「監禁されていたハナコちゃんが檻から出ていて、コハルちゃんはハナコちゃんを捕らえようとしていた、と。……うん、事情は分かったよ」
だいたい予想通りの出来事だった。
「コハルちゃんは偉いね。自分の仕事を全うしていて」
「と、当然でしょ! 私は正義実現委員会のエリートなんだから!」
「そうなんだ。エリートなんだ。一年生なのにすごいね!」
すごい、褒めれば褒めるほど調子に乗る。楽しい。ハナコがコハルにかまいたがるのも納得だ。
「それでハナコちゃん。補習授業部については知ってるんだよね?」
「えぇ、少し前に通達がりましたので」
「そっか、じゃあ私たちがここに来た理由もわかってるわけだね。それじゃあ補習授業部とは別で聞きたいことがあるんだけど」
「はい、なんでしょう?」
「服装についてなんだけど――」
「そうです! どうしてスクール水着を着ているんで――」
「――なんでニーソを履いてないの?」
「……へ? せ、先生?」
私はスク水差分のハナコを見るたび思っていた。なぜただのスク水なんだと。もったいないと。
「スク水といったらニーソは当然の装備でしょ。スク水にニーソは義務だよ。むしろ履かないなんてスク水に失礼だよ」
だってそうでしょ。スク水姿で徘徊なんてただの露出狂でしかない。やるなら徹底的にやらないと。
「いい? スクール水着は泳ぐための衣装。ニーソはおしゃれや足を守るための衣装。この二つは本来交わることがない衣装なんだ。だってそうでしょ。泳ぐのにニーソなんて邪魔でしかないんだから」
「あの、先生? いったいなにをおっしゃって……」
「だからこそこの二つの衣装を合わせるの。理にかなっていない、倒錯的なファッション。普通ではないものにこそ私たちは惹かれるんだから」
「……なるほど」
「それにスク水とニーソという組み合わせには二つの顔があるの。一つ目は水にぬれる前。これはさっき話した倒錯的なファッションの事ね。それでもう一つは水にぬれた後。いい? スク水とニーソという組み合わせはただでさえ体のラインがはっきりとわかるのに水にぬれることでニーソはぴったりと肌に張り付き、透け、しわを作る。これはスク水では出来ないニーソならではの特徴。その上水分を目一杯吸収したことでニーソ自体が重くなり、自重によって少しずつずり落ちていくの。人の手ではなく自然の力で脱がされるということは世界がそれを望んでいるという事。これはまさに野生の脱衣! もちろん人の手で脱がされるニーソも乙なものがある。両手ですーっとニーソを下げていくことで滲みだしてくる水分や脱ぎ終わったニーソから滴り落ちる水滴にもそそるものがある」
ごくりと誰かの喉が鳴った。それが誰のによる音だったかはわからないけど、確かに誰かがその場面を想像したことは間違いない。
「ただニーソを履くだけでこんなにも叡智な魅力がアップするんだ。なら他はどうだろう? ニーソじゃなくてストッキングなら? 手袋をつけたら? 服を着たらどうだろう? どんな服をどんなふうに着たら叡智さが上がるのだろう? こうやって探求を続けることで常に新たな刺激を得ることが出来るの」
語っていて思う。どうやら自分は結構な変態だったらしい。
「ハナコちゃんはどうしてスク水で徘徊していたの? ただ肌を露出したかったの? それとも今までとは違う刺激が欲しかったから? 前者なら余計なおせっかいだったかもしれない。けれどもし後者なら私の話に思うことがあったんじゃないかな」
長々と語ってしまったが、ハナコの顔を見れば語った甲斐がありそうだった。
「――これが、大人。……これが先生」
ハナコは両膝を地につけ、両手を胸の前でくみ、尊きものを見るような目で私を見上げてくる。
「感服いたしました。先生のありがたいご教授に私は己の未熟さを痛感いたしました。ただスクール水着を着て徘徊するだけで満足していた私が恥ずかしいです」
「恥じることはないよハナコちゃん。そこは誰もが通る道なんだ。これからもこの道を歩んでいけばいいんだ。だってこの道にゴールはないんだから」
「ゴールは、ない」
「そうだよ。人の叡智への探求に終わりなんてないんだから」
ハナコの手を両手で包み込むように握る。
「ともに歩んでいこうハナコちゃん!」
「はい! 先生!」
「なに良い感じな雰囲気だしてるの! エッチなのは駄目! 死刑!」
私とハナコを引き離すようにコハルが入り込んできた。頭の羽をパタパタとせわしなく動かし、顔を真っ赤に染めて怒りをあらわにしている。そんなコハルにハナコは近づきコハルの手を取った。
「コハルちゃんも一緒にどうですか?」
「なに言ってるの! 私をあなた達みたいな変態と一緒にしないで!」
けれどコハルはその手を払いのけ、ハナコから距離をとる。
ハナコとコハルがわーきゃー騒いでいると扉が開いた。だれが入ってきたのだろうと目を向けるとそこには見覚えのある生徒がたっていた。
「なにやら騒がしいですね……先生?」
「あ! ハスミ先輩! お疲れ様です! ……後ろにいる人は?」
ハスミの姿を見たコハルはうれしそうに駆け寄ったがハスミの後ろにいる生徒を見て足を止めてしまう。その生徒はガスマスクをかぶりシューッ、シューッ、と呼吸音を響かせながら拘束されていた。
「彼女は先ほど校内で暴力事件を起こし三時間ほどの抵抗のすえ確保した犯人です。名前は白洲アズサさん」
「……白洲アズサさん? あれ?」
アズサの名前を聞いたヒフミが急いで資料に目を通す。
「どうしたのヒフミちゃん?」
「確か資料に彼女の名前が――ありました!」
「えっと、つまり……?」
「彼女も補習授業部のメンバーです!」
「どうやら探す手間が省けたようですね♪」
「先生、いったいどういう……?」
「あっごめんねハスミちゃん。今説明するから」
ティーパーティーからの依頼を一から説明する。ハスミも多少は補習授業部について聞かされていたのか話はスムーズに進んだ。
「なるほど、補習授業部、そして先生がその担任をなさると」
「うん、久しぶりの再会なのにバタバタしちゃってごめんね」
「いえ、気にしないでください。むしろどうやら良いタイミングだったみたいですし」
「それじゃあハナコちゃんとアズサちゃんを連れて行ってもいいかな?」
「かまいません。出来れば力になりたかったのですが……生憎忙しいもので」
「気にしないで。気持ちだけでもうれしいから」
「何かあればご連絡ください」
「ありがと、そうさせてもらうね。……それでヒフミちゃん、最後の一人は?」
「えっと、最後の一人は……下江コハルさん……?」
「……え?」
「あら」
(シューッ、シューッ)
「それってさっきから一緒に話してる?」
「…………はい」
コハルの顔を見ればゲームでよく見た猫目になっていた。
その目どうやってるの……?
実はpixivのほうで月一でブルアカの二次短編書いてたんですよね。
それも二年半前から。
だもんで30ほどの短編がpixivで独占掲載してるんですよ。
それをわざわざこっちでも上げるのめんどいなって思ってたんですけど。
もし需要がありそうならこっちでも上げようと思いますのでアンケートの投票をお願いします。
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