版『黒霊ホテル』試写会チケットを貰えるが、今の俺には知る由もない。
クリーニング石原「閲覧ありがとうございます。皆さんも季節物の服、毛布押しなどありましたら、当店をご利用ください。え? バイトちゃんの名前知ってるかって? ……お得意先の個人情報なんでね、答えられないな。さて、次回は『怪盗紳士は殺人を食い止めない』!! おっきなわ、おっきなわ♪」
『大草原の小さな家』の店長
ルーズな性格で大雑把。自分が食べないからと不衛生なカレンダーを下敷きにして、クッキーを作る。何故、飲食業を選んだのだろう? アニメにおいて手切れ金5千万円を要求(高っ)。
作中にて、店は繁盛し為に衛生面もバッチリ。和島の説得に応じ、50万円の手切れ金で手を打った
超一流の大学で教授候補のエリート
店長の元カレ。学長の娘と結婚する為、店長が邪魔になる。法外な手切れ金の支払いに耐え兼ねた
初対面の金田一に「少年エンコー」の疑惑を抱く。ノンケから見ても、金田一が可愛らしい見た目だと読者に伝えた重要な人物
作中にて、和島のお説教に応じ、程々にしている。一堂達の騒動に巻き込まれる運命にある。
塾講師・和島 尊、編集者・赤沢 次郎
明智少年最初の事件、ゲストキャラ。作中にて、お店の常連
一堂 百太、絵上 小鳩
黒霊ホテル殺人事件、ゲストキャラ。作中にて、一堂は職場放棄しての雲隠れ。東北で再就職している
虹枝 光代、鹿沢 直美
それぞれ、飛び込みプールの悪霊、証言パズル、ゲストキャラ。作中にて、虹枝は不動山学院高校2年生