私に先生は荷が重すぎます!   作:朱汰清家

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目的失敗

 眩い光と周囲を切り裂くような爆発音に飲み込まれた私たちは、それらがおさまった後に目を開けると大勢の生徒たちに包囲され銃口を向けられていた。

「手を上げろ! 便利屋!」

 その声はとても聞き覚えがあり、総力戦でよくお世話になっていたイオリの声だった。

「風紀委員――ッ!?」

「あれ? 知らないやつがいる。まあ、こいつらと一緒にいるなら似たような奴だろ。お前も手を上げろ」

 イオリの言う通りに手を上げる。まずいことになった。まさか風紀委員会がこの場に乗り込んでくるなんて。それに外を見てみればさらに大勢の風紀委員たちがこの店を取り囲んでいる。こんな状況じゃあ何もすることができない。便利屋のみんなも現状に動揺しているようだった。

「アコちゃん。制圧完了した。それと、便利屋じゃない変な大人が一緒にいるんだけどどうする?」

『それは好都合です。イオリ、そのままその大人も連れてきなさい。くれぐれも丁重に』

「ちょっと待って! 先生は私たちとは何の関係もないわ!」

 アルが私をかばうように叫ぶが周りの風紀委員たちに銃口を向けられ押し黙る。

「先生……? そういえば最近どっかで聞いたような?」

『待ってください! 今先生といいましたか!?』

「ん? どうしたんだチナツ?」

『先生なら銃を向けてはなりません! 私もすぐそっちに行きます!』

「え? なにどういうこと? チナツ? アコちゃん?」

『はぁ、とりあえずそのまま待機で』

 イオリは困惑したまま銃口を向けてきている。ほかの風紀委員たちもどうしたらいいのかわからずざわつき始めた。

 このまま黙っていても何も解決はしない。どうにかしてこの場を切り抜ける方法を考えないと。

「えっと、とりあえず初めまして。私はシャーレの先生だよ」

 そのためにまずは時間を稼がなければ。なんてことないくだらない話をして、意識をそらして。そして考えるんだ、どうすればこの状況を打開できるのかを。

「――は? なに言ってんだお前」

「自己紹介だよ。人間第一印象はよくしないとでしょ」

 とりあえず正面突破は無理だろう。完全に包囲されている。

「この状況で自己紹介とかどんな頭してたら思いつくんだよ」

「ほらほら、私は自己紹介したよ。次は貴女の番だね」

 それじゃあどうする? 口八丁でやり過ごす?

「はぁあ!? なんで私がそんなことしなきゃいけないんだよ!」

「自己紹介してくれないんだ。ひどいなー、かなしいなー、さみしいなー」

 無理だ。そもそも私にそんな器用なことはできない。

「ああんもうっ! 銀鏡イオリ! これでいい!?」

「よろしくねイオリちゃん! それでイオリちゃんはどんな食べ物が好き?」

 それじゃあ風紀委員たち全員の気をそらし隙を作って脱出する?

「まだ続ける気なの!? もういいでしょ!」

「そんなこと言わないでさー、親睦を深めようよー」

 どうやって? そもそも店の中の風紀委員たちの気をそらせても外にいる風紀委員たちはどうする? むしろ挟み撃ちの形になって状況が悪化する。

「うるさい! いい加減にしないと撃つぞ!」

「キャーっ、こわーいっ」

 どうすればいい? この包囲を突破するにはどうしたら……?

「こんの――っ!」

「先生! ご無事ですか!?」

 店の入り口から声が響いた。顔を向けるとそこにいたのはやっぱりチナツだった。

「あ! チナツちゃん! やっほー」

 チナツが風紀委員たちをかき分け駆け寄り、近くまで来ると私を触診し始めた。顔、首、腕、背中、お腹、足と全身をくまなく検査する。そして私にけががないことを確認すると安堵したように息を吐いた。

「よかった。おけがはないようですね。全員武器を下ろしてください! 先生に対して攻撃することは厳禁です!」

『チナツ、貴女に命令権はないはずですが……』

「だとしてもです! 先生は我々と違い銃弾一発で死に至る可能性があるんです!」

 チナツの発言に風紀委員たちに動揺が走り、そして次々と銃口が下ろされていく。

「本当に申し訳ありません。まさか先生がいらっしゃるとは思いもよらず……」

「気にしなくてもいいよチナツちゃん。この通り五体満足だから!」

「先生はもっと危機感を持ってください!」

 右腕で力こぶを作って無事をアピールしたら怒られちゃった。

「とりあえず状況を整理しましょう。先生はなぜここにいらっしゃったのですか?」

「ご飯を食べに来たんだ。そしたら便利屋のみんながいたから一緒に食べようと思ってさ」

「それで私たちの襲撃に巻き込まれてしまったと……」

「うん、そんな感じ」

『チナツ、ここから先は私が受け持ちます』

 ドローンがホログラムを投映し、一人の生徒を映し出す。実際に見るとすごい格好だな。カウベル、手錠、横乳。何を考えたらこんな服装になるんだ。

「君は……?」

『初めまして。私は風紀委員会の行政官、天雨アコと申します』

「うん、初めまして。知っているとは思うけど私はシャーレの先生だよ」

『まずは謝罪を。我々はそこにいる便利屋をとらえるためにここまで来ました。ですが我々の確認不足のせいで先生の命を脅かしてしまい誠に申し訳ありません』

「大丈夫だよ。こうして無事だったんだから」

『寛大なお心遣い感謝いたします』

 これで引いてくれたら万々歳だけどそううまくはいかないよね。

『とはいえここで先生に出会えたのは僥倖です。実のところ我々は先生のことをゲヘナ学園に招待するつもりだったのです。ですので謝罪もかねて先生をおもてなししたいと考えているのですが……いかがですか?』

「ごめんね、誘いはうれしいんだけれど私は今やらなきゃいけないことがあるから。また今度にしてくれるかな?」

『そういうわけにもいきません。我々としても立場というものがありますから』

 アコの目的は知っている。私の身柄を確保すること。この状況をみすみす逃すことはしないだろう。どうすればいい。ここで連れていかれたらアビドスのみんなはどうなる? 私がいなくても何とかなるか? いや、黒服が退いたのは『先生』がいたからだ。『先生』と敵対するつもりがなかったからだ。なら私がいなくなったアビドスから退く理由がなくなる。そもそもホシノがどこに捕らわれているのかすらわからなくなってしまう。

 やっぱりここでアコに捕まるわけにはいかない。どうにかして逃げないと。

「……アコ。どういうつもり?」

 そうこう悩んでいると後ろからカヨコが話し始めた。

『おやカヨコさん。お元気そうで何よりです』

「御託はいい。どういうつもりなのか聞いてるんだけど」

『おかしなことを言いますね。私たちはただ校則違反をしたあなた方を捕まえに来ただけですが』

「噓でしょそれ」

『……どうして嘘だと?』

「わざわざ自治区を出てまで私たちを追ってくる? しかも過剰なまでの戦力を引き連れて? ありえないでしょ。あの風紀委員長がこんな非効率的な運用をするわけがない」

『……』

「だから狙いはシャーレの先生。未知数な先生をとらえるためあんたが独断で起こした行動だ。過剰な戦力についてもこれで説明がつく」

『……さすがですね。ですがだからどうしたというのです? 私の意図がわかったからといってこの状況がどうにかなったわけではありませんよ』

「それは……」

『状況がわかったのならさっさと捕まってくださいませんか? 私も暇ではないので」

「――いわ」

『はい……?』

「――先生はわたさないわ!」

 アルの声が店に響き渡る。胸を張り、堂々とした立ち姿をして風紀委員たちをにらんでいる。その自信に満ち溢れた顔の下にはいつもの白目があるのだろうけど、それを全く感じさせないその姿はまさしく悪のカリスマ。みんながアルのことを好きになるのも納得のかっこよさだった。

「先生はわたさないし、私たちも捕まる気はないわ! あなたたちの思い通りに事が進むと思わないことね!」

「アルちゃん?」

「ハルカ! 爆破の準備なさい!」

「――! はい!」

 アルの言葉に満面の笑みを浮かべたハルカは何かを取り出した。それを私は知っている。というかさっき見た。爆弾の爆破スイッチだ。

「ちょ! ちょっと待って! アルちゃん! いったい何しようと――!?」

「カヨコ! ムツキ! 死ぬ気で先生を守りなさいッ!」

 私の言葉にも一瞥もくれずにアルは続けた。それを聞いた二人もすぐに動き始める。

「くふふ、楽しくなってきたね!」

「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ! 先生!」

「――え? うわっ!?」

 ムツキが窓を突き破り、できた穴からカヨコが私を抱いて外へと飛び出す。

「やりなさい! ハルカ!」

「はい!」

 ちらりと見えたお店の中ではハルカがボタンを押そうとしていて、イオリが止めようと動くがそれを妨害するアル、そして慌てふためく風紀委員たちの姿。その光景は一瞬にして爆炎に飲み込まれた。




『先生、一杯いかがですか?』が終わってから金曜の楽しみがなくなってしまいましたね。
いずれ新しいのが始まると思ったんですが一切の音沙汰がなくちょっと悲しいです。
まあでも仕方がないですよね。
『先生、ちょっとお話しよっ』に力を入れてるでしょうし。
そもそもショートとはいえ週二本ものネタを考えるのは難しいでしょうし。
でもいずれは復活してほしいですよね。
もし復活したらどんなのが始まると思います?
私はミヤコの『先生、シャワーお借りします』を押します。
まだミヤコの3Dモデルは未観測ですが、今までだって唐突にお出しされてきているので可能性はあると思います。
それにメインシナリオの主人公組の中でSRT小隊だけ誰も出てきていないし。
それに公式がミヤコの人気を知らないとは思えませんし絶対に作っているはずだと思うんですよ。
それに夜っていうシチュエーションにシャワーは相性ばっちりだと思うんですよね。
でも流石にそれは叡智すぎるかな?
いや、運営を信じろ!
彼らは必ず先生たちの度肝を抜かすことしてくれるはずだ!
他にはコユキの『先生、一緒に夜更かししませんか?』なんてのもあり得るかもしれませんね。
まあちょっと今までとは雰囲気が変わってしまうかもしれませんが誤差だよ誤差。
もしこんなのが見たいっていうのがあったらコメントで教えてください。
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