私に先生は荷が重すぎます!   作:朱汰清家

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序章
プロローグ


「私のミスでした」

 ガタンガタンと揺られながら彼女の言葉を聞く。

「私の選択、そしてそれによって招かれたこの全ての状況。結局、この結果にたどり着いて初めて、あなたの方が正しかったことを悟るだなんて……」

 目の前の彼女は肩から血を流し、白い制服が痛々しく赤く染まっていく。

 そんな事はないと伝えるが彼女は首を横に振った。

「私は貴女を信じることが、頼ることができなかった。滑稽ですね。キヴォトスのため貴女を呼んだのに」

 それこそ私の責任だ。私は先生なのだから。生徒に信じ、頼ってもらえるように行動しなければいけなかったのに。

「ですから、先生。どうかお願いします。私が信じられるあなたなら」

 ……私には荷が重すぎるよ。知識があったって失敗したんだ。そもそも、全部を知っているわけじゃない。その先の選択で間違えてしまうかもしれない。……私は君に信じてもらえるような大人なんかじゃ……。

「私が信じているのは外の知識じゃありません。貴女です、先生。自分には荷が重いと言いながらも生徒の事を一番に考え、行動してきた貴女だからこそ私は信じているんです。……だから、お願いです。このキヴォトスを、生徒の未来を、私達が愛したこの世界を救ってください」

 柔らかくも鋭い目が私を見つめる。後悔、怒り、悲嘆、そして縋るような希望が感じ取れる。

 わかっている。これしか方法がない事は、けれど……。

 ……重い。重すぎる。私は『先生』じゃないのだから。

 それでも、目をつむると思い出す。これまで私が関わってきた生徒たちの顔が、笑顔が、青春が。その全てのためなら私は……。

 息を吐く。余分なものを吐き捨てるように。

 息を吸う。足りないものを補うように。

 目を開け、視線を交差させる。ためらいなど、もう無かった。

「……貴女が先生で良かった」

 この決意も決して次に持ち込むことはできないだろう。それでも、忘れないよう心に深く刻み込む。

 先生として、大人として。私は今度こそみんなを守るのだと。

「……最期に一つ、ワガママを言ってもいいですか?」

 どこか緊張した面持ちの彼女。そんな表情の彼女を見るのは初めてで少し面食らってしまった。

「ぎゅーって、抱きしめてください」

 彼女らしからぬ、けれど彼女らしい最期のお願いだった。

 立ち上がり、近づき、抱きしめる。ぎゅーっと、力強く、離さないように、離れないように。

「あったかいなぁ。……実は私、羨ましかったんですよ。先生が生徒たちを抱きしめているのを見て嫉妬してたんです。私もあんな風に抱きしめられたいなぁって」

 まさかそんな風に思っていたなんて、気付けなくてごめん。

「謝罪は要りません。その代わり、最期まで、このままで」

 外はもう白に崩れ去っていた。ここもすぐに崩れてしまう。私は抱きしめる力をさらに強くする。

「先生……。私は貴女のことが――」

 私は彼女の最期の言葉に返事をする事が出来なかった。

 

 

 

 

 

「――せい。……先生」

 体をゆすられて意識が浮上してくる。どうやらいつの間にか寝てしまっていたみたいだった。

 そもそも、私は寝る前に何をしていたのだろうか。

 寝起きだからか頭が働かず、うまく考えることができない。

「起きてください先生」

 誰かが隣で私を起こそうとしているみたいだ。けれど、私は先生になった覚えはないのだけど……。誰かと間違えているのだろうか。

 とりあえず、現状を把握するために目を開ける。ここがどこかわかれば自分が何をしていたのか思い出せるだろう。

「あっ。ようやく起きてくださいましたか」

「……おはよう。ここは……」

 目を開け、自分に話しかけていた人物の顔を見て一瞬で意識が覚醒する。そんなわけないだろうとその子の頭の上を見るけど、そこにはまるで天使の輪のように浮かぶ特徴的な輪っかが浮いていた。

「お疲れでしたのですね。改めて説明します。ここはーー」

「――リンちゃん?」

「――誰がリンちゃんですか」

 間違いない。そこにいたのは私が好きなゲームに登場するキャラクター、七神リン。けれど、今の彼女はキャラクターなんかじゃない。目に映る景色の質感。肌で感じる空気の暖かさ。耳に届く人々の喧噪。どれをとっても現実だった。つまりここは――。

「……ここ、キヴォトス?」

 どうやら私はブルーアーカイブの世界に来てしまったらしい。それに、さっきのリンちゃんのセリフからして『先生』として。

 ……私が、先生……か。

 ……………………普通に無理だが!?




アビドス対策委員会編3章でやりたいことができたので見切り発車で書きました。
3章の構想はそれなりに固めてはいるけど、逆に言えばそれ以外は全く考えてないですよ。
つまりプロットなしで対策委員会1,2章、パヴァーヌ編1,2章、エデン条約編1~4章、カルバノグ1章、そしてあまねく奇跡の始発点を書き上げなきゃいけないわけですね。
……地獄かな?
やばい。すでに後悔してきた。
ちゃんと完結させるどころかアビドス3章まで行けずに失踪するかもしれない。
ですので皆さん、感想と高評価をください。
たくさんください。
私のモチベーションになるので。
私は追い込まれればやるタイプですので、皆さんで私を囲って催促してください。
そうすれば逃げ道がなくなるので。
過度に期待して待っていてください。
そうすれば死ぬ気でやる気を引き出すので。
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