Blue Archive -数多の未来の追求者-[ブルアカ×LobotomyCorporation]   作:シータさん

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物語が始まります。

今回は、先生が初めてロボトミー追求学園に視察に行くことになります。何も起こらなかったらいいんですけどね〜。



第1章 幻想に満ちた花束
初めての視察


神秘溢るる世界、透き通った青の空の下の都市_"学園都市 キヴォトス"。

 

その世界の、一部…かつて"外郭"と呼ばれた場所が、ある日をきっかけに"書き換えられた"。

 

誰もが足を踏み入れなかった不毛の大地は、数々の生徒たちが楽しげに足を踏み鳴らすコンクリートの地面に。

廃墟で溢れかえっていた無機質な空間は、ハイテクなモニターのついたビル群などで埋め尽くされたサイバーパンクな都市に。

かつて神秘の欠片すらなかったそこは、今や他の学園たちと同じモノへと変貌していた。

 

名を、「ロボトミー追求学園(Lobotomy Seek-Academy)」。

科学技術と進歩した神秘の解明で満たされた、技術学園である。

学園のモットーは、次の二文にて綴られる。

 

"Face the Fear,Build the Future(恐怖に向き合い、未来を創り出す)"

 

"Seek the Mystery,Realize the E.G.O(神秘を追い求め、自己を実現する)"

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

「"ロボトミー追求学園、かぁ…"」

 

ミレニアム近郊の高速道路を走りながら、呟く。

ロボトミー追求学園。ミレニアムの近くにある、科学技術などの発展に重きを置いた学園。

これまではコンタクトを取る機会も理由もなかなか無く、学園の管理している土地はおろか、生徒の片鱗すらも見たことがなかったのだが…

最近、ようやく仕事が終わったのでせっかくなので視察をしてみることにしたのだ。

 

「"科学技術が大きく進歩した、キヴォトスで今最も進んでいる学園"…とのことらしいですよ、先生!もしかしたら、私たちが知らないような機械だとか薬だとかもあるかもしれません!」

「"もしあるんだったら、書類仕事を勝手に済ませてくれるお手伝いさんとかが欲しいなぁ…"」

 

そんなことをタブレットの中のアロナと話しながら、着々と現場へ車を進ませる。

どうやら向こうでは、案内人として学園の生徒が待機してくれているらしい。一体どんな子がいるのか、楽しみだ。

 

「…あ、先生!見えてきましたよ!」

「"…おぉ、あれがロボトミー追求学園の都市……すごい、まさにサイバーパンクって感じだね。"」

 

やがて、目的地の姿が目視で確認できるようになってきた。

そこに写っていたのは、まさにハイテク都市と言うべき世界だった。

遠目で見るだけでも、とても大きなビルがいくつも建っているのが見える。

空では広告用と思しき気球船が数機浮かんでおり、地上では強く煌めく照明がビルで遮られてしまった太陽の光の代わりに都市を照らしている。

その都市を構成する全てが、ロボトミー追求学園の技術水準の高さを証明していた。

 

「"今からあそこに行くんだね…ワクワクしてきたなぁ〜!"」

「先生は、ああいうメカメカしい感じのものが大好物ですからね!」

 

頭の中に浮かぶ数々の妄想が、もしかしたら現実のものになるかも?

そんな期待を胸にしまって、少し強くアクセルを踏んだ。

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

都市は、外から見るよりもずっと雄大だった。

少なくとも、そこに建つビルのほとんどはこれまでキヴォトスで見たビルのどれよりも高かった。

 

「"うわぁ…たっか……こんなのが、何棟も…"」

 

見たことのない景色に、半分の感嘆と半分の恐れを含んだ言葉がつい出てくる。

 

「太陽が見えないのに、明るいですね…すごいですけど、なんだか不気味です…」

「"…きっと慣れるよ。多分。"」

 

街中を徐行運転し、ゆっくり事前に打ち合わせていた集合場所に向かう。

どうやら、都市の中心の近くにある一番大きな公園で案内人が待っているらしい。

予定の時刻まではまだ余裕があるし、じっくり都市の景観を眺めながら行こう。

 

「"ふーん…「どんな怪我も心配無し!K印の再生アンプル」、「論理に基づいた、1mmすら狂わぬ精度を。ロジックアトリエ」、「大切な人とどうぞ!お月見サンドイッチ -ハムハムパンパン」…技術もそうだけど、商業も盛んなんだね。"」

「さ、サンドイッチ…せ、先生!食べてみたいです!すぐそこで売ってるみたいですよ!一瞬だけです!買いませんか!?!?」

「"アロナは食べれないでしょ。"」

「むぐっ…た、確かに…」

「"…でも、お腹空いてきたしせっかくだから買ってみようかな。食レポはちゃんとしてあげるから、それで満足してくれる?"」

「!!!せんせ〜い!ありがとうございます!!!!やったー!!!!!」

 

ドライブスルーの入り口へと車体の向きを変える。

月見バーガーとかは聞いたことがあるけど、月見サンドイッチとは…一体どんな具が挟まってるんだろう?

やっぱり目玉焼きかな?いや、パイナップルを月に見立てたものもあるって聞いたことがあるな。そもそも味はどっちよりなんだろう?しょっぱめ?それとも甘め?

そんなことを考えてると、いずれ自分の番がやってきた。

 

「いらっしゃいませ、ご希望のメニューをお申し上げください。」

 

スピーカーから、少しくぐもった店員さんの声が聞こえてくる。

 

「"お月見サンドイッチを一つ、それと〜…烏龍茶のMサイズをお願いします!"」

「繰り返します、お月見サンドイッチを一つと、烏龍茶のMサイズを一つでお間違いないですか?」

「"はい、大丈夫です。"」

「それではお支払い方法は…」

「……はい、注文が完了いたしました。前の受け取り口へお進みください。ご利用ありがとうございました。」

 

注文を終えて、前へ少し進んで受け取り待機列の一つになる。

やがて一つ、また一つと前の車が受け取りを終えて自分の番が刻一刻と近づく。

そしてようやく、自分の番になった。

 

「お待たせしました、こちら、お月見サンドイッチと烏龍茶です。良い1日を!」

「"こちらこそ、ありがとう。"」

 

一つの紙袋を受け取り、自分も列の一部から解放される。

紙袋の底は、まだ暖かい。

 

「"さて、改めて公園に向かおうか。"」

 

エンジンをかけて、再び安全運転で目的地へ向かう。

紙袋を開けて、片手でサンドイッチを持ちながら。

 

「"…ん、美味しい!これは…卵のタルタルソースとベーコンかな?程よい塩気と、卵の甘みで、すごくバランスがいい味だよ!それにボリュームも十分で…"」

「むむむ…すごく美味しそうです‥うらやましい…」

 

アロナが画面に顔をベッタリと貼り付けてこちらの世界に来ようともがいている。

なんだか可哀想だ、シッテムの箱の中に物を送る方法とかがあればいいんだけど…

 

「"ごめんね、アロナ。何か物を送る方法とかがあればそうするんだけど…"」

「…まぁ、仕方ないです。その代わり、落ち着いたらいっぱい褒めてください!」

「"言われなくても、そうしてあげるよ。ありがとうね。"」

「むふふ〜…!どういたしまして〜…!」

 

そんなやりとりをしながら、車を走らせてると…

 

_ドカーンッ!!!

 

目の前で、爆発が起こる。

 

「"うわっ、わっ!?"」

 

幸い、自分の方までは被害がなかった。

今すぐ退避すべきだろうか、そう思いハンドルを後ろへ切ろうとしたが…

煙の中に、見慣れた輪っか状の光が見えた瞬間その考えは消えた。

 

「うわーん!!!やっぱり誰もマッチ買ってくれない〜〜!!!!!このまま凍えて死んじゃうんだ〜〜〜!!!!!!」

「"…あれは、生徒だね。それじゃあ、私が行かなきゃ。"」

「えっ、先生!?危険ですよ!?!?」

 

車を降り、爆発の元へと向かう。

 

「うわーん!!!やっぱり誰もマッチ買ってくれない〜〜!!!!!このまま凍えて死んじゃうんだ〜〜〜!!!!!!」

「"君!どうしたの!?急に爆発を起こしたり…"」

「ひっ!?誰ですかっ!?!?近寄らないでください〜〜!!!びぇぇぇ〜!!!!!」

「"私はシャーレの先生!!!とりあえず、落ち着いてくれる!?!?"」

「せ、先生ぃ…???……で、でも!!!あなたもきっとマッチを買ってくれない…!!!!!うぇーーん!!!!」

「"ちょっ、ストッ…"」

 

_ドカーンッッ!!!!

煙の中から砲弾が飛び出して、また爆発が起こる。

今度の爆発も、あらぬ方向に飛んでいったので自分に被害は及ばずに済んだ。

…何も知らない市民とか、建物は別だけど。

 

「"まずは落ち着いて私と話そう!!!とりあえずその武器を下ろして、ね!?!?"」

「ひ、ひぅ…だけどぉ……えっぐ、えっぐ……」

「"大丈夫、危害は加えないから!ね?信用してくれるかな?"」

「…でもぉ…」

 

やがて煙が晴れて、犯人の生徒の見た目が明らかになる。

そこにいたのは、小柄な少女。まるで焦げたかのような燻っているかのような黒色のドレスを身につけ、その体に似合わない巨大な大砲を抱えている。

おそらく、この学園の生徒だろう。奇しくも、第一村人が爆破犯になってしまった。

 

「"よしよし、大丈夫大丈夫…まずは私と話そうか。叱るのは後にするから…"」

「ひっ…お、大人…こわい……う、うっ、うぅ…!!!」

「"あっ、ちょっ…待っ…!!"」

 

慰めの声も虚しく、その子はまた大砲を持ってしまう。しかも、今度は私に照準を向ける。

このままだとヤバい、アロナがいるとはいえ大砲は流石に死ぬ。

誰でもいいから、この子を一瞬でも黙らせてくれる子が_

 

_ズガンッッッ!!!!!!

 

「"………え?"」

 

「………容疑者確保完了、今より当局へと連行します…えぇ、はい、断罪は完了しました。周りへの被害はありますが、直ちに復旧が完了する程度です。問題ありません。」

 

突如巨大な音と衝撃が響いたかと思うと、目の前にいた爆破犯の生徒は気絶していて代わりに背の高いもう一人の生徒が立っていた。

その生徒は、ショートの白髪で包帯の巻かれた黒いコートを着ており、首にはまるで天秤のようなものをぶら下げている。手に持つボルトアクションのライフルにもコートと同じく包帯が巻かれていて、何故かグリップの方ではなく銃身の方を持っている。もしかして、グリップでぶん殴ったのか…?

 

「"……えっと…"」

「……ん?おや、貴方は…シャーレとやらの先生ですか。」

「"…うん、そうだよ。私は先生。助けてくれてありがとうね。"」

「いえ、私は業務を遂行したのみです。申し訳ありません、我らの学園の生徒が…こいつはしっかり叱りつけておきます。私は『断鳥 ハカリ(タチトリ ハカリ)』、ロボトミー追求学園の自治団体である『Team:Black Forest』のメンバーでございます。以後、お見知り置きを…」

 

ハカリというその生徒は、非常に礼儀正しくまさに平和を守る人間と言えるような生徒だった。

目の部分にも包帯を巻いてるのは慣れないけど…ちゃんと信用できるような人みたいでよかった。第二村人までヤバい生徒だったら、私の胃が…

 

「…それはそれとして、先生…貴方は、相当の罪を犯しているようですね。」

「"…え?"」

「ふむ……罪状は…生徒の足を舐める、密室で二人っきりになる、胸について言及する、その他生徒たちに対する多数のセクハラ行為・発言…それに、財産の無駄遣いや経費の私的利用…なるほど……」

「"ちょ、ハカリさん?なんでそんなことを…っていうか、セクハラなんてそんな…!誤解っ…"」

「…罪状を言い渡します。先生、貴方は極刑に値する人物です。よって、私より今から罰を執行いたします。」

「"えぇ!?!?待って!!!誤解です!!!"」

 

ハカリが銃を握る手に、だんだん力がこもっていく。

これヤバい、マジでぶん殴られる…

なんで、ここに来て早々こんな災難ばっかりに遭うんだ!?!?

 

「"ひぃぃぃぃ!!!"」

「断っ、罪っっ!!!」

「待ってください!!!」

「…ん?貴方は…?」

 

と、そこに鶴の一声が聞こえてくる。

 

「はぁ、はぁ……は、ハカリさんっ……その、執行は待ってもらうことってできますかっ…!」

「待つ…?罪人を放置することで、都市にどんな悪いことが起こるか判らないのですか?」

「そ、そのぉ…先生は悪い人じゃないと思うんです!その、ハカリさんが言ってたことが本当かもしんないけど…多分、悪い人では…」

「…はぁ…まぁ、ミゼ先輩が言うならそうなんでしょうね。貴方ほど、良い人と悪い人を見定める眼が発達してる人はいないでしょうから。」

「"はぁ…はぁ…た、たすかった…?"」

 

後ろから聞こえた声がいろいろと説得をすると、ハカリは銃を下ろしてくれた。

いつもの2倍くらいに跳ね上がった心臓の鼓動をなんとか抑えつけながら、ゆっくりと後ろに振り返る。

 

「"あ、あなたは…"」

「…先生、お待ちしておりました。着いて早々、こんな騒ぎに巻き込んでしまい申し訳ありません…私は、今回ロボトミー追求学園の案内人を任命されました『一百 ミゼ』と申します。今回は、よろしくお願いします。」

 

案内人として、指名されてた生徒『一百 ミゼ』。

目の前にいたのは、その子本人だった。

 

「"君が…ミゼちゃんだね。こんな出会い方になっちゃったけど…よろしくね。"」

「はい…本当に、お恥ずかしい限りです…ったく、まさか先生が巻き込まれるなんて…」

「"まぁ、正直日常みたいなものだしこういうのは慣れてるかな…"」

「…どんな生活を送ってるんですか、先生は…」

「"うーん…先生らしい生活、かな?"」

「…ふふ。面白いですね、先生は。」

 

とりあえず、二人で車に乗って学園へと向かうことにした。

本来は公園で車を降りて、そこから徒歩で学園に向かうはずだったのだが…意図せず、車で落ち着いて話す時間が増えた。

 

「"ところで、なんで私の場所が分かったの?"」

「いえ、場所が分かったから来たというわけではなく…爆発が起きて、もしかしたら先生が巻き込まれてるかもしれないと思って急いできただけなんです。そしたら、幸か不幸か、そこに先生がいて…事件に巻き込まれたのはアレですけど、最終的に何事もなく、むしろお話しできる時間が増えたと思えば、いいことだと思いませんか?」

「"うん、そうだね。機会は案外、変なところから生まれるものだし。"」

「そう、ですね。ふふ…さて、私たちの学園のお話でもしますか。」

「"お願い。できるだけいろんなことを知っておきたいからね。"」

「分かりました。では、少しずつ話しましょう。

ロボトミー追求学園は、見ての通り科学技術の発展に重きを置いた学園です。いろんな技術やメカニズム、薬学など…便利そうな技術はとにかく研究しております。そのおかげで、学園内も外も技術で溢れて、こんな便利な都市まで発展しました。

そして、この学園の最たる存在意義…それは、"神秘の追求"。我々、もとい"生徒"という存在の数々の謎を解き明かすというのが、このロボトミー追求学園の一番の目的です。…もちろん、生徒の謎を解き明かすと言っても変な人体実験をしてたりはしてませんよ。

そして、そんなのを研究してる影響かこの学園の生徒たちは他の学園と比べて神秘を扱った戦闘が得意なんです。例えば先ほどのハカリさんは、直接攻撃に彼女の神秘_"断罪の力"を乗せることで、その攻撃力を底上げしていました。他にも、攻撃や防御などに神秘の力を乗せて戦闘に活かす生徒は多いですね。まぁ、たまに神秘の力に呑まれて暴走しちゃう子もいますが…さっきのマチコちゃんも、神秘の制御ができなかったのが多分原因でしょうし…まぁ、基本は暴走しないので心配はしないでください。

他に言うべきことは…そうですね、この学園は部活が多い方だと思います。いろんな研究に興味を持ってる生徒が多い関係で、とにかくいろんな部活が乱立してます。生徒の自主性を重んじる学園方針なので、そこまで問題ではないのですが。生徒とのコミュニケーションを重んじる先生にとっては重要な事項だと思いましたので、伝えておきます。」

「"ふむ…詳しい情報ありがとうね。すごく助かるよ。"」

「いえいえ、案内人としてこのくらいは当然のことですから。さて…付きましたよ、先生。」

「"…ん?ここが、そうなの?確かにナビはここみたいだけど…"」

 

_ウィーン

ミゼが車の窓を開けて、認証機らしきものに何かをかざす。

目の前にあるのは、巨大なシェルターのような何か。とても学園とは思えない。

 

「そういえば、先生にはお話ししてませんでしたね。すみません。ロボトミー追求学園は…」

「地下にあります。」

 

_ガシャ、ガシャ…ガラララララッ。ビーッ、ビーッ。

シェルターが少しずつ開く。ブザーの音と共に。

その光景を見て、私は…

 

("…なんだか、監獄みたいに厳重だな…")

 

そんなことを、思ってしまった。





次回、ミゼちゃんのワクワク学園案内回!次があればだけどね。(作れるように善処します。いやマジで)
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