私に先生は荷が重すぎます!   作:朱汰清家

34 / 76
集団下校

 彼女たちが消えてしまった砂漠を眺める。周囲には静寂が広がりつい先ほどまで人がいたとは思えなかった。

 けれどいくら砂漠といえども一朝一夕ではかき消せないほどの戦闘の痕跡が残されていて、それが彼女たちが確かにここにいたんだと実感させてくれる。

 私は彼女たちとともに戦ったのだと。

 夢のような実感が体中を満たした後、体は現実へと引き戻される。

「……………………ぅ、あ……」

 ……正直、限界だった。

 今すぐにでもホシノの安否を確認しに行きたかったが体には一切の力が入らず、少しでも動けば倒れてしまいそうなほどの疲労と脱力感が全身を襲う。もし一歩でも動こうものならバランスを崩して倒れてしまう、そんな確信があった。

 体だけじゃない。頭も重く、うまく思考ができない。視界は霞み、耳鳴りが響き、意識がまどろんでいく。

 あと数秒もすれば意識をなくし、倒れ込んでしまう。そんな時だった。

「せんせ――――い!!!」

 かすかながらも耳に届いた私を呼ぶ声。その声が聞こえた瞬間おぼろげだった意識は鮮明になり、鉛のように重たかった体が弾かれるように振り返る。すると遠くからホシノを含むアビドスのみんなが駆け寄ってきている姿が見えた。

「……ホシノ、ちゃん」

 気がついたら私は駆け出していた。さっきまでの不調はどこへやらホシノのもとまでまっすぐと駆け寄り、思いっきり抱きしめた。

「――ホシノちゃん!!!」

「――うへぇ!!??」

 抱きしめた小さくて細い体から伝わってくるあたたかな体温。そしてドクドクと早まる鼓動がホシノが無事であることを無事を証明してくれる。

「よかった。……本当に、よかったぁ」

 安堵からかより一層力強く抱きしめる。引き留めるよに。離さないように。

「ちょ!? 先生苦しいって!」

「情熱的なハグですねー☆」

「ホシノ先輩ったら、いつの間に先生のことをたぶらかしていたの?」

「セリカちゃん!? 根に持ってたの!?」

「べっつにー」

 腕の中でもがもがと暴れるホシノ。周りからも持て囃され顔を真っ赤にし、次第に暴れるのをやめ、顔を隠すように私の胸の中へ顔をうずめてきた。

「おかえりなさい、ホシノちゃん」

 うずめていた顔を少し上げ、控えめに見えた顔は真っ赤に染まっている。

「………ただいま、先生」

 その言葉を聞いた瞬間、私の意識は遠のいていった。

 

 

「……? 先生?」

「…………すぅ」

 呼びかけた言葉に返事はなく、代わりに穏やかな息遣いが聞こえた。

「もしかして、これって……」

「完全に寝ちゃってますね☆」

 目を閉じ、安らかな表情をし、ホシノを抱きしめたまま寝息を立てる先生。

「ん、寝かせてあげよう」

「そうですね。ずっと私たちのために動いてくださってましたし」

「それで、どうやって先生を運ぶ?」

「そんなのホシノ先輩がおぶって運ぶにきまってるじゃないですか」

「おじさん。さっきまで捕らわれのお姫様やってたんだけど」

「だったら体力余ってるでしょ。つべこべ言わずにおんぶする!」

 うへーと悲鳴を上げながらホシノは体を動かす。幸い先生が抱きしめてきている力は緩んでおり、ホシノは自分の体を回して先生をおんぶする。

「おっと。意外と先生って軽いんだねー」

 思いのほか簡単に背負うことが出来て拍子抜けしたホシノ。

「ホシノ先輩ほどじゃないにしろ先生も小さくて細いですからね」

「でも流石に軽すぎるよー。先生ちゃんとご飯食べてるのかなぁ」

「いろいろあってちゃんと食べれてないのかもしれません」

「だったら恩返しとして私たちがお料理を作って先生に食べてもらうってのはどうですか?」

「ナイスアイディアノノミ先輩! お腹いっぱいに食べてもらおう!」

 そんな風に和気あいあいと話す対策委員会。けれど一人だけ会話に混じらず、何やら思案顔で先生を見つめる生徒がいた。

(先生が、軽い……?)

 それは初めて先生と出会った時、先生をおんぶで学校に連れてきた生徒、砂狼シロコだった。

(確かに軽かったけど、それは見た目通りの軽さでそんなに驚くような程の事じゃない気が……)

 ホシノの軽すぎるという発言に妙に引っかかった彼女は少し考え込む。

(まぁ先生も最近私たちのためにいっぱい動いてくれたし、何よりホシノ先輩は私よりも力が強いからそう感じるのかも……)

「シロコせんぱーい、おいていっちゃいますよー」

 アヤネの声に思考の海に潜っていた意識が引っ張り上げられる。気がつけばほかのみんなは歩きだしていて少し先の方にいた。

「ん、すぐ行く」

 妙な疑問は忘れ今はみんなが無事なことを喜ぼう。そう思いみんなと一緒に帰路に就いた。




や―とこさアビドス編2章が終わったよ。
本当に疲れた。
アビドス編3章でやりたいことが出来たからなんていう突発的な思い付きで書き始めたけど想像以上に大変だった。
世の中無数にいる作家さんの苦労を初めて体感したよ。
すごいね。
本当にすごい。
これから何かしらの場面で『尊敬する人は』って聞かれたらあらゆる作家さんって答えることにしました。
まぁそんなことはどうでもいいんだよね。
これからの展開マジでどうしようかな。
マジでほぼなんも思いつてないんだよね。
いや、多少は考えてるよ。
こんな展開にしようかな、こうしたら面白いんじゃないか、ってね。
でもそれは本当にただの思い付きみたいな考えで細かいところはなんも考えついてないんだよ。
マズいなー。
このままじゃ風呂敷広げるだけ広げて失踪する未来があり得るかもしれん。
は? 許さないが?
両腕が壊れても書き続けろよ?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。