シャアにクリソツなクワトロ大尉()   作:星乃 望夢

1 / 24
ようつべでまーた面白そうなネタを観てしまったばっかりに頭の中が勝手に物語を紡ぐもんだから出力しました。

でないと他の小説書けないんだよコンチクショー!!


プロローグ

 

 宇宙空間を、私はMSのコックピットから眺めていた。

 

 一年戦争期のメカメカしく死角の多いコックピットもMSに乗っているという感動を抱くのには充分に過ぎるものだったが、全天周囲モニターはやはり360度全てを見渡せるというのは便利なものだ。

 

 視界に映る赤いノーマルスーツ。

 

 コックピットの計器を操作して地球と月を拡大、現在位置を再計算し、スラスターを僅かに噴かして軌道を修正する。

 

 私の乗る赤いリック・ディアスに黒いリック・ディアスが接触してくる。

 

 腕を伸ばしてマニピュレータを接触させ、接触回線で交信する。

 

 こちらは隠密作戦だ。

 

 無線も大っぴらには使えない。

 

「アポリー中尉、調子はどうか?」

 

『コックピットが違っても3日もあれば自分の手足にすることが出来ます』

 

 アポリー中尉からの返答があると、私のリック・ディアスの脚に別の黒いリック・ディアスが手を掛けていた。

 

『自分たちはマニュアル通りの訓練などやってはおりません。それで、一年戦争も潜り抜けて来たのですから』

 

「ロベルト中尉、その過信は自分の足を掬うぞ」

 

『はっ、クワトロ大尉』

 

 そう、私の名はクワトロ・バジーナだ。

 

 それ以上でも、それ以下でもない。

 

 そう、本当に、それ以上でも以下でもない。

 

 シャア・アズナブル──キャスバル・ダイクンと同じ顔、声を持つ、連邦宇宙軍の大尉だ。

 

 フッ、コレでは道化だよ。

 

 …………本物のシャアは一体どこで何をしているんだ。

 

 私も最初は己の名を疑ったさ。

 

 だが事実として、私はクワトロ・バジーナとして、この宇宙世紀に転生してしまった。

 

 世の中にはドッペルゲンガーと言って、似た人間は3人も居るとは言うが。

 

 キャスバル、そしてシャア。

 

 2人の見た目は同じだが瞳の色は違うし声も違う。

 

 私は不幸だ。

 

 クワトロ・バジーナという名に、見た目から瞳の色に声までもキャスバルなのだから。

 

 一年戦争中はルナツーに引き籠もっていたさ。

 

 キシリアに消されたくなかったからな。

 

 それでもソロモンやア・バオア・クーには駆り出されたが。

 

 いや、私とて一ガノタとして、やはりMSへの憧れを我慢できなかったのだ。

 

 戦場の絆で慣らしていた経験も活かせた。

 

 結果、ルナツーでも指折りのパイロットとしてG-3ガンダムのテストパイロットをしていたが、それはいい。

 

 結果、チェンバロ作戦や星一号作戦へ参加させられた訳だ。

 

 ソロモンではゲルググを駆るソロモンの悪夢や、ア・バオア・クーでは真紅の稲妻とも相見えたが、どうにかこうにか終戦を迎えられた。

 

 デラーズ紛争ではジム・カスタム高機動型のテストパイロットを務めていた縁からアルビオン隊に協力する事となったが、ノイエ・ジールという化け物相手に生き延びただけ良しとしよう。

 

 そこから宇宙世紀0087に至るまではエゥーゴに合流し、シャアが来るのを待っていた。

 

 私の名はシャアに引き渡さなければならないと思っていたが、私が生きているとなるとクワトロ・バジーナという名前は使えん。

 

 とすれば、別の名を名乗ってエゥーゴに合流してくるのかと思いきや、シャアの影も形も無く、いつの間にかアナハイムにガンダリウムγは持ち込まれていて、アポリーとロベルトにはシャア扱いされている。

 

 私はクワトロ・バジーナなのだが。

 

 エゥーゴが人手不足なのは今になって語ることでもないが、自分に出来ることをコツコツとやっていたらいつの間にかエゥーゴの中心メンバーとなってしまった。

 

 ブレックス准将には期待を掛けられているし、なんだかんだでウォンさんともやり取りをしている。

 

 もう一度言う。

 

 私はクワトロ・バジーナであってシャア・アズナブルではない、ましてやキャスバル・レム・ダイクンでもない。

 

 シャア、貴様がニュータイプならば、この私の思惟を感じてみせろ。

 

 そして早くエゥーゴに合流しろ。

 

 私がガノタであるからシャア扮するクワトロ・バジーナを演じられるが、それでも限界はあるぞ。

 

 ララァ、シャアを導いてくれ。

 

 具体的にはガンダムさんみたいに耳を引っ張って私の目の前に連れてきてくれ。

 

 私がシャア・アズナブルだと思い始めている周囲の期待に胃がしくしくするのだ。

 

 成る程、これが人身御供となる気分か。

 

 知りたくもなかった。

 

 このままただのクワトロ・バジーナを貫き通す事は出来るが、カミーユやアムロはどうすれば良いというのだ。

 

 教えてくれララァ、私はどうすれば良い。

 

 ララァ、私を導いてくれ。

 

 と、ネタを言ったところで私はオールドタイプだ。

 

 ニュータイプではない。

 

 だからこの地球圏を彷徨っているだろうララァを感じることなど出来なければ、カミーユの息遣いも感じることはないだろう。

 

 だから頼むぞシャア。

 

 このままハマーンに頭を下げたり、ダカールで演説をぶち上げる事も私はしたくない。

 

 私では荷が勝ちすぎる。

 

 それ以前にハマーンに関しては私には関係のないことだ。

 

 身の周りにニュータイプが居た事がないから分からないが、ニュータイプならば私がシャアではないことを見抜いてくれる筈だ。

 

 だから何処で油を売っているかはわからないが、さっさとエゥーゴに来てくれよ、シャア・アズナブル。

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。