転生先は貞操観念逆転世界の陵辱系エロゲー世界ってマジですか? 作:葱ラーメン大盛A定食セット(旧竜騎兵)
続きは気が向いたら書いたり書かなかったりします。
「む? どうした? 寝れてないように見えるのだが」
「何かあったのか?」
結局、レヴィの抱き枕になりながら朝まで過ごすことになって、一睡もできなかった。
彼女には困ったものであるけど、人と触れ合うことが少なかったであろう彼女も、き人肌が恋しいこともあるんだろう、きっと。
レヴィが起きて、文字の読み書きについて教えた後に、メイさんとの待ち合わせ場所に到着すると、隈でもできていたらしく、心配されてしまった。
「あー、レヴィの抱き枕にされてしまいましてね、ちょっと朝まで寝れませんでした」
「……それは災難だったな?」
じとー、とサファイア色の瞳がこちらの目を見つめてゆく。
どうやら彼女はあまり機嫌がよろしくない様子でブロンドの髪がリボンによってまとめられて形作られたツインテールがぷりぷりと揺れ動きながら、近づいてきて。
「レヴィだけ、不公平だ、あたしにも抱きつかせろっ」
と言いながら僕の腕に抱きついてくる。
その胸の膨らみは平原だった。
って、そんなこと考えてる場合じゃないか。
「あれは不可抗力だったんですけど」
「うるさい、今日は腕に抱き着いて離してやらないからな、覚悟しておけよ、この毒男め」
言うほど毒男かな?
「言うほど毒男だぞ」
思考が読まれた? そんなに僕の表情ってわかりやすいの?
「分かりやすいぞ、あたしのように勘が鋭い女相手には気をつけることだな」
怖っ。
「と言うか、今日はデートだったんですね」
言われてみれば、彼女はめかしこんでいるように見える。
平坦な胸の上半分を大胆にも露出させて、フリルをあしらったスカート、うん、よく似合っている、可愛い。
僕の服装は、いつも通りだからちょっと悪いことした気になってしまう。
メイさんがこれだけ気合い入った服装で来るなんて想定外だったんだよね。
「男女でどこかに出かけるなら、デートと言えるだろう?」
何かを言ってほしそうに胸を張る彼女の姿が、少し微笑ましくて自然と笑みがこぼれてしまう。
「うん、よく似合ってるよ、メイさん」
「ふふん、そうだろう」
今日はデートがしたい気分らしいので、この可愛らしいお姫様に付き合ってあげるとしようか、うん。
実際、彼女は連邦帝国を構成する王国の王族だから、お姫様なんだよね。
海に面した交易都市であるカスパールの街には様々な施設がある、さまざまな消耗品を補充するための商店に、冒険者が一番お世話になるだろう鍛冶屋などなど、面白いものだと氷属性の魔法を使える子がアイスクリーム屋さんなんかがあったりする。
まぁ、要するに人が多いだけあって様々な施設があるという訳だ。
当然の事ながら、劇場も存在しており、このサンスル劇場で行われる演劇を僕たちは見に来たという訳だ。
演目は確か『ギフテッドの姫騎士と囚われの人』だったかな。
なんでも、実際に起こった出来事をモチーフにして作られた劇らしい。
タイトル通り、あらすじは魔族によって攫われた男性の貴人をギフテッド、つまり僕の親族である神から与えられた能力持ちの子が救出の冒険に向かう、という話らしいね。
似たような演劇は、元の世界にいた頃にもされていたような気がするし、どこの世界でも人が考える娯楽や、冒険物語は似通ったものになるのかもしれないね。
「わ、混んでるね」
前世の世界に存在した、桃太郎並にありふれているであろう物語であるというのに、この世界の人々は娯楽に飢えているのか、劇場へと入るための入口には長蛇の列が作られている。
はぐれないように、メイさんの手をしっかりと握りしめてゆきながら、こちらに左手を使って抱き寄せてゆく。
自然、彼女と密着する形になり、目と目が合う
「そういう所が毒男って言われるんだぞ」
「今のはちょっと理不尽じゃない?」
頬を赤らめてぷいっ、と顔を横に反らしたメイさんから毒男と言われた、迷子にならないために抱き寄せただけなのに、解せぬ。
お互いはぐれないように気を付けてゆきながら、奥へと進んでゆくと劇場の観客席に。
予約していた席へと腰を下ろし、開演を待つ。
この手の魔族を相手取った演劇は治安当局にも睨まれることは少なく、むしろ劇団に積極的にやるようにと推奨してるお陰で、劇場がある街ではどこでも鑑賞することができる。
表現の自由というものとは全くもって無縁な世界であるけども、これも戦争が長引いてるせいであるだろうし、仕方ないのかもしれない。
少なくとも、この世界においては魔族との融和を訴える劇ではなく、魔族を打倒し、打倒したものが賞賛を受ける劇が受け入れられるのだ。
……改めて考えてみると、前世に比べてあまりにも不自由な世界な気がするけど、そこらへんは今更な話か……。
「全く、嫌になるね」
「ん? どうした?」
「ああ、いや、なんでもない。 そろそろ劇が始まるよ、見ていこうか」
きょとん、とした様子でこちらを見てきたメイさんに苦笑いしてゆきつつ、劇に集中することにした。
劇の内容を総評すると、まぁどこにでもあるような物語だった、でも役者さんの演技はかなり力が入っていたね。
攫われてしまった、愛しい人を救うためにギフテッドの子が冒険に出て、紆余曲折を経てその人を救い出し、最後は結ばれて幸せになる。
本当に、どこにでもあり得そうなハッピーエンド、でもそれが一番いい、そんな内容だった。
現実は、手放しにハッピーエンドになることは非常にまれだからね、その手のハッピーエンドに飢えている人はかなり多いのかもしれない。
僕自身も、攫われた王子様の立場になることがあった。
幼少期に、僕の村へとやってきた魔族によって、母と姉は命を落とし、僕と父は魔族に拉致されて、父は監禁中に行われた性的拷問のせいで命を落とした。
その上、僕も尊厳を踏みにじられて、その上で見た目が幼いまま変化しなくなる呪いまでかけられてしまって、たまたま魔族の襲撃の際にはいなかった妹が、僕の事を助けに来てくれて……。
僕は助けられたけど、助けに来てくれた妹は、命を落として。
僕だけが、生き残ってしまった。
貞操観念逆転世界、という概念が存在しているという事は知っている、そして僕のエロゲ―ヒロイン並の経歴を考えるに、もしかしたらここは貞操観念逆転世界における、陵辱エロゲ―の世界なのかもしれない。
その手のエロゲ―だと、待っているのはバッドエンドだろうから本当に勘弁願いたいんだけどね。
「……いい物語だったね、ハッピーエンドだったのが、一番よかったよ」
少なくとも、演劇の中にだけ、救いを求めるのは人としての性というやつなのかもしれない。
「うん、良い劇だったな……最後、主人公と恋人が結ばれるところは思わず泣いてしまったよ」
「そっか、満足したみたいだ、よかったよかった」
これでデートは成功、かな。
と思っていたのも束の間、劇場から出ようとしてゆくと、悲鳴と叫び声が聞こえてきた。
「物取りだ、誰か刺されて財布が奪われたぞっ」
その言葉を聞くと同時に、僕はスカートで隠されていたホルスターの中から拳銃を引き抜き、メイさんも腰から吊るしていた短剣を引き抜いてゆく。
人の心が荒んでいるせいか、この手の凶悪犯は年々増えてる気がする、世も末だ、いや本当に。
残念ながら、デートはここで切りあげることになりそうだ。
腕利きの冒険者が二人もそろっていれば、負ける可能性は万に一つも無かった。
あたしと、アークで強盗犯を路地裏にまで追い詰めて、あたしが前に出て敵の注意を引き付けてるうちに、銃持ちのアークが敵の脚を撃ち抜いて無力化。
後は腕力に優れるあたしが取り押さえて、それでおしまい。
特に語るべきことはなく、あっさりと終わった、いやまぁ、食い詰めたごろつき相手に負ける方が難しいんだけど。
「これで確保完了、と」
強盗犯から盗んだ財布を取り返してゆきながら、手を後ろに回させてロープで拘束し、後は衛兵の到着を待つばかり。
こちらの事を睨んではくるけど、縛られている相手に睨まれても怖くもなんともないな。
「一応聞いておきたいが、お前の動機は?」
「家族のためだ、家族のために、稼がないといけなかった」
……まぁ、よくある動機と言えばそれまでだな、うん。
このご時世、強盗などの犯罪に手を染める者は非常に多い、それだけ治安が悪化してるという事なのだろうが……。
長引く、魔族との戦い、戦争によって社会全体が腐りつつあるのかもしれない、うちの国でも似たような事件は多発しているしな……。
「それでも、まともに働いて何とか家族を食わせてるやつらもいるんだ、お前のやったことは到底許されるはずがない、衛兵隊に引き渡すぞ、貴様の事は」
「ふん……勝手にしろ、私の負けだからな、敗者は勝者に従うのみ、だ」
強盗に手を染めることになった犯人に、アークは何とも言えない視線を向けてゆきつつ、眉間にしわを寄せてゆきながら腕組みしていた。
表情から察するに、何とか彼女の力になりたいと思っているのかもしれないが、そうはいかない。
いくら何でも強盗犯を野放しにしておくわけにはいかないからな。
「アーク、こいつには同情する気持ちは分からないでもないが、逃すわけにはいかないからそこは理解してるよな?」
「あ、うん……まぁ、そうだよねぇ、衛兵に突き出すしかないよねぇ」
でも、と付け加えて。
「家族を食わせるために、強盗に手を染める、か。 こんなことになってしまったのも、まぁ魔族たちのせいだよね」
「……まぁ、この国の社会不安の原因を突き詰めるとそうなるな」
「よし、こんな人たちを増やさないためにも、僕のような被害者を増やさないためにも、明日からも魔族をどんどん狩っていこうか」
少し、逡巡した後に、そんな言葉を口に出してゆき、思わず私は笑みを浮かべてしまった。
そうだな、こいつはそんな奴だ。
あたしの国が、魔族の陰謀のせいで乗っ取られてしまいそうになった時も、姉上に裏切られて戦う気力を失っていたあたしの事を叱咤激励し、前を向かせてくれたのも、彼のお陰だ。
いつも前向きで、ひたむき、そういう所にあたしも、きっとレヴィも、ヒィロも惹かれたんだ。
そうとも、あたしたちは、魔族なんかに屈することはない、魔族からこの世界を守って、明日を手に入れるんだ。
色々な要因で道を外れる者もいるかもしれない、でも、最終的に勝つのは我々に決まっている。
そう、今日見た、演劇のように、物語はきっと、最後にはハッピーエンドが待っているんだから。
「……そうだな、ふふっ、ああ、明日からも仕事を頑張るとしよう」
衛兵隊が到着し、強盗犯が連行されてゆく、その光景を見送りながら、私は一つうなずいて、決意を新たにした。
休みが終わったら、明日からはまた新しい一日が始まる、魔族や、その眷属たる魔物たちとの戦いの日々が。
「じゃ、気合いを入れるためにも肉でも食いに行くか、あたしが奢るよ、あたしの方が年上だし」
くすり、と笑みを浮かべてゆきながら、普段はまだ十八ほどの年齢なのにパーティーをまとめあげて、見た目以上に精神的にも肉体的にも成熟した。
あるいは成熟せざるおえなかった、早熟な彼の頭を撫でてゆき、その手を引いて夕日に照らされつつあるカスパールの街の、屋台通りの方へと向かう。
手を引かれてゆく、彼は、少し呆気にとられたような表情を浮かべてゆき。
「……今日は沢山食べても良いかな?」
と、ちょっと照れたような笑みを浮かべてゆきながら、そう答えた。
「もちろん、普段頑張ってくれてるんだから好きなだけ食べてくれ、むしろもっと食べないと成長しないぞ~」
「成長しないんですわこれ以上」
「おっと、そうだったな、すまんすまんっ」
顔を見合わせて、笑いあう、この日常を守るためにも、色々なものを失ってきた彼が、心にこれ以上傷を負わないためにも、あたしは死ぬわけにはいかない。
そう決意した。
だから、アーク、君も。
「君も、無茶をするんじゃないぞ、君が死んだら、あたしは悲しみの涙で溺れることになりそうだからな」
あはは、と笑みを浮かべてゆきながら、その背を叩く。
アークは、少し苦笑いしながら。
「死ぬつもりなんて、ないですよ、先に死んでいった仲間たちの分まで、生き残るつもりですからね」
そう答えて、背中を叩かれて少し痛そうにしながら、お目当ての屋台へと歩いてゆく。
今日は食い倒れるまで食べまくろう、死んでいった仲間たちの分まで食べて食べて食べまくろう。
どんなものを食べようか頭の中で思い浮かべてゆきながら、あたしはアークの後ろに続いてゆくのだった。
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