「いやぁ、本当に助かったよ〜。2人ともありがとうね」
「いえ、お気になさらず」
「そんなことない、本当に助かった」
「そうですよ〜☆私あのまま本当に負けちゃうんじゃないかって思ってたところで……」
「……あ、浦和さんもありがとうございました!おかげで弾薬の補給も間に合いました!」
『いえいえ〜、お礼はミアさんに言ってあげて下さい。私は彼女のお手伝いをしているだけなので』
半壊した校舎。けれど彼等が普段使っている教室は無事だったらしく、今こうして怪我の治療と共に歓迎をされている。
捕まえられた便利屋とヘルメット団の一部生徒は隣の部屋に縛られており、この後に取り調べを行う予定である。……まあ歓迎とは言いつつも、実際のところはこちらも取り調べと変わりはしないだろう。結局のところアビドス側からしても救援の理由が分からないし、特にトリニティの生徒となれば容易く信頼することなど出来る訳もないのだから。聞きたいことも山程ある筈だ。
「それで?君達はどうしてアビドスに?まさか観光しに来た訳じゃないよねぇ」
「ホ、ホシノ先輩、それは流石に失礼なんじゃ……」
「アビドス高等学校を助けに来ました」
『ミアさん?流石にその言い分は少し怪しいので、もう少し上手いこと話せませんか?』
「た、助けにって……何故ですか?それはその、トリニティの上層部の思惑が絡んでいたり?」
「まあ、絡んでいないとは言えませんが。概ね私の意思です」
「か、絡んでるんだ……」
「……」
『あの、ミアさん。本当に少し黙っていてくれませんか?あとは私が話しますので』
「分かりました、お願いします」
まあ元より分かっていたことではあるが、この女は何処か他人への配慮というか、相手の気持ちを考えるという行為について少しばかり足りていないところがある。
もちろん決して出来ない訳ではないし、治療院を運営している以上、それは必須のスキルだ。ただ足りていない。成長途中とも言えるだろう。
明らかに警戒した目をしているアビドスの面々(特にホシノ)を見ればそれは明らかで、ならばここは先輩としてハナコが前に出るべきか。こういうフォローも今後必要になるのかもしれない。
「なるほど……つまりミアさんはアビドスの話をニュースで聞いて、トリニティを飛び出して来たと。そしてハナコさんはそんなミアさんをフォローするために、ドローンで追跡して来たということですね」
『そうなりますね。彼女はこの通りの人なので、トリニティとしても失いたくはない人材なんです。しかしどうも向こう見ずなところがありまして。このミアさんの突然の行動には、ティーパーティーの方でもかなり混乱しているところなんですよ』
「ふ〜ん?つまりは、とんでもないお人好しってことなんだね〜」
「いえ、私は私の目的のためにアビドス高等学校の支援に来ましたので。お人好しとは異なると考えます」
「……」
「……」
『……ほんと、もう少し黙っていてください。ミアさん」
「と、取り敢えず、悪い人ではなさそうですね」
事情については怪しいところはあるが、この嘘をつけないというか、嘘をつく気の一切ない人格面だけは信用出来るところだろうか。人を騙すとは無縁の場所にいるような姿を見せることもまた、警戒を解く方法の一つとも言えるのかもしれない。
「ところで、アビドス高等学校は全校生徒5人の学校だと伺っていましたが。もう1人は何処にいらっしゃるのでしょうか。ヘルメット団との会話から考えるに、誘拐されたと考えても?」
「……」
「……」
『もう少しデリカシーとか……』
「い、いえ、まあそれは事実なので……」
「……黒見セリカちゃんって言う子なんです。少し前にヘルメット団から夜間に襲撃にあったみたいで。それ以降、足取りが掴めていないんです」
『先ほど捕らえたヘルメット団から何か情報は?』
「それは無かったかなぁ。どうも別働隊の仕業みたいでねぇ、殆ど情報は持ってなかったよ」
「………ふむ」
そんなデリカシーの無さまで露呈し始めた女は、一通りの話を聞くと、携帯端末を取り出して何処かに電話をかけ始める。そんな姿を見てハラハラするのはハナコの方であり、まさかこのタイミングでナギサやセイアに電話をかけないだろうなと恐ろしくて仕方がない。
もちろん、そんな彼女の後姿をアビドスの面々も微妙な顔で見つめているし。
「どうも、お久しぶりです。いつぶりでしょうか。……ええ、それなりに元気にはさせて頂いています。ところで本題なのですが……はい?いえ、前置きは不要かと。また直ぐにそちらにお伺いする予定もありますので。ええ、ですから本題に移っても?そうですね、風情のない女で申し訳ありません」
『……』
「……」
「実は今アビドス高等学校に居るのですが、黒見セリカという少女が誘拐されたそうでして。どうにか行方を知ることは出来ませんでしょうか。……はい?アビドスに居る理由?それは黒見セリカさんを救うために必要な情報なのですか?……そうですか、ではお願いします。ええ、ええ、分かりました」
「うう〜ん、電話の向こうの相手の顔色が分かる……」
「歯に衣着せぬ物言い」
「あ、あはは……」
「……分かりました。それでは後ほど黒見セリカさんの端末の情報と現時点での捜索情報を送付しますので。はい、ありがとうございます。……?私のトリニティ内での立ち位置?さあ、それほど悪くはないのではないでしょうか。不満等は今のところありません。【ミレニアム】にですか?今のところ戻るつもりはありませんが」
「「「『!?』」」」
「ええ、またそのうち挨拶に参りますので。詳しい話はその時にでも。はい、よろしくお願いします。それでは」
「「「『………』」」」
「すみません、いくつか情報をいただきたいのですが………ん?なにか?」
「「「『いやぁ……』」」」
トリニティの上層部に連絡しているのかと思ったら、ミレニアムの生徒に連絡していました。
……いやまあ事情を知っているハナコからすれば分かる話ではあるのだけれど。まさかそれをこうも堂々と明らかにするとは思っていなかった。それも彼女の性格を考えれば、なんら不思議でもなかったりはするが。
「一先ず、データを送信したら少し時間を取りましょう。その間に私は便利屋の方々とお話しして来ますが、どなたか見張りに来ますか?」
「……ホシノ先輩」
「いや、うん……それならシロコちゃん、案内したげてよ。おじさん達はハナコちゃんと、今後のことを話し合わないといけないからさ」
「ん、分かった」
「ではハナコさん、その辺りの調整はお任せします。回答がありましたら共有しますので」
『……はあ、分かりました。ただ最終的な方針や選択は私はしませんから、そこは絶対ですよ』
「もちろんです、それでは」
『……』
その『選択』にかかる責任の重さが分かっていないのか、若しくは分かっていても断言しているのか。それなりに頭の良い彼女であるのだから、恐らくは後者なのだろうが。ハナコからしてみれば、そんな彼女の度胸が羨ましいばかりである。
……ただ、だからこそ思うこともある。それこそがカリスマと呼ばれるものであり、人間を惹きつけるに必要な性質なのではないかと。
(……彼女なら、もしかしたら)
案内すると言う名目にも関わらず迷うことなく教室を出て行こうとした彼女を、砂狼シロコが慌ててトコトコと着いて行く姿を見送る。
はてさて、この先どうなるのか。楽しみのような、不安のような。どちらにせよ退屈になることは確実にないだろうことは確信しているので、ハナコはもう一度身体を伸ばしてから、ドローンのカメラをホシノ達の方へと向けた。
さて、一方で捕らえられた便利屋68の面々はと言えば。
「ええぇぇえ!?!?ぜ、全部話しちゃったの!?依頼のことも!?い、依頼主のことも!?」
「仕方ないでしょ。そうでもしないと許されそうになかったんだから」
「あはは、期待通りの反応じゃ〜ん?ちなみにまだ許されてませ〜ん」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい、情けなく負けてしまってごめんなさい……」
「ハルカ、大丈夫。一番情けなかったの社長だから」
「うっ、うるさいわね!今はそんなことどうだっていいのよ!」
気絶から意識を取り戻した便利屋68社長の陸八魔アルが目にした光景は、小さな教室に縛られた上で敷き詰められた便利屋の面々とカタカタヘルメット団の不良生徒達。
そして先に起きていた、というより別に寝ていないカヨコから淡々と告げられる、自分が寝ていた間にあれほどの優勢を覆され、依頼が失敗したどころか依頼主の情報まで渡してしまったという大失態。
「まあまあ、仕方ないって。突然トリニティからの援軍が来るなんて誰も思わないし、それもあんなとんでもない子が出てくるなんてさ。ねえ?」
「ト、トリニティ!?なんで!?」
「……アビドス側も完全な想定外だったみたいだし、トリニティってことは間違いなく政治的な思惑もあると思う。ここにカイザーも入り混じった三つ巴になると考えたら、むしろ先に捕まっておいて良かったのかも」
「み、三つ巴ですか……?」
「信用の出来ないカイザーを背中に背負いながら、アビドスとトリニティと戦いたくなんてないでしょ。エデン条約のことを考えると、最悪うちの風紀委員も動くかもしれないし」
「ひえっ……」
「なるほどねー、それは確かに捕まって閉じ込められてた方が楽かー」
「私達に人質としての価値はないから、余計にね」
「た、確かにそうね……」
アビドスに対するカイザーによる攻撃、自分達が雇い主を明かしたことでそれは明確になった。そしてそこに何の目的かトリニティが介入し、アビドス側に付いた。最早ここから先の展開を想像する事は難しく、エデン条約の話が再び持ち上がり始めているこの時期、トリニティの動きに対してはゲヘナ側もより過敏に反応するはず。
……特にゲヘナ出身の自分達がここに居るとなれば、それは余計に。
そうなるとやはりカヨコの言う通り、今回の依頼は諦めて、素直にアビドスに囚われていた方がマシだろう。四方八方が敵になる可能性を考えれば、いくら大口とは言えカイザーにそこまで肩入れする義理もない。
「では、今度は私が貴女方の雇い主となりましょう」
「「「「!?」」」」
「改めて自己紹介を。トリニティ総合学園の甘使ミアです。今日は皆様にそれなりに価値のある取引を持ち掛けに参りました」
「……ねえムツキ、もしかしてだけど」
「うん、この子がアルちゃんの頭にドロップキックして無様に地面に突き刺した子」
「無様には余計よ!!」
「……新しい雇い主、ね」
「あはは、いやぁ面白いこと言うよねぇ。さっきまで銃口向け合ってた仲なのにさ」
扉を開けて開口一言目がそれなのだから、やはりそれとなく感じていた彼女に対する第一印象はそれほど間違ってはいなかったのだろうとカヨコは思い直す。
トリニティの生徒らしくないというか、余計なことを省く合理性というか、脳筋というか……情報の中での存在でしかないが、どことなくトリニティ救護騎士団の現団長を思い起こさせるような振る舞い。その真っ直ぐ過ぎる目に貫かれていると、やはり居心地が悪くなる。
「さて。どうでしょうか、便利屋の皆様。私に雇われてみませんか?」
「や、雇うって……あ、あまり舐めないで欲しいわね!私達にも矜持ってものがあるのよ!!今回は傭兵を雇わなくても済んだからお金に余裕だってあるんだから!お金でなんでも言うことを聞くだなんて思ったら大間違いよ!」
「……?金さえ貰えれば何でもやるのが便利屋では?」
「だからって雇い主を簡単に裏切るなんてことはしないわ!信用は大事なの!」
「ふむ、そういうものなのですか……」
「……?」
「……社長、一旦話だけでも聞いてみたら?少なくともカイザーよりはマシそうな相手だし」
「うっ……まあ、それはそうなんだけど……」
ミアからの言葉を受けて、シロコはヘルメット団の生徒達を隣の教室へと運んでいく。どうやらこの話をするに、彼等は邪魔だという判断なのだろう。……というか、カタカタヘルメット団に関して言えば、必要な情報は既に抜いてあるので解放してしまっても良いのだが。敵の戦力を少しでも減らすために捕まえているだけで。
「……分かったわ、話くらいは聞いてあげる。カヨコ課長、あとはお願い」
「またそうやって押し付けて……まあ、いいけど。ちなみに、質問にはどの程度答えて貰えるの?」
「可能な限り」
「……分かった。じゃあまず目的は?トリニティはアビドスで何かをするつもりなの?」
「それは勘違いです。私の行動はトリニティに決められたものではありません、私の意思によるものです」
「……つまり、独断行動ってこと?」
「ティーパーティーの許可は得ています。私はアビドス高等学校を救うためにここに来ました。この件についてティーパーティーの方々が何かしら思惑を持っていたとしても、私はそれを知りません」
「ああ、一番厄介な奴だ……」
「そ、そもそもよ!どうして私達を雇う意味があるのよ!トリニティの力を借りればいいじゃない!」
「エデン条約が近いので」
「そういえばそうだった……!!」
「……仮にもゲヘナの生徒である私達と組むのはどうなの?」
「そのリスクより貴女方を雇用するメリットの方が大きいと判断しました。元より便利屋68の実力は耳に入っていましたので、今後も長いお付き合いをしたいと考えております」
「そっ………そうなのね……ま、まあ?人を見る目くらいはあるようね?その点だけは認めてあげなくもないわ?」
「アルちゃんめっちゃ嬉しそう」
「社長……」
「ち、違うわよ!?まだ協力するなんて言ってないじゃない!!」
「あはは、まだって言った〜」
「だ、だから違うんだってば!!」
相変わらずチョロい我等が社長に軽く溜息を吐くが、しかしまあこうなってくると、概ねここから先の展開は予測できてしまうというもの。その程度には付き合いが長いし、何度も見て来た展開でもある。
……なればこそ、カヨコのやるべきことは。
「まず、アンタの目的はアビドス高等学校を守ること。それと攫われた生徒を救い出すこと、それでいい?」
「ええ、カイザーはそれほど容易く潰せる勢力ではありませんから。とは言えアビドス高等学校はカイザーに借金をしている身、この辺りを上手く納めるためには相応の策は必要でしょう」
「……私達を雇った程度で、どうにかなる戦力差とは思えないけど」
「であれば戦力を更にかき集めるだけです」
「……」
「便利屋である貴女方は、金銭を支払うだけでその戦力となってくれる。これは私にとってあまりにも有益な存在です。これから先向き合うであろう数多の困難を相手に、少なくとも金を支払うだけで質が高く信頼の出来る4人を確保出来るのですから。私はその価値を誰よりも理解していると自負しています」
「……まだ信頼を築いたつもりはないのだけど」
「私の友人が貴女方を信頼していた。私が貴女方を信じる理由はそれだけで十分です」
「???」
「……社長、このタイプは何言っても無駄だと思う。目的のためなら理屈も障害も殴り倒すタイプだから。話が通じない」
「そ、そうなの?」
そして、それと同時に、きっと目を付けられた時点で拒否権などない。この女はそう決めたのであれば、そうなるように全力を尽くす人間である。もしここでアルが断ったとしても、それで諦めるほど簡単に話が済むはずがない。
「取り敢えず今回の仕事の報酬は……ふむ、この辺りで如何でしょう。相応かどうかは分かりませんが」
「っ……さ、流石はトリニティのお嬢様ね。この額をポンと出せるなんて」
「投資に関して師事を受けましたので。我を通すためには金銭も必要です」
「と、投資……?か、かっこいい……」
「社長」
「懸念すべき事柄は多くあるかと思いますが、一先ず今回だけでも協力願えませんでしょうか。このままでは誘拐された黒見セリカさんが殺されてしまう可能性があるそうなので」
「「「「!?」」」」
「単純な話、1企業が利益のために生徒を誘拐したことが知られれば、いくらキヴォトスと言えど流石に問題になりますから。アビドス高校への人質という役割が無くなれば、証拠隠滅の為に人知れず処分するのが最善という理屈になるでしょう。しかし、それは流石に困ります」
「そ、そうなの?カヨコ」
「……まあ、無いとは言えないかな。カイザーの系列がキヴォトス全体に蔓延ってる今、連邦生徒会も迂闊に手は出せない。明確な証拠さえ残さなければ、罪には問われても大きな処分は下されない。最悪アビドス側の言い掛かりって言えばいいし、真剣に捜査もされないかも」
「もちろんアビドス高校を素直に明け渡すのであれば、無事に帰っては来られるかもしれませんが。それを断った場合、若しくは人質を使わずともアビドス高校を手に入れられる状況になれば、余計なリスクを回避するためにやはり彼女は処分される可能性があります。生かしておく意味がありませんし、解放する利点もありません」
「そ、そんな……じゃ、じゃあもしさっきの戦いで、私達が勝ってたら……」
「……」
「……社長」
「あ、アルさま……」
「……っ」
生徒を殺す。
生徒が死ぬ。
それはこのキヴォトスにおいて普通に暮らしていれば到底遭遇することのない事象であり、だからこそ馴染みがなく、だからこそ激しい抵抗感の生まれるものである。
だが、それはカイザーのような企業にとっては確かにそれほど懸念すべき事柄ではないのかもしれない。元よりカイザーというのはそういう企業だ。そうやって事業を拡大して来たし、その礎としてどれほどの犠牲があったのかは想像も出来ない。
その礎に屍が1つ増えた程度のこと、彼等にとっては大したことではないだろう。むしろ誘拐の件が連邦生徒会に知られることの方が面倒だと考えるくらいだ。
……もし、自分達の行いが1人の善良な生徒の命を左右するものであったとしたら?
いくらそれが依頼によるものだとしても、自分達が直接手を下したことではないとしても、陸八魔アルは納得出来るだろうか。確かに見方によっては彼女の志すアウトローらしい行動ではあるかもしれないが、彼女の目指すアウトローに当て嵌まるかどうかはまた別の話。
というよりは、まあ。
「そんなの!アウトローじゃないわ!!」
「……まあ、そうなるよね」
「いや〜、アルちゃんだね〜」
「アルさま……!」
「いくら依頼主だからって、そんなことにまで協力なんか出来ないわよ!殺しは駄目!これを肯定して良い理由なんて絶対にないわ!片棒だって担ぎたくない!」
……もっと言うのであれば、大切な社員達にそんなことに加担させたくない。確かに目指すはアウトロー、かっこいい無法者ではあるけれど、それとこれとは話は別。金銭のために罪のない女子供の命を奪うなど、そんな情けないアウトローに憧れたわけではない。
「いいわ!その話に乗ってあげる!カイザーをぶっ倒して、人質の子を助ければいいんでしょう!?やってやるわ!キヴォトスの生徒を舐めんじゃないわよ!」
「ひゅー!カッコいいー!いいよいいよ!全部ぶっ壊しちゃおー!」
「……はあ。なんか上手く乗せられた気がするけど、仕方ないか」
「ま、任せてください!全部壊せばいいんですよね!?が、頑張ります!」
「……すごい、本当に説得したんだ」
「こういう方々とは聞いていましたので、ここについてはそれほど憂慮してはいませんでした。むしろ問題は……」
「?」
「いえ、一先ずは喜ぶとしましょう。申し訳ありませんが、皆さんを呼んできて貰えますか?時間がありませんので」
「う、うん、分かった」
間に合うのかどうか。
それは時間的な意味だけではなく、戦力的な意味合いもまた含まれる。条件は色々とあるが、どうやったところで余裕がある訳ではない。
「可能な限りの努力を……それしかありませんから」