うぅ……。なんだかいつもより周りの視線が気になる。気のせいかもしれないけど私の方を見て何か言ってる気がする。
そんなことを考えながらみんなでおしゃべりをして一緒に夜の街を歩いていく。
「それにしてもそんなにハスミさんが怖いのですか? 後輩たちにはとてもやさしいお方だと聞いていたのですが……?」
しゃべっている途中、ハナコがコハルに質問をするとコハルは元気いっぱいに答え始めた。
「もちろんよ! ハスミ先輩は優しいし、頭だっていい! いわゆる、えっと、文武両道でさいしょくけんび……? って言葉がよく似合う先輩なんだから!」
「コハルはそのハスミ先輩のことを高く評価しているんだな」
「そうなの! ハスミ先輩はすごいの! でも、だから怒るときはほんとに怖くて……」
「コハルちゃんはハスミちゃんが怒ったところ見たことあるの?」
「う、うん。前に一回だけ……」
おずおずといった感じでコハルはうなずいた。
「どんなことがあったの?」
「エデン条約の件でゲヘナの首脳部と会議しに行ったんだけど……。そこで体形のことについていじられたらしくて。それでハスミ先輩がすごく怒ったらしいの」
「なるほど。確かにハスミさんは体形がコンプレックスみたいな噂を聞いたことがありますから怒るのも無理はありません」
「うん。それでそれ以来ハスミ先輩ダイエットを頑張ってるんだけど、一日二食しか食べてない上にご飯の量も減ってるし心配で……」
「それは確かに心配だね。無理してないといいけど」
「でもハスミ先輩はすごいから大丈夫! 食べる量が少ないのも心配になるけどそれはハスミ先輩が頑張っている証拠だもん!」
「――ん?」
「どうしましたかアズサちゃん?」
「いや、あそこにおいしそうなスイーツ屋があるなって」
「あら、ほんとですね。食べ物の話をしていたからかお腹もすいてきちゃいましたし。ここで何か食べましょう」
「あ! ここの限定パフェはすっごくおいしいんですよ!」
「そうなのか!? それは是非とも食べてみたいな」
「それじゃあこのお店に入ろっか」
「いらっしゃいませー」
「あの! 限定パフェはまだありますか!?」
「すみません。限定パフェは先ほどちょうど完売してしまいました」
「あぅ、そんなんですね」
「限定パフェが食べられなのは残念ですが他にもおいしそうなスイーツがあることですし、今日は我慢してまた別の日に食べに来ましょう♪」
「……そうですね。確かに一押しは限定パフェでしたがそれ以外のスイーツもとってもおいしいんです!」
「……ヒフミ、もしかしてあれが限定パフェか?」
「どれですか?」
アズサが指さしたほうにみんなが顔を向ける。
「……え?」
そこには限定パフェをテーブルに並べ、スプーンに乗ったパフェを今まさに口に運ぼうとしているハスミがいた。
「……ハスミ先輩?」
コハルが名前を呼ぶともぐもぐと幸せそうに口を動かしていたハスミの表情がピシャリと音を立てたかのように固まり、ギギギとゆっくり顔を動かして私たちのほうを見た。
「……コハル? それに補習授業部の皆さんと、先生……先生?」
「久しぶりだねハスミちゃん」
「は、はい。お久しぶりです。……え?」
私の恰好をまじまじと上から下へと何度も見返すハスミに羞恥心をおぼえ身じろぎしてしまう。
「そ、その恰好は一体……? いえ、似合ってはいると思いますが……」
「これは、ちょっと……いろいろあって、ね」
「先生と一緒に青春を楽しんでいる途中なんです♪ ね、先生♪」
ハナコが私の後ろから両肩をつかみ、引き寄せてきた。背中にハナコの豊満なボリュームを感じながら「まぁ、そんな感じ」と少ししどろもどろになりながらハスミの疑問に答える。
「それよりもこんなところでハスミさんに出会うとは思いませんでした。確かダイエット中とお伺いしていたのですが……。こんな真夜中に限定パフェを3つもだなんて」
「これはですね、その……」
ハナコの質問にハスミはバツが悪そうに顔を少しそらす。
「いえ、隠さなくとも大丈夫です。真夜中に襲ってきた悪しき欲望に耐えきれることが出来なかったのですよね。そしてこんな姿を見られるわけにはいかないという不安と己の欲望に身をゆだねた快楽の中食べる限定パフェはさぞかし美味なことでしょう。えぇ、えぇ、その気持ちわかりますとも」
「ちっ、ちがっ――! ……こほん、自分のことを棚に上げるようですが、そもそも補習授業部の皆さんは外出が禁止されているはずですよね?」
「――!」
「そ、それは……。あぅ」
ハスミの質問に今度はコハルとヒフミがばつが悪そうに顔を背ける。その様子を見てハスミは「ふぅ」と一つ息をつき、仕方がないといった感じで口を開く。
「……ここはお互いに見なかったことにいたしましょう」
「ハスミちゃんありがとうね」
「いえ、お礼を言われるようなことではありません」
穏便に事がかたずいた様子を見てコハルとヒフミも一息つく。そして各々食べたいスイーツを取ってきてハスミのテーブルにお邪魔させてもらった。そしてみんなで楽しくスーツを堪能して食べながら話をする。
「コハル、お勉強は頑張っていますか?」
「え、えっと……」
「ものすごく頑張ってるよコハルちゃん。この間の模擬試験で合格ラインを越えたからね」
「そうなんですか。偉いですよコハル」
「そ、そんな。私なんてまだまだ……」
「胸を張りなさいコハル。アナタはやればできる子なのですから」
「は、ハスミ先輩……」
「応援してますよコハル。早く正義実現委員会に戻ってきてまた一緒に任務を遂行できる日を心待ちにしています」
「はい! 頑張ります!」
「よかったねコハルちゃん。ハスミちゃんの期待に応えられるようこれからもお勉強を頑張ろうね」
「うん! ハスミ先輩の期待だけは絶対に裏切りたくないもん!」
和やかな雰囲気が流れる中、ヴヴヴヴと音が響く。
「私ですね、少々失礼します」
ハスミは断りを入れてスマホを取り出し、画面を見た。
「おや? イチカからですね。――どうしましたか、イチカ? ……なんですって?」
ハスミの顔がどんどんと険しく変わっていく。
「……えぇ。……美食研究会がアクアリウムを襲撃? なぜ? ……ゴールドマグロを強奪して逃走? …………わかりました。……ツルギが? とりあえず止めてください。私は今少々使用で外に出ていて……イチカ!?」
通話が切れたのかハスミは難しい顔をしていたが、そんなとき外から爆発音が聞こえてきた。
「……近いな。おそらくここから1㎞以内のところだろう」
「そういえばゴールデンマグロが展示されているアクアリウムもここからそう遠くありませんでしたね」
「……皆さん、突然のことですみませんが少々力をお貸しいただけませんか?」
「……え? 私たち、ですか?」
「はい。今トリニティとゲヘナはエデン条約を目前に控えていて過敏な時期なのです。そんな中トリニティの正義実現委員会がゲヘナと衝突するという状況はなるべく避けたいのです」
「なるほど。つまり私たち補習授業部とシャーレが協力し揉め事を収める。そういった構図が望ましいということですね」
「はい。なんだか皆さんを利用するようで心苦しいのですが……」
「大丈夫だよ。一緒にトリニティの平和を守ろう」
「ありがとうございます。先生の指揮下で戦うのは久しぶりですね」
「そういえば私もアビドスの皆さんとご一緒した時以来です」
「私は先生の下で戦うのは初めてだな」
「確かにそうですね。先生、私たちの事は先生の好きなように使ってくださいね♡」
「変な言い方しないでよハナコ!」
みんな銃を構えやる気満々みたいだ。
「それじゃあ補習授業部、出動!」
皆さんはブルアカフェスのチケット当選しましたか?
私は二日とも当選しました。
やったぜ。
私こういうイベントごとは初めてなのでわくわくしていますが、同時に緊張もしています。
何しろ人見知りなので、私。
ボッチで人見知りでコミュ障な私が大勢人が集まる密集地帯に足を踏み入れるのが少し怖いんですよね。
まぁ、フェスにいる人は全員ブルアカ好きなんだし怖がる必要はないとは思いますが。
それでもやっぱ一人で祭りごとを回るのって学生時代を思い出してしまいます。
うっ! 一人誰もいない教室で本を読んでいた記憶が――!
とは言ったものの全身全霊で楽しむ気満々です。
皆さんも一緒にブルアカフェス楽しみましょう!