私に先生は荷が重すぎます!   作:朱汰清家

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最初に書いておきます。
オリキャラではありません。


謎のヒロインイベント

 これまで襲ってきたヘルメット団の武器をアヤネが解析し、その出所がブラックマーケットだと絞り込むことができた。私たちは新たな手掛かりを求めブラックマーケットに来てみたんだけど……。

「ねえお姉さーん、アタシらいまお金がなくて困ってんだよねー」

「だいじょーぶ、ちょっとお財布を渡してくれたらアタシらすぐにどっかいくからさ」

「痛い目見たくなかったらいうこと聞いたほうがいいよー」

 ……まさか。まさか迷子になった挙句不良に路地裏へ連れていかれカツアゲに合うなんて!!

 というかふつうこういうのヒロインが起こすイベントじゃない!? なんで私がこんなことになってんの!! 私の不注意で迷子になったことが原因ですね! はい!!

「おい! なんとかいえよな!」

「もしかしてブルっちまって声が出せないんじゃね?」

「お前の顔こえーしな」

 本当にどうしよう。どうやって切り抜けたらいいの? 私には戦う力なんてないし、逃げ切れる自信だってない。説得したって聞いてくれそうな相手じゃないし。アビドスのみんなにはさっき『とりあえず大丈夫だからみんなは探索してて』なんて連絡したから来てくれるとは思えないし。

『先生! 私が銃弾を防ぎますので先生は走って逃げてください!!』

 頭にアロナの声が響く。確かにそれしかないのかもしれない。でも……。

「ほら、早くしろよ!」

 迷ってる暇はない。いち、にの――っ!

「あれ、先生じゃないですか。こんなところで何してるんですか?」

「――え?」

「だれだテメェ?」

 声をかけてきたほうを見るとそこには見知った顔になった子がいた。

「だれって言われてもただの傭兵ですけど?」

 便利屋が襲ってきたときに連絡先を渡し仲良くなった子だ。名前は坂成ユイ。工事用ヘルメットからはみ出るピンクの髪とスレンダーな体型が特徴的な可愛らしい子だ。

「物は相談なんですがその人を放してくれませんか?」

「はっ! ヤなこった!」

「だれがオメ―の言うことなんか聞くもんか!」

「そうだそうだ! ちんちくりんなボディーしやがって!」

「――ちんちくりん?」

 ユイの雰囲気が変わった。なんだかユイの周りだけが極寒の灼熱地獄になったみたいだ。

「言ってくれますね。どうやら痛い目を見ないと分からないらしい」

 懐からハンドガンを取り出し、右手で構える。

「そんなちんけな銃なんかでどうやって戦うつもりだよ」

「当たったところで大して痛くねえしな!」

「まあ、ちんちくりんボディーのお前が使うには十分な代物か」

「試してみますか?」

「上等だ! やってやろうじゃねえかよ!」

 不良三人がユイに襲い掛かろうと走り出した。

「ユイちゃん! 危ない!」

「ご安心を先生。この程度の不良にやられるほど私、弱くないので」

 そういってユイは一発の弾丸を放つ。その弾は先頭にいた子の足に当たり、その子は突っ伏すように前へ転んだ。

「――っ!」

「あっぶね!」

 後ろ2人は倒れた子に巻き込まれないように動いて少し体勢が崩れる。その隙をついてユイは一気に二人に近づき、片方の顔面を思いっきりぶん殴った。

「――ブヘェ!」

 そのまま殴り飛ばし壁にぶつかった不良は意識を失い倒れる。

「よくも二人を――!」

 残された一人が銃を構えようとするが、それよりも早くユイが銃弾を放つ。一発、二発、三発、四発、五発と至近距離から打ち込まれた不良はその場で気絶してしまった。

「いてて……な!?」

 最初に倒れた子が顔を起こした。そのまま周囲を見渡して二人がやられたこと気づき驚愕した。

「どうします? まだ、やりますか?」

 背後からかけられた声にビクンと体がはね、ブリキのように首を回す。そしてユイの顔を見て恐怖し倒れている二人を連れて逃げ去ってしまった。……ユイってこんなに強かったんだ。あの時戦わなくて正解だったかも。

「危ないところでしたね、先生」

「ありがとう、助かったよ」

「というかいくら何でも危機感がなさすぎではないですか? ここはブラックマーケットですよ? 私が通りかかったからよかったものの」

「あはは、ごめんね。次からは気を付けるよ」

「それで、どうしてこんなところに?」

 あんまりいろいろとしゃべるのはよくないかと思ったが何かしらの情報が聞けるかもしれないと思い理由を話した。それを聞いたユイは少しの間考え込み、お役に立てそうにないと話してくれた。

「私も所詮、ただの傭兵ですので。あまり詳しいことは」

「そっか。ありがとね」

「あまりお力になれずすみません。代わりといっては何ですが護衛を務めましょうか?」

「え……!? いや大丈夫だよ!」

「大丈夫じゃないからさっきのことが起きたのでしょう?」

「う……っ。そ、だね。それじゃあお願いしようかな」

「――よしっ! 臨時収入ゲット!」

「まって、お金とるの!?」

「当然でしょう。私もこれを生業として生きていますので」

「うぅ……。背に腹は代えられないよね。今あまり手持ちがないからそこまで高くないといいんだけど」

 ポケットから財布を取り出す。中には数枚のお札といくつかの小銭しか入っておらず、改めて今の金欠具合にため息が出る。

「冗談ですよ。お金いりません」

「……ほんとう?」

「はい。というかこれはこの間のサービスみたいなものです。さすがにあれだけのお金をもらっておいて何もしないってのもどうかと思っていましたので」

「ユイちゃんありがとう!!」

「――ちょっ!?」

 感極まってユイに抱き着くと、とてもやわらかな身体をしており鼻腔を突き抜ける香りは爽やかで良い匂いだった。

「はなれてください! 暑苦しいです!」

「――ぐぇえっ」

 ユイは両手を使い無理やり私を引き離した。そしてすぐに距離を取り自分の体を守るように両腕をクロスする。

「油断も隙もありませんねこのセクハラ大魔神先生は!」

「え~! セクハラなんてしてないよー」

「自覚がないならさらにたちが悪いですよ! どさくさに紛れて私の体をまさぐるように触ったじゃないですか!」

「そんなこと……してないよ。…………多分」

「最後っ! ちっちゃい声でなんていいました最後!?」

「そんなことより、ほら。そろそろ移動しない? こんなことで騒いでいてもどうしようもないんだしさ」

「誰のせいだと――はぁ。そうですね。今回のことはまた後日話しましょう」

 ギロッと目を細め睨んでくる。………………ちょっといいかも。

「それで、どこに行きたいんですか?」

「行くっていうより合流したいって感じかな」

「合流……? あぁ、アビドス高校のメンバーとですか」

「うん。ちょっと待ってて。どこにいるのか聞いてみるから」

 アヤネに連絡するとすぐに住所ののった返信が返ってきた。とはいえその場所がよくわからなかったのでユイに聞いてみる。

「この場所は……なるほど。ここからそこまで離れていませんね」

「どのくらいかかりそう?」

「たいしてかかりませんよ。せいぜい十数分ってとこです」

「それならよかった! それじゃあ行こっか」

「そっちじゃありません。こっちです」

 ……もしかして私、方向音痴だった?

 

 それからユイといろいろなことを話しながら目的地に向かって歩いた。内容は趣味や好きな食べ物、おいしい店、様々だ。

「そういえば先生、今後もブラックマーケットに来る予定とかはあるんですか?」

「今のところはないけど……多分また来るんじゃないかな」

「でしたらさっきのようなことにならないための方法や、ああいった場面から抜け出す方法など特別に教えましょうか?」

「本当……? ありがとう! 助かるよ!」

「私もいつでも見ているわけではないので」

「……ん?」

「いえ、なんでもありません。それよりも先生は今どんな武器を持っていらっしゃるのですか?」

「持ってないよ」

「――は?」

 私の返答にユイは硬直した。

「もってないって、銃ではなく手りゅう弾とかは?」

「ないよ」

「スタンガンだとか、警棒みたいなものは……?」

「うん! ない!」

「――――」

 口を大きく開け唖然としている。人って本当に驚いた時、こんな風になるんだなぁなんてのんきに考えていたらユイがつかつかと近づいてきて私の両肩をつかみ前後に揺らし始めた。

「どういうことですか! あなた仮にもシャーレの先生ですよね!? いろいろと武器だって支給されていたはずでは!? なんで何も持ってないんですか!」

「おお、おちついいてっ。っそんなに揺ららされるとぉ話せないから!」

 しばらくして気が済んだのか手がとまった。肩で息をしているユイに恐る恐る声をかける。

「大丈夫……? 何か飲み物買ってこようか?」

「いえ。お心遣い感謝しますが大丈夫です」

 何度か深呼吸し、呼吸を整えてユイは話をつづけた。

「なんで武器を持ち歩いていないのですか?」

「なんでって言われても……」

 そもそも武器の扱い方なんて知らないし。それに――。

「私は『先生』だからね。生徒を傷つけることはしないって決めてるんだ」

「……それだけの理由で?」

「ユイちゃんからしたらそう見えるかもしれないけど、私にとってこれはそれだけ大きな問題だからね」

 またユイが茫然としている。けれどさっきとは違い、あきれのような別の感情で茫然としていた。

「……まったく、どうしようもないお人ですね」

 はぁとため息をつき苦笑した。

「それが先生の思いなら尊重しましょう。そもそも私がどうこういう問題じゃないですからね」

「ありがとう。ユイちゃん」

「ですが!」

 一度言葉を切り、語りかけるような穏やかな声で話す。

「ですが、何かあった場合は遠慮なく呼んでくださいね。先生は外から来た人間なんですから。いざとなったら特別料金で働いてあげます。約束ですよ?」

 右小指を差し出してくる。それにこたえるように私も右小指を差し出し、お互いに絡め合った。

「約束するよ。心配してくれてありがとう」

「こんなに危機感のない人がいたら誰だって心配します。そんなことよりもほら」

 ユイが私の後ろを指さす。それにつられるように見てみるとそこにはアビドスのみんなが遠目に見えた。

「それでは私はここで失礼しますね」

「うん、送ってくれてありがとう。また会おうね」

「えぇ。機会があれば、また」

 ユイと別れてアビドスのみんなのところに向かおうとしたとき、ふと思った。私が外から来たって話したっけ、と。それについて聞いてみようとしたけどユイはもう人ごみにまみれて消えてしまっていた。まあまた今度聞けばいいかと思い今度こそアビドスのみんなと合流した。

 

 

 

 

 

「まさかシャーレの先生があんな人だったとは。やはり早めに接触しておいて正解でした」

「どうやら腹に一物を抱えるような人ではないようですが、油断はできませんね。これからも動向はチェックし続けなければ」

「……それにしてもこの缶コーヒー。悪くはないですがちょっといまいちですね。早く戻ってブルーマウンテンのコーヒーで口直しをしたいのですが……。迎えが来るの遅すぎでは?」




ここまで読んだ人はなんで前書きであんなこと言ったのかわかりましたね。
今話出てきたキャラは既存の生徒です。
まぁ、性格? 性能? を思いっきり改変しているのである意味オリキャラといっても過言ではないのかもしれませんが。
正直言うとあまりキャラ改変はしたくなかったんですがいろいろと考えた結果、今後のストーリーのことを考えて変えたほうがいいと思ったので改変しました。
多分改変することになるのは今のところこの子だけです。が、もしかしたら今後もキャラ改変する子が出てくるかもしれません。そういったことが許せない人には申し訳ありません。



それにしてもピンク髪、スレンダーボディー、ブルーマウンテン。いったい誰なんだ?
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