Blue Mirror Archive ~ぶるぅみらーあぁかいぶ~   作:10級フィクサー

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迷子の子猫を探しています

 

 

「......いかがせば、セリカ嬢と睦まじくなるべし。」

”うぅむ、うーん、何かきっかけがあるべけれどぞ..."

 

イサンがアビドスに到着してから数日が経った頃。

イサンと対策委員会の一行は、未だ借金の返済に向けて奔走していた。

そんな中、イサンはセリカとの関係修復に頭を悩ませていた。

......こうして、鏡の中の自分―シャーレ顧問人格―と会話をするくらいには。

 

『マタタビなんてどうでしょうか!猫はマタタビをよく好むそうですよ!」

「マタタビ?」

” ......猫のようなれど猫ならず。"

 

そうして一通り話し終わった後、イサンはアビドス自治区を散歩しに行く。

さっきの会議に加えて、これもイサンの日課になっていた。

街を歩き、自分の眼で見る。

見れば見る程、知れば知る程、復興への道がか細いものだと痛感する。

それでもイサンが考えることをやめないのは、対策委員会が日々努力する姿を知ったからだろうか。

 

「......あれは、セリカ嬢?学校はいま始まれるされど...。」

 

イサンが住宅街をうろついていると、見知った姿が見えた。

 

「セリカ嬢。」

「げ、先生じゃん...ていうか、嬢呼びはやめてって言ったでしょ!」

「う、ううむ...。」

 

と、苦い顔をするイサンを鋭い目つきで睨みつつ、

 

「それで、こんな朝っぱらから何してんの?」

「散歩なり。」

「散歩~?アビドスのために頑張るんじゃなかった?バイトでもなんでもしてほしい所だけど?」

「第一に、まず街を知らずは。君らに聞くもよけれど、おのれの眼に見るが大事なり。とかく、実際の状況に即せし行ひせずはなれば。」

 

思っていたよりもしっかりした回答が返ってきたようで、セリカは勢いを弱める。

 

「......ふーん。まあ、勝手にやってれば。私はもう行くから。」

「どこへ?」

「アルバイト!どこで働いてる、とかは言う気ないから!着いてこないでよね!」

 

と言ってセリカは走り出す。置いて行かれたイサンは立ち尽くしながら、

 

「アルバァイトゥ......?委員会の皆に聞かば分かるやな。」

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

 

「いらっしゃいませー!何名様でしょう......か!?

「5名様です~☆」

「あはは...ごめんね、セリカちゃん...。」

「ん、お疲れ様。」

「柴関らあめん...なりや?」

「先生まで!?」

「セリカちゃん早く案内してよ~。お腹ペコペコ~。」

「うぅ...ホシノ先輩...!」

 

セリカは赤面しながら取り乱しているが、大将に催促されると、諦めたようにうなだれながら案内をし始める。

 

「......こちらへどうぞ...。」

 

「うへ、ちょっとからかいすぎちゃった。」

「ホシノ嬢、助かりしぞ。」

「どういたしまして~。セリカちゃんと、なんとか仲良くなれるといいんだけどねぇ。」

 

一行は案内された席に向かい、

 

「イサン先生、隣空いてるよ~。」

「うむ。」

「あ~っ、となりに座っちゃうんですね~?」

「うへ?いや、そういうわけじゃないんだけど...。」

「ん、私の隣も空いてる。」

「私の隣も空いてますよ~☆」

「......。え、わ、私待ちですか!?」

 

セリカは聞いていられないという様子で、

 

「ご!注文は!」

「ん、もっと丁寧に。」

「ご注文はお決まりでしょうか!?」

「ふふっ...あ、私は味噌で...。」

 

各々注文を済ませると、大将が手慣れた手さばきで調理を終え、セリカが運んでくる。

 

「はい、特製味噌ラーメンの炙りチャーシュートッピングと、味噌ラーメン。残りも出来てるから、ちょっと待ってて!」

「ありがと~。」

 

イサンの元に運ばれてきたのは、食欲をそそる見た目をした、とても美味しそうな味噌ラーメンだった。私は物を食べられないけれど、それでもその味が素晴らしいものだということが伝わってくる。

 

「...!美味なり。」

「でしょ~?柴関ラーメンは私たちの行きつけなんだ~。」

 

全員分のラーメンが運ばれ終わると、店のドアが開く音がする。新しい客が来たのだろう。

 

「それじゃ、私もう接客に戻るからね!いらっしゃいませー!」

「あ、あの...ここで一番安いメニューってなんでしょうか...。」

「一番安いメニュー...は、580円の柴関ラーメンです!」

「あ、ありがとうございます!」

 

と言いながら、客は外に出ていく。何事だろうか、とイサン達が目を向けると、ぞろぞろと4人組でまた入店してきた。

 

「ようやく600円以内のメニュー見つかったねー!」

「ほら、あったわよ!言ったでしょ?全部想定内だって。」

「さ、さすが...!」

「......その割にはさっきまで不安そうだったけど。」

 

やってきた四人組は、そのまま1人前のラーメンのみを頼んだ。どうやら対策委員会と同じく苦学生のようで、なんとか少ないお金で食べられる店を探してやってきたようだった。

 

「あの制服はゲヘナでしょうか。私たちと同じで、お金がないみたいですね...。」

「うへ~、なんだか私たちを見てるみたい...。」

 

と、イサン達が話していると、先ほどの四人組の席に大量のラーメンが運ばれる。

 

「あ、あの!私達こんな大きいラーメン、頼んでないです...。」

「いえいえ、柴関ラーメン並、ですよ!」

「ああ、つい手先が狂っちまってな。すまねえが食べてもらえるか?」

 

「お~、セリカちゃんも粋なことするね~。」

「......優しき子かな。」

「そうなんです!セリカちゃんは優しいんです!」

「ん。先生には、まだああいう態度だけど......でも、」

「本当はすっごくいい子なんですよ☆」

 

と、イサン達が話していると、

 

「お、おいしい!」

 

と、感激するような声が聞こえてくる。

 

「ふふっ、おいしいですよね?」

「あ、隣の席の...」

「ええ、とっても美味しいわ!」

 

ノノミが話しかけると、4人組は少し驚きつつも喜んで会話を続ける。

訪れた幸運にテンションが上がっているようだ。

 

(......あの制服って...。)

(アビドス。社長は気づいてないみたいだけど。)

(......ま、いっか。)

 

 

 

そうして、楽しい瞬間は過ぎていく。

新たな嵐を連れて。

 

 

 

―――――――

 

 

 

それは、その日の夜。

セリカが......誘拐された。

一枚の招待状と共に。

 





匿名でやっていたんですが、活動報告をやってみたくなったので外しました。
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