Blue Mirror Archive ~ぶるぅみらーあぁかいぶ~   作:10級フィクサー

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虚無

アルのE.G.Oの能力は、大まかに言えば炎を操ること。

彼女の炎は望む者を焼き、望む者に心地よい熱を与える。

その炎の活用法は様々なようだが、特に移動に長けているようだった。

 

彼女は炎でチャリオットを形成し、全員を乗車させると、爆発的な推進力によって、流星の如き速さでホシノの元へとたどり着いた。そして、あのスピード、空中という不安定な環境、姿勢にも関わらず、完璧なヘッドショットを決めてみせたのだ。

 

『これが、E.G.Oの力......!』

「とにかく、始めましょう。」

「ん、ホシノ先輩を守らないと。」

 

アルの射撃と同タイミングでチャリオットから地上に飛び降りたイサンたちは、包囲しつつ魔王を見据える。

そこには、二人のホシノがいた。

 

「あれが首謀者、って、ホシノ先輩が二人!?」

「へぇ、だからあんな趣味の悪い仮面してたんだ。」

「ふぅむ。鏡技術はあくまで自己の可能性をつかみ取る技術。PDA文書のもつ鏡技術もそは同じかりき。」

「鏡技術じゃない、みたいなこと言ってた気がするよ。おじさんにはよく分からないけど。いてて......。」

「仮に鏡技術ならずとすと......次元間転移......?」

「考え込まないでください!今は戦いに集中しましょう!」

「あ......おほん。」

 

混乱しつつも、一旦考えるのは後にすることにしたようで、全員が迷いなく行動をする。

 

『この場で倒せるのが一番良いのですが、魔王の戦力は未知数、さらに私たちはかなり疲弊しています。』

『そのため、アルさんの力でアビドス高校に退却し、態勢を立て直すことを目標とします。』

『しかし、無理に退却しようとすれば魔王は必ず撃ち落としてくるでしょう。ここで一度、大きい隙を作る必要があります!』

「......なるほどね。説明ありがとう、アヤネちゃん。」

『頑張りましょう、ホシノ先輩!』

 

人格変更 連邦捜査部『S.C.H.A.L.E』顧問 イサン

 

”ホシノ嬢、動くべしや(動ける)?”

「まあ、なんとかね......。気分は最悪だけど。」

”今ここは修羅場なり。やるべきことを最大限やらむ。”

「うん。」

 

ホシノは立ち上がり、ショットガンを構える。

 

「あいつに一発、ぶち込まないと気が済まないんだよね。」

”頼もしき。”

 

現在、魔王をアル率いる便利屋68、そしてセリカが抑えつつ、先ほどの戦いで兵装を大量に消費したシロコとノノミは援護に回っていた。

 

”状況は、こちらが劣勢なり。”

「皆疲弊してるし、残弾も残り少ないからね。......あいつは無駄のない動きで、必要な時に必要な攻撃をする。あいつが隙を見せるより、こっちが全滅するほうが早そうだけど。」

”ふぅむ。先の戦闘で、資源は十分溜まりき......。”

「資源?」

”E.G.O、先ほどより炎を操れるアルのごとき力を、私達も使ふなり。”

「ああ、あれ......夢でも見てるのかと思ったよ。」

”とはいえ、精神力を大量に使へば......”

「今の私には、ちょっときつそうだね。」

”......私がやらん。”

「よーし、がんばろっか。準備が出来るまではおじさんたちに任せて。」

 

”さるほどに、使ふE.G.Oは......良きものの来ることを願ひて抽出せむや。アロナ、頼みしぞ。”

『はいっ!抽出、スタートです!』

 

 

一般抽出

 

 

イサンは戦場全体を俯瞰しつつ、魔王の行動を分析。E.G.Oを当てる隙を見定めつつ、生徒たちへの指揮も並行して行う。

ハルカは前衛としてかなり優秀だが、魔王を相手にして完全に抑えきることはやはり難しいらしく、段々と押し込まれていっている。

 

「うぐ......アル様、すみません......!」

「相手が相手だもの、しょうがないわ。ハルカが抑えきれない分は私たちがカバーしてみせるから!」

「アル様......!」

 

「どれだけ足掻いても、結局私には勝てない......あそこで分からせたつもりだったけど。」

「そんなの最後までやってみなきゃ分かんない、よね!」

 

ムツキの地雷が爆発する。直撃したにも関わらず、魔王はただ進み続ける。

 

「うわ~、全然効いてないじゃん!」

「ふぅ......それでも最善を尽くさないと。」

 

アルは炎を銃身に集めつつ、魔王の一挙手一投足を見逃さぬように構える。

 

「やっぱり......私が使える炎の量には限界があるみたい。退却の時の事も考えると、撃ててあと一発かしら。」

 

考えれば考える程、後がない状況。それでも、炎は不思議と頭を冷やしてくれる。先ほどまでは少し熱くなりすぎていた。逆境こそ、ハードボイルドは、クールに笑う。

 

「やってみせるわ―――はっ!」

 

アルは引き金に力を込め、一発の弾丸を放つ。

放たれた炎は、魔王の体に纏わりつき、焼き尽くさんとその勢いを増して行く。

 

「ぐっ......だけど、最初の一発に比べたら火力が弱いんじゃない?」

 

アルは笑みを崩さない。

 

「私の炎は焼くだけしか能がないわけじゃないのよ?」

「一体どういう――」

「こういうこと。」

 

アルが指を鳴らすと、魔王に纏わりついていた炎が形を成し、鎖として体を拘束する。

 

「なっ!?だけどこの程度っ!」

 

魔王が大きく力を込めると、鎖はミシミシと音を立てて崩れていく。

これだけでは足りない。だからこそ、

 

「あとは任せたわ!」

 

”よし、よきE.G.O引けき。”

『アロナちゃんのおかげです!』

 

イサンがつかみ取ったE.G.Oは、リンバスカンパニーでも見慣れ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

特定抽出

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

”正しい道はどこだろう。どこに行くべきなんだろう。”

”この先が崖か溝か分からないんだ。”

”私を導いてくれる勇気あふれる犬はどこにいるの?”

”心が空虚だ、考えが空虚だ。そうする程に恐怖が無くなる。”

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ALEPH

虚無

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「......。」

 

ホシノが黒い道化師の姿に変わる。

地面が、空が、世界が、虚無に塗りつぶされていく。

 

 

 

”何で―――。”

 

 

 

 

「―――あ」

 

 

 

”考え深くなった道化師。可哀想なあの道化師。自分を導く勇猛な子犬も居ないくせして、意味もなく足だけを運びます。”

 

 

 

 

 

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