キヴォトス異世界転移物シリーズドイツ軍編 作:ゲヘナ第1突撃隊
1943年11月14日クルスク
Hermann Fortunato Marini
1943年11月クルスク
私は、重戦車小隊の1号車(ティーガー1)車長としてソ連軍との戦闘を控えていた。
1942年に始まったこの戦争も節目!ここを攻略すればスターリングラードまですぐだ!!
私は、軍部から配布されたプロパガンダポスターを、見て愚痴をこぼす。
「陸軍総司令部はなにを考えているんだ!!我々の戦車隊以外は、ほぼ大戦初期の三号戦車ばかり、これではイワンどもの戦車を撃破できないじゃないか!!」
砲塔に寝そべり、真上を飛んでゆくシュトゥーカに向かって言った。
ハインツが装填手用ハッチから出てきて。
「この列車にはSSの奴らも乗っているので、そういうことは言わないほうがいいですよ!」
っと、強く言われた。
それを聞いて不満げな私は。
「SSに聞かれてもかまわないさ、今回のクルスクの戦いで、我々の戦車以外はみ~んなやられてしまうさ」
「縁起にもないこと言わないでください、それよりさっきのシュトゥーカ、第2急爆じゃないですか?」
「そんなわけある…いやわからん」
と双眼鏡でシュトゥーカを見たが、私には分からなかった。
そんな雑談をしているうちに前線付近の操車場に到着し、部隊編制を開始した。
私達の戦車隊は、装甲擲弾兵の装甲車と共に行動することになった。
砲弾と燃料の積み込みも終わったので、優雅に操車場内の戦車を見て回っていると、ハインツが全速力で息を切らしながら走ってきた。
「そんな急いでどうした?」
「中隊長がお呼びです!急いで向かって下さい!」
「ふぇ?」
私は急いで、作戦指揮所に向かった。
そこでは、各中隊長と大隊長が防衛陣地へのルートを模索していた。そこには同じ階級である小隊長がおらず。
私だけ呼ばれたらしい。
「中隊長殿!ただいま参りました」
「よし来たか!『君たちは、地盤のしっかりした120高地攻撃部隊に編入することになった。沼にはまったりして足手まといにならんようにな!』って大隊長が連隊長に言われたらしい」
「なんですって?、それはひどい」
連隊長は味方の重戦車が沼にはまったりして進撃が遅くなっているのを嫌っている人だから、新型のティーガーが気にいらないのかもしれない。
「つまり…その…移動ってことですよね?…」
「そうなってしまうが、異動先の部隊にはティーガー1や、4号戦車などがそろっているから、まあ…いいじゃん?」
自分的には、今更移動は面倒だったが上官の命令には、逆らえんのでもちろん承諾した。
「で、いつからですか?」
「明日すぐにだそうだ」
「え!」
中隊長の顔を二度見した
「わ、わかりました」
私は、作戦指揮所から帰る時にまた愚痴をこぼした。
「昨日ここについたばかりなのにまた移動か、
いやだー!
ただでさえティーガーの巡行速度はくそ遅くて足回りが貧弱なのにこれ以上の移動はしたくない…」
そんな事を言っていると、ハインツが装甲擲弾兵のキューベルで迎えに来た。
「迎えありがとう」
「いえいえ。
で?なんと言ってましたか?」
「また移動らしい、今度はここより南方の120高地の攻撃隊に転属らしい」
「うちの部隊全部ですか!?」
「もちろん!重戦車大隊全体」
笑いながら言ってやった
「クソッ」
もちろんハインツはキレて、いつもの上手い運転が荒っぽくなり死ぬかと思った。もう二度とこんなことはしない。
この日は明日の移動の準備をして寝床についた。
1943年11月15日我々の戦車隊は、友軍陣地に前進した。
この日はアメリカ軍のマンハッタン計画の集大成である、プルトニウム型核爆弾がアメリカのニューメキシコ州ソコロの南東48kmの地点にあるアラモゴード砂漠のホワイトサンズ射爆場に運ばれていた。
これは、人類において史上初の核実験であった。その通称は”トリニティ”実験であった…
私達は、移動目標である味方陣地の北西45キロ地点に差し掛かった。
”びゅぅぅぅー”
途中から吹雪がひどくなり先導車が微かに見えるくらいになっていた。
「なんも見えん、真っ白だ」
私はそんなことを、つぶやいているとハインツが、
「見失って迷子なんて勘弁ですよ?
あと後続もちゃんとついてきてるか確認してるんですか?」
まくし立てるハインツに対してイライラしながら雪の中前進していた。
車長用ハッチのペリスコープから見える景色は、正面と後ろ以外は一面雪景色だ…
前方を走る隊長車も微かにしか見えない。
私は、再びハインツと雑談していると、今まで聞こえていてた隊長車の通信が切れ、前方の車両隊も見えなくなっていた。
「あれ?隊長車を、見失ったか?
ヨーゼフ!通信機はどうした!」
ヨーゼフは通信機を、いじりながら
「言う事を聞きません、後続の隊とは問題なくできますけど…」
「一体車列を停止させては?」と、提案してきた。
私は、後方を確認しながら。キューポラから出て車列を停止させ、後方の偵察装甲車に駆け寄った。
私は扉を叩き、出てきた通信兵に
「隊長車を見失った、そちらの通信機は、つかえるか?」
と、聞いてみるが。やはり全く使い物にならないらしい。
我々は、吹雪が去るまで足止めを食らってしまった。
私は、いったん戦車にもどりペリスコープから見える景色をジッと見ていた……
その時、戦車が青い光に包まれたと思うと、車体がガタガタと揺れ一気に暗闇に包まれた…
「うわなんだ!」
「うひゃあ!!」
私たちが目をやられている間に、ハインツたちが、手探りで懐中電灯を探していた。
「あったぞフォル!聞いているか?
あ~だめだ、伸びてやがる」
ヨーゼフがノエルも確認したが、二人共気絶していた。
ハインツが私をどけて、外を確認しようとしたが何かが乗っていて確認することができなかった。
ハインツは私を叩き起こして、
「味方の車両を確認しに行くぞ!」とMP41rを押しつけて
戦車から出て、私を引っ張り出した。
出たときは眩しくてわからなかったが、ティーガーの車体は全て雪の中に埋まっていて、どうにも走りだせそうにもない。
「おいおい、どういう事だよ、こんな短時間でこんなに埋もれるなんて、それに後続の車両隊は!?」
ハインツは、そんなことを吐いた。
「え?どういう事だ?」
私は、起きたばかりで状況把握に時間がかかった。
そんなことをしていると、ヨーゼフがノエルを引っ張り出してきた。
「うぅぅ、眩しいぃ」
「車長!、全員無事でした!」
そう言って彼は、教範通りの敬礼をした。
「ご苦労様ですぅ、それでこれからどうする、味方は愚か道すら分からない。」
「後続の車両隊と戦車にいる組で、二組に分かれてを探しに行くか…」
ハインツがそんなことを、提案すると。
ノエルは、
「ここで待ってるので、三人で言ってきてください」と、はいずりながら戦車に戻ろうとしたので、ヨーゼフが彼女を踏みつけて中に入らないように妨害した。
「いいから行くぞ!!」
「分かった分かった!、ハインツと俺で行ってくるから、お前らは二人で戦車を見張っとけ!」
つづけてハインツが
「戦車もほぼ埋まってますし、敵にばれたりすることはないでしょうし。」
それを聞いて、ヨーゼフはノエルを離して、戦車の中に蹴落とした。
「うひゃぁぁ!」
”ガタン!”
「私もノエルと一緒に戦車に残ります、それじゃあ気を付けて行って来て下さいね!」
と言い残して車内に戻っていった。
「あいつらもとから行く気なかったんじゃないか?」
「まぁ…あいつら拳銃くらいしか持ってないし。さっさといくぞよ」
「どこに?」
私は、振り返りながら
「さあね♪」と言った。
「まあ…一面雪景色ですからね」
私達は二人で戦車を中心に、木にしるしを付けながら味方車両を探した。
「何か見えたか?」
「何も、シベリアで木を数えているみたいだ。」
とハインツが言いながら木に印を付けた。
「そんなことよりあの日から何日経ったんだ?あれだけの雪が積もっているなんて…」
しるしを、付けているハインツに問いかけたが、彼も「分からない、何日も寝てたわけじゃないと思うが」と言うだけでさっぱり分からなかった。
その間に、持ってきていた双眼鏡で周りを、探索していると砲身のようなものを発見した。
「おい!ハインツあれを見てみろ」
私は、双眼鏡を渡して場所を指さした。
「後続の戦車でしょうかね?」
「早く行こう!」
私たちは、急いで戦車に駆け寄った。
”ダンダンダン!”
私は、雪をどけてキューポラを叩いた。そうすると車内から車長がのそのそと出てきた。
「お~い、生きてるか?」
「フォル伍長ご無事でしたか。」
「私含め全員無事です!だけど、通信機が故障して周りに知らせることができなかったため待機してました」
「そうか」
「お〜い!フォル!」
「なんだ?ハインツ?」
「こっちにも埋まってるぞ」
周りを見ると、他にも埋まっている車両があり、ここに集まっているものだと思って、その戦車長と共に各車の乗員を確認した。
私たち以外にティーガーや、四号戦車なども埋もれていて、擲弾兵の部隊も集合して、雪に埋もれている戦車を総動員で掘り返した。
あらかた車両の救出を終えると、各車の車長、部隊長を集めて次の行動を模索した。
「さてこれからどうする?」
ヨアヒム伍長が「いったん来た道を戻って基地に連絡しましょう!」と、言ってくれたが現在地が不明だったため、通信車の通信機を修復することになり、我々周辺の警戒を行うことにした。
「一旦戦車に戻ろう、四号が引き上げてくれたが、まだ発動機がかかるかどうかも分からないし、あいつらもきっと待っているだろ。」
私は、ハインツと一緒にノエルとヨーゼフが待っている戦車に向かった。
出発してしばらくすると、1両のティーガーがこちらに向かってきて、砲塔の上でヨーゼフが手を振っていた。
「おーい!!発動機回ったぞ!!」
ハインツが手を、振り返しながら
「あいつら迎えに来ましたよ!!」って言いながら戦車に向かって走りだした。私もあとを追って車両に乗り込んだ。
再集結した、私たちの後続で構成された戦車隊は、原隊に復帰する為に通信機の復旧を急いだ。
「さっきまで雲が出てて方角がわからなかったが、今なら太陽の位置で方位がわかるぞ」
砲塔に座っていたハインツが空を指差しながら言った。
私も、彼の指を目で追いながら空を見ると、雲の隙から白い線の円のようなものがいくつも浮かんでいた。
「何だあれ、飛行機雲か?」
ハインツが、目を凝らして見ている。
「え?」
そうしているとヨーゼフが、キューポラから出て確認してみる。
「いや、あんなにきれいな形なものはないよ」
「どういう事だ?、やはり何かおかしいことが起きているのでは?」
私が、そんなことを言ってみるが、正解は導きだせなかった。
そんなことをしていると、部隊が集合している場所に到着した。部隊は通信車を中心に、ちょっとした防衛陣地を構築していた。
私は、自分の戦車の通信機を修理していた。
「あとちょっとで、部隊間の通信くらいならできるようになるな。」
「これで戦闘に支障はでないね」
と操縦手席にいたノエルが言った
「ああ、そうだな」
そんなことを二人で話していると。通信機から味方の戦車からの通信が聞こえてきた。
『こちら通信車、通信機が復旧しました。』
「やっと治ったか」
上からハインツがしゃべりかけてきた。
「他の番号も試してみようぜ?」
「え〜?この通信距離には味方はいないと思うぞ?」
私は、まさかな〜と思いながらも通信機をいじってみる、すると。
「何か聞こえる気がする…」
『・・・襲撃をうけt・・・
援護をy・・する・・・”』
「んッ!!」「おい!聞こえるか、こちら第二戦車小隊!!」
「おいおい、ヤバそうじゃないか?」
ハインツが隣で焦りながら行った
「聞こえるか?おい!
だめだ返答がない…」
私は、戦車から飛び出して通信車に向かって走った。
「ヘルマン!!」
「すぐ戻って来るからまってろ!」
”ダンダンダン”
「通信兵!」
通信車の扉を叩くと、通信兵が出てきた
「何かあったのか?」
私は事の顛末を話した。
「わかった、逆探知してみます。」
私はその返事とともに各車に通達し、各部隊が戦闘準備を始めていく。
他の車両を眺めながら、MP-41Rの弾倉に弾を込める。
「まさかティーガーでの初戦闘が、こうなるとは思わなかったな~」
「ホントですよ、でもこいつの癖は熟知してるので大丈夫ですよ」
ヨーゼフが、顔をのぞかせながらそう言った。
そんなことをしていると通信車から通信が入る
「逆探知に成功しました!
ここから南西に三キロほどです」
「なに?北西は味方の陣地のはず、占領地域の戦闘か?」
ハインツは困惑しながらも同軸機銃の弾を込めた。
「よくわからないが、まあ、そこには味方がいるからには行くしかないだろう。」
私達は、発動機を始動させた。
そうすると、擲弾兵がよって来た。
「乗せてくれないか?」
と言ってきた。私は、承諾しぞろぞろと戦車に乗り始めた。
「助かったよ、うちのトラックは、風よけに使ったせいかエンジンがつかなくて、この戦車に乗れなきゃ歩きで行く羽目になるとこだった」
彼は、笑いながらそう言った。
「君の部隊には、女性兵士が多いね」
「ああそうだ、1933年の徴兵法が変更されて、志願者は女性も外国人でも国防軍に入隊できるようになったからな」
「それでも、この部隊は特に多く感じるな」
(1933年は、ナチ党政権下に移行した年である。
)
「先頭の車両が移動し始めましたよ」
そう言ってノエルが私に知らせた。
「よし行くか」
「
つづく…