ミカと別れた後、補習授業部のところに戻った。どうやら模擬試験の答え合わせをし終わった後のようで、みんな模試結果を見て一喜一憂していた。
その後合宿所に訪れたマリーがアズサの仕掛けたブービートラップに引っかかったり、アズサの暴力事件の真実を知ったり、夜中部屋に訪れたハナコに補習授業部についての説明をヒフミと一緒に話したり……。着実にストーリーは進んでいる。けれどあれから大きな動きはなく、変化のない日常にどこか不信感が募っていく。
ミカに話したことは失敗だったのではないか、なにかとんでもないことが起きるのではないか……。私の手には負えない事件が発生するんじゃないか、と。
そんなことを考えていたからかとある事件を忘れていた。
それは突然の雨により洗濯物が濡れてしまう事件。この事件自体は覚えていたがいつ、どのタイミングで起きるのかわからなかったし、そもそも先の事を考えることで頭がいっぱいになっていたからすっかり頭から抜け落ちていた。その結果私の衣類もみんなと一緒でほとんどが濡れてしまった。
そして、ここからが一番の問題なのだが……。
私は水着を持ってきていない。
探してみても濡れていない服は下着類と予備で多めに持ってきていたワイシャツが数枚だけ。
「……ふぅ。仕方がない、よね」
残ってるのがこれだけならこれから着替える格好なんて決まっているも同然。
というか一度同じような格好をしたことがあるんだから気にする必要はないよね。と自分に言い聞かせて着替え、みんなのもとへ向かった。
「みんな、待たせてごめんね」
「――へぇ!?」
「――なぁ!?」
「――なんと!?」
「……?」
ドアをあけ体育館の中に入ると、そこには補習授業部のみんながすでに水着に着替えて集まっていた。私が入ってきたことに気付いたみんなは私の方へ顔を向けるとアズサを除いた三人が驚いた顔をした。
「せっ、先生! その恰好は一体!?」
一目散に私のもとへ駆け寄り興奮気味で語り出す。
「下着の上にワイシャツ一枚のみ! しかもワイシャツの生地が薄くから下のブラがうっすらと透けて見える! その上丈も短いからあらわになるショーツ! これはなかなか――っ!」
私の恰好を頭のてっぺんからつま先までじっくりと眺めてくるハナコ。自分の恰好について気にしないようにしていたが、さすがにこんなにジッとみつめられると気恥ずかしさがこみ上げてくる。
「えっち! 変態! 痴女なの!?」
顔を真っ赤にし怒りながら近づいてくるコハル。やっぱりというか予想通りの反応をするコハルに安心感をおぼえた。
「そんなこと言われても、これしか着るものなくて」
「だとしてもそんなのほぼ裸みたいなものじゃない!」
「それを言うなら皆のほうがそうじゃない? だってほら、私は三枚の衣類を身にまとってるけどみんなは一枚だけなんだから」
「~~~~ッ! 屁理屈なんて聞きたくない! エッチなのは駄目! 死刑!」
ハナコの語りとコハルの叫び声を聞きながらヒフミとアズサのほうを見ると何やら話し合っている。
「ヒフミ、なぜ二人はあんな反応をしているんだ?」
「え、えっとですね。それは先生の恰好が問題といいますか……」
「? 残っている衣類で暖を取ろうとするのは当然じゃないのか?」
「そ、それはそうなんですが……そうではなくて……あぅ」
アズサの純粋な疑問にしどろもどろになりながら困っているヒフミ。
「ごめんね、せっかくの水着パーティーだったのに私だけ水着がなくて」
「いえ! むしろいいものを見せていただきました!」
「変態! なにがいいものよ! なんでもいいから下を隠しなさいよ!」
「それだったらこれはどう?」
こうなることは目に見えてたから持ってきていたもう一枚のワイシャツを腰に巻き付け、縛る。
「ほら! これだったら隠れてるし問題ないでしょ?」
「……それだったら、まあ」
よし! コハルからのオッケーがでた!
「ずっと立ちっぱもなんだし、座ろうか」
前でプラプラしている袖を足で挟み、体操座りをする。
「――!?」
「なぁ――!?」
座った瞬間、ハナコとコハルが反応した。
「……え? どうしたの?」
「エッチ! ハレンチ!」
「これはなかなか――」
「まって、本当になに?」
なんで二人ともそんなに反応してるの? なにに反応してるの?
「巻きつけたワイシャツの袖部分を股で挟みショーツを隠すことでまるで履いていないかのような錯覚を引き起こすなんて。しかも無自覚で……やはり先生はすごい方です♡」
「やっぱり先生は変態! 痴女! 死刑!」
え?
えぇぇー?
そんなにダメ?
でもコハルとハナコ、二人が反応してるしダメかー。
……。
………………本当になんで?
きっとこの時の先生の恰好が水着ハナコの原点になるんだろなぁ