Blue Archive -数多の未来の追求者-[ブルアカ×LobotomyCorporation]   作:シータさん

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前回のあらすじ:部活などの細かいところの視察を始めた先生たち。一番最初に訪れたのは"天体観察部"。だが、その内実はあの『蒼光 コウ』のファンクラブのようなものだった。そんな中、数少ない星が好きな生徒『星河 ナガレ』を見つけ話していると、ちょうどいいタイミングでコウも帰還。なんやかんやで、再びALEPHクラスと対峙することになる。最初は普通に対話できていたが、突然のイケメン特有の攻めに攻めた誘惑に先生の頭が爆発してしまい、パニック状態になって部室を飛び出してしまう。一心不乱に廊下を走り回る先生。そんな先生を誰か止めてくれと走りながら言うミゼの言葉に応えるかのように、どこかからパニック回復弾が撃たれ先生の頭に命中し、無事に回復。その弾丸の主人はクレー射撃部の『桃形 アミ』。彼女に感謝した先生は、お礼の意も込めてクレー射撃部にお邪魔することに。そこで、あの情報チームのリーダーである『魔仇 ヨル』に再開。彼女の研究の成果である"魔法の弾丸"をお披露目してもらったのであった。

部活編Part2。
ちなみに本編の平均字数は大体10000前後にするよう心がけています。その関係上、1話に書ける部活の数は大体2つくらい。それに対して登場させたい生徒と部活が結構多いので、部活編は結構長く続くと思ってください。

Q.結局主人公どうするの?
A.実は頭の中で主人公…というか、メインの部活は決まってます。まだ登場してません。
ロボトミのクロスオーバーの醍醐味はいろんなアブノマが暴れることでしょうし、できるだけいろんな生徒を登場・活躍させるようにする関係で「主人公が分かりづらい!」とかはあるかと思いますが…今みたいな紹介編みたいなのが終わったら、ある程度一つのものにフォーカスを当てるので、それまで我慢していただけると幸いです。


これもまた青春?

「"…『魔法少女部』?"」

 

中央本部の、上階にある学習室の一つ。

そのドアには、目が痛いほどのキラキラなどで飾り付けられたかけ看板が一つ。

そこには、『魔法少女部』と書かれている。

 

「"……おふざけじゃないよね?"」

「れっきとした部活ですよ。」

「"そっか…"」

 

_コンコンコン。

とりあえず、ノックをしてみる。

変な相手とかでなければいいのだが…

 

_ガチャ。

「…はぁーい!!ようこそ、魔法少女部へ!どんなご依頼でしょうか!?」

 

ドアを開けて勢いよく飛び出してきたのは、まさに魔法少女のコスチュームのような、ハートの模様が至る所に刻まれたフリフリの衣装を着た生徒だった。

 

「"………"」

「……えっと…?」

「"……あぁ、ごめんっ!"」

 

思わず、頭が一瞬フリーズする。

まさかこのキヴォトスでこんなコスチュームの子を見つけるとは…ヒーローごっこをしてる子はいたけど、魔法少女が好きな子がいるなんて。

 

「"えっと〜…私は、シャーレから来た先生。今日は視察のために来たんだ。依頼じゃなくてごめんね。"」

「せ…先生!?先生ですってぇ!?」

「"わっ…えっと、そんな驚くこと…?"」

 

予想外の反応にこっちまで驚いてしまう。

私を見つめる目はキラキラと輝いていて、まるで待ち望んでいたものが来たとでもいうような表情だ。

 

「先生っ…しかも、男の人っ…!こんなの、学園モノの、物語みたいっ…!これは…もしや"普段はフツーの女子高生、でも街に怪物が現れた時はみんなを守るための魔法少女に!?正体を知らないイケメン鈍感先生と、正義の魔法少女たちの織りなすマジカル学園ラブコメディ!"が、現実に…!!!」

「"………"」

 

もう魔法少女だってバレバレなんだよな。

 

「…はっ!いけないいけない、また妄想にっ…えっと、先生!私たちの魔法少女部へようこそ!とりあえず、中にどうぞ!」

「"…うん、お邪魔するよ。"」

 

とりあえず、悪い子じゃなさそうだ。

お言葉に甘えて、招待されてみよう。

 

 

 

「"わぁ…すごい煌びやか…"」

 

中は、ドアの装飾と同じくキラキラとした装飾で飾られていた。

いろんなところには魔法少女グッズらしきものが丁寧に置かれていて、ガラスはステンドグラス風のシートが貼ってあり、まるで小さな女の子の部屋みたいだ。

この部屋のサイズ自体は小さいが、その分夢が詰まっているように感じる。

そして、奥の方には案内人の子とは違う2人が座っていた。

 

「さ、さ、先生!どうぞこちらへ〜…」

 

椅子を両手で引いて、私たちの元に置いてくれる。

流石にここまで装飾は及んでないらしく、置かれたのはただのパイプ椅子だった。

 

「"失礼します。"」

「失礼、します。」

 

ミゼと同時に椅子に座る。

 

「…ん?客かぁ、しかも大人なんて。どっから拾ってきたんだ?」

「まぁ…ようやく、護れる相手が来たのですね…!」

「"いいや…今日は依頼じゃないんだ。ごめんね。"」

「まぁ、せっかく来ていただいたんだし、依頼じゃなくてもお客様として歓迎しようじゃん!何も、戦うだけの存在じゃないんだから。ね?」

 

私たちに背を向けていた2人も、ようやく興味を持ってくれたようだ。

1人は、白髪色黒で金ピカのアクセサリーをいろんなところにつけた、ギャル…というよりは、姉御といった雰囲気の生徒。

もう1人は、真っ白な肌に星空のような色のロングヘアの、床につくほど長い丈のドレスを着た清楚な感じの生徒。

3人とも、それぞれ個性があって面白い子だ。

 

「それじゃ、自己紹介していこっか!私は『心女 ヘイラ(ココメ ヘイラ)』!この魔法少女部の部長にして、愛と正義の名の下に悪者をやっつける"キラリンハート"だよ!キラッ♡」

「アタシは『金剛 ビカセ(コンゴウ ビカセ)』!悪いヤツに金の鉄槌をお見舞いする、"キラリンダイヤ"さ!」

「ワタシは…『涙剣 セセラ(ナダツルギ セセラ)』と申します。弱き人々を護るナイト、"キラリンスペード"の名に恥じぬ戦いをしてみせます!」

 

「「「合わせて我ら、『魔法少女キラリフラッシュ』!!!」」」

 

_ピカーン

彼女たちが合わせて決めポーズをした時、そんな効果音が聞こえた気がする。

それにしても、いろいろと設定が練られてて普通に関心する。連携もしっかり取れてるし、仲良しなんだろうな。

自然と拍手してしまった。

 

「"…みんなは、仲がいいんだね。名前とかはやっぱりみんなで決めたの?"」

「…あ、えっと…実は、ヘイラちゃんが全部決めてくれたんです。元々3人は友達だったんですけど、ある日ヘイラちゃんが『魔法少女をやりたい!』って言い出して!」

「それで持ってきたのがこれなんだよ。ま、カワイイし悪くねーけどな!最初はビビった…っつーか、ぶっちゃけ引いたけどよ。ちゃんと細部まで凝ったもん作ってきてくれたし、何よりアタシたちはダチだから!」

「そう、私たちが魔法少女でいられるのは、みんなが仲良しでいてくれるから!ね、みんな、」

「「「いぇーい!」」」

「"…やっぱり、仲良いね。"」

 

そんなわけで3人の仲良し寸劇を見たわけだが、ふと気になったことがある。

 

「"…ところで、その『キラリンハート』とか『魔法少女キラリフラッシュ』とか聞くと…多分、それぞれがトランプの絵柄に因んでるんだよね。"」

「おっ、よく分かったね先生!それで、それがどうしたの?」

「"…クラブは?"」

 

「「「………」」」

 

黙りこくってしまった。

 

「"…あ、えっと、ごめん…聞いちゃダメだった?"」

「あ〜〜いやいやいや!別に傷ついたりとかはしてないから安心して!?」

「いてーところ突かれたなぁ…はははっ…」

「まぁ、先生ほどの方なら気づかれますよね…」

 

3人が苦笑いする。

多分大した理由ではないのだろうが、だとしても触れるのはあまりよくなかったと反省。

 

「…まぁ、ぶっちゃけちゃうと人員が足りなくてね…」

「私たち以外も誘おうと思ったんですけど、やっぱり魔法少女って名前だとなかなか興味が持たれなくて…私たち以外には参加してくれる人がいなかったんです。」

「ま、こんな学園まで来て魔法少女やりたい変わり者なんていねぇよな。アタシたち以外。」

「"…増やしたいとは思わないの?"」

「うーん…まぁ、人が増えてくれたら嬉しいけど…でも、魔法少女ってだいたい3人組じゃん?じゃあこのままでもいいかなって。本音言っちゃうと4人にしたいけど。」

「でも、アタシたちは3人でも最強だからな!4人になったら逆に狂っちまうかもしれねぇし、このままが一番かもな。」

「三人寄れば文殊の知恵とも言いますし…ふふふ。」

 

そう言うと、お互いに顔を見合わせてニコニコと微笑む。

どんなことであれ友達がやりたいことなら喜んで付き合う、素敵な関係だ。

というわけで、仲良し談義もほどほどに本題に入る。

 

「"…それじゃ、君たちは魔法少女としてどんな活動をしてるの?"」

「活動?それは…まぁ、簡単に言っちゃえば便利屋みたいな感じかな。」

「お客様から依頼を受けて、それを遂行して、お金を頂く…流れはそんな感じです。他の便利屋と変わりはありません。」

「違いを上げるなら、その活動理念だろうな。"悪いことはしない、良い人は傷つけない"、要するに盗みとか襲撃みたいなことはしないってことだ。要人護衛とか、捜索だとか、防衛戦みたいな誰かを護る仕事だけをアタシらは受ける。」

「あとは、もしも街に悪者が現れたらそれをやっつけるのも私たちの仕事だよ!まぁ、普段の治安活動はBFがほとんど片付けちゃうんだけどね。でもたまーに、学園の中の揉め事を解決したりはするよ!」

「まだまだ結成したばかりなので実績はあまりありませんが…少しずつ、評判を上げてるところなんですよ。」

「"そっか、頑張ってるんだね。機会があったら戦ってるところも見たいなぁ。"」

 

すると、三人は顔を見合わせたかと思うと、何かが決まったかのように全員でニッコリと笑う。

 

「ふふふ、戦ってるところかぁ。それじゃあ…もし守ってもらいたいとか困ったやつがいる!って時は、私たちに連絡してくれる?」

「"…それは、どういうこと?"」

「そのまんまの意味だよ!いつだって、連絡をくれたら私たちがすっ飛んで行くから!」

「あぁ、信用に足ると判断したからな。それに、ここではいつでも頼れる武力というのは必須の存在だ。」

「先生は、か弱い大人ですから…私たちみたいな組織の後ろ盾は、きっとここでは役に立つと思います。」

「"…なるほど、ね。依頼料はどのくらい?"」

「依頼料?いらないよ、そんなの!」

「あぁ、あくまでこれは依頼じゃなくて"頼み事"だからな。タダどころか、金を払ってまでだって引き受けてやる。」

「というか…普段お金を取ってるのも、学園としてのルールのせいですから。『傭兵業として依頼を受諾する場合、原則として依頼人からは最低でも部活援助料の5%以上を依頼料として徴収しなければならない。』っていう校則がありまして…魔法少女がお金を取るなんて、夢がなくて嫌なんですけどね。」

「だから、先生との関係はあくまで"友人同士の助け合い"!迷子になった時も、ユロージヴィに襲われた時も、いつだって呼んでくれていいからね!」

「"…わかった、ありがとう!頼りにさせてもらうよ。"」

 

スマホを取り出して、モモトークを開く。

結構物騒そうなここでこういう子たちと仲良くできるのは、非常に心強い。いつか困った時があったら助けを求めてみよう。

 

「"それじゃ、そろそろ行くよ。今日は会えてよかった。"」

「うん!こちらこそ、会えてよかったよ〜!」

「次は活躍してるところを見せてやるからな!楽しみにしておけよ!」

「ちゃんと護ってみせますから…安心して、私たちを呼んでくださいね。」

 

彼女たちの明るい笑顔に見送られながら、部屋を出る。

今のところ、ちょっとしたトラブルはありつつも順調な視察だ。このまま今日が終わってくれれば幸いなのだが。

 

 

――――――――――――――――――――――――――――

 

 

エリアが変わり、懲戒チーム。

次に向かうのは「傭兵総括室」。一応「傭兵クラブ」という委員会の公式の委員会室として機能しているらしい。

 

「…大丈夫ではあると思いますが、注意はしておいた方がいいですよ。傭兵はたいていがゴロツキですから。」

「"ゴロツキなら飽きるほど相手にしてきたから、大丈夫だよ。"」

「そうですか…」

 

_コンコンコン、ガチャ。

 

「"失礼します。視察で…"」

 

扉を開けると、そこには私に鋭い視線を向ける多種多様な生徒が。

ぱっと見で「歓迎されるような雰囲気じゃないな」と察せるくらいに空気がピリ付いている。

 

「"…えっと、視察で来ました、シャーレの先生で〜す…し、失礼しま〜す…"」

「………」

 

視線がずっとついてくる。

本当に歓迎されていないようで、案内役の子が来てくれることもない。

 

「"あの…ここのリーダー、みたいな人っているかな…?"」

「……リーダー?何舐めた口利いてんだテメェ。」

 

…どうやら誰かの堪忍袋の尾を切ってしまったらしい。

さっきまで椅子に座っていた生徒の1人が、私に向かってくる。

 

「テメェ…先生とか言ったか?アンタが生きてきた世界がどんなとこだったかはしらねぇけどよぉ…傭兵に"リーダー"なんてもんは存在しねぇ。アタシたちが仕えるのは依頼主だけだ。んなことも分からないやつがここに来るんじゃねぇよ。」

「"ぐっ…!?"」

 

胸ぐらを掴まれてしまった。

振り払いたいが、相手と場が悪い。このままじゃリンチコースだ。なんとか穏便に済ませなくては。

 

「"…うん、悪かったよ。私はそういうのに明るいわけじゃないから。これからもっと知識をつけていくから、今は許してほしいな。"」

「…ナヨナヨしてて気に入らねぇ。おいお前ら。コイツ一旦分からせっぞ。」

「"…っ!"」

 

周りからもゾロゾロと生徒たちが集まってくる。

説得どころか、むしろ挑発してしまう結果になってしまった。

正直マズイ状況だ。身ぐるみ剥がされてもおかしくない。

 

「まずはどうする?手始めにタマから潰すか?」

「最初は脚だろ。腱切って歩けないようにしようぜ。」

「喋れないようにするために舌抜くでしょ、フツー。二度と私たちを愚弄できないようにしてやりましょ。」

「ちょっと、皆さん…!先生になんてことを…!」

「あ?大した武器も持ってねぇ癖に…それとも、お前も混ざりたいのか?」

「"…ミゼ、私のことは大丈夫だよ。後で合流するから、外で待っててくれる?"」

「で、でも…!」

 

先生として、罪のない生徒を巻き込むわけにはいかない。

これは私の罪だ、私が甘んじて受け入れよう。

 

「"…ねぇ、最後に一ついいかな?"」

「…いいだろう。何が言いたい?」

「"君たちは、どうして傭兵になろうと思ったの?"」

「……やるぞ。ナイフ寄越せ。」

「"お金のため?称号のため?それとも…自由に生きたいから?"」

「ごちゃごちゃうるせぇな!黙ってろ!」

 

_バゴッ

腹部に鋭いパンチを喰らう。だが、それでも口は止めない。

 

「"ぐっ……君たちが行く先がどこだろうと、それが君たちの意思なら私は止めるつもりはないよ。でも…君たちが流れにばかり身を任せるようなら、それは君たちの望む方向だとは思えない。だから、教えてくれる?君たちの目標を。"」

「っ…!るっせぇ!クソッタレっ…!」

「"がぁっ…!"」

 

ダメだ、どうしても話を聞いてくれない。

ちょっとミスったな。流石に殺すまではしないと思うけど、しばらく動けなくなりそうだ。

まぁ、仕方ない。これは全部私の責任…

 

_バタンッ!

「よーっす!なんか静かだけど、どうかし…」

「"…グレン!"」

 

…扉を開けて出てきたのは、グレンだった。

まさかのタイミングでの救世主に、思わず名前を叫んでしまう。

 

「…オメーラ、センセーに何してくれてんだ。なぁ!」

「チッ、"赤ずきん"…!2年のくせに先輩に歯向かうつもりか!?」

「先輩とか関係ねぇだろうが!傭兵に上下関係なんてねぇだろ!!」

「っぐぁっっ!?!?」

 

グレンの強烈な飛び蹴りが、私を囲んでいた1人を吹き飛ばす。

そしてそのまま流れで飛び掛かり、馬乗りになる。

 

「…おい、どういうつもりでセンセーリンチしてたんだ?話せよ。」

「ぐっ…アタシはただ、そこの大人に傭兵世界の常識をっ…」

「傭兵世界の常識だ?アタシたちがこの世界の常識とでも思ってんのかよ!傭兵っつーのは、世界の裏で暗躍する存在じゃねぇのか!?あぁ!?」

「…はぁ?何言ってっ…」

「黙ってろ!」

「ぅっ……!」

 

高速の手刀が首を叩くと、威勢の良かったその生徒は眠るように気絶してしまった。

それを確認したかと思うと、再び立ち上がって私を…というより、私の周りに残る生徒を見る。

 

「アンタらも…ぶん殴られたいなら受けてやるぜ。この"赤ずきん"がな。」

「くっ…このっ…!」

 

グレンの手が再び強く握られる。それを見た生徒たちが、頭に血管を浮ばせながら、あるいは歯軋りをしながら後ろへ下がっていく。

反抗したいという気持ちと、同時に勝てるわけがないという諦念が混ざり合ったような表情だ。

 

「…覚えてろよ、いつかお前の考える傭兵像をぐちゃぐちゃにぶっ壊してやる。現実によってな。」

「はっ、やれるもんならやってみろよ。」

 

私を取り囲んでいた生徒たちが、続々と悪態をつきながら部屋を出ていく。気絶した生徒は、グレンに投げ飛ばされて部屋の外に無理やり放り出された。

そして最終的に、部屋の中は少数の穏健派らしい生徒と受付の生徒と、グレンと私たちだけになった。

 

「…よし、全員行ったか。」

 

そのまま一息を吐くと、私を見てすぐに駆けつけてくる。

 

「…センセー!大丈夫か!?痛いことされなかったか!?なんか辛いこととか言われたりとかも…!」

「"大丈夫だよ。こういうことも何度かあったし、慣れっこかな。あはは…"」

「センセーっ…!こんな時まで対応がオトナだぜ、くぅっ…!」

「"それにしても…グレンって強いんだね。"」

「ぁ…ははっ、そりゃそうさ!なんせ、アタシはこの学園の傭兵のリーダーボードに乗るくらいの凄腕だからな!こう見えて、実力はすげーんだぜ!」

 

一瞬照れた表情をするも、すぐにいつもの元気ハツラツかつクールな笑顔に戻る。

その性格と強さは、なんだかネルを思い出す。

 

「"それにしても、助かったよ。あのままじゃ酷い目に遭っちゃいそうだったからね。"」

「あぁ、礼はいらないよ。行っただろ?いつでも頼っていいって。アタシは義理を大切にする傭兵だからな!それにしても…なんでここに来たんだ?」

「"視察の一環でいろんなところを巡ってるんだ。それで、ここにも来たんだけど…結果はこんな感じ。"」

「あぁ〜…なるほどな。大変なんだな、センセーって。」

「"うん…もう慣れっこだけどね。不良に絡まれるなんて。"」

「…本当に、大変なんだな。」

 

心配を通り越してもはや憐れみすら感じている、というような表情で私を見てくる。

よくよく考えたらなんでこんな過酷な職務ばかり私はやっているんだろう。

 

「…じゃあ、せっかくだしアタシがここの説明をしてやるか。ちょっとでもアタシたちのことを知ってくれたら嬉しいよ。」

「"うん、ありがとう。よろしくね。"」

 

自分もその場から立ち上がって、服をぱっぱと払う。

こういう時に、縁というのは奇妙なものだなと感じる。

 

「ここは『傭兵総括室』、傭兵クラブの人間が集まる場所だ。月一で会議があったり、新しく傭兵業を開く時はここに申請しにきたりする。けど、ここの1番の役割は依頼の掲示!特定の傭兵や事務所を指定しない、どの傭兵でも受けられるような依頼はここに掲示されて、誰でもフリーで受けられるんだ。まだ仕事を始めたてのルーキーや、自由気ままにやってるような奴はここでいい感じの依頼を探して金を稼ぐんだよ。」

「"へぇ、結構傭兵って自由度高いんだね。"」

「まぁ、生徒によっちゃ趣味とか小遣い稼ぎで軽い依頼を受け続ける奴もいたりするな。ちょっとめんどくさい要素は増えるけど、それ以上のメリットがあるから、結構傭兵をアルバイト的な感じでやってる奴も多い。さっき絡んできたアイツらも、多分金目的だよ。」

「"なるほど…結構特殊な学園だなぁ…"」

「今更だろ?そんなこと。マトモなやつは大体ミレニアムに行くしな。」

「"…ミレニアムの子が、マトモ…?"」

「…もしかしてマトモじゃない?」

「"……うーん…………"」

 

エンジニア部やゲーム開発部の生徒たちの顔が脳内に浮かぶ。

 

「"……まぁ、いい子ではあるよ。"」

「…察しておくよ。」

 

…ミレニアム以上に(頭が)マトモじゃない学園なんて想像がつかない。

タレット機能を持つ椅子とか宇宙戦艦用のレールガンとか物を数十倍にデカくする銃とか…あんなものを発明できてしまうあの学園より、おかしい…?

 

「…センセー?」

「"…あっ、ごめんごめん。続けていいよ。"」

「大丈夫か〜?ったく…で、こっちが依頼を出してくれるカウンター。傭兵クラブに所属してる生徒が、請け負った仕事を提案してくれるんだ。」

 

カウンター越しに立っている、黄色のスーツを着た生徒の方に目を向ける。

 

「…お初にお目にかかります。えっと…先ほどはすみませんでした…一度お触れを出しておきますので、次はああいったことが再発しないように気をつけます。申し訳ありません…」

「"いや、大丈夫だよ。謝らなくていい。責任は大人が負う物だからね。じゃあ、これからよろしくね。"」

「は、はい…!あの、良ければ私たちの委員長をお呼びしましょうか…?」

「"うん、できるなら挨拶しておきたいし、よろしく頼むよ。"」

「分かりました…!」

 

そう言うと、その子は後ろの扉を開けて裏へと小走りで駆けていく。

そして数分ほど待っていると、再び扉が開き2人の人影が現れた。

1人はさっきの呼びに行ってくれた子で、もう1人はおそらく委員長だ。

蜂の巣模様が特徴的なエレガントで、それでいてどこか裏社会的な怪しさを感じるドレスを見に纏っている。その上には黒のトレンチコートを羽織り、頭には軍曹帽。結構異色な組み合わせだが、それがかえってこの傭兵たちをまとめ上げているという事実を際立たせる。

 

「…お待たせしたわね。あなたが、先生…私に何の用で?」

「"挨拶をしたいと思っただけだよ。これからこの学園にはお世話になるからね。顔は広くしておかないと。"」

「そう。…はぁ…グレンはいつも厄介ごとを持ち込む…私はこの傭兵クラブの現委員長、『蜂魅山 ヒーベ(ハチミヤマ ヒーベ)』と申しますわ。ロボトミーの荒くれ者どもをまとめ上げて、仕事を分け与える…それが私の使命であり存在価値ですわ。」

「"ヒーベ…わかった。よろしくね。"」

「それにしても、グレンと仲がよろしいようだけれど…彼女をどうやって手なづけたの?彼女はそう簡単に他人とつるむような傭兵だったとは記憶してないのだけれど。」

「なんでかって?そりゃ、センセーはブラックマーケットの生き残りだからな!裏事情は誰よりもよく知っているぜ!アンタも聞くか?」

「………はぁ…遠慮しておくわ。まぁ、先生と対立するのは私たちにとっても悪手。その点で言えば、グレンが交友関係を持てたのは良いことでしょう。面倒ごとを持ち込んだことは今は見逃します。」

「"それにしても、これだけの傭兵たちを率いてるってすごいね。カリスマって奴?"」

「率いてるなんて…私がやってるのは、客からもらった依頼と金という名の餌を荒くれ者どもに分け与えて、その対価として成果を持ってきてもらう…それを繰り返してるだけですわ。強さによる支配などではない。やってることは、単純な餌やりだけ…私の指令でアイツらが飛んでいくわけでもない。第一、私にそんな権限がある時点で私に力が集まりすぎる。その時点で上に目をつけられて処罰を喰らいますわ。学園としても、公的な武力はBFくらいにしておきたいでしょうしね。」

「"…やっぱり、そういうのは大変そうだね。"」

「まぁ、荒くれ者だろうと餌を与えてやるだけで大人しくなるのはどこでも同じ。暴れられる前にリードをつけて制御すると思えば、この仕事も案外楽しいですわ。それに、そもそもこの傭兵クラブ自体が大きな傭兵団ですから、たまに依頼を受けることもありますもの。退屈もしませんわ。ふふふっ。」

「"おお、カッコいいね〜。なんだか、傭兵の女王!って感じだね。"」

「その言葉、褒め言葉として受け止めてもよろしくて?」

「"私は嘘はつかないよ。"」

「まぁ、紳士的だこと。社交辞令もお上手だなんて、先生は隙がないわね。」

 

すると、ポケットに手を入れたかと思うと、袋に包まれた一粒の金色の何かをカウンターに置く。

 

「これは、私たちが気に入った相手に送る一つの表彰。これを胸ポケットにつけた者が何者かに被害を受けた時は、我々が飛んでいく…それを示す証。"The Hive"ですわ。これを先生、貴方に送る。受け取ってくれるかしら?」

 

The Hive。直訳で「巣」だ。

その名の通り、バッジは六角形の中にまた六角形が組み込まれた、いわゆるハニカム構造をモチーフにしたデザインとなっている。

 

「"The Hive…すごくカッコいいし、いいバッジだね。"」

「でしょう?」

「"でも、遠慮しておくよ。"」

「…理由をお聞きしても?」

「"理由?それは…私が先生だから、だよ。"」

 

ヒーベの顔が、理解できないというような顰めっ面になる。

このバッジは、傭兵のような子にとってはとても心強いものだろう。だが、私は先生。このバッジのようなものを見せびらかして"力"を誇示するような立場の人間じゃない。

私を守るのは、"力"ではなく"繋がり"であるべきだ。これまでの学園の子たちや、この学園での魔法少女たちのように。

 

「"私は、力で生徒を押さえつけたりはしない。私の身を守るのは私だし、生徒たちを守るのも私じゃなきゃいけない。こんな後ろ盾を見せつけるのは、私のような"先生"がやっていいことじゃないと思う。"」

「…ふむ。」

「"もちろん、私はただの人間。生徒に"頼み事"をして問題を解決してもらったり手伝ってもらったり、あるいは一時的に私のことを守ってもらったりすることはあるけど…それは、こんな交渉や力じゃなくて、関係…心と心との"繋がり"で成立するものだ。私は、それを大事にしたいと思ってる。だから、このバッジは受け取れない。気持ちだけ受け取っておくよ。"」

「………」

 

しばらくの沈黙の末に、ヒーベが机に出されたバッジを再びポケットにしまう。

その表情は、苛立ちや不満などではなく…笑顔であった。

 

「…ふふふっ、あははははっ!初めてだわ、"The Hive"を受け取らない人なんて!ふふ、ふふふふっ……気に入ったわ、先生。貴方は"人を率いる器"を持っている。先生なんて称号がついているし、当たり前だけれど。なら、私たちは…生徒である私は、敬意を持って貴方の下につきますわ。是非、私たちにも快く"頼み事"をしていただきたい。上っ面の金銭的な関係じゃない、心と心との信頼関係を築き上げていきましょう。」

「"君がそれでいいなら、喜んで。もちろん、嫌なことがあったら断ってもいいんだからね。"」

「ええ、気に入らないことをしたらいつだってその背中を叩いてあげるわ。これからよろしくね、先生。」

「"うん、よろしく。"」

 

カウンター越しに握手を交わすと同時に、周りから拍手が起こる。

私に軽蔑の視線を向けていた傭兵たちも、後ろの傭兵クラブの子たちも、グレンまでもが、拍手をしていた。

どうやら、ヒーベと関係を築くことはかなりすごいことらしい。

 

「さて、これで貴方を不埒な大人として見る不届きものはここからはいなくなったでしょう。なんせ、この私…傭兵クラブの長と"お友達"になったんですから。保証しましょう、今後貴方に危害を加える愚かな傭兵は私たちがしっかりと"注意"いたします。安心して、ロボトミーを歩いてくださいまし。」

「"ありがとう。ちゃんと私が信頼できる大人だってことを言っておいてくれると助かるな。一応BFも協力してくれてるみたいだけど、協力者は多い方がいいし。"」

「あら、BFとも手を取ったの?あらあら…本当に、社交辞令がお上手なのね。」

「"ダンスはてんでダメだけどね。"」

「奇遇ね。私も社交ダンスは大嫌いよ、ふふっ。」

 

なんやかんやで、傭兵たちとも仲良くなることができた。これで、この学園の不安な要素はほとんど消え去っただろう。

これからは、路頭で襲われるようなことはほとんどない…と思う。少なくとも故意で襲われるようなことはないはず。

 

「"じゃあ、他のところに行ってくるよ。視察はまだまだ続くからね。"」

「そう、随分と忙しいのね。お茶くらいはお出ししたのに。」

「"今度、またゆっくり飲もう。今はお仕事中だから、飲みすぎるとお腹痛くしちゃうし。"」

「分かったわ。また時間があれば、ゆっくりお茶会でも嗜みたいところね。では、お気をつけて。」

「"うん、ありがとう!"」

「センセー、またな!今回は貸し1ってことにしといてやるから、また今度何か借り返せよな!」

「"グレンも、ありがとうね!今度何か買ってあげるよ。バイバイ!"」

 

入りの時とは真逆の雰囲気で見送られて、傭兵総括室の扉を出た。

 

「…すごいですね、あのヒーベを手なづけるだなんて。本当に不思議です。」

「"そう?いつもあんな感じだよ、生徒と接する時は。"」

「そういう誠実で公平なところが、きっと生徒たちを魅了するのでしょうね。先生の肩書き、本当に似合ってますよ。」

「"…急にヨイショするね、ミゼちゃん。"」

「なんとなく思ったことを口にしただけですよ。じゃ、次行きましょ。」

「"分かった。次はどこかな〜…"」




次回:部活編Part3。私はいつになったらこの小説を書き終えられるのでしょう。

共通テストは壊滅でした。滑り止めには受かってそうなだけよかった…
これからの一般も頑張ります。

感想や評価等いただければ今後のモチベーションもとい改善につながります、お時間があれば是非お願いいたします。(未ログインでもできるはず)
特に感想は泣いて喜びます。単に「ここがよかった!」だけでなく、いわゆる校正とか質問とかもガンガン募集しています。いい小説という名の未来のための一種の投資だと思って、是非。

もう一つ、合計1000回UAありがとうございます。多分これまで書いてきた中で2回目ですね。連載かつ何番煎じかも分からないこんな作品で達成できたこと、誠に光栄です。
次の目標は、とりあえず平均が取れるほどの評価のデータをいただくことですね。是非ご協力を。
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