あれから10ヶ月の月日が流れ、私は今試験会場へと向かっている。
施設のみんなから見送られ、雄英の門前に立った。生徒としてまた門を潜れる為に頑張っていかなければ。
「うお、すげぇ美人がいる。あの人もヒーロー科志望なのか」
「お前声かけてこいよ」
なにやら周りがざわめき出したが、私には関係ないか。そのまま試験会場へと歩み出す。雄英の試験はかなり難しいらしいが、受かるための努力は惜しまなかったはずだ。やれることをやれば自ずと結果は出ると信じている。
『今日は俺のライブにようこそー! エヴィバディセイヘイ!』
説明会場でボイス・ヒーロー、プレゼントマイクが受験生へと語りかけるが、帰ってきたのは沈黙であった。初手のノリにしては高すぎると思う。しかしプレゼントマイクはそんなことも気にせず試験説明へと入った。
そんなこんなで説明も終わり、割り振られた試験会場に到着した。先程の説明を思い出す。仮想敵を倒し得点を得るのだが、果たしてそれだけだろうか? なにか別のとこも見られるのではないか、そんな感じがする。
そうして考え込んでいると不意に開始の合図が鳴る。合図が鳴った瞬間体が反応し走り出す。雷さん達との特訓の賜物だ。
『どうしたぁ!? 実戦じゃカウントなんざねえんだよ! 走れ走れぇ! 賽は投げられているぞ!』
少し遅れて、他の人達も走り出す。そうして走っていると仮想敵と接敵した。小手調べとして、蹴りを繰り出す。当たった部分が砕け散り、機能が停止する。なるほど、あまり頑丈に作られてはいないようだ。続け様に仮想敵が襲いかかる。攻撃を躱し、カウンター気味に殴りつけよろけたところにもう一発拳を叩きつける。突き出した拳が仮想敵の身体を貫き通す。2体倒したところで、他の人達も交戦を始め乱戦気味になっていく。1ヶ所に留まらずにいた方が良さそうだ。電探を使い仮想敵がいる場所に移動しつつ撃破していく。苦戦している人を見かけては邪魔にならないように仮想敵を倒し、去っていくを繰り返してしばらくするとビルが崩れて、街全体が揺れていく。崩れた所からこの揺れの原因が姿を現す。あれが説明にあった0ポイントのやつデスか。
その巨体はかるくビルを越す大きさであった。あの大きさは驚異だ。身動き一つで街は簡単に壊されていき、周りにいた受験生達はパニックを起こし逃げ出していく。
「なんて大きさデース! 巻き込まれないよう距離を取って……ん?」
0ポイントの仮想敵の進路上の場所に電探が反応を示す。どうやら逃げ遅れが居るみたいなんですが、姿が見えない。故障や誤作動かとも思ったが妖精さんが正常に稼働していることを伝えてきて、その線は消える。とにかく反応があったところまで向かってみよう。
反応があった場所に着いたが人の姿がない。
「わたしここ! 瓦礫のせいで身動き取れなくなっちゃったの!」
辺りを探していると不意に声が聞こえてくる。驚いて素っ頓狂な声が出そうになったデス……。声がした方を見ると手袋が浮いていた。
「もしかして透明人間デスカ!? 今助けるデース!」
「ありがとう! でも足を痛めたみたいで歩けないの」
透明人間に乗っかっている瓦礫を退かし、救いだす。歩けない様なので抱きかかえ、その場を離れる様に駆けていく。というかこの子、布の感触しないデース……! 服は透明にならないタイプかぁ……
ある程度離れるも、巨大仮想敵は以前こちらに歩みを続けている。これ以上被害を拡大させないためにも、撃破した方がいいだろう。しかし、格闘技では到底倒せそうもない。となれば艤装を使い……
「……一旦下ろしマス。あれを倒して見せマース!」
「え!? あれを!? 見たところ強力な個性じゃなさそうなんだけど!?」
艤装を出現させ、すべての砲塔を巨大仮想敵へ向ける。砲弾はHE弾を装填するよう妖精さんにお願いする。
「なにその装備! どっから出したの!? しかもちっちゃい人もいる!」
透明ちゃんが私の艤装や妖精さん達を見て驚きの声をあげている。確かに特殊ですよね、私の個性って。
「耳塞いでいた方がいいデース! 全砲門、fire!」
私の号令と共に、砲塔が火を吹き轟音が鳴り響く。それと付随するように巨大仮想敵の頭部が爆発し、その衝撃で後方へと倒れ込んでいく。
『終了~!!』
完全に倒れ込むと同時にプレゼント・マイクの声が試験場に響き渡る。艤装を消し、透明ちゃんに向き直る。
「やりました」
Vサインを出し、そう言った。