ゲーム魔女の現代観光   作:龍翠

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11 神様の歴史書(漫画)

 

 サキ様に言われた通りに家に戻り、その後は大人しく過ごす。家にある本は好きに読んでもいいと言われていたので、とりあえずサキ様の部屋にあった本を読みながら待つことにしようかな。

 そうして読み始めた本は、どれも私の想像を超えるものだった。

 

「すごい……! この世界の人は、こんなに強い魔法が使えるなんて……!」

 

 これは、歴史書か何かかな? どれも文字だけじゃなくて、絵をふんだんに使っていてとても分かりやすい。たくさんの種類があるから、もしかしたら神様たちが私たちの世界みたいに他の世界を作って、観測した内容なのかも。

 それにしても……。わたしも、こんな魔法が使ってみたい。両手を腰の近くで構えて、はーっと打ち出して魔法を放出する……。しかも、すごい威力。おもしろい魔法だ……!

 他の本は純粋に肉体の強さのみとかもあった。でも肉体だけでできないようなものもあったから、身体強化の魔法を極めているのかもしれない。

 身体強化。ほどほどで研究をやめたけど、これも続けてみようかな?

 そうして私が本を読みあさっていたら、玄関のドアが開いたのが分かった。

 

「ただいまー」

「たっだいまー!」

「おじゃましまーす」

 

 そんな、三人の声。サキ様とハナ様、それにアユミ様だ。

 アユミ様はわたしに興味を持ってくれたみたいだから、きっといろんな話を聞けると思う。楽しみだなあ。

 この部屋のドアが開かれて、サキ様たちが入ってきた。

 

「おかえりなさい!」

 

 わたしが立ち上がってサキ様たちを迎えると、サキ様はちょっとだけ照れ臭そうな、そんなかわいらしい表情になった。こんなことを思うのは不敬かな?

 

「ただいま……。ちゃんと大人しくしてくれてたみたいだね」

「はい! あの後は一歩も出ていません!」

「あはは……。よかったよ……」

 

 あれ? なんだか、少し疲れた表情になっているのは気のせいかな?

 サキ様の隣では、ハナ様が頬を膨らませていた。

 

「むう……!」

「あの、ハナ様? どうかしました?」

「わたしのところにも! 遊びに来てほしかった!」

「あ、その……。遊びに行ったわけではなくてですね……」

「むううう!」

 

 あわわ……。どうしよう、ハナ様が怒ってる……! ハナ様にも会いに行くべきだったのかな……。でも。サキ様に結構強めに帰るように言われていたし……。

 

「こら。ハナ。ティルエルは悪くないって言ったでしょ」

「むう……」

「晩ご飯の準備をするから、手を洗ってね」

「はーい……」

 

 とてとてと、走っていくハナ様。許された、のかな……?

 そして最後に、アユミ様。

 

「本当に……いる……!」

 

 アユミ様はふらふらとわたしの方に歩いてきた。なんだろう、ちょっと怖いような、そんなイメージがある。

 

「ティルエルちゃん……だっけ?」

「えっと……。その……。はい」

「かわいい!」

「わぷっ!?」

 

 あ、アユミ様に抱きしめられてる! なにこれ!? なにこれ!?

 

「アユミ」

「なに!?」

「しばらく相手してあげて」

「任せて!」

「むあー!?」

 

 せ、説明を! 対処方法を! わたしはこれどうすればいいんですか!?

 

 

 

 解放されたのは、晩ご飯ができてからでした。それまでずっとなんだか撫でられ続けて、頬ずりされて……。神様が近くに感じられて嬉しいような、こうして触れ合えて恐れ多いような……。正直、ちょっと鬱陶しく思えてしまったりとか……。複雑な心境……。

 

「ごめんね、ティルエル。この子、かわいいものに目がないから……」

「かわいいは正義!」

「まあ、こんなやつだから……」

 

 かわいい……。わたしは、かわいいのかな? 分からない。

 晩ご飯は、鮭の塩焼きというもの。鮭という魚を塩焼きにしたシンプルな料理ということで、塩味がしっかりときいていてとても美味しい。

 この魚は初めてだけど、塩焼きは食べ慣れたものでもある。あっちの世界では、川魚を捕まえて塩を振って焼いて食べる、というのはよくやったから。

 晩ご飯にはアユミ様も同席していた。アユミ様もこの建物に家があるらしくて、よくお互いに泊まりに行ったりしているのだとか。

 友人……というのはわたしにはいなかったから、なんだか羨ましい関係だ。

 

「それにしても……話題になってるわね」

 

 すっかり落ち着きを取り戻したアユミ様が、テレビを見ながら言った。

 テレビにはニュースが流れてる。そのニュースでは、わたしのことが取り上げられていた。飛んでいた場面も当然として、物を浮かせて運んでいたところもばっちりと撮られていたみたい。

 なんだか自分の悪いところを改めて見せつけられているみたいで、とっても居心地が悪い。恥ずかしい。穴があったら入りたい……!

 

「あらら。ティルエルちゃん、顔真っ赤になってるわよ」

「いろいろ勘違いしてる子だからね……」

「ところで、この子のこと、サキのお父さんには連絡したの?」

「したけど、返信がないから仕事で忙しいんじゃないのかな……。仕事中はプライベートのスマホを持ち歩かない人だから」

 

 よく分からないけど、わたしに紹介したいという人がサキ様のお父さんというのは間違い無いみたい。サキ様のお父さん。すでに働いている神様。ああ、会えるのがとても楽しみ……!

 

「でもなんとなく……。お父さんに連絡がつく前に、絶対にいろいろありそうな気がする……」

「間違いないわね。一日でまたニュースになってるぐらいだし」

「だよねえ……」

 

 やっぱりサキ様にとっては、わたしはあまり出歩いてほしくないみたい。いや、うん。当たり前だよね。こうしてまた悪い意味で注目を集めてしまっていたら、サキ様からすれば恥ずかしいことだと思う。

 ああ、本当に気をつけないと。せっかくこうして置いてくれているのに、恩を仇で返すことなんてしちゃいけない……!

 

「安心してください! サキ様! 明日からはこの家から一歩も出ません!」

「いや……。うん。そこまで強制するつもりはないよ。ただ、同じことが起き続けると、この家に置いておくことができなくなるかもしれないから、そこは注意してね」

「はい!」

 

 追い出されたくはないから、本当に気をつけようと思う。テレビでもいろいろ調べられそうだし、サキ様のお父さんに会えるまではしばらく出ないようにしよう。

 わたしはもう! ここから出ない! そう、何があっても!

 

「なんだろう。フラグを立てられた気がする」

「奇遇ね。私も」

「ふらぐってなんですか?」

「気にしなくてもいいかな!」

 

 サキ様がそう言うなら、気にしないでおこう。

 




壁|w・)歴史を漫画にしたものでもなく、普通の漫画です。
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