Blue Mirror Archive ~ぶるぅみらーあぁかいぶ~   作:10級フィクサー

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今日は続けてもう一話投稿します。
解釈違いなどあると思いますが温かい目でお願いします。




怨嗟と魔王

―黒見セリカは預かった。二年ぶりの宝探しだ、小鳥遊ホシノ。―

 

それは、一枚の紙きれだった。乱雑に切り取られ、殴り書きされたその紙は、差出人が持つ狂気をイサンたちに感じさせた。

 

「宝探し。ゲームでもやっているつもりなのでしょうか。」

「悪趣味。」

「この紙からだけじゃ、要求も何も分かりませんが...」

 

ホシノ先輩、何か心当たりはありますか。アヤネがそう言いながら目線をホシノに向けると、

 

「......そんな。なんで、どうして。」

 

そこには、ひどく青ざめ、狼狽するホシノがいた。

 

「ホシノ、先輩?」

 

はっ、と我に返ったホシノは、顔に笑顔を貼り付けながら言う。

 

「い、いや~。私にもよく分からないな~。......なんて言っても、もう取り繕えないか。」

「......何かあったんですよね。ホシノ先輩がそんな顔するなんて。」

「うん。あった。」

「なら教えてください!セリカちゃんを今すぐ助けに行かないと...。」

「......。」

 

ホシノはひどく苦しそうな顔で、ただ下を向いてうつむいていた。

アヤネもそれに気づいたようで、勢いを弱める。すると、ノノミが優し気な口調でホシノに語りかける。

 

「ホシノ先輩。言いたくない過去があるなら、言わなくてもいいんです。誰にだって、そういうものがあるから。」

「......ノノミちゃん。」

「ん...でも、私たちはセリカを助けにいかなくちゃ。」

「うん。」

「だから、言える範囲で良いんです、ホシノ先輩。」

「......ただ、言ふべきことを、伝ふべきことを、後悔せぬように。」

 

ホシノは深く息を吸い、ぽつり、ぽつりと話し始める。

 

「場所には、心当たりがあるんだ。ただ、私......おじさんしか知らないはずのことだから、ちょっと混乱しちゃった。」

「ホシノ先輩......!」

「みんなのこと信頼してないとか、そういうわけじゃないんだよ。」

「ん、分かってる。」

「それでも、一人で抱え込んじゃうんですよね。」

「うん。」

 

みんなにはかなわないな、と、ホシノは少し照れた表情で、

 

「たぶん、場所は大オアシス。昔、先輩と一緒に宝探しをした場所。ただ、誘拐犯が誰か、とかは本当に心当たりがないんだ。」

「十分です、ホシノ先輩!」

「準備はもう済ませてる。」

「行きましょう!」

「うむ。セリカ嬢を助けに。」

 

「......うへ、みんなすごいなあ。」

 

 

 

 

 

 

―――――――

 

 

 

 

遮るものがない夜の砂漠は、とても寒く、そして心細い場所だ。

それでも唯一、空を埋め尽くす星のみが輝いていた。

校舎に残ったアヤネのナビゲートのもと、対策委員会は大オアシスへと歩みを進める。

 

「ここが、大オアシス...。」

『もう干からびちゃってるみたいですね...。』

「......。」

 

ホシノは大オアシスが近づくにつれて口数が減っていき、今では完全に沈黙していた。

そこには恐れもあるのかもしれないが、むしろ、それを覆い尽くすほどの集中があった。

本能で感じ取っているのだろうか。

 

首筋にあてがわれた、死神の鎌と呼ぶべきほどの――

 

「――皆、今すぐ構え――」

 

殺意を。

 

「――!」

 

何処からともなく放たれた散弾を、ホシノが盾を以て受け止めた。

あまりに激しい衝突音は、その散弾の凄まじき威力を表している。

 

これは、今まで対策委員会が経験してきた戦いのどれとも違った。

ただ殺傷のみを目的とした狙いと威力。

そうして理解する。

――これは、生きるか死ぬかの戦いだ、と。

 

盾を弾き飛ばされ、ホシノの体勢がぐらつく。それはこの戦いにおいて致命的な隙。

 

「ホシノ嬢っ!」

 

当然、対策委員会は即座にリカバリーに向かう――が。

 

「おっと、行かせないわよ。」

 

そう易々と向かわせてくれるわけがない。

先ほどの弾丸とは別の方向から、一発の狙撃弾が放たれ、続いて爆発が起こる。

 

『――ラーメン屋の、あの四人組!』

「恩知らず、ですね。」

「構ってる時間はない。どいて。」

 

ホシノに向け、再び弾丸が放たれる。ホシノが受け止めるには難しい状況。逃れられぬ死。―――だが、

 

「...ふっ!」

 

その程度でホシノは死ななかった。

弾丸に向かってショットガンを撃ちこみ、散弾と散弾が衝突する。

まさしく神業。弾丸を以て弾丸を撃ち落とす。幾多の戦闘を潜り抜けた猛者のみに許される選択だった。

続けて2発、牽制の目的で射撃する。

生まれた余裕を活かして、盾をキャッチしつつ体勢を整える。先ほどは奇襲で乱されたが、正面から受け止めれば、ホシノにとっては問題なく受け止めきれる。

 

今一度、ホシノは敵を見据える。

辺りは暗い。仮面を被っているのだろうか、敵の顔は見えない。

 

「わざわざ宝探しなんて書いたんだし、一人で来ると思ってたけど。」

「いい後輩がいるんだ。それで、いったい誰なの?おじさんのこと、随分知ってるみたいだけど。」

「ふ、ふふ。おじさん、ね。数多のホシノを殺してきたけど、同じようにふざけた猿真似をしてたよ。」

「数多のホシノ?何言って―――」

「全てのホシノは、死なねばならない。」

 

返答の代わりに放たれた弾丸に、ホシノは反射的にカウンターを放ち、火花が辺りを照らす。

ホシノの放った弾丸は正確に仮面を打ち抜き、敵の素顔が露わになる。

 

そこに見えたのは、自分の顔。

 

「――”私”?」

「そう。私はホシノ。―――全てのホシノを殺す、魔王。」

「まさか、鏡技術?」

「いや......まあ、問答は此処まで。――殺す。」

「――こっちのセリフ。」

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

「時間がないんです。どいて下さい。」

「ごめんねー、私達にも事情があってさ。」

「話し合いは無意味。力ずくでどかせる。」

「......はあ。」

「ごめんなさい...ごめんなさい。」

 

イサン達がホシノの元に向かうのを執拗なまでに阻止するその手腕と連携には一部の隙もなく、彼女たちもまた、このキヴォトスで有数の強者であることが分かる。

しかし、何故だろうか。

 

「...そうよ、私たちはお金さえもらえればなんでもやる...。」

「便利屋、68なのよ。」

 

彼女たちが、苦しんでいるように見えるのは。

 

イサンはページを破る。

 

人格変更

連邦捜査部『S.C.H.A.L.E』顧問

000 イサン

 

”......全員、私の指示に従いたまえ。”

 

 

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