異端者の女神達 ーGoddess of the hereticー 作:maple sugar
むかーし、昔のある日のこと、ラプチャーという悪い魔物が突然やってきて人類を襲い始めました。
人類はその魔物を倒そうと躍起になっていたころ、ある裕福な一族の館の主は自分の元にもその魔物がやってくるのではないかと心配になりました。
そこで、館の主は今魔物たちと最前線で戦っている
しばらくして、館の主のもとに女神がやってきました。
しかし、その姿は女神とは呼べないような普通の女の子でした。
館の主は心配しましたが、普段は自分のそばで従者として働きながら魔物が来たら自分たちを守るように命じました。
女の子は一生懸命に館の主に従事しましたが、いつも失敗ばかりでした。
そこへ、魔物が現れ館や館の住人たちを襲おうとします。女の子はあまりの敵の多さに怖くなりましたが、今までの失敗を挽回しようと果敢に立ち向かっていきました。
女の子は何とか魔物を追い払えましたが、その戦いで館の主は妻と子を失ってしまいました。
女の子は自分の不甲斐なさが悔しくて涙をながします。
「ごめんなさい、ご主人様。私はご主人様のご期待に添うことが出来ませんでした。ダメな従者でごめんなさい……守れなくてごめんなさい……。私のような不良品はどうか処分なさってください……」
そんな彼女に館の主は叱るよなこともましてや処分するようなこともせずに女の子に言いました。
「いいんだ、妻や息子のことは残念だがそれは仕方がなかったんだ」
「ですがそれは、私がもっと強ければ……」
「いいかい? 君は体は機械だが心があるんだ。君はあの魔物に立ち向かうにあたって恐怖があったはずだが、君はそれを克服して我々を助けるために戦ってくれた。なら、君はメイドの作法も剣術やナイフ投げもきっと克服できるはずだ」
悲しみであふれているはずの館の主は笑顔で女の子を励ましました。
「君がいなかったら私も館の者たちも皆死んでいた。君が果敢に立ち向かってくれたからこうして生きているのだ」
「ありがとう、フィリア」
女の子は、その言葉を聞いて一晩中泣きました。そして、次の日からより一層メイドや剣術の修練に励むようになりました。
そして、女の子は館の主からも館に住む者たちからも信頼される従者となりました。
魔物との戦いが増えてきたある日のこと、女の子はいつも通り魔物を払い館に帰りました。
その夜、違和感を覚えた女の子は目を覚ましました。
すると、自分の周りはガラスのようなもので覆われ外に出られなくなってしまいました。いくら叩いても声を上げても壊れないガラスに手をこまねいていると自分の体は勝手に動いていることが分かりました。
「ご主人様、ご主人様、ご主人様、ご主人様、ご主人様、ご主人様、ご主人様、ご主人様、ご主人様、ご主人様、ご主人様、ご主人様、ご主人様、ご主人様、ご主人様、ご主人様、ご主人様、ご主人様、ご主人様、ご主人様、ご主人様、ご主人様、ご主人様、ご主人様、ご主人様、ご主人様、ご主人様、ご主人様、ご主人様、ご主人様、ご主人様、ご主人様、ご主人様、ご主人様、ご主人様、ご主人様、ご主人様、ご主人様、ご主人様、ご主人様、ご主人様、ご主人様、ご主人様、ご主人様、ご主人様、ご主人様、ご主人様、ご主人様、ご主人様、ご主人様、ご主人様」
女の子は、ふらふらと同じ言葉をつぶやきながら館の中を歩きます。その目は真っ赤に輝いていました。
やがて女の子は今まで培った剣術やナイフ投げの技術で館の者たちを次々と殺していきました。
「いや! お願い止めて!」
女の子は叫びますが、体は自由に動かず館の者たちを殺していく様子だけが彼女に見えるばかりでした。
そうして女の子は、仲のいい同僚の女の子を殺し────
自分にメイドの作法を教えてくれたメイド長を殺し────
剣術やナイフ投げの指導をしてくれた先生を殺し────
そして、最後には────
「お願い!! その人だけはやめて!! やめて、やめて、やめて、やめて、やめて、やめて、やめて、やめて、やめて、やめて、やめて、やめて、やめて、やめて、やめて、やめて、やめて、やめて、やめてぇぇぇぇっぇぇぇぇぇぇ!!!」
そんな、女の子の願いは届かず。女の子のご主人様は元の形もわからぬほどに切り刻まれてしまいました。
こうして、誰もいなくなった館でメイドの愉快な笑い声だけがいつまでもいつまでも響いているのでした。
めでたし、めで──────
それから幾月もたったある日のこと、未だガラスの中にいた女の子は深い苦痛に襲われました。
気が付くと今まで自由に動かなかった体は自由に動けるようになっていました。
しかし、彼女は「血を啜る化け物」へと変わってしまっていました。
女の子を化け物に変えた者は言いました。
「君を血で縛る形になって申し訳ないが、どうか私の
女の子は化け物になったことなど気にしてはいませんでした、それよりも自分を解放してくれたこの人にお仕えしたいと考えるようになりました。
女の子はもう二度と大切なご主人様を失わないように決意を固めました。
「ご安心ください、ご主人様。あなた様は私が必ずお守りいたします。今度こそ絶対に────」