金田少年の生徒会日誌 作:珍明
金田一達が上海へ行く前の終業式です
誤字報告により、修正しました。ありがとうございます
1休 今度は【上海人魚伝説殺人事件】だそうで・前編
去年よりも濃密な1学期の終わり、それが終業式。
恒例の部活動表彰は中止、校長の長い話と生徒会長・
昇降口、校庭、はしゃぎまくる生徒でごった返す。
「桜樹、約束通りに今日までだからな」
「名残惜しいですけど……ミス研の人数も結構、増えましたし♪ もう大丈夫ですよ」
「ええ……分かってる、白峰君。それに鈴森さん、スキー部の活躍はアナタ達にかかっているもの。これ以上は引き留めないわ」
「桜樹さ~ん、台詞と行動が合ってないぜ~」
スキー部の3年E組・
「貴船君、本当に転校しちゃうの? クラスからまともな男子が減っちゃう……悲しい」
「大田さん、嬉しい事を言ってくれんのね! まだ村上がいるじゃん」
「「「ちょっと待て、オレ達がまともじゃないってか。俺はマシだっ」」」
2年1組・
「
「
「
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「有森、バイト先の連絡先を教えといてくれっ。朝基~、それえぇ今言うか?。千家、気持ちだけもらっとくわ。八尾、いつ頃に行く予定だ?」
2年1組・
そんな和気藹々な様子を窓から眺め、
執行部顧問の先生が我々を離さない。
ボランティア活動、学園祭の準備、その他諸々。夏休みの生徒会活動を最終確認したい意気込みは分かるが、すぐに話を脱線させる。
「先生、学期末の職員会議が……」
3年E組・
「七瀬君、先生の話は適当に切り上げちゃってイイ。ただ喋りたいだけだからさ」
「遠野先輩……そんな……先生だって、良かれと思って」
「美雪ちゃん、先生を諫めるのも生徒会長の役目っ。いつまでも遠野先輩に甘えちゃダメよ」
「そうっスよ。3年生の中には夏休み返上で受験勉強の人もいるんス! 遠野先輩なら、進学先は引く手あまたっスけどね♪」
遠野先輩は夏休みの執行部日程表を各自、通学鞄へ突っ込む。七瀬が廊下を一瞥すれば、2年5組・
副会長までもが、2学期からは頼れる前生徒会長力を借りられない。そう心掛けろと七瀬へ釘を刺した。
七瀬も流石にションボリだが、
「金田君、再来週の合宿。参加人数分の飛行機予約、バッチリだよ。レンタカーの手配は大丈夫かい?」
「はいっ、津雲先生に確認済んでいます」
最後に、北海道の背氷村合同合宿を報連相。
「合宿の参加者は生徒会から……遠野先輩、副会長、書記、朝木先輩、金田先輩。ミス研から……桜樹先輩だけっ。写真部から……江塔先輩、六野先輩、鷹杉先輩。んで、引率は津雲先生と……あれ、意外と少ないっスね」
「真壁先輩と伊志田先輩が行かないなら、……って子が多かったの。なん~であの2人がモテるんだろう……ねえ、美雪ちゃん?」
「秋絵ちゃん……あたしは夏休みがちょっと立て込んでて、真壁先輩は関係ないしっ」
参加者を呟きながら、海峰は疑問。夏期講習や部活動が被る生徒もいれば、ミス研は3年3組・
そして、七瀬不参加に自然と1年生の男子生徒もそうなる。
今回は有り難い。
「分かってる、遊園地のバイトでしょ。千明ちゃんと一緒に、美雪ちゃんをからかいに行ってあげる♪」
「まあ、秋絵ちゃんのイジワル♪ 招待券、渡すんじゃなかったわ……クスクスッ。あ、金田君と海峰君もどう? この前の日曜日にオープンしたばかりの『サーサイドランド』。これが招待券よ」
「お気持ちだけ頂いておきます。自分もバイトがありますから……」
「よくTVCMで観てるヤツっ。んじゃあ、俺が! 七瀬先輩……何枚、招待券持ってんスか?」
女子同士でじゃれ合いながら、七瀬は宣伝の如くに遊園地の招待券を渡してくる。最寄りの千葉県とは言え、
「失礼します! 海峰君、急いで! 大会あるの、忘れてない!?」
「小角先輩、何言ってんスか。忘れてませんって……先生の話が長かっただけなのに……ブツブツ。んじゃあ、お先に失礼します!」
「はい、行ってらっしゃい。小角さんも大会、頑張ってね」
終業式早々、囲碁部は大会がある。囲碁部部長3年4組・
「金田君……よっぽど、合宿が楽しみなのね(前に背氷村へ行きたいって言ってたもんね。はじめちゃんが解決したけど、金田君が好きだった氷室 一聖が別人だったって結構、ショックだろうなあ……)」
「ええ、楽しみです(七瀬さん、言葉を選んでるな。そう言えば、伯父さんの話してなかったっけ……。まあ、いっか……家庭の事情に巻き込んでもアレだし……)」
お互いがお互いを気遣い、言葉が減る。
「……さっきの小角先輩じゃないけど、演劇部のコンクールも忘れないでよ。金田君には期待してるんだからっ」
「そのコンクールまで1週間を切った状態にも関わらず、上海旅行へ行かれる方に言われたくありませんね。ペンフレンドの方に、よろしくお伝えください」
「え? ……あ、知ってたんだ。これでもちゃんと事情があるんだから……今回は、大目に見て」
「毎回、見ている気がします」
裏方とは言え、七瀬は取りまとめ役。舞台進行の全体を把握する立場であり、意外と役に立つ。
「七瀬さん、上海に行っちゃうの?」
「月島さん!? ビックリした……いつからそこにっ。今日は部活ないわよ」
ぬっと2年2組・
「七瀬さんに言わなきゃと思って、待ってたわ。今度のコンクール、金沢吉野高校の演劇部が総出で観に来るんですって。兄さんからの情報っ」
「え? そうなの! 嬉しい……また皆に会えるんだ♪」
「……金沢? 石川県の金沢ですか? それはまたどうして?」
石川県金沢市、面打ち師・
「金田君は知らないか……あたし、去年の泉鏡花演劇祭を見学に行っててね。そこであちらの演劇部の人と仲良くなったの」
「演劇祭は11月……思い出しました。新生徒会で引き継ぐが忙しい……むぐっ。……七瀬さん、やめてください」
「プッ、そうそう。けど、あれは緒方先生の言付けもあったのよ。許してあげてっ」
去年の新生徒会設立時を思い返せば、七瀬は慌てふためく。
「それで……挨拶とかされたら、七瀬さんにお願いね」
「ええ、任せておいてっ。あっ! だったら、部室へ行かない? 泉鏡花演劇祭の写真、見直さないと」
「……手を離してください……。七瀬さん」
月島と七瀬が勝手に盛り上がり、演劇部の部室へ向かおうとする。さも当たり前のようにガッチリ、
「金田君。写真、見たくないの? もしかして、もう見た?」
「見ていませんが、本日は終業式です。校内部活動はありません。吉野高校の皆様におかれましては、当日まで会うのを楽しみにしています」
(心にもないコト、言ってる……)
七瀬に引き留められたが、失礼の無いように振り払う。月島の苦笑から、心の声は駄々洩れだ。
「アナタ達、まだ残っていたの? あら、七瀬さん。執行部の活動……ご苦労様。良い夏休みをっ」
「吉長先生、すみません。すぐに帰ります」
「「先生、さようなら」」
2年1組の担任・
『大草原の小さな家』へ到着。
しばらくバイトは休みだが、店長から客になれとせがまれてコーヒーブレイクだ。
「いらっしゃいませ」
見知らぬ女性が制服のエプロンを着け、物凄く控え目に挨拶。それは接客に慣れていないだけで、とても品を感じる。1年1組の
「センパ~イ、やっと来た~♪」
「花都さん、噂の金田先輩です。先輩、こちらは花都 千冬さんです」
「花都です。……よろしく、お願いします」
「初めまして、新しいバイトの方ですか?」
「夏の間だけね。アナタも佐木君も色々と忙しいみたいだしっ、短期バイトよ。るい子ちゃんの紹介なんだけど、この仕事自体は初めてなのに手際が良くて助かるわ~」
店長の話を聞く限り、新入りの名前は
桜樹先輩が住み込みで働かせるように頼んだそうだ。花都は如何にも、苦労を背負った雰囲気。初見でも波乱万丈の人生が窺える。
「住み込める程、2階……広かったかなあ。店長の自宅でもありますよね?」
「たかが、1カ月よ。夏だし、布団もそこまでいらないわ。雑魚寝すれば、良いんだし」
「……ね、寝られるだけの隙間があれば……十分です」
竜二は天井を見上げ、疑問。店長の大雑把さと花都の慎ましい気配り、女子力の差を感じつつ、
「
「……行きませんっ。中国へ行くなら、自分は香港が良いです」
「ああ、確かにっ。返還されて特別行政区になったから、今後は中国旅行ツアーでも行ける様になるんですよ♪ 旅行者も増えますネ、きっと」
まさかの
竜太に聞かれ、即座に否定しておく。単純に香港は多くのカンフースターを輩出した映画ファンに憧れの聖地、ちょっとした好奇心だった。
歴史的瞬間である『香港返還』の特番時期、意識不明で入院していた為に視聴もしていない。特に楽しみではなかったが、残念な気持ちになっただけだ。
同じ想いを抱かぬ様、『エヴァ』の上映は見逃せない。
「よし、行きますか。映画館っ」
「「え? 香港の話してたのに?」」
佐木兄弟を巻き込み、映画館へ直行。『エヴァ』の劇場版を無事に観賞した。
本格的な夏休み突入の為、館は立ち見も多い。立つ隙間もない程の群衆に揉まれても、観に行った甲斐はあった。
映画館を庶民の娯楽とするならば、クラシック音楽コンサートは上流階級の社交場。
決して大げさではない。
会場の椅子や廊下、先日の映画館と段違いの素材。来賓の方々も正装し、一介の私立高校生とは縁のない気品が漂う。壇上のグランドピアノも高級感溢れ、照明の反射を受けて輝く。
「……制服で良かったんかなあ? 場違いすぎる……」
「でも……オレ、タキシードとか持ってない~」
「スッゴイ、前の席じゃん。ここって……賓客が座るんじゃねえの? ……おい、あれ……音楽プロデューサーの田村 英明。席、ちっか!」
「金田……どこに行くんだ?」
「花摘みです」
演劇部部長の3年D組・
「本当、俺まで良いんスか?」
「ああ、伴奏を任せるんだ。海峰君にはプロの演奏を聴き込んで欲しいっ」
海峰はウキウキと演奏を待ち、演劇部副顧問の国語担当・
「学生って私達だけかな?」
「そんなに緊張しないで、誰も取って食いやしないわ」
その隣で月島と音響係がガチッチガチに言葉を交わせば、顧問の音楽担当・
男子トイレに入れば、大人の嗜みで匂いが充満。煙草臭さは慣れた身だが、これはキツくてゲンナリした。
「金田君、キミも来たかいっ。ごめん、いるんならそうだよなっ」
「宇治木さん! 知っている方に会えて、嬉しいです。その名札……ゲストですか?」
週刊誌記者・
「そっ、紅さんに直々、取材を依頼されたんだ♪ もう首振り人形みたいに業界の皆様へご挨拶しまくって、名刺が切れたよ。そうそう、多岐川さんもいたぜ。もしかして、一緒に?」
「自分、演劇部の皆と来まし……遠野先輩!?」
手洗い場で水洗いし、鏡に映った背後の個室が開く。そこには終業式以来(およそ2日ぶり)の遠野先輩が涙目でいた。
「本当に金田君だ! キミに会えて良かった~っ」
「遠野先輩、今日は家の用事では?」
「これがそうだよお。父に騙し討ちで連れて来られたんだ~。朝木さんのご家族と一緒で……ほとんど見合い状態だよ……。金田君もこっちに来て~」
「……げえぇ、朝木陶工もいらしてるのですか?」
ガッシリと肩を掴まれ、珍しく遠野先輩は愚痴る。朝木が先週、彼を誘ったクラシックコンサートとはこれ。何故、子供達に内緒で大人は予定を組むのだろう。
人間国宝・陶芸家の
「ごめん、確か……金田君の先輩だっけ? まだ、朝木陶工の挨拶に行ってないんだ。一緒に行って良いかな?」
「……自分、皆と一緒の席……!? 遠野先輩、まだ行くと言っていません」
「だったら、僕と布施君達との席を交換しよう! 緒方先生でも可!」
遠野先輩に無理やり連行された2階席、見晴らしが良い。
(……おおっ、響 静歌! 『遊民蜂起』の座長も……昔は作曲家だったし、こういうの興味あるんだ。……おっと、娘さんかな? 睨まれちゃった……)
こちらには
「ごめん、金田君。見てごらん。常葉 瑠璃子だよ。今、注目株の美少女ヴァイオリニスト♪ ご自分で弾くわけじゃないのに、コンサートへ来るなんて~珍しい」
「……どうぞ、挨拶へ行ってください」
大興奮の宇治木は再び挨拶へ飛んで行き、
「金田君、丁度良かったわ。アナタのお祖母様、招待したけど断られたの。座って行きなさい」
(ですよねえ……いますよねえ。御堂さん……)
通り過ぎる途中、天才作曲家・
「金田君は僕と観るんで」
「遠野君は朝木さんと観るんでしょ」
(かほる先生……助けて)
その朝木親子は少し離れた席。朝木陶工に気付かれたら、面倒くさい展開が待っているだろう。他を下手に頼れば、もっと面倒な事態に発展する。
「金田君っ、キミもいらしてたんですね……どうしましたか?」
「明智さん……助けてくださいっ」
警視庁捜査一課・
遠野先輩の席替えは受け入れられ、明智警視に指名して頂く。
「いやいや、おかしいだろ。冬子が2階で朝木さんと隣同士……」
「緒方先生が御堂家のお嬢様と隣同士? 面識もないのにっ」
「それで……え~と、明智さんが……こっち? どうも~」
有森は月島と離され、不満そう。神矢は2階方面を見上げ、仙道は困り顔でペコリと会釈した。
「2階の方が音、良く聴こえるって言うしさ。
(……海峰に行かせれば、良かった気がする……)
「そりゃあ……遠野様はそれで良いだろうよ。……なんで中国語?」
遠野先輩はご満悦で月島先生の隣、布施先輩は呆れる。ちなみに明智警視が隣になり、音響係は完全にエリートな魅力の虜となった。
「金田君、……七瀬君や
「あの2人は上海です。剣持さんはどうしましたか?」
「……出張ですよ。それ以上は言えません」
(また事件か……剣持さん、休みないなあ)
警視庁捜査一課の鬼警部こと
そんな出来事など知らぬまま、開演。
私語は無くなり、呼吸音も聞こえぬ程に静まり返った。
本日の主役たるヴァイオリニスト・
瞬きの間に、ピアノには作曲家マイケル・ヘンリーが座る。
言葉のない挨拶を終え、紅は構える。弓を弾き、弦を放つ。
――曲目、御堂 周一郎遺作・『悪魔組曲』
旋律が聴覚を通じ、神経を撫でる。ゾワゾワと肌を走り抜け、瞬きを許さぬ。
麗しき指の動き、ひとつ、ひとつが見逃せない。
紅とヘンリーはお互いを見ず、音だけが2人を繋ぐ。御堂先生の詩を読む声が勝手に蘇る。込められた愛の深さに感銘を受け、涙が零れた。
啜り泣く声さえも旋律に混ぜ、弾き終わった。
紅の頬や腕に流れる汗が照明に光り、暑さよりも美しさを魅せた。
拍手喝采は当然――これがプロの聴かせる演奏、響かせる拍手音!!
そして、御堂先生の愛に対する評価。素直に嬉しい。
小休止を挟み、紅は『悪魔の呼び声』などの御堂先生代表作を演奏。どれもこれも素晴らしく、上演時間を終えた後の余韻に浸る。
感嘆の息を吐き、明智警視はゆっくりと動き出す。
「……皆、大丈夫? すっかり、骨抜きね」
「フフッ……どう、海峰君? 物に出来そう?」
「実力の差は歴然っスよ。でも、来週の俺はその差を縮めマスっ」
2階から戻った月島は緒方先生と逸れぬ様、手を繋ぐ。予想以上の状態にクスリッと笑い、顧問は伴奏係へ挑発的に問うた。
流石、海峰はピアニストを目指す者。武者震いが如くに震え、誓った。
「いたいた♪ お~い、不動高校の皆!」
「山根さん、こんばんは。素敵なコンサートでしたね」
御堂先生の元マネージャー・
「でしょう♪ 正直、早拵えになっちゃった感はあるけど、それを差し引いても大盛況! ねえ、花は好き? 良かったら、持って帰らない? あり過ぎちゃって、亜里沙さんの家が花屋になっちゃうっ」
「緒方先生の車に詰め込めるだけ、詰め込みます」
「月島先生?」
山根に頼まれ、月島先生は目に浮かんだ涙を拭う。演奏に感動し、ずっと泣き声を堪えていた。勝手に返事された緒方先生はキョトンと目を丸くしたが、反対はしない。
ぞろぞろと連れ立ち、案内されたのは人の居ない控室。鏡台や椅子、机などの調度品はどことなく華美。
ついさっきまで紅がいた痕跡として、大量の花は花屋が如くある。
「あっ、金田君。薔薇があるよ。僕はこれにしようかな」
「遠野先輩……お父上と合流しなくて良いのですか? ……綺麗な薔薇です。他で見たモノと違います」
当たり前のように遠野先輩も付き添い、選ぶ。彼が指さした薔薇の花束は花弁が潤い、瑞々しい。一本、一本、丁寧な環境で育てられた。そんな印象だ。
「ほほお、お目が高い。それはある有名な薔薇ブリーダーが育てた薔薇よ。これだけ見事な薔薇だと少数しか、用意出来ないから。いつも予約でいっぱいなんですって。全部、夏岡さんに聞いたんだけどね」
「夏岡さんがご用意したのですね。自分も一輪だけ、頂きます。原付で帰りますから」
「どうぞ、金田君には一番大きい奴を渡そう」
山根の説明を受け、
「月島さん、ユリとかどう?」
「冬子、ガーベラあるぞ」
「ごっほん!!」
神矢と有森は何故か、月島の花を選ぼうとする。月島先生から圧力混じりの咳払いに負け、2人は自分の分を選んだ。
「う~ん。この胡蝶蘭なら、大道具で使えそうだな~。オレ、これにしよう」
(……使う?)
ずっと悩んでいた仙道がようやく胡蝶蘭の植木鉢を選び、全員終了。
途端、遠野父にこの場所を突き止められる。遠野先輩はすっと礼儀正しくなり、お行儀の良い笑みを浮かべた。
「お父さん、すみません。花を分けて頂けると言うので、選んでいました。先生、お先に失礼します。次は演劇部のコンクールでお会いしましょう」
「ええ、遠野君。お気を付けてっ」
「またな、遠野」
静々と先生方へ挨拶してから、遠野先輩は去った。
「流石、遠野様。キッチリ、区別してやがる」
「流石、俺達の生徒会長っス」
布施先輩と海峰は敬礼し、遠野先輩を讃える。
「今の生徒会長は美雪さんだよ~っ。そうだろ、金田!」
「ええ、まあ……そうです」
困り顔の神矢が必死にフォローを求めるが、
山根に駐車場まで見送られ、楽しい時間の終わりを実感する。仙道が胡蝶蘭の鉢植えを抱え、月島先生の車へ積ませてもらう。ついでに彼自身も送られる事になった。
「金田君、来週のコンクールを楽しみにしてるわ。私もバッチリ、休み取ったから!」
「ご期待に添える演技をご披露いたします」
満面の笑みにて、山根と来週の約束を交わす。各自、それぞれの交通手段が違う為に解散。
「遅かったわね、
「こんばんは、かほる先生。はい、紅さんに贈られた薔薇を分けて頂きました」
推理小説家・
「
「自分もです。では、お待たせしたお詫びにこちらを進呈します。さる高名な薔薇ブリーダーが手掛けた逸品です」
ブツブツ言いながら、かほる先生は原付バイクを探してくれたのだ。
感謝を込め、
「へえ、上手い言い回しね。気に入ったわ」
「いえ、本当に有名な薔薇ブリーダーが育てました。自分、こんなに薔薇を綺麗だと感じたのは初めてなのです」
「そう、この薔薇が……。だったら、来週のコンクールはこれを贈るわ。期待しててっ」
「楽しみにしています(今から注文して間に合うかな?)」
かほる先生は気を良くし、薔薇を受け取る。口上を冗談に受け取られてしまい、感想を交えて簡潔に説明した。彼女が贈ってくれるならば、
この薔薇に関しての予約状況を想定しておらず、かほる先生は大慌てで相手方の薔薇園へ出向き、交渉する羽目になる。それもまた一興だ。
小龍「謝謝、ハジメの朋友にも会ってみたいナ。面白い人、たくさん。一緒に来てくれたら、会えたノニ。残念ネ。さて、次回は『今度は【上海人魚伝説殺人事件】だそうで・後編』!! 李刑事に出番あるなんて、ズルイっ」
金田 一
オリ主、生徒会執行部にして演劇部。氷室 一聖の甥、莫大な財産を相続した(詳細はF.7)
七瀬 美雪
現生徒会長、演劇部とミス研の掛け持ち中
佐木兄弟・竜太と竜二
可愛い後輩
明智 健吾
警視庁捜査一課のエリート警視、作中にて金田家を気に掛ける
花都 千冬
なぜ、暖炉は燃えていたか? ゲストキャラ。作中にて『大草原の小さな家』のアルバイト
宇治木 政宗
鬼戸・墓獅子伝説殺人事件、ゲストキャラ。作中にてオリ主の知り合い
金田一 一の担任・吉長
雪鬼伝説殺人事件、モブキャラ