なんで先生が死んでるんですか……?   作:ねをんゆう

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27.真っ逆さまに

 高層ビル11階からの地面への衝突。

 にも関わらず当然のように立ち上がる両者、しかし見た目からも察することが出来る程度にはダメージ量の差は尋常であった。もちろんダメージが大きいのは、それを仕掛けたミアの方。

 

 

「ま、仕方ねぇか。ビルから落ちる経験なんざしたことねぇよな、そりゃそうだ」

 

「……受け身、ですか」

 

「それだけじゃねぇけどな。ただまあ、リオから毎日毎日妙な任務を任されてる分、何かとお前よりは経験はある」

 

「……っ」

 

「1年坊が覚悟と機転でどうにか出来るほど甘くはねぇってこった。ま、ここは経験と思って一回負けとけ」

 

「く、ぅっ」

 

 

 サブマシンガンによる掃射を、なんとか避ける。しかし全身に走る激痛は誤魔化せないし、なんなら片足にはヒビが入っている。ヒビで済んだだけマシな方。

 

 

 (考えなければ、考えなければ……まだ諦める訳にはいかない。まだ負けてはいない。今からならまだ、まだ、ミドリ様達の元へ……)

 

 

 考える。考える。

 そんなミアの様子を見て、ネルもニヤニヤと笑いながら反応を待っている。けれど考えても考えても何も思いつかないし、どう考えても今からミドリ達の元へは間に合わない。11階も登り上がる前に、間違いなく様々な場所で行われている闘争達の決着がつく。

 

 

 (まだ、まだ、まだ、まだ……!!こんなところで、破綻させる訳には……!!)

 

 

 全身全霊の力を込めて、拳を振り上げる。色々考えた結果、しかし最後にはこれしかなかった。全てのダメージを受け取る覚悟を持ち、この一撃に全てを賭ける。

 蓄積したダメージと残りの体力を考えるに、逆に言えばこれ以外に現実的な手段などない。ネルが決断を待っていたのは、最終的にこうなることが分かっていたからなのだろう。その一撃を待っていたのだろう。

 

 

「ハァァァアッッ!!!!」

 

 

「来たか……!」

 

 

 踏み込むごとに地面がヒビ割れ、ヒビ程度で済んでいた足の怪我が如何にもというほどに悪化し、握り締めた拳が自身の力でミシミシと悲鳴を上げる。

 ここまでの威力を秘めた拳は、ネルでさえ滅多に見ることなど出来ない。だからそれが見たかったのだ。それを見るために今まで待っていたのだ。相手をしていたのだ。

 

 

「破壊っ!!!」

 

 

「ごっ、ぉ……」

 

 

 ネルの腹部に直撃したそれは、まあどうやったところでネル自身が避ける意思が無かったが故のものであるのだろうが。だからと言って簡単に受けて良いものではない。

 

 

「………へっ」

 

 

「!?」

 

 

「なかなか良かったぜ、1年坊。またな」

 

 

「……な」

 

 

 けれど、ミアは見た。

 自身の拳を腹部で直接受けておきながら、口の端から血を流し、ニヤリと笑った鬼神の姿を。その小柄の容姿からは考えられないほどの大きさを持った、純粋なる力の壁を。

 

 

 

 

 

 

「………まあ、流石にこうなりますか」

 

「今のミアでは逆立ちしたってネルに勝つことは不可能よ、最初から分かっていたことだわ」

 

「可哀想なことをしましたが、仕方ありません」

 

 

 思惑通りに進んだ画面の向こうの決着に、しかしヒマリは素直に喜ぶことなど出来ない。仕方がないとは言え大切な後輩を絶望させて、奈落の底に叩き落としたのだから。

 それほどの事をしたという自覚はある。甘使ミアにとって"ルート"を完全に破壊されるというのは、そういうことだ。

 

 

「そして分かったわ。ミアの抱えているルートは、つまりマキリの作り上げたルートは、既に破綻している。ミアは可能な限りそれを再現するように動いているだけで、決して言われるがままに辿っている訳ではない。もしそうなら、私達のこの行動でさえあの子は分かっていた筈だわ。既に何処かで致命的なズレが発生している」

 

「……そうですね。もし本当に辿っているだけであれば、ダブルオーの参戦にあれほど驚き、必死になることもなかったでしょう。いつものように無表情で淡々と役割をこなしていた筈です」

 

「だから、私はこれ以上ミアに協力はしないわ。……いえ、マキリの協力はしない。マキリの作り上げたルートは、既に誰にとっても害悪でしかない。当然ミアにとっても」

 

「……こんなこともあるものなのですね。私と貴女の意見が一致する日が来るとは、明日は槍でも降るのでしょうか」

 

 

 ミアの努力は否定しない。だがミアの信じるものは否定する。彼女の信じるそれは既に破綻しているから、けっしてそれを肯定することは出来ない。

 

 ……もちろん、その重要性は知っている。

 

 甘使ミアにとって、それがどれほど大切なもので、否定することなど絶対に出来なくて、それを捨てることは全てを捨てると同義であるということなど。ちゃんと理解している。

 それでも、その上で捨てなければならないとヒマリは考えたのだ。本当にどうしようもない破綻を避けるためには、ミアはそれを捨てなければならないと。捨てて自分の足だけで立ち上がらなければならないと。そう考えたのだ。

 

 

「……ミアは、どうしてあれほどマキリのルートに執着したのかしら」

 

「……本気で言っています?リオ」

 

「正直、完全に理解出来る気はしないわ」

 

「まあそうでしょうね。貴女はそういう人間です。人の願いや機微など分かろうとも……いえ、分かろうとはしているのですね。貴女なりに」

 

「……」

 

 

 はあ、と吐く深いため息。

 色々な感情を混ぜ込みながら、ヒマリはミアがネルに運ばれている様子を映している画面から目を離す。

 

 

「ミアにとってマキリの存在は母親のようなものです」

 

「母親?どういう意味?」

 

「貴女にも分かるように言うのであれば、精神的な生みの親ということです」

 

「……精神的な」

 

「人として致命的な欠落を持っていたミアを、マキリは人間にしました。それは"恩人"という言葉でさえ足りていないほどの偉業です。故に"母親"と形容しました、それが最適でしょう」

 

 

 それはまるで、生まれて初めて見た相手を親だと認識する雛子のように。ようやく人間になることの出来たミアからしてみれば、マキリは自分という存在から決して引き剥がすことの出来ない存在となった。人としての根底に根付く、本質に近いものとなった。

 

 

「そんなミアが、よりにもよってマキリに託されたもの。しかもその重要性を、それに込められた願いの大きさを誰よりも知っているミアが、託されてしまったもの。……頭では分かっていたとしても、簡単に受け入れることなど出来る筈がありません。それが実は壊れてしまっているなど」

 

「……なぜ?」

 

「それを壊してしまったのが自分だと一度でも考えてしまったら、命を落とした相手から託された願いを成せなかったと自覚したら……死にたくなってしまうから」

 

「……」

 

「最愛の人から託された、その人の全てと言っても良い願いを、どうして容易く見限ることなど出来ますか。執着しない方がおかしいくらいです。だから私は彼女のことを愛おしく思います。彼女は貴女とは違い、どうしようもなく人間ですから」

 

 

 だから、当然ここからのフォローもヒマリはするつもりだ。敗北し、完全にルートが破綻してしまったと自覚したミアが、壊れてしまう前に。

 ……それはもしかしなくとも、ミアにトドメを刺してしまう可能性を孕んではいるけれど、こうでもしなければいつか必ず訪れてしまうものではあったから……

 

 

 

 

『こちらヴェリタス!ミドリ!モモイ!やったよ!"鏡"の奪取に成功した!私達の勝ちだ!!』

 

 

 

「「………は?」」

 

 

 

『完全勝利!ミアさんありがとーう!ミアさんのおかげだよー!!』

 

 

 

「「??????」」

 

 

 

 ただ、まあ。

 なにもかも思い通りにいくわけではないというのは誰にとっても同じで、勝ちを確信しても負けを確信してもひっくり返るというのはよくあることで。

 

 つまり即ち。

 

 この試合に勝ったのは、何故かミアであったのだ。

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

 

「全治2週間でした。まだマシな方ですね」

 

 

「いや2週間で済まない状態に見えるんだけど!?」

 

「ミアの全身が包帯だらけです!」

 

「あわわ……」

 

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい……」

 

 

 保健室でまるでミイラのような姿になっているミアに対し、阿鼻叫喚の地獄絵図となっているのはゲーム開発部の面々。それでもいつも通りの様子で言葉が返ってくるのは、果たして安心すべきなのか、不安に思うべきなのか。非常に悩ましいところではあるが。

 

 

「ミドリ様、ひとまず頭を上げて下さい」

 

「だ、だって、だって私達のせいでミアさんにこんな怪我をさせちゃって……ダ、ダブルオーを1人で抑えるなんてやっぱり無茶だったんだ……」

 

「ですが、鏡は手に入ったのでしょう?」

 

「そ、その鏡で手に入ったG.bibleだって!!」

 

「………」

 

「………」

 

「……まあ、そういうこともあります」

 

「こんなののためにミアさんがこんな怪我までしたのかって!すごく申し訳なくて!!」

 

「それは本当にそう!」

 

「あまり気になさらないでください」

 

「無理ですよ!気にしますよ!!」

 

 

 結論から言ってしまえば、鏡は手に入った。

 

 しかしそれを使って開けたG.bibleは、どう言い繕ってもゴミと言って差し支えないような代物だった。

 

 面白いゲームを作るための聖書と言いつつ、これだけ苦労させられたのに、それはどうしようもない精神論を語るだけの絶望の聖書だった。少なくともゲーム開発部の面々は普通に絶望した。

 

 そして、それを知ってからは、こんな物を見つけるためにダブルオーと戦わされて大怪我を負ったミアに対しての罪悪感は日々増していくばかりで。

 

 特にミドリなんかはこうして保健室に入ってきてからずっと頭を下げている。これには流石のモモイでさえ普通に謝ったのだから。彼女達はそれくらい強いショックを受けたのだろう。

 

 

「あ、あの、怪我の調子は……」

 

「この包帯はサブマシンガンによるものですから、数日もすれば治ります。右足の怪我は酷くはあるのですが、少し前にした怪我よりはマシなので、心配は無用です。その程度です」

 

「こ、これより酷い怪我を!?」

 

「い、いつのことですか?」

 

「ミレニアムに来る前ですね」

 

「すごく最近!!」

 

「怪我しすぎ!!」

 

「か、体に気をつけて下さい!」

 

「……善処します」

 

 

 まあ流石に今回は模擬戦に近いものであったので、ネルも本気を出していなかったのか。酷い怪我はそれほど無かったし。最後も上手いこと気絶させられた上に、どうやらそのまま保健室まで連れて行って貰えたみたいなので。

 

 それに、実際のところはそこまで悲観するような状態でも無かったりする。勿論それもミア目線の話ではあるが、少なくともアビドスで負った怪我よりは随分とマシだ。致命的ですらない。余裕である。

 

 

 

「……とまあ、そういうこともあり。ゲーム開発部としても今後は真面目にゲームを作る方向に進んでいくようです。事前にユズ様だけは多少なりとも準備をされていましたから、ミレニアムプライスには間に合うのではないでしょうか」

 

「そうでしたか、それは良かった。ミアさんも肩の荷がおりましたね」

 

「いえ……今回は本当にありがとうございました、スミレさん。全ては貴女のお陰です」

 

「気にしないでください。大切な友人が困っていたら、助けたいと思うのは当然でしょう?」

 

 

 ゲーム開発部が部室に戻って行った後。

 入れ替わるようにしてここに訪れ、今はしゅりしゅりと見舞いのりんごの皮を剥きながら、しっかりと空気椅子をしてトレーニングに励んでいるその少女が。まさか本件におけるMVPであったなどとは。きっと当初だれも予想出来なかっただろう。ミアだってこんな結末、想像さえしていなかった。

 

 

「ミドリ様とモモイ様は、当初の想定通りアスナ様に負けてしまいましたから。アリス様の砲撃もあり、なんとかその場から逃げることが出来たとはいえ、本来であればそのまま鏡を取り戻すことは出来ませんでした。……スミレさん、貴女が密かに保管庫に忍び込んでくれていなければ」

 

「……出過ぎた真似だったと思います。私には何の関係もないことでしたし、完全な部外者であるのに関わるべきではないと。最後まで悩みました」

 

「そのようなことは……」

 

「それでも、その日はなんだか全然トレーニングに集中出来なくて。ミアさんがこの作戦に強い思いを抱いていたのは私も知っていましたから。それなら手伝ってから思う存分に、一緒にトレーニングをすれば良いと思い至りまして」

 

「……なるほど」

 

「ヴェリタスの方に相談してみれば、そのまま直接ビル伝に保管庫を目指せば良いという話になりましたので。潜入部隊としてそのまま入り込むことになったのです。頼りになれたのなら良かった」

 

「……感謝しかありません」

 

 

 勝負には負けたけれど、試合には勝った。勝たせて貰った。そんな結論に落ち着いた。

 それにミアからスミレに対する感謝というのは、何も今回だけのことではない。彼女とのトレーニングによって、ここ数週間でミアの身体能力は自分でも自覚出来るほどに強化されていたし、美甘ネルと手を抜かれていたとは言えあれほど戦えたのは、間違いなくトレーニング部での成果のおかげである。

 

 

「今後はどうされるのですか?ミアさん」

 

「一度トリニティに帰るつもりです」

 

「ミレニアムでのお仕事は終わりということでしょうか?」

 

「いえ、実はそろそろエデン条約が本格化するところでして。まだミレニアムで協力者を得るという仕事を果たせていないのですが、流石に戻るしかありません。約束もありますし、少々深刻な問題も起きていますので」

 

「……なるほど」

 

 

 ミレニアムでやらなければならないことは、実際まだまだ沢山ある。トリニティに一度帰った後、ある程度の事態と状況を把握して、恐らくその後はまたミレニアムに蜻蛉返りすることになるだろう。

 暫くはトリニティとミレニアムを往復することになるし、今回シャーレの後継機関のメンバーを集められなくとも、次の機会はある。もちろん早い方が良いに決まっているし、連邦生徒会からも催促は来るだろうが……我儘を言える立場でもない。限られた時間の中で、可能な限りの努力をして、それでも無理なら潔く諦めるべきだ。

 

 ……元よりシャーレの後継機関というのだから、初期メンバーはそれなりに優秀な者達で揃えたい。だがそんな優秀な者は何処にでも引っ張り凧だろう。簡単になど行く筈がない。その理想も下げなければならないという現実についても、視野に入れておかないといけなくて。

 

 

 

「……ミアさん。よろしければその後継機関とやらに、私を入れて頂くことは可能でしょうか?」

 

 

「っ、いいのですか?スミレさん」

 

 

 

 そんな突然の提案に、思わず目を見開く。

 ミアのそんな驚いた顔が珍しかったのか、スミレも少し驚きながら微笑んだ。どうやら冗談でもないらしい。既にトレーニング部に入っているはずの彼女が、トレーニングに全てを懸けていると言っても良い彼女が、そんな提案をしてくれた。

 

 

「……ですが、スミレさんにはトレーニング部があるのでは。仮にも入属するからには、多少の拘束時間を覚悟して頂く必要があります」

 

「ええと……その、実は今回の件でトレーニング部の存在が生徒会長の目に留まってしまいまして」

 

「リオ様にですか?」

 

「元々トレーニング部は、ミレニアム生の健康増進のためにとユウカさんの計らいで何とか部として承認をもらえていました」

 

「……部員の数ですか」

 

「ええ、トレーニング部は現在のところ私1人の部活。体験入部等で一時的に3人以上居る場合もありますが、流石に詭弁が過ぎますから。生徒会長は納得しなかったのでしょう。退部人数が多いというだけでも、問題アリと判断するには十分だったのかと」

 

「つまり、トレーニング部は……」

 

「寛大な処置もあり幸い完全解体とはなりませんでしたが、部費はなくなりました。正式な部としての承認も取消し。部室もトレーニング室という名称に変わることになりました」

 

「……スミレさん」

 

 

 ミアは、この乙花スミレという少女がどれほどトレーニングに熱心で、トレーニング部という自分の部活に誇りを持っていたかを知っている。上手くいかないことが多くとも、彼女なりに懸命な努力を続けていたことを知っている。

 ……それが、自分を助けるために手放すことになってしまった。トレーニングを行う場所は残っても、彼女の居場所は無くなってしまった。

 

 

「申し訳ありません」

 

 

 ただ頭を下げることしか出来ない。自分と関わったせいで居場所を失う羽目になってしまった彼女に、どんな詫びをすれば良いのか、ミアには分からないが。

 それでも……

 

 

「謝らないで下さい、ミアさん。実のところ今回の件について、意外にも私は悲しんでいないんです」

 

「え……?」

 

「だって私は、こうして共にトレーニングを楽しむことの出来る友人を見つけたのですから」

 

「……!」

 

「確かにトレーニングの素晴らしさを広めることは出来なくなってしまいましたが、代わりにミアさんとのトレーニングの時間の楽しさを私は知ってしまいましたから。得るものはあったのです」

 

 

 失うものばかりではなかった。

 代わりに得られたものがあった。

 だからトレーニング部がリオによって殆ど廃部の状態となった時にも、スミレはそれほどショックを受けなかった。むしろ次の行き先を、次の目的を考える余裕まであって、そうして考えてみれば思い浮かんだ行き先は1つしか無かった。

 

 

「トレーニングしか頭にない女ではありますが……可能な限り、ミアさんのお手伝いをしたいと思います。ですからその代わりに、今後も私と共にトレーニングをしてくれませんか?」

 

「………!!」

 

 

 そんな殺し文句。

 眩しいほどに爽やかで輝かしい笑みと共に差し出された右手を、ミアも静かに、けれど確かに取る。

 

 

「ありがとうございます、スミレさん。私からも是非お願いさせてください。どうかこれから先、私の力になって下さい……と」

 

「もちろんです、共に高め合いましょう。トレーニングの極致、その最果てまで」

 

 

 その瞬間、ミアはようやく納得した。

 自分が求めていた人物は。自分が共に肩を並べて欲しいと思っていた人物は。決して強大な力を持った人物ではなく、賢い人物でも、優秀な人物でもない。

 

 ただ、信頼出来る人物である。

 

 だってミアは既に、嬉しかったのだから。

 

 ハナコとスミレが共に肩を並べてくれるというだけで、これ以上ないほどに嬉しさと安堵を感じていたのだから。

 

 だからきっと、これは最善だったのだ。

 

 むしろ、最高だったのだ。

 

 これほどの幸運に恵まれることなど、早々あるまい。

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