金田少年の生徒会日誌 作:珍明
ルパ三世も好きです、怪盗キッドも好きです
第3勢力って立ち位置の人が登場するだけで、とってもテンション上がります
だけど、現役高校生には堪ったもんじゃない。今回はそういう話
誤字報告により、修正しました。ありがとうございます
授業中に教室へ堂々と入り、
生徒会執行部故、突然の遅刻や欠席による叱責を受けた事ない。寧ろ、深い事情ありと誤解のような真実が推察されているのが常。
今回の態度が珍し過ぎて、
次の授業への間、クラスメイトの
「
「……
いつも、教職員から逃げ回る『オチコボレ』が同級生の為に手間をかけてくれた。
嬉しくて、
「ああ、美雪さんがちゃ~んとD組の担任へ説明しろって……職員室に連行したもんでっ。俺も部室の鍵を借りに偶々、見ちまったよ。すげえなあ……
「……お昼に職員室へ行って来ます」
伝言を頼んだだけなのに、
貴重な昼休みに先生方へ挨拶回りしていれば、ハンディカムな後輩とバッタリ出くわす。
「金田先輩、今朝はどうしたんです? 心配してましたよ、ノモッツァンが……」
「佐木君、おはようございます。宇治木さんのお願いを叶えていました」
「!? ……何というか、金田先輩はそうするんだろうと思いました。……宇治木さんへ断ってる時も……辛そうでしたし……」
「佐木君、ご心配なくっ。宇治木さんには交換条件を持ちかけました。お陰で、冬部さんを怒らせてしまいましたが、自分としては満足です」
「……先輩、交換条件を探していたんじゃないんですか? 少しでも、宇治木さんの罪悪感を薄める為に……」
「……買い被り過ぎですよ、佐木君っ」
「全くだぜ。なんで遅刻の理由に……宇治木さんや冬部さんの名前が出て来るんだ? 金田、また性懲りもなく……事件に首を突っ込んだな!」
「え? そうなのかい、白峰君。金田君、ちょっとこっちでお話しようか?」
「金田先輩……「俺に構わず先に行け」とか言ってくれません?」
「佐木君が言って下さい! 白峰先輩、誤解です。遠野先輩、違います。ああ……」
竜太は無情にも、
お仕置きは免れない。その恐怖から逃れたい一心で、閃いた。
「七瀬さんが……全部、
ある意味で元凶の名を叫び、
その苦情は勿論、放課後に受ける。ブ~垂れた
「てめえ、よくも俺が悪者みたいに言いやがったな!」
「いいえ、自分は……はじめちゃんがあ! としか、言っていませんよ。後は皆さんが勝手に想像したのです」
「金田君……へ、屁理屈。まあ……はじめちゃん、普段から問題行動が多いもの。これを機に少しは真面目になりなさい!」
生徒会長たる七瀬に正論で返され、ご不満な
「良いではありませんかっ、はじめちゃん。最終的に桜樹先輩からフォローされて、事なきを得たのですから♪」
「お陰様で、今日のミス研に付き合わされたわ! この時間までペルシャ湾とか言う作家の「いきりシリーズ」を読まされてよ~、活字なんて見てたら、もう眠くて眠くて……ふぁ」
「……それを言うなら、ペルソナドールの「人形シリーズ」よ! 朱鷺田先生がミス研に寄贈してくれた推理小説っ。はじめちゃんにはピッタリじゃないっ、ご機嫌麗しい桜樹先輩に感謝すれば?」
ペルシャ湾と言う響きで、不意に思い付く。
「……七瀬さん、前に白神さんが幽霊船を調べていると聞きましたが、どうなりました?」
「え? あたしは何も……『くちなし村』の件から、生徒会と演劇部に専念してって言われてて……」
「白神さん、幽霊なんて信じてんの? チョ~意外っ」
七瀬、ミス研にハブられ疑惑。
などと洒落にならない冗談は抜きし、演劇コンクールを優先させる為だろうと察しは付いた。
(……? 七瀬さん、ペンフレンドへ会いに……行くって……)
誰も駐輪場へ行かない。
「金田君、今日は歩き? だったら、一緒に帰りましょうよ。昨日のお礼、ちゃんとしていないしっ」
「でしたら、このまま映画を観に行きませんか? 『エヴァ』の劇場版です。本当は昨日、海峰君達と観るはずだったのです」
「やめとけ、やめとけ。美雪が観てもワケ分かんねえだろ。しゃ~ねえな、いっくんよお。今度……俺が付き合ってやるぜ」
3人で横並び、徒歩下校は久しぶり。
「ハハハッ。はじめちゃん、出来ない約束はしないでください。自分、ガッカリしたくありません」
「そうよねえ、はじめちゃん……来るには来るけど、2時間も遅刻したり……待ってる方の身にもなって欲しいわ」
「なんで俺をケチョンケチョンにする時だけ、意気投合してんだよ! ナカヨシか!」
日頃の鬱憤晴らしと重なった売り言葉に買い言葉。七瀬と
「あ……はじめちゃん。いっくんはご遠慮します。姉にしか、その呼び方を許してませんのでっ」
「コイツゥ、分かったよ。……俺も呼びにくいと思ってたわ」
「そうよ……金田君、さとみさんはお元気?」
信号待ちになり、行き交う乗用車を見渡す。夕暮れ時、帰宅時間も重なって道路は大渋滞だ。
「ちょいと、そこの学生さん」
談笑の中、風呂敷包みを背負った老女に声を掛けられる。彼女の背丈よりも大きな荷物が目に付く。
何か、おかしい。
先程、周囲を見渡した時はいなかった。仮に曲がり角の向こうから出て来たとしても、老女の脚では早すぎる。
「すまんけど、この荷物を道の向こうまで……」
「え? ああ、いいっスよ」
老女が真っ先に
「必要ありません。貴女程、お若いなら……ご自分で運べるでしょうっ」
「ちょっと、金田君っ。失礼よ」
「ふあ? ……金田、え? 何……」
逃亡中・
何も知らぬ七瀬に咎められ、呆気に取られた金田一も後ろへ下がらせる。
高遠(仮)の狙いは間違いなく、
「このまま、去ってください。貴方に会った事も忘れて、自分達は家に帰りますっ」
「金田……お前、何言って……」
「……金田君、どうしたの?」
もしも荷物に危険な仕込みがあるなら、同級生の盾となろう。
シワだらけの糸目は表情が読みづらくても、相手からの威圧感に空気が変わる。
「……そう、流石は
「「「!?」」」
何とかやり過ごそうとすれば、老女から若い女の声。3人でギョッとすれば、風呂敷が勝手に解かれた。
網籠に積まれた大量の石コロと『我が愛する娘の肖像』の絵。そこへ貼られたシルクハットと髭が書かれたカードを目にし、
高遠ではない。それは分かり、気が抜けた。
「……お友達ですか? はじめちゃん、守備範囲が広いですね」
「ちげ~ヨ! このバアチャン、怪盗紳士だ!」
「それ、盗まれた複製画よ!」
怪盗紳士。
これまでも数々の犯行を以て、世間を騒がせる現実の怪盗。映画スターが如く、一般人のファンも獲得している人気者と対面している。
この現実を突き付けられ、
「……報道でご活躍は、拝見しております。青森では友人がお世話になりま……」
噤んだ口上を飲み込み、深呼吸する。続けようとした挨拶は怪盗紳士相手に、相応しくない。
「失礼しました。何ひとつして、世話になっていませんでしたね。すみません、訂正します。友人がお世話になりませんでしたっ」
「金田?」
「私は
報道でしか知らぬ犯罪者を前に心臓はガクブル、口は別の生物のようにスラスラと言葉を吐き出す。
怪盗紳士は高校生の内心を見抜いたように、老女の姿で若い声がクスクスッと笑う。
大人の余裕にイラッとする。
「ご自分で容疑も晴らさず、貴女は普段通りにお仕事を励んだと聞いています。仕事以上の働きはしないと言うワケですかっ。全く、仕事熱心な方ですね。
「金田君?」
「何を怒っているか、知らないけど……私は誰も殺していないわ。ダシに使われただけよ。
やれやれと怪盗紳士は肩を竦める。幼子に言い聞かせるような口調から、高校生を対等に見ていない。否、
警察も手を焼く犯罪者、一般人からの批判にも慣れ切っている。
「――奴はとんでもないモノを盗んでいきました。貴女の心です――。貴女も聞いた事ありますよね?」
「ええ、勿論。私だってアニメくらい観るわ。特に怪盗をモデルにしているならね♪」
「俺が描いた話じゃねっス……」
有名な名台詞に怪盗紳士は気を良くし、老女のままに
「でも、貴女は誰の心も盗んでいません。蒲生 剛三の
「どうやら……アナタ、事件は私のせいだって言いたいのね」
信号はとっくに切り替わり、走行音がそこら中に広がる。
「いいえ。物語に登場する怪盗は……仕事にならない仕事をし、お節介を焼く方が多いのです。貴女もそうだと勝手に思い込んでいました。現実は違いますよね。過度な期待をして、本当にすみませんでした。ご自身のポリシーに忠実な怪盗紳士さん?」
「……
それでも怪盗紳士の静かな声が通った瞬間、どこかでクラクション音がけたたましく鳴り響く。一瞬、3人共にそちらへ意識を向けさせられた。
視線を戻した時には複製画と石ころ入りの網籠のみ残し、怪盗紳士は姿を消した。
何もせず、いなくなってくれた。
途端、
「うお! 金田……大丈夫か? 啖呵を切っておいて、ビビりまくってんじゃんっ。よくやるぜ……」
「あ~あ、金田君……顔色が真っ青よ。すぐに剣持警部を呼ぶから、はじめちゃんと待ってて!」
テキパキとした行動は頼もしいが、犯罪者との遭遇に慣れている態度にゾッとした。
「アイツが和泉を止めてくれなかったから、あんな言い方したのか?」
「……小説でも、現実でも……人の物を奪う行為自体が無粋だと、気付けない人なんて……反吐が出ます」
怪盗紳士と
あくまでも
心優しき探偵の孫の思い遣りを察せぬ程、
結局、
「……ったく、ガキ共相手に何やってんだ……怪盗紳士の奴……」
ブツクサ言いながら、剣持警部の運転で自宅へ送られる。滅多にない機会故、
「時間、
「はじめちゃん……面白くないわよ」
「七瀬さん。面白くないから、言ったのですよ」
ゲッソリした
脳髄の奥が怪盗紳士への怒りに満ち、
怪盗紳士とは今生の別れであれ、そう祈った。
○●……――「
整形には及ばずとも、美容を用いて変身はお手の物。多く抱える「顧客」の中には今、話題の怪盗紳士もいる。彼女にはつい先日、ご満足頂ける「メイク」を施し、色の付いた報酬を支払われた。
大仕事を終え、自分へのご褒美に『大草原の小さな家』での夕食。
愛くるしいバイトちゃんから告げられた名、ゾッとした。
遠い昔、確かに絵画教室を開いていた。
表向きの仕事が上手く行かず、真っ当な知人を介して紹介された片手間の副業。結局、別の知人から裏家業に誘われ、惜しみつつも教室は閉じた。
だが、その時の名は断じて「黒川」ではない。寧ろ、本名を使った。
(誰だ……あの子……?)
髪はカツラだが、肌、爪、唇から見ても10代。
当時の教え子にしては若すぎる。その子供だとしても、「黒川」の名を知る理由に見当が付かない。コーヒーの味が分からぬ程、真剣に悩む。
住まいへ帰り、当時の写真を探してみる。1枚だけ、教え子と撮った集合写真があった。
やっと記憶が刺激され、1人の女を思い返す。自分と同じ教える側であり、風景……特に雑居ビルや乗用車、後は壺などの造形物が抜群に巧かった。
彼女は結婚を理由に辞め、一度も再会していない。
写真を捲れば、平仮名で「にいみ」と書き込みがある。「新見」や「新美」かと漢字を尋ねれば、返事はもらえなかった記憶も蘇った。
(……あ、1回も名前を呼ばれなかった……)
正しくは呼び名が安定しなかった。本名に掠りもしない名で呼ばれたり、一文字変えただけの名だったり、最悪の場合は「男の先生」にされた。
教え子に対しても同じ扱い。業を煮やした誰かが、手書きで名札を作っていた。
懐かしい思い出に和みながら、「黒川」呼びの原因も判明。にいみが間違った名前を伝えた為だ。
感慨深いが、ちょっとイラッとした。
(しかし、にいみさんの娘さんか……)
写真の彼女は怪盗紳士の素顔に比べれば、見劣りする。しかし、性格は世話好きであり、教え方も丁寧と記憶にある。それを聞き付け、生徒も徐々に増えた。
何より、キャンパスと向かい合う姿は確かに美しかった。
今でも、そう言える。
バイトちゃんに昔話をするつもりはない。しかし、昔馴染みの縁者がいると思えば、店へ行く楽しみも増えると言うモノ。
裏家業に手を染めても、あくまでも協力関係にあるだけだ。一般人と同じ日常を享受する身、「にいみ」と再会したとしても、恥じる謂われはない。
昔話に花を咲かせ、自分の本名を伝えよう。本当にただ、それだけを想っていた。
カツアゲ女子「ちょっ……この名前、何なの。ヒッドイ、あれはカツアゲじゃ……」
和久田「そんなコトより、僕の出番は!? 親戚一同、伯父さんのせいで……大変な目に遭うんだぞ!!」
カツアゲ女子「ここ、あたしの場所!! 次回は『怪盗紳士の殺人が濡れ衣であろうとも-和泉』!! 和泉さん、幸せになってよ!! よし、言えた!!」
黒川
怪盗紳士の変装をメイクアップした男。報酬を貰い、怪盗紳士に敬称を付けている。常備の仲間ではなく、裏社会の人間を相手に商売していると思われる。作中にて、にいみの元同僚。オリ主を女子だと思っている
怪盗紳士
紳士を名乗った女性、素顔はシリーズを通しても不明。原作にて事件後、金田一を道路へ置き去りにする。さくらを亡くして、落ち込んでいる高校生を元気付けようとしたのかな?
作中にて、今回の事件をキッカケにオリ主から蛇蝎の如く嫌われた
体育担当・蝶田
亡霊校舎の殺人、モブ