私に先生は荷が重すぎます!   作:朱汰清家

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エデン条約編
エデン条約編開始


 対策委員会編が終わってから徐々にシャーレの名が広まっていき、いろんな依頼がとどくようになった。その中にはネバーランドやバニーチェイサー、イワン・クパーラなどのイベントストーリーも含まれていた。

 そんな風に各地を回ったりしているうちに月日がながれ、シャーレに一つの招待状が舞い込んできた。宛名はティーパーティー、桐藤ナギサ。

 内容は日時と場所しか書かれていなかったけど、十中八九補習授業部についての事だろう。

 ……とうとうエデン条約編が始まってしまった。これから先のことを考えるだけで体が強張る。何しろメインストーリー上ではお腹に弾丸を受け死の淵をさまよう事になるのだから。

 このことはキヴォトスに来てからずっと頭の片隅で考えていた。『先生』のようにちゃんと起き上がれるのか、目を覚ますことなく死んでしまうのではないか、そもそもお腹を撃たれるっていうのはどれほどの痛みなのか、撃たれずに済む方法はないのか……。

「…………いやだ」

 体が震える。寒気がする。頭痛が、吐き気が、体のあちこちが不調を訴える。

 イヤだ。やりたくない。見たくない。逃げ出したい。どうして私が。死にたくない。時間が止まってほしい。誰かがかわりに解決してほしい。先に進みたくない。痛いのは嫌だ。いやだ、いやだ! いやだ!! いやだ!!! 

 

 …………怖い。

 

 きっとこれがセイアが抱えていた問題なのだろう。未来を知っているが故の恐怖。目を覚まそうとしないのも当然だ。私もできる事なら夢の中に引きこもりたい。

 ……けれど、私はいかなければならない。

 だって、私は『先生』でなくちゃいけないから。

 

 

「お久しぶりです、先生」

 ティーパーティーのテラスに赴いた私をナギサは歓迎してくれた。

「久しぶりだねナギサちゃん。アビドスでの一件では助かったよ」

「お力添えで来たようで何よりです」

 軽くあいさつを交わしながら周りを見渡してみるけどここには私とナギサだけしかいなかった。本来だったらここにミカもいたはずだったんだけど……。

 とはいえそんな疑問を口にすることは出来ないから話を進めようと口を開く。

「それで要件って?」

「……その話をしたいのは山々なのですが、もうしばらくお待ちいただいてもよろしいでしょうか? 実は一人遅れておりまして」

 やっぱり。……でも、なんで遅れてきているのだろう?

「大丈夫だよ」

「申し訳ありません。本来ならミカさん、もう一人のティーパーティーとともにお出迎えしたかったのですが……」

「それじゃあそのミカちゃんが来るまで一緒におしゃべりでもしよっか」

「お気遣いいただきありがとうございます」

 

 

「それにしてもここ最近のシャーレのご活躍は目覚ましいですね。先生の功績はティーパーティーにも届いております。なんでもわが校の生徒もお世話になったとか」

「大したことはしてないよ。それに力を貸してくれる生徒たちもいるからね」

「キヴォトスに訪れてから間もない時間で多くの生徒と関係を深める。これは賞賛されるべき活躍だと私は考えます」

「そう? それじゃあ素直に受け取っておこうかな。でも、私から見たらナギサちゃんのほうがすごいと思うよ」

「私がですか?」

「うん。まだ学生なのに学園を運営するのって大変でしょ。それにトリニティ総合学園はキヴォトスで三大校と呼ばれるうちの一つだし」

「まぁ、確かに大変ですが私一人で運営しているわけではないので……。そういえば先生はティーパーティーについてご存じですか?」

「大体は知ってるよ。三人の生徒会長がそれぞれホストを回しながらティーパーティーを運営しているんだよね」

「えぇ。おおむねその認識で相違ありません。もっと詳しく説明するならば……パテル、フィリウス、サンクトゥスの三つの学園が――」

「遅れちゃってごめん!」

 バァンッ! と勢いよく扉が開かれるとともにテラスへ響く声。会話を中断し扉のほうに顔を向ければ見知った顔がそこにはあった。桜色の長い髪に金色の目、白い羽根にいくつかのアクセサリーをつけ、白を基調とした制服からあらわになっている腕は制服に負けないぐらい白く輝いていて、左腕手首につけられた黒いシュシュがより一層肌の白さを際立たせている。

「……遅いですよミカさん」

「だからごめんって!」

「今回ばかりは謝ったからといって許すわけにはいきません。何しろお客人を待たせているんです。だというのにあなたときたら……」

「だから急に外せない用事が出来ちゃったんだって!」

「こちらの件も外せない用事でしょう!」

「それはそうだけど――!」

「まあまあ二人とも、落ち着いて。私は気にしてないから」

 ヒートアップした二人を止めるため間に入る。

「先生……ですが……」

「貴女が先生? 初めまして! 私は聖園ミカ。これからよろしく! あと、遅れちゃってごめんなさい」

 ぺこりと頭を下げるミカに声をかける。

「大丈夫だよ」

「ありがとう先生!」

 顔を上げたミカの顔は可愛らしい笑顔が浮かんでいて、同性ながらドキッとしてしまう。

「まったく。……怒ってもいいんですよ先生」

「ホントに気にしてないよ。それにナギサちゃんとお話しが出来て楽しかったから」

 二人に笑いかける。実際本当に気にしてないし、時間を忘れてナギサとの会話を楽しんでいたのも事実だ。

「……大人ってすごいんだね」

「先生の活躍は伊達ではない、ということですね」

 ……? なんだか二人に感心されているような感じがするんだけど……?

「ミカさんも到着したことですし、さっそく本題に入らせていただきます。私たちがおねがいしたいのは補習授業部の顧問になっていただきたいということです」

「補習授業部……?」

「えぇ。落第の危機に陥っている生徒が数名おりまして……。その生徒たちを部という形に集め先生に彼女たちを落第の危機から救ってほしいのです」

「トリニティは昔から『文武両道』を掲げてきた学園だから成績が振るわない子たちがいるとちょっと困るんだよね。いつもなら私たちが何かしらの対応をするんだけど……時期がちょっとね」

「『エデン条約』の対応でバタバタしておりまして、人手も時間も全く足りないのです」

「『エデン条約』って……?」

「あー、それはね……」

「その件については説明が長くなってしまうのでまたの機会ということで」

 『エデン条約』については明らかに話したくなさそうだった。

「わかったよ、今度話を聞かせてもらうね」

「ありがとうございます。それで、どうですか? 引き受けてくださいますか?」

「いいよ。生徒のためだもの」

「わーお。即決だね」

「……先生の事ですから引き受けてくださるとは思っていましたが……。こうもあっさり快諾されるとは」

「それでその生徒たちって……?」

「ミカさん、書類を」

「はーい♪ どうぞ先生」

 ミカから書類の束を受け取る。

「そちらが先生に面倒を見ていただきたい生徒たちの名簿と補習授業部のための合宿所についての資料です。勉強用の教材についてはそこに用意してありますのでご活用ください」

 パラパラと書類に目を通し確認してみる。当然のことながら補習授業部のメンバーについては変わりがなくて安心した。

「ありがとうミカちゃん、ナギサちゃん」

「お礼を言うのはこっちだよ先生」

「はい、このような依頼を引き受けてくださり感謝しております」

「生徒の頼みにこたえるのが『先生』だからね」

「それでは先生、よろしくお願いします」

「またね先生。まぁ忙しいからなかなか会えないと思うけど」

「また会える時を楽しみにしてるよ」

 二人の視線を背中に感じながらテラスから退出した。扉が閉まり、完全に視線が遮られたのを確認してから息を吐く。

 メインストーリーが進行していることを如実に表している『補習授業部』に『エデン条約』という二つの名前が重くのしかかる。

 できるなら事が起きる前にナギサとミカを助け、平和的に解決したい。悪夢に捕らわれたセイアを勇気づけて目を覚まさせてあげたい。ハナコとアズサの苦悩も取り除いてあげたい。それにアリウスの皆も……。

 やりたいこと、したいことがたくさんある。けれどそのために何をすればいいのかわからない。そもそも私に『先生』以上のことが出来る自信がない。

「……とりあえずはヒフミちゃんと合流しよっかな」

 限られた時間の中で私に何ができるのか、何もできないのではないか、むしろ悲惨な結末になるんじゃないかと不安に押しつぶされそうになりながら足を進めた。




おかしいおかしいおかしい。
ミニの情報量じゃないでしょブルアカライブ
新イベ(ワイルドハント芸術学院の実装)に新メインストーリーの実装!?
ダメだって。
おかしいって。
うれしすぎるって。
というか前のメインストーリーの更新って5月の百花繚乱でしょ?
半年もたってないんだよ?
こちとらアビドス1、2章終わらせるのに半年以上かかってんですよ。
追いつけないって。
いや、べつに追いつく必要はないんだけどね。
でもなんかこう、こっちがキリの良いところまで書き上げてもメインストーリーが更新されるたび書きたくなると思うんだよね。
つまりブルアカがサ終しない限り永久的に書き続けることになるわけで……。


うわーい。
永久機関のかんせいだー。
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