スーパーマリオ〜ヨルハ真珠湾降下作戦記録〜   作:うぇいかた

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NieR×SEEDと同時にこちらも進めていきます。人類に栄光あれ


Chapter16 「森の泉」

 

 

 

 

「お願いしまぉぁぁぁっすっっううう‼️許してくださぉぁァァァァっいいいいっ‼️」

 

 

  ドン!!ドン!!ドン!!ドン!!

ドン!!ドン!!ドン!!ドン!!

 ドン!!ドン!!ドン!!ドン!!

   ドン!!ドン!!ドン!!ドン!!

 

 

 何度も頭を地面に打ちつけて地響きのような音が鳴り響く。空気が歪むほどの叫ぶような命乞い。

ボスパックンは完全に戦意喪失であることが明白だ。

 

A2たちは突然すぎる予想外の命乞いにポカンと口が開いたままで、情動のコントロールが追いついてない模様。

 

 

 

「いやいやいや!?何だよこれぇ!?」

 

四号が両手剣「白の約定」をゆっくり下ろしながら、戸惑いの声を上げる。殺意がこもった笑顔の面影はまだ残っているが、目つきは完全に「トドメを刺す」モードから「何これ?」モードに切り替わっていた。

 

「てっきり、最期の悪足掻きで突っ込んで来ると思ってたぞぉ⁉︎」

 

 

十六号はライフルを構えたまま、照準をボスパックンの頭部にピタリと合わせ、呆れたように肩を落とす。

 

「待て待て待て……!? さっきまで『クソ女』とか『美しいモノほど汚したくなる』とか豪語してたよな!? コイツ……急にどうしたんだよ!?」

 

 

 

彼の赤い蕾の口が、震えながらさらに言葉を紡ぐ。派手で大げさな仕草。根元のような足がガクガクと震え、紫の体液が飛び散るたびに小さな悲鳴が混じる

 

「ヒィィィィイイイイイィィィィィィィィ!! ごめんなさいごめんなさいごめんなさい‼️ 私が悪かったんですぅぅぅ!! もう絶対に悪いことしませぇぇん!!お願いしまぉぁぁぁっすっっううう‼️」

 

 

A2は刀の柄を強く握り直し、切先をボスパックンに向けたまま一歩も動けない。彼女の胸の奥で、ヨルハのプログラミングと「人間らしい」感情がぶつかり合っていた。

 

(・・言葉を話し、恐怖を感じ、命乞いをする存在。クリボーたちと同じように、喜怒哀楽を持つ生命体みたい。私たちは機械生命体を排除するために造られた。だけど、これは・・!?)

 

 

A2の声が低く、慎重に響く。

「待って・・もしかたら、私たちを油断させる気では・・」

 

 

即座にボスパックンが首を激しく横に振り、土下座を続けながら叫ぶ。何度も頭を地面に打ちつけてるあまり地震のような揺れが発生しているが・・。

 

 

「いえいえ‼️滅相もございません‼️私にはもう戦う体力も気力も残されておりません‼️油断させる気なんて考える余裕もありません!!許して下さいっ!!お願いしますっ!!」

 

 

あまりにの掌返しの態度に十六号が舌打ちしながら、銃口をボスパックンの頭にグッと押し当てる。

 

「テメェマジふざけんなやっ‼️ごらぁっ!!」

 

 

「ヒィィィィイイイイィィィィィィィィ!!」

 

 

「さっきまでゲロブス女とかクソ女とかよぉ!?あんな汚ねぇ言葉でアタシらの話も聞かねぇで一方的に攻撃してきたのは何処のどいつだぁ!?ああっ⁉️」

 

ボスパックンの巨体がさらに縮こまり、土下座の勢いが加速する。ドンドンドンというリズムが森に響く。紫の体液が飛び散り、周囲の草を溶かしながらも、その動きは完全に「弱者」だった。

 

 

木陰へ向かおうとしたクリオと二十一号は踵を返してA2達のところへ向かう。村のクリボーらしい素朴な驚きと彼女達に対する尊敬が混じった表情だ。

 

「うそだろ!?あの“ボスパックン”が、土下座してるのかよ!?あの花の化け物の親玉ってこんな感じだったなんて、姉ちゃんたち、ホントに強すぎるよ・・!!」

 

 

二十一号は冷静にホログラムスクリーンを展開し、データを確認しながらも、声にわずかな戸惑いを滲ませる。

 

 

「分析中……敵意の信号はゼロ。心拍相当の波形も極度に乱れ、戦闘継続不可能と見てよろしいかと。生命反応は弱いが、完全に停止しておりません。・・・これは、単なる捕食者ではなく、何らかの『知性』を持った個体ですね。カルラ山の『聖域』が関係している可能性が高いかと。」

 

 

四号が剣を肩に担ぎ、ニヤニヤしながらも油断なく近づく。アタッカーらしい実戦的な目つきで、ボスパックンの巨体を上から下まで眺める。

 

「へぇ……意外と可愛い反応するじゃない。さっきの凶暴さはどこ行ったの? アタシたちを『汚したくなる美しいモノ』って言ってたよね? 今はただのビビりなお花ちゃんだね♫」

 

 

ボスパックンが顔を地面に擦りつけながら、必死に弁解を続ける。声が裏返り、大げささな抑揚で炸裂する。

 

 

「そ、それは……その……森を荒らす不届モノかと思ったので・・つい!!本当は怖かったんですぅぅ!!急に得体の知れない人間みたいな連中が来て……つい威勢張っちゃって……ヒィィィ!!!!」

 

 

A2の刀がわずかに下がり明らかな葛藤を抱えていた。ヨルハの掟は「敵を排除」。だが、ここにいるのは機械生命体ではない。言葉を話し、恐怖を露わにし、命乞いをする「有機生命体」だ。バンカーでの訓練では、こんなパターンは想定外だった。

 

 

(・・・敵を殺す。敵を倒す。それが私たちの存在意義。でも、これは・・?)

 

 

 

「チッ、掌返しが派手すぎんだよ。マジで信じていいのか?さっきの攻撃、村のクリボーたちを食おうとしてたんじゃねえのか?」

十六号が苛立ったようにライフルを少し下げ、ボスパックンを睨む。

 

 

ボスパックンが再びドンドンと頭を地面に打ちつけ、土煙を上げる。

 

 

「食おうとしてたんじゃなくて……!ただ、侵入者のを追い払おうとしただけで……!ごめんなさい!!ごめんなさいごめんなさい‼️ もう二度と攻撃しませんから、許してくださぉぁぁぁっすっっううう‼️」

 

 

四号がクスクス笑いながら剣の先でボスパックンの蕾を軽く突く。

 

「ふふっ、面白いわね。機械生命体なら殺すつもりだけだったけど、コイツは全然違うね。凄い流暢に喋るし、喜怒哀楽もあるから、クリボーちゃんたちと同じ“森の住人”って感じ?」

 

 

クリオが横から声をかける。

「姉ちゃんたち・・コイツはこの森のボスみたいだね。こんな必死に土下座するなんて、あまりにも拍子抜けしちゃうけど。」

 

 

二十一号がデータをまとめ、淡々と報告する。

「コアのエネルギー残量、15%以下。自己修復機能は起動しているが、殺す必要はないと判断します。むしろ、生かして情報を引き出す方が効率的です。『神隠し』や『聖域』の正体に繋がる可能性が高いです。」

 

 

A2が深く息を吐き、刀をゆっくり収める。ゴーグル越しの視線は、まだ警戒を解いていないが、わずかに柔らかくなっていた。

「……わかった。許してあげる。だけど、動かないで質問に答えて。カルラ山に何がある?神隠しの正体は?」

 

 

ボスパックンが土まみれの顔で、必死に頷く。声がまだ震えながらも、少しだけ元気を取り戻す。

 

 

「な・・神隠し?な・・何のことを言ってらっしゃるのですか?」

 

彼の顔はまるでポカーンと口を開けた感じで、彼女達が求めるモノについて初耳かのように声を出す。

 

十六号が肩をすくめ、ライフルを下ろす。

「おい、とぼけてねぇで全部吐き出せよ?でないと、今度こそトドメ刺すぞ?」

 

四号が笑いながら剣を回す。

「ちゃんと話してくれれば許してあげる♫」

 

クリオが安堵の息を吐き、二十一号の横で呟く。

「姉ちゃんたち……優しいんだか、怖いんだか……。でも、トドメ刺さなくて安心したよ。」

 

森に、再び微かな緊張と、予想外のコミカルな空気が混ざる。ボスパックンの土下座はまだ続き、紫の体液がゆっくり乾いていく。

 

「いや?その・・“神隠し”とかって本当に初耳なのですが・・・。」

 

「オイ・・。まだスッとボケる気かよ!?」

 

十六号の声に苛立ちが含まれてきた。A2が彼女よりも一歩前に出る。

 

「聞き方を変えるわ。クリ村の村人達がこの森へ入って行方不明になってるの。貴方・・村人達を食べてないよね?」

 

「そ・・そんな事、決してありません!!俺は森の恵みだけで生きてるんですよ!?村人達を食う理由なんてありませんって!!」

 

必死に否定する。声のトーンや振動や彼の仕草からして嘘とは思えない。

 

四号が大剣の切先をボスパックンのおヘソの裂傷部に突きつけながら笑みを浮かべる。

 

「じゃあ、何でクリボーちゃんたちが消えてるの?この森で行方不明になってるのよ。アンタ、森の主なら知ってるでしょ?」

 

 

「そ・・村人が行方不明になってるのは知らないですが・・・」

 

「ですが?他に何があるのよ?」

 

「に・・2年前から・・森の泉が次第に狭くなって・・今は水溜り程度に縮まったんですぅぅ!!」

 

 

「森の泉!?2年前ですって!?」

 

2年前・・村のクリボーたちの失踪した時期と重なる。

 

ボスパックンは震えながら・・

「日照りや干魃があった訳でもありません・・。雨だってちゃんと降ってるのに泉が日に日に小さくなって行くんです!!」

 

「泉はこの森の命の支えなんだ!!だから俺も他の奴らも皆、危機と不安で過ごしてるんです!!」

 

A2の眉がわずかに寄る。カルラ山の頂上から漂う異質な気配と、奴の言う“泉の異変”・・。“機械生命体が存在してない”この地域で、非科学的な現状・・・、何かしらの力が働いているのではないか?更なる謎が彼女達に絡める。

 

十六号がライフルを肩に担ぎ、苛立った様子でボスパックンを睨む。

 

「森の泉が縮んでる?それと“神隠”しが関係ねえって言うのか?」

 

ボスパックンが再び小さく土下座のポーズを取り、声を震わせる。

「本当です……俺はただ森を守ってるだけで……最近夜になると、カルラ山の頂から不可解な光がチラチラ見えるんです。山がおかしくなってるのかもしれません……」

 

 

二十一号がホログラムを更新し、淡々と分析を加える。

 

「追加データ:周辺の磁場に異常。カルラ山方向からの微弱電波が検知されます。機械生命体のネットワークと類似したパターン……興味深いですね。」

 

四号が剣を軽く回し、楽しげに言う。

「ふふっ、ますます面白くなってきたわ。ボスパックンの話が本当なら、泉に行ってみる価値ありそうね。クリオ、君はどう思う?」

 

クリオは少し迷った表情で、しかし彼女達を信じるように頷く。

「オイラ・・怖いけど、姉ちゃんたちがいるなら、ついて行くよ!!」

 

A2が静かに刀を完全に収め、皆を見回す。

「……了解。まずは泉へ向かうわ。ボスパックン、案内して。道中で何か隠してるなら、すぐに分かるから。」

 

ボスパックンが慌ててガクガク震えながら体を起こし、大げさに頭を下げる。

 

「は、はいっ!! ご一緒しますぅぅ!! 絶対に裏切りませんからぁぁぁ!!」

 

森の木々がざわめく中、一行は再び動き出す。カルラ山の影が長く伸び、紫の体液の跡がゆっくりと地面に残る。

 

十六号は腕を組みながら

「その森の泉って何処にあるんだよ!?デカ花野郎」

 

「い・・泉は、カルラ山の登山道へ向かう途中にあります・・」

 

四号は嬉しそうに声を上げる

「マジぃ!?アタシらちょうどカルラ山へ行くところだったのよぉ♫」

 

「な・・な・・な・・!?正気ですか!?カルラ山へ行かれるのですか!?マジでやめた方が良いですって!!俺は何百年もこの森に住んでるけど、あそこは聖域です!!バチが当たります!!」

 

なんと、森の主である“ボスパックン”の口からも、クリ村と同じ「カルラ山は聖域」という認識が飛び出した。ヨルハの面々は思わず顔を見合わせる。

 

A2が低く呟く。

「……この森の住民も同じことを言うのね・・。」

 

十六号が苛立ったように舌打ちする。

「うるせぇ!!聖域とか抜かしてるから森の泉が干上がる危機なんだろ!!逃げんなや!!クソデカ花野郎!!」

 

「ち、違うんですってばぁぁ!!俺は子供の頃から“カルラ様の聖域を侵しちゃ行けない”って言われてるんですよぉぉ!!近づいただけで罰が当たるんですよぉ!!何百年もそうやって平和に……って、最近は平和じゃなくなっちゃいましたけど……」

 

四号がクスクス笑いながら剣の先でボスパックンのお腹を軽く突く。

 

「ふふっ、面白いわね。さっきまで土下座して命乞いしてたくせに、今度は『聖域』で脅してくるの?アタシたちは戦う為に作られたアンドロイドよ?呪いとかバチとか、そんな非現実的なもので止まるわけないでしょ♫」

 

 

 

“神隠し”の真相は、まだ闇の中にあった――だが、ボスパックンの口から“泉の異変”で、新たな糸口を見せ始めていた。

 

 

 

ヨルハの戦士たちは、機械ではない「命」と向き合いながら、森の奥へ進む。そこに待つのは、聖域の秘密か、それともさらなる絶望か?

 

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