「それにしてもこれほどまで暴れる元気が残っていたとは。便利屋やヘルメット団も大したことがないな」
「便利屋? ヘルメット団? もしかしてアンタがあいつらの雇い主ってこと!?」
「いったいあなたは誰なんですか……ッ!?」
みんなから正体を問われたカイザー理事はやれやれといった様相で首を振った。
「まさか私を知らないとはな。君たちアビドスにとって一番知っておかなければならない相手だというのに」
その言葉にみんなは『どういうこと?』と疑問を浮かべる。そんな様子を見てカイザー理事は息を吐き自己紹介を始めた。
「私はカイザーコーポレーションの理事を務めているものだ。そして、君たちアビドス高等学校が借金をしている相手でもある」
「――な!?」
「アビドスが借金をしている相手……」
「より正確に言うとカイザーコーポレーション、カイザーローン、カイザーコンストラクションの理事だ。それとカイザーPMCの代表取締役でもある」
「そんなことはどうでもいい。要はあなたがアビドス高校を騙した張本人ってこと?」
「そうよ! アビドスから土地をだまし取って、お金を搾取して……。アンタたちのせいで私たちはずっと苦しい思いをしてきたんだから!」
「……はぁ。まったく、これだから子供というのは嫌いなのだ」
「――はぁ!?」
「最初に言っておくがここは我々の私有地なのだよ。だというのに貴様らは無断で侵入し、あまつさえ善良なカイザーPMC職員を傷つけ、施設を破壊した。ここはカイザーPMCが合法的に事業を営んでいる場所だ。まず君たちは今、企業の私有地に不法侵入していることを理解すべきだ」
カイザーの言っていることは正論だ。今この場において悪いのは私たちだ。
「とはいえ、私も大人だ。無知な君たちに我々とアビドスについて話してやろう」
そういってカイザー理事は尊大な態度で話し始める。
「まずアビドス自治区についてだが、確かに我々が買ったとも。それも合法的な手段でな。記録もちゃんと残っている。我々が不法な行為をしているかのような言い方はよしてもらおうか。不愉快だ」
「なにが合法的な手段よっ。そうなるように仕向けたくせに……っ」
「昔の生徒会メンバーを言いくるめて土地を売らせたことは見当がついてる」
「そちらの勝手な憶測で話されても困るな。根拠なんて何一つとしてないだろう?」
「――くっ」
カイザー理事、わざとこっちを苛立たせるような喋りをしてきている。これ以上はみんな、特にセリカとシロコの我慢の限界に近づいてきている。
こんなとき『先生』なら生徒の前に出るはず。私は短く息を吐いて前に出た。
「あなた方はアビドスの土地を買って何をしているのですか?」
「……なるほど、貴様がシャーレの先生か。少しはまともに話ができそうだな。いいだろう、教えてやる。我々は宝探しをしているのだよ」
「……宝探し?」
「そうだ、このアビドスのどこかに埋まっているのだよ。想像もつかないような宝物がな」
「へぇ、興味あるね。これほど大掛かりな作業で探している宝物。古代の遺跡とか?」
「くくっ、当たらずとも遠からずといったところだな」
私の質問にふんわりとした回答をし誤魔化してくる。実際、本編でもカイザーが探していた宝物について言及されることがなかった。これは完全に私の予想になるけど、たぶんアリスのような古代に関係している物なんじゃないだろうか。
「そんな話、信じるわけないでしょ!」
思案していた私の脳をセリカの怒号が引き戻してくれた。
「それにこの兵力についても説明がつかない。ただの宝探しなら軍隊なんて必要ない。この兵力は私たちアビドスを制圧するためのもの、違う?」
「……はぁ、大人同士の話し合いに首を突っ込まないでほしいものだな。そもそも貴様らなぞ直接相手せずともどうとでもなる。……こんな風にな」
カイザー理事がスマホを取り出しどこかに連絡を取る。
「私だ。……そうだ、少し早いが進めろ」
「きゅ、急になに? 電話? それに進めろって?」
「残念なお知らせだ。君たち学校の信用が落ちてしまったらしい」
「ど、どういうこと?」
『た、大変です!?』
「アヤネちゃん!? 急にどうしたの!?」
『たった今カイザーローンから金利が上がったと連絡があって。ら、来月以降の返済額が9000万に……!」
「きゅ、9000万!?」
『それに加えて一週間以内に3億支払うようにと――!』
「3億!?」
「当然だな。貴様らには変動した金利でも払えることを証明してもらわなくてはいけないからな」
「そんなの、払えるわけがありません……!」
唐突な事態に狼狽するみんなを見ながらカイザー理事はつまらないといった感じで話を続ける。
「わかったかね。貴様らなぞ私にとって大した障害ではない。つぶそうと思えばすぐにでもつぶすことができるのだよ」
その言葉が真実なのだと理解させられたみんなは何も反論出来ず、悔しげにカイザー理事を睨みつける。
「とはいえ私も鬼ではない。すべてを丸く収める解決策も用意してある」
「解決策……?」
「その解決策とは――貴様だ、先生」
「……私?」
なんで私が解決策に? そもそもカイザー理事とはここで初めてあったし、好意的に思われる実績なんかもないはず。
「そうだ。といっても私ではなく奴が提示した解決策だがな」
……奴。黒服のことか。
「奴はこう言っていたぞ。『あなたが我々とともに来てくださればアビドスの借金をすべて肩代わりすると約束しましょう。もちろん金輪際アビドスに手は出しません』とな。くくっ、ずいぶんと奴に気に入られているようだ」
原作でもなぜ黒服が先生に好意を持っているのかはわからなかったし、その好意が自分に向けられて困惑する気持ちもある。
けど、その提案に乗ってはいけないことは私でもわかる。
「悪いけどその提案は断らせてもらうよ」
「何故だ? 貴様が我々のもとに来ればすべてが解決するぞ?」
「約束したのは彼であって貴方じゃない。どうせあの手この手を使ってまたアビドスを追い詰めるつもりでしょ」
「くくっ。さすがにこの程度の事には騙されてくれんか」
あれ? なんだろう、変な感じかする。なにか、こう、忘れてるかの様な……。
「まあいい。私からしたら貴様なぞたいして興味がない。伝言も伝えたしな」
いや、きっと気のせいだろう。
「さて、聞きたいことも済んだだろう。さっさと帰って返済の準備でもしたらどうかな?」
「こいつ――!」
怒りにのまれたセリカがカイザー理事に銃口を向けるが、私が手で制止すると驚いたような目で見てくる。
「帰るよ、みんな」
「でも先生!」
「これ以上ここにいてもどうにもならないよ。むしろ事態は悪化する」
「くっ――。わかったわよ」
ぎりぎりと歯を鳴らしながらもセリカは銃を下ろしてくれた。ほかのみんなも同じように銃を下ろしカイザー理事に背を向け歩きだす。
「それではお客様。補償金と来月以降の返済もよろしく頼むよ」
「……ッ!」
「おい。お客様のお帰りだ。入口まで案内して差し上げろ。……くれぐれも丁重にな。ふ、ふふっ、ふははははははは……!!」
背後から聞こえてくるカイザー理事の笑い声を聞きながら施設を後にするみんなの表情はゆがんでいた。
「――私だ」
「貴様の言った通りだった。どうやら彼女は我々がつながっていることを知っているらしい」
「反応からして奴が漏らしたというわけでもなさそうだ」
「どうやら警戒レベルを上げたほうがよさそうだ」
「まぁ、計画も最終段階に入っているし彼女一人でどうこうできるわけはないとは思うがな」
「ん? 伝言?」
「あぁ、伝えたぞ。一考の余地もなく断られたがな」
「……なぜそこまで残念がる?」
「…………やはり貴様の趣味は理解できん」
もうすぐデカグラマトン編が始まりますね。
楽しみすぎて毎夜わくわくしながら寝ています。
そういえばデカグラマトンのスチル見て気づいたんですけど。
アインちゃん、真っ白いレオタード着てるんだね。
先生びっくりしちゃいました。
いや、ね。皆さんも最初アインちゃんの立ち絵見たとき「これ大丈夫なのか!? これ!?」と思ったことでしょう。
大丈夫でしたね。ちゃんと隠されていましたね。
というか見返したらちゃんと布と肌の境目ありましたね。
いや、あんな立ち絵じゃ気づけないよ。
絵師は天才ですね。
ただ、ソフちゃんとマルクトお姉さまに関してはわからないですね。
もしかしてマジで丸出し?
やべーだろマジで。
アインちゃんはちゃんと隠してんだろ。
いややっぱあのレオタードもダメだろ。
ありがとうございます!