蒼光の喰種   作:snooze

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異質な赫子

陽翔は異形喰種との戦いから数日後、都市の影で生きる喰種としての「捕食」を続けていた。

彼の赫子の異質さは、喰種の間でも「人間とは違う」異形として恐れられ、時に襲撃の対象となる。

同時に、CCGの捜査官たちが『蒼光』として陽翔を追い詰めようとするが、その力の前に次々と返り討ちにされる。

陽翔は、自らが何者でもない存在であることを痛感しながら、戦いを続けるしかなかった。

 

月明かりの差し込む廃ビルの一室。

陽翔は壁にもたれ、無造作に捨てられた遺体を見下ろしていた。

 

その遺体は、喰種――陽翔を襲撃してきた者だった。

 

「……馬鹿な奴だ」

 

陽翔は呟きながら、赫眼を輝かせると、喰種の体に手を伸ばした。

 

肉を引き裂き、赫包を探り当てる。その瞬間、体内から流れ込む喰種の力が、陽翔の空腹を満たしていく。

喰種を捕食することでしか、陽翔は自らの空腹を満たすことができなかった。

 

「人間を襲うのも簡単だ。けど……それは………」

 

陽翔は静かに立ち上がり、暗い夜の街へと歩き出す。

 

街角を歩く陽翔に、視線を感じる。

その正体は、目の前に現れた一人の喰種――痩せた体に似合わない、大きな赫子を展開している男だった。

 

「お前……聞いてるぞ、『蒼光』とか呼ばれてる化け物だってな!」

 

男は狂気じみた目で笑いながら陽翔を指差す。

 

陽翔は足を止め、冷ややかな目で男を見つめる。

 

「俺に用があるなら……一言で済ませろ」

 

「用だぁ? お前の赫包だよ!」

 

男は怒声と共に赫子を振りかざし、陽翔に向かって突進してきた。

 

陽翔は動かない。ただ、冷静に相手の動きを見極めている。

 

男の赫子が間合いに入った瞬間、陽翔の背中から結晶のような赫子が一閃し、男の腕を斬り飛ばした。

 

「なっ……何だ、この速さ……」

 

男が驚愕の声を上げるが、その声も陽翔の赫子が喉を裂く音にかき消される。

 

静寂が訪れた。

陽翔は倒れた男の赫包を引き抜くと、無感情な顔で言った。

 

「……喰われるのはお前の方だ。悪いな。」

 

その数時間後――。

 

CCGの捜査官たちが、陽翔が捕食を終えた現場を捜索していた。

 

「報告します。現場に例の喰種の痕跡――『蒼光』の赫子の痕跡を確認しました」

 

若い捜査官が報告する横で、指揮官が無線に応答する。

 

「奴がまだこの近くにいる可能性が高い。全員、警戒態勢を維持しろ!」

 

一方、陽翔はその現場の近くで静かに足音を殺し、影に潜んでいた。

捜査官たちのクインケが光を反射し、動きを察知した瞬間、陽翔は飛び出す。

 

「何――!」

 

赫子が瞬く間に展開され、捜査官の一人を弾き飛ばす。

その衝撃で、地面に転がる彼のクインケがガラガラと音を立てた。

 

「撃て!」

 

別の捜査官が陽翔に羽赫型のクインケを向けるが、その弾は赫子の結晶に弾かれる。

 

「悪いが、今日の俺は腹が減ってるんだ」

 

陽翔はそう言うと、赫子を振り下ろし、一人の捜査官を仕留める。

 

「こいつ…羽赫と甲赫の!」

 

戦闘が終わり、陽翔は再び夜の街を歩き出す。

手には先ほどの捜査官だったものの肉塊が握られているが、どこか迷いのある目をしていた。

 

「……結局、俺はこうやって生きるしかないのか」

 

青白い赫子がかすかに光を放ちながら、陽翔の背中に収まる。

 

 

 

 

街の明かりは遠く、彼の影を照らすことはなかった。

 

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