私に先生は荷が重すぎます!   作:朱汰清家

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前哨戦

「……なによこれ」

 ホシノの手紙を読んだセリカが困惑した顔でつぶやく。いや、セリカだけじゃない。アヤネもノノミもシロコも同じように困惑している。

「勝手に一人で背負っていなくなるなんて……」

「しかも今度会ったら『ヘイローを壊して』? ふざけんじゃないわよ!」

 みんなの困惑が怒りへと変わっていく。それもそうだろう。こんな自分勝手なことをして怒るなというのが無理な話だ。

「……とりあえず助けに行こう」

「待ってください。助ける前にどこにいるかを調べないと……」

「だったらあの偉そうなやつを捕まえて吐かせる」

「さすがに無謀すぎます! カイザーPMCを相手にするには4人じゃ戦力不足です!」

「だからってこのまま指を咥えて見ているわけにはいかないじゃない!」

 大切な仲間がいなくなったせいでみんな冷静に考えることができなくなっている。

「みんな落ち着こう。感情的になってもいい案は浮かばないよ」

「でも先生!」

「大丈夫。ホシノちゃんを助ける方法はきっとある」

「……そう、ですね。少し焦っていたかもしれません」

 よかった、少しは落ち着いてくれたみたいだ。 

「それじゃあ、まず考えないといけないことは――ッ!」

 今後の方針を話し合っていると近くで爆発音が響き渡る。

「――なっ! なに!?」

 唐突な出来事に一瞬うろたえるが今までの経験からか対応は迅速だった。すぐにアヤネが爆発音の正体を調べ始める。

「……え!?」

「どうしたのアヤネちゃん!」

「カイザーPMCが……アビドスの街を襲っています!」

 アヤネの言葉にみんなが驚く。何しろカイザーPMCに侵入したのは昨日、アビドスのみんなを潰すなら昨日そのままやればよかっただけのこと。なぜ今日になって襲いに来たのかがわからないんだから。

「それにこの進路……おそらく目的地はこの学校です!!」

「なんでこのタイミングであいつらが襲ってくるのよ!?」

「わからないけど、このまま奴らの好きにさせる気はない」

「それにホシノ先輩がどこに行ったか知るチャンスでもあります! 応戦しましょう!」

 

 

 

 街を襲うカイザーPMCと戦うが兵隊の数が多くなかなか前に進めない。それでも少しづつ倒していき街への被害を減らしていく。

 しばらくすると向こうの攻撃が止まる。何事かと様子をうかがうと一人の男が歩いてくるのが見えた。

「――ほう、お出迎えとは良い心がけだ」

 戦場に響く声を、その男の顔をアビドスのみんなが忘れるわけがない。

「カイザー理事……!」

「これは一体何の真似ですか! いくら所有している土地だろうと攻撃していい理由にはなりません!」

「それにこの辺りはまだアタシたちの土地でしょ! あきらかな違法行為じゃない! 連邦生徒会に通報してやるんだから!」

「クククッ。何を言い出すかと思えば。今まで何もしてこなかった連邦生徒会が今更動くと思うのかね?」

「……それは」

「思わないだろう? そもそも連邦生徒会は今、連邦生徒会長が失踪したことで動くことはできないからな。他学園もそうだ。たった数人しかいない学校のために動く学校はどこにもない。何しろ助けるメリットがないからな」

 言い返そうとするが反論できずにみんなが口を噤んでしまう。それもそのはずだ。自分たちがどれほど絶望的な状況に追い込まれているのか、それは彼女たち自身がよく知っている。

「それに最後の生徒会メンバーの小鳥遊ホシノも退学した。生徒会も部活もなく、自治区すらまともに持っていないとなれば学校を運営することは困難だろう。仕方がない、周囲の土地を所有している我々が君たちの学校を引き受けるとしよう。となれば名前も変えないとな。そうだな、『カイザー職業訓練学校』なんてどうだろうか?」

「な、なに言ってるのよ! 生徒会がなくなっても私たちがいるじゃない!」

「……いえ、私たち対策委員会は公的に許可を得た部活ではありません」

「……え? そうなのアヤネちゃん?」

「…………」

「そうだ、正式な書類の承認が下りていない貴様らの部活は存在していないのと同じなのだよ」

「……そんな」

「だが安心したまえ、我々が貴様らの学校を引き受けるということはつまり、貴様らもあの借金地獄の生活から抜け出せることを意味するのだよ。どうだ、お互いにWIN-WINだとは思わないかね」

「そんな……そんなことって……」

「クククッ、そういうわけだから今すぐにでも転校先を考えて――ん?」

 プルルルルと誰かのスマホが鳴る。音の出所はカイザー理事からだった。

「私だ。いったい何の用だ? ……なに?」

 電話先の相手の声は聞こえないがカイザー理事が相手の話に困惑しているのはわかる。

 少し会話をした後、カイザー理事はこっちに向かって歩き出し、私の目の前で立ち止まった。

「おい、先生。奴がお前との対話をお望みだ」

 カイザー理事がスマホを差し出してきた。相手はおそらく黒服だろう。一呼吸置いた後、意を決してスマホを受け取り耳に当てる。

「……もしもし」

「お久ぶりですね、先生。私のことをおぼえていますか?」

 聞こえてきた電話越しにも伝わる胡散臭さをはらんだ黒服の声に思わず体が強張る。

「おぼえてるよ。いったい何の用?」

「クックックッ。そう警戒しないでください。私はただ話し合いの場を設けたいと思っているだけですよ」

「話し合い……?」

「ホシノさんのこと、気になりませんか?」

「――!」

 やっぱりそういった話し合いか。

「……要求は何?」

「そう焦らないでください。そういったことを含めての話し合いです」

 まずい。黒服の言う通り私は今、焦っている。落ち着け。電話越しとはいえ変な隙を見せたら容赦なく攻めてくるだろう。

「もし話し合いに応じてくださるのであればカイザーPMCは撤収させます」

 ……破格の条件だ。そもそもゲームではどうやって黒服のもとにたどり着いたのかわからなかったから当然私も黒服がどこにいるのかなんてわからない。ここで拒否したら黒服と話し合うことができなくなってしまうかもしれない。……罠かもしれないけど、受けるしかない。

「…………わかった。応じるよ」

「ありがとうござます」

 私にできるのだろうか。『先生』のように黒服と戦うことが。

「それではそのままカイザー理事についてきて下さい」

「……わかった」

 ブツリと通話が切れる。ふぅと自然とため息がもれ、その動きで汗が頬をつたった。どうやら相当緊張していたみたいだ。鼓動を落ち着かせようとするが、むしろ逸っていく。

「ふん、どうやら奴の言っていた通りになったな」

 声をかけてきたカイザー理事にスマホを返す。

「……私をあいつのところまで連れて行って」

「ククッ。本当にいいのか? 罠かもしれないぞ?」

「わざわざ忠告してくれるなんて案外優しいんだね」

「フッ、減らず口を。――おいッ! 撤収だ!」

 カイザー理事がそう号令をかけると兵隊達は撤収し始める。そんな中一台の車が近づいてきた。車について詳しくない私だが一目見て相当いい車なのだと分かるぐらい豪華に輝いていた。

 車が私たちの前に停まるとカイザー理事がわざとらしくドアを開け、恭しく中に入るように言ってくる。

「それではお客様、どうぞこちらに」

 この車に乗ったらもう後戻りはできない。一度深く深呼吸し乗り込もうとすると背後から声がかかる。

「待ってください先生!」

 振り返るとアヤネ、セリカ、ノノミ、シロコ、みんなが悲壮感にあふれた顔をしていた。

 ……それもそうか。ホシノに続き私までもいなくなってしまうのではないかと考えているんだろう。もし本当に私が帰らなかったらどうすればいいのか、頼れる相手がいなくなってしまう。……本当にバッドエンドになっちゃうな。

 そうならないためにも絶対に戻ってこないといけない。

「――みんな! 大丈夫!」

 声を上げ、精一杯の笑顔を浮かべて語り掛ける。

「私はちゃんと戻ってくるし、ホシノちゃんも取り戻す!」

 明るく、なんてことないように。

「だから安心して教室で待ってて!」

 大人としてやるべきことをやる。

 私はみんなに背を向け、車に乗り込んだ。




ブルアカライブミニがありますね。
いやミニってなんだよ。
本当にどうなるんでしょうね。
ゲーム内外情報がちょっとだけあるのか。
それともどっちかが完全にないのか。
個人的な予想としては後者ですね。
外はついこの間やったばっかですし、あってもほんとにごくわずかだと思うんですよ。
それに内だけで結構な情報があると思うんですよね。
ブルアカライブだから新規実装生徒は絶対いるし、新イベ情報も出ると思うんですよ。
他にはやっぱりデカグラマトン編のストーリー更新の続報もあると思いますし。
まあ内容について考えていても詮無きことですね。
その時が来るまで待ちましょう。
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