学校に戻る前にみんなで柴大将のお見舞いに行くことにした。
柴大将の無事を喜びながらもそこで新たな事実を知った。大将が店をたたもうとしていたこと、退去通知を受けていたこと、数年前アビドスの生徒会が借金を返せずに土地や権利を奪われていたこと、その相手がカイザーであること。
この事実を知ったアビドスのみんなは自分たちの自治区について調べ上げた。
「――以上がこれまでカイザーに奪われたアビドス自治区です」
その結果、アビドス自治区のほとんどが取引されていることを知った。
「残っているのはこの校舎と、周辺の一部の地域だけ、ですか」
「ふざけんじゃないわよ! 要はほぼすべての土地をカイザーに奪われたってことでしょ! なんでそんなことになってんのよ!」
「落ち着いて、セリカ」
「これが落ち着いていられる!? 昔の生徒会は何考えていたのよ!」
激しく怒るセリカを周りはなだめようとする。けれどホシノだけは目を伏せ何かを考えていた。そしてセリカの怒りが落ち着いたとき、ホシノが口を開いた。
「……砂漠化だね」
ぽつりとつぶやいたホシノに視線が集まる。
「ホシノ先輩、何か知ってるの?」
「私も直接昔の生徒会とかかわったことがあるわけじゃないから勝手な推測になっちゃうんだけどさ。……多分最初はちゃんと借金を返そうとしてたんだと思うよ。けど、砂漠化の影響が思ったよりもずっと強くて、長く続いて……膨れ上がった借金を返すために大した利用価値のない土地を売って、売って、売って。気がついたら売れる土地がほとんどなくなっちゃった。多分そんな感じなんだろうねー」
「はい、私もそう思います。そもそも砂漠化の影響を受けた土地に高値がつくとは思えません」
「その結果、借金は減らずに少しずつカイザーに土地を奪われていった。砂漠化の影響が出始めたころからこうなるように動いていたんだろうね」
「え? どういうこと?」
「カイザーローンが学校では返せないくらいのお金を貸す。そして利子だけでも払うようにと土地を売らせるように仕向けた。そういうことですか?」
「想像だけどねー」
「つまり最初っからカイザーの手のひらで踊らされていったってこと!?」
「うん、そういうことだと思う。……つまりカイザーの目的は金じゃなくアビドスの土地そのものだった」
シロコの言葉にみんながうなずく。
「……けど、いったい何のために?」
「確かに! こんな回りくどいことをして得たのが砂漠化した土地だなんて。なんだかちょっとおかしくない?」
カイザーの目的が土地だったことについてまではたどりついたが、その先の目的にまたつまずいてしまう。とはいえここで考えて答えが出るわけがない。変な方向に話が進む前にここでヒナから聞いたことを話すべきかな。
「……カイザーの目的は土地であってると思うよ」
「先生?」
ヒナから聞いたことを話した。カイザーが砂漠化した場所に何かを運び、何かをしていることを。
「アビドス砂漠でカイザーコーポレーションが何かを企んでる。そんなことをなんでゲヘナの風紀委員長が知っているのでしょうか?」
「……確かゲヘナの風紀委員会は情報収集能力に秀でていると聞いたことがあります。それにゲヘナはミレニアム、トリニティと並ぶキヴォトスの三大学園の一つです。私たちでは想像もつかない情報網を持っているのかもしれません」
「そんなこと今はどうでもいいでしょ!」
脱線しかけた話をセリカが軌道修正する。
「今私たちがやらないといけないことはカイザーが何を企んでいるのか暴くためにアビドス砂漠に向かううこと! そうでしょ!」
「うへー、セリカちゃんの言う通りだねー」
これからの方針が決まった。
「それじゃあ行こっか! アビドス砂漠へ!」
「先生、ちょっといい?」
それぞれアビドス砂漠へ向けての準備を進める中、シロコに声をかけられた。
「どうしたの? シロコちゃん」
……おそらくホシノのことについてだろう。
「……これ」
シロコがカバンから取り出した紙を受け取る。それは予想通りの物だった。
「退会・退部届……小鳥遊ホシノ」
「ん。ホシノ先輩のカバンの中から見つけた」
「このこと誰かに言った?」
「まだ誰にも言ってないけど、たぶんホシノ先輩にはばれてると思う」
ここまで来た。とうとうここまで来たんだ。これから先、失敗したらおそらく取り返しがつかなくなる。そんな予感がする。
「とりあえずこの件については私に任せてくれないかな?」
「……ん。お願い先生。ホシノ先輩を止めてほしい」
止める。そうだ。私は『先生』としてホシノを止めなくちゃいけない。けど……。
「先生?」
私は知っている。説得できずにホシノがカイザーの下へ行ってしまうこと。そしてそれが本来の、原作の流れだということを。
柴関ラーメンでの出来事が思い返される。私は原作改変をしようとして、失敗した。それどころか取り返しのつかない事態になるところだった。ここはゲームの中じゃない。現実なんだ。下手なことをして取り返しがつかなくなるくらいなら原作のストーリーをなぞるほうが確実だ。きっとそっちのほうがいい。
……それでも、私は。
「――任せてシロコちゃん。私が絶対止めて見せる」
そんな不純な思いをもってホシノと、生徒と向き合うことはしたくない。
今日はブルアカライブの日ですね!
私は今か今かと始まるのが待ち遠しいです!
さて、今回のブルアカライブではどんな情報が発表されるんでしょうね?
新規生徒、新イベント、メインストーリー追加、期待が膨らみます。
始まるまであと数時間。
みんなでわくわくしながら待ちましょう!