朝の訪れ
朝日が昇ると、旅人用の家屋にカーテンの隙間から柔らかな光が差し込み、A2たちは新しい一日を迎えた。窓の外では、鳥たちがさえずり、村人達が徐々に目覚めていく。スリープモードの4人の内1人が目が覚めて起床する。
A2
「お・・おはようございます・・。えっ!?」
彼女の視線の先には意外な光景が映った。
四号が布団を抱きしめながら眠ってる姿、十六号が大の字になって無防備に大きく口開けて眠ってる姿、二十一号は下半身がベッドからはみ出てズリ落ちながら眠ってる姿だった。
「ふふふふ。やはり・・3人ともずっと気引き締めてすぎてたんですね・・。この村で安心したのか、こんな姿で寝てるなんて・・。」
3人の寝相を見て、クスッと微笑みながら呟くA2。
そして、四号が目を覚まして
「ふぁぁああ〜よく寝たわ。布団が気持ち良くて熟睡しちゃったなぁ。おっ!?二号起きてたんだなぁ。」
A2
「おはようございます四号。良く眠れたそうで何よりです。」
四号
「うん。快眠できて義体のコンディションも良好よ‼︎あれ・・?2人とも・・?」
四号がまだスリープモードである十六号と二十一号の寝相が視界に入り
「おいおい?いくら何でも無防備すぎだろうよぉ?あんな冷静でお堅い二十一号がこんなだらし無い寝相とは意外だったよー。」
ニヤニヤ笑いながら四号はA2に語りかける。
A2
「二十一号もきっと気を張ってばかりだったから、疲労が蓄積してたのですね。起きるまでそっとしておきましょう。」
四号
「そうだな。最高のコンディションにしておかないと、これから待ち受ける戦いにパフォーマンス発揮できない訳だし。」
四号はベランダの方へ向けて歩き出し、窓ドアを開けてベランダから村の景色を眺めてる。
朝日が巨木の木々から差し込まれて、鳥の囀りが響き渡り、小川が流れてる。そして村の家屋から次々とクリボーたちが出てきて、朝の活動をし始めてる。村人たちの1日の始まろうとしてた。
「これが地上で暮らす人々の1日の始まりなんだね。なんだかとても新鮮だね。」
四号はベランダから眺める村の光景に感激していた。
A2
「この穏やかで明るく暮らす人々たちを脅かす機械生命体を倒さなければ・・。それが私達の使命なんですから・・。」
四号
「でもさ、今はこの時を享受しても良いんじゃないかな?いくら戦闘特化の
互いの今の心境を口に出す。
そして、ベランダにある椅子に座り、村の景色をひたすら眺めてる2人。
2人の視線の先にはクリボー達が活動してる。その光景は安らぎを与えるものだった。機械生命体とアンドロイドとの戦争とは全くの無縁の世界であった。
ケトルの音がベランダまで響く
四号
「おとと・・。お湯作ってたんだった。」
A2
「お湯!?四号、何をしてるんですか?」
するとニコッと微笑みなながら
「モーニングコーヒーってやつ。クリボーが教えてくれたんだよ。」
A2
「モーニングコーヒーですか・・・。」
四号
「そう!!朝起きたら、この一杯を飲む事で活力にするって聞いたんだよ。アンドロイドの私たちからしたら、ターボチャージになるのかな。」
A2はスマート端末を取り出して、ケトルの横にあったコーヒーの素をスキャンした。
「私達の義体には影響が無いようで安心しました。」
四号
「大丈夫♩大丈夫♩私のアイセンサーでコーヒーの成分を解析したから。寧ろ私達の義体に良い影響もたらす期待があるみたいよ。」
A2
「そうなんですね・・。何だか・・私達の知らない事ばかりで・・整理が少し出来てないんですよね。」
A2たちは地球降下するまでは“地上は機械生命体との戦争で荒廃してる”という認識だった。と言うよりも司令部によって知らされてる内容がそれだけだったのだ。
しかし、実際に降りてみると戦争の痕跡はなく、機械生命体やアンドロイドの残骸すら見当たらなかった。
これに関しては彼女達が“非戦闘地域”に着地したかと思ってた。
現在、彼女達が居る“クリ村”とそこに暮らす非人間種族である“クリボー”の存在は一才知らされて無かった。
そして、彼らは機械生命体の存在は名前でしか認識しておらず平穏に暮らしてる事実。
今まで司令部から知らされてた地球の情報と、実際に地球へ降り立って実際に見た光景と大きく乖離してる事にA2は戸惑っていた。
そんなA2の表情をみて
「そんな顔するなって♩二号。もしかしたら司令部が知らない情報がこの村やクリボーたちかもしれないよ?司令部が地球全てを把握してる訳では無いってことじゃないかな。」
四号は明るく彼女を元気づける。
そして、四号はケトルを片手に持ち、マグカップを4杯並べて、お湯を注ぐ。そしてコーヒーの素を淹れてマドラーで掻き回す。
お湯とコーヒーの素が混ざり、湯気と共にコーヒーの匂いが空気中に漂う。
そのコーヒーの匂いで十六号と二十一号が目を覚ます。
十六号
「ううん・・何か・・香ばしい匂いが・・うううん・・おはよう・・・。」
二十一号
「うう・・ん・・私としたことが・・随分と深いスリープモードに入ってたようです・・・おはようございます・・・。」
四号はニヤニヤしながら
「お二人さーん✴︎おはようだねぇ。随分と大胆にお眠りになってたようでぇ?」
十六号
「んあっ!?何だよテメェ、随分と上機嫌じゃねぇかよ。」
二十一号
「むむむ・・もしかして、私はアラレもない寝相だったと言うのでしょうか?」
十六号
「そんな事よりも四号、それなんだ?オイルか?」
四号
「ふふふ。これはモーニングコーヒーってヤツよ。朝活動する前に飲むってクリボーから教えてもらったんだ。」
A2
「ちょうど皆んなの分用意したので、これ飲んで今日の活動のエネルギーにしましょう。」
二十一号は片手を前に出して、コーヒーをスキャニングして解析
「この飲み物も私達の義体に悪影響する成分は含まれてませんね。むしろ良い影響を与える期待があります。」
十六号
「へぇ、コーヒーとか昨晩食べた“キノコシチュー”の情報も司令部からは全く聞かされてなかったな。」
四号
「まぁまぁ、地球には司令部でもわからない未知なモノがたくさんあるって事だし、さぁさぁ飲もうよ。」
4人は一斉にマグカップを片手にして、口につけてコーヒーという液体を口内へ流れていく。
十六号(驚きながら)
「⁉️これなんだよ⁉️スゲェ苦いぞ⁉︎こんなの飲んでるのかよ⁉︎地上で暮らす者たちは・・」
二十一号(真顔で)
「私は平気です。ヨルハ機体でも、この味に対する感想は変わるようですね。」
四号(ちょっと口元を歪めながら)
「二十一号は平気なんだね・・。私はちょっと苦手かも・・はははは。」
A2(棒状の小さな紙袋を摘みながら)
「なんか、コーヒーの素が並べられてる箱の横にこんなモノ見つけましたよ?」
二十一号
「これは・・砂糖というモノですね。なるほど・・この苦い味がダメな時に、一袋入れて甘くするわけですね。」
十六号と四号はそれを聞いて、棒状の小さな紙袋を取り出して、砂糖をコーヒーへ注ぐ。
十六号
「うん・・これなら飲めるな。だけどまだ苦味が残ってやがる。」
四号
「でも砂糖入れるだけで、こんなに飲みやすさが変わるんだね。」
そんなコーヒーで談義をしてる中、時計の針は9時になった。そしてチャイムがなった。
A2は玄関へ足を進め、扉を開けると青い帽子を被ったクリボーの少年が元気よく挨拶した。
「姉ちゃんたち!おはよう!そして初めまして‼︎オイラは“クリオ”って言うんだ。これから周辺を案内するから、よろしくね!」
A2(微笑みながら)
「おはようございます。初めましてクリオさん。私たちを案内してくれるんですか?よろしくお願いします。」
クリオ(得意げに胸を張りながら)
「もちろん!この村のことはオイラが一番よく知ってるから、安心してついてきて!」
四号(ワクワクしながら)
「やった!!クリオ、よろしくねー♫どんな場所があるの?穴場とかも教えて!」
クリオ
「うん、もちろん!まずは村の広場に行こう!そこには“オイラたちの守り神”の銅像があって、みんなのお気に入りなんだ。それから、村の周りには美しい場所もあるよ!」
十六号(少し警戒しながら)
「守り神の銅像?それがどう役立つのかは知らねーけど、無駄な時間を過ごすつもりはねーからな?」
二十一号(穏やかな口調で)
「でも、クリオが案内してくれるなら、何が面白い発見があるかと思います。私たちの任務で何か見つける手助けになるかもしれません。」
クリオ(嬉しそうにニコニコしながら)
「そうだよ!みんなで一緒に探検しよう!絶対に楽しいから!」
A2(決意を込めて)
「行きましょう‼︎私たちも新しい情報を集めるために動かなければならないし、クリオと一緒なら心強いです。」
A2たちは、クリオの後について村の広場へ向かうことにした。新たな冒険の始まりを感じながら、彼女たちは不安と期待を胸に秘めていた。クリオとともに村の探索をすることで、何か手がかりを掴むことができるかもしれない。
村の広場に向かう道すがら
クリオが村の様子や住人たちの話をしながら歩く姿に、A2たちは少しずつ心を開いていく。彼女たちにとって、新しい環境で地上に暮らす非人間種族との出会いは、“成層圏でのクッパによる流星群”で失ったモノを取り戻すきっかけになるのかもしれなかった。
村の広場に大きく建つ銅像が目に入る。
この村とは場違いかのような思わせる彫刻の銅像で、人型であるものの、頭部は鳥で背中に大きな翼が生えてる。顔の表情からは厳格と気高さが伝わる。
「これが、守り神の銅像でしょうか?人間?とは違う気がしますね・・」
A2は可愛らしいクリボーたちが暮らす村と全く釣り合わない険しい鳥人間の銅像を見て感嘆の表情で呟く。
クリオはまるで胸を張るかのように嬉々としてる。
「これはね、オイラたちの村の守り神の
四号
「すごいな・・そんな非科学的で非現実的な事が地球では起こってたんだね。」
二十一号はディスプレイを表示させて分析
「地球では我々の理解を超えた事象を“超常現象”と呼ばれてるそうです。人々はこの“超常現象”を理解の超えた存在“神”として祭り上げたと記録に残ってます。」
十六号は迦楼羅の銅像を見上げるように
「神様かどうかは分からねーけど、本当に実在してるなら、この数千年に亘る機械戦争を終わらせてほしいもんだよ。」
そして、一通り案内すると、クリ村の村長であり長老が4人の前に現れた
クリオ
「この村の村長で長老のクリ爺。今年で255歳なんだよ‼️」
クリオが自慢げに紹介したその瞬間、村の広場に立派な姿をしたクリボーの長老、クリ爺が現れた。年季の入った白い髭をたくわえ、優しそうな目を持つ彼は、村の中でも特に尊敬されている存在だ。
クリ爺
(穏やかに微笑みながら)
「おお、君たちが昨日やって来た旅人さんかい?クリオから話は聞いているよ。ワシはこの村の村長兼長老のクリボーじゃ。」
敬意を込めて左手を右胸に当てながら
「は・・初めまして・・‼︎私たちは”ヨルハA型部隊”の者です。私は隊長のヨルハA型二号と申します。以後よろしくお願いします。」
クリ爺
「ヨルハ・・・噂では“最新鋭の戦闘特化アンドロイドが居るとか居ないとか”は聞いてたのじゃが、まさかこんなところに来るとはのぉ。君たちがここに来た理由は何だい?」
四号(興奮を抑えきれずに)
「私たちはこの地球での機械生命体との戦うために情報を集めています。あなたがこの村の長老なら、何か知っていることがあるかもしれません。」
クリ爺(少し考え込む様子で)
「機械生命体かぁ・・この村や周辺地域では見た事がないのぉ。ワシが生まれてから、ずーっと平和で穏やかな日々が続いているんじゃ。」
十六号(驚きつつ)
「マジかよ・・。アタシ達は機械生命体と戦う為に地球へ降り立って来たんだ。情報収集してるんだが、最近村で何か変わった事や異変は無かったか?」
クリ爺
「そうじゃのお、ここ最近・・5日前かな?夜空に異常な数の流れ星が見えたんじゃが、あれは何かしらの力が働いているように感じた。あとは・・この村の東にある“森”で謎の生物が蠢いてるそうなんじゃ。」
二十一号(興味深そうに)
「それは機械生命体とは違うのですか?その奇怪な生物についてもっと詳しく教えてもらえませんか?」
クリ爺
「うむ、具体的に赤い花のような形をした生物で、どうも悪意を持っているように見える。しかし、何が目的なのかは分からん。村の人々は不安を抱えている。あと・・興味本位でその生物がいる森へ足を運ばせた村人達が帰って来てないんじゃ・・。だから村人たちは東の森を恐れて近寄らなくなってるんじゃ。」
A2(決意を新たにしながら)
「私たちはその“東の森”と“その生物”を調査し、行方不明なった村人たちの捜索をしてみます!!もし私たちが手助けできることがあれば、何でも言ってください。」
クリ爺(感謝の表情で)
「本当に助かる。君たちは何かとても秘められた力を感じるよ。村のために力を貸してくれるなんて思っても見なかった。」
十六号
「よしっ!!だったら東の森へ向かうとするか‼︎もしもその謎の生物が機械生命体だったら、アタシらのヨルハの力を知らしめてやるぜ‼︎」
四号
「そうなると、機械生命体との戦闘か。ドキドキするなぁ。地上で初の実戦か・・。アタシらなら行ける‼︎」
クリオ
「姉ちゃん達と一緒なら、オイラもついて行くよ。」
こうして、A2たちはクリ爺の話を聞き、村の東にある森と謎の生物の調査、そして行方不明になったクリボーたちの捜索をする事になった。彼女たちは、この村での生活がどのような形で彼女たちの運命に影響を与えるのか、期待と不安を抱えながら“東の森”へ進む事にした。
ポッド042より以下の情報を開示
◇A2の記憶領域で確認されたデータ◇
◇クリオ◇
「マリオストーリー」に登場するクリボー。
マリオの最初の仲間。本作ではA2の味方として登場。
◇
本作のオリジナル設定。クリボーたちの村の守り神として崇めらてる存在。人間の体と鳥の頭と背中に生えてる翼。
かつてクリ村とその周辺地域な厄災が降りかかった時に、天から舞い降りてきて、自身の司る業火で厄災を祓ったと言われてる。