Blue Mirror Archive ~ぶるぅみらーあぁかいぶ~   作:10級フィクサー

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初投稿です。




沙上の夢

昨日の晴天とは打って変わって、打ち付けられる雨に、地面を覆う砂は湿り、舞う砂埃は悪戯に私をくすぐる。

私は一つくしゃみをし、目を擦りながら見慣れた景色を歩く。

 

かつては栄華を誇ったこのアビドスも、今となっては見る影もない。

砂上の楼閣、というやつだったのだろう。

とはいえ、そんな昔の光景にはあまり興味がない。

 

もちろん、対策委員会委員長として、”生徒会副委員長”として、アビドス復興に対するある種の使命感というものはあるし、アビドス高校をこのままの状態にしておくわけにもいかないことも分かっている。

借金の返済の為に、大切な後輩たちの青春を犠牲にせざるを得ないことに対する不甲斐なさも、その現状を変えることすらできない無力感も、当然ある。

 

だけど、私が”先輩”と過ごしたあの時間は、吹き荒れる砂によって形作られたものであって、見たこともないような栄華が生み出したものではない。

もし、このアビドスが元の栄光を取り戻す未来があったとして、仮にこの景色が眼前から消えてしまうのだとしたら、私は...私は、それを願うのだろうか。

 

それはさておき。...私は足を止める。

 

今この場で重要なのは、ここアビドスは廃墟に等しく、間違っても一般人が散歩に来るような場所ではないということ。

 

つまり、

 

”目の前の人影”は、私にとって警戒に値するものであるということだ。

 

...私は人影に一歩ずつ近づく。武器には手を掛けない。

悪戯に相手を威圧する必要はないし、仮にそれが敵で、武器を向けてきたとして。

それが、どうしたことか。

 

ふと、雨が止んだ。

 

私の視界を遮る砂埃が晴れ、人影の全貌が少しずつ見えてくる。

グレーがかった服に、黒髪で、おそらく男だろう、手には黒い傘を持っている。

身長は平均的で、足取りはおぼつかない。

 

私は傘を閉じ、ある程度の距離を保ちつつ話しかける。

 

「どぉ~も~。ずいぶんとフラフラしてるみたいだけど...どうしたの?この辺の人じゃないよね~?」

「!!...やうやう人に会はれき...。...私は...」

 

その男は私の接近に気づいていなかったようで、驚いたように振り向く。

 

長い髪に隠れた瞳が、私を視界に入れる。

 

私と同じ、昏い瞳だ。大切な人を失った人特有の、昏い瞳。

 

彼は私を見つめながら、うめくように、かすれた声で話しだし...

 

「うぅ...。」

「おっと。」

 

前のめりに倒れた。おそらく脱水症状によるものだろう。男の手を離れた傘が空しく転がる。

ここ周辺には、飲食店はおろか、動いている自販機すら存在しない。

だから、周辺地理に慣れていない人間がこうして遭難することも、稀に起こる。

 

「とりあえず日陰に連れて行っちゃうよ~。」

「かたじけなし...。」

「武士?」

 

日陰に連れていき、水筒に入ったスポーツドリンクを飲ませる。

少し経つと、調子もだんだん戻ってきたようだ。

 

「えっと、名前、なんていうの~?」

「...イサンと言う。」

「...イサンさん「さんはいらぬ」じゃあイサンって呼ぶね~。...は、一体どんな用事があってここに来たの?」

「アビドス高等学校に用事あひきたり。」

「どんな用事なの?あそこらへんは特に何もないよ~?」

「...そなたはアビドスの生徒ならむ?」

「...そうだよ~。」

「ならば疾し。私はきみらの頼み受けここにやりこし...シャァレの”先生”なり。」

 

そう言うと、彼は思い出したように、懐から一冊の本を取り出し、1つのページを破り捨てた。

瞬間、ガラスの割れたような音と共に、彼の装いが変化する。

 

「うへ~!これって手品?」

”いや、”技術”ぞ。...君のおかげにややおこたりき。"

 

そう言いつつ、彼は立ち上がろうとしたので、

私は手を差し伸べるため、のぞき込むような姿勢を取る。

 

そこにあったのは、先ほどとは違って希望に満ちたような瞳。

まるで人格を、歩んできた人生を交換したような変わりようだった。

なぜだろうか。きっと誰もが好感を持つであろうその瞳は、

私の奥底に一つの疑念を抱かせた。

 

この大人を、いや、この”人格”を、

 

”信用してはいけない”という、そんな疑念。

 

「...おじさん、さっきの方が好きだな~。」

”...ふむ、なればうつろふぞ。”

”また。”

 

彼が本を閉じると、ガラスが割れるような音と共に、彼は元の瞳に戻っていく。

どこにも輝きがない、怠惰な瞳。

だけど、先ほどよりはずっと楽な瞳だ。

 

「...私が言ふもなになれど、今の私は無口なる男ぞ。」

「おじさんはそっちの方が楽かな~。」

 

彼は砂を払いつつ、口を開く。

 

「アビドスまで案内さすとも?」

「もちろん。おじさんについてきて...あ、そうだ。」

「?」

「さっきの”技術”について教えてほしいな~。歩きながらでいいからさ。」

「...ふぅむ。」

「うへ~、面倒くさそうな顔するのも禁止~。」

「うぅむ...。」

 

 

 





感想稼ぎみたいになって申し訳ないのですが、絡ませたい生徒と人格、EGOがあれば教えて下さい。いつか書きます。
以上。

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