ただ、投稿自体は辞めるわけじゃ無いので何とか話を完結に持ち込みたいですね。いずれはスタレ編の小説も書いてみたいですが、流石に今の崩壊3rdの小説を終わらせないと予定の続編が書けないのでしばらくはそのままの予定。
現実なのか夢なのか曖昧な不可思議な空間の世界で空中に浮かぶ路線上を走り続ける電車。人気のない車内で唯一座席に並んで座っている三人の若者たちの談笑の声だけが聞こえていた。
初めて会う見知らぬエルフ耳のピンク髪の女の子と以前に因縁の対決をした事のあるおそらく似ているであろう別人のそっくりさんである青紫髪の少女という組み合わせにソーマは戸惑いながらも彼女達の会話に参加していく。
「...あ、そういえば私ってば貴方のソーマっていう名前以外知らないわね。出来ればもっと詳しく貴方のことを教えてほしいわ♪今までどんな事をしてきたかとかね?」
「あ、ああ構わないよ。えーと...」
多少のプライベートな話は省いて今までにあった出会いや思い出、仲間達と共に戦った出来事などをエリシアに話していく。
「...ふーん、そんなに事になっていたのね?貴方達も昔の私達のように...でも貴方達はそれを乗り越えた。...きっとケビンも喜んでいると思うわ」
「ケビンが?」
「ええ、そうよ。彼は誰よりも一番強く崩壊に勝つことを望んでいたもの。だから貴方達のような新たな世代が生まれてきてくれたことを本当にうれしく感じていると思うわ。あともう少しで私達の長い物語が終わりを迎えるの。それに...」
静かにソーマとエリシアの話を聞いていたヘレナがようやくかと思ったようにエリシアの話を遮るように口を紡ぐ。
「それにはソーマ、貴方には最後のひと仕事があるって事。それを乗り越える事でようやくケビンと同じステージに立てられるようになる、そうでしょ?エリシア」
「正解♪それにしても...話を遮るなんてひどいわヘレナ。お姉ちゃんの揚げ足を取らないでちょうだい」
「誰がお姉ちゃんよ。存在しない設定を植え付けないでくれる?...それにそろそろ目的地に着くから話を遮ったの。貴方が話を始めるといつまで経っても終わらなくなるわ。ステージの上映会が過ぎてしまうわよ?」
「あら、もう着いたの?時間が経つのは早いわね。それじゃあ準備を始めましょうか♪」
「え?着いたって一体どこに...」
エリシアはそれを待ってましたと言わんばかりに電車の自動ドアの前に立ち、ポーズを決める。自身に合わせるようにと彼女はヘレナも誘い、嫌々ながらも仕方なく渋々ヘレナもエリシアに合わせる。
「ほらヘレナも合わせて!」
「ハァ...なんで私まで...」
「ほらほら早くする〜!それじゃあ...改めて...「「ようこそ、私達の楽園へ!」」
彼女達がソーマを歓迎するような合図と同時に電車の自動ドアが開き、外から見える景色が露わになる。...どうやら彼女達のいう楽園とやらに着いたようだ。
「ここは...遊園地か?」
電車駅を降りて移動した先で見たものはまさにネオンカラーに彩られたカラフルで賑やかな海に浮かぶ孤島の遊園地であった。ソーマが見渡す先には入場会場があり、近くに大きなホム人形やエリシアによく似たキャラクター達、遠くには観覧車やメリーゴーランド、しまいにはよく分からないアトラクションがいくつも展開しており、正に夢の国の世界と言った雰囲気だった。
「どう?気に入ってくれたかしら♪私達が昔住んでいた古の楽園を更に新しく改装してみたの」
「はあ...何というか...まるでおとぎ話の世界に来たような感覚...だな」
「分かっていたけど改めて久々に見ると情報量がとんでもないわね。エリシア、貴方は少し加減というものを知ったらどうかしら?いくらなんでも風呂敷を広げ過ぎよ」
「てへ☆」
「てへ、じゃないわよ全く...」
「それでその...エリシア、ここに連れてきていったいどうするつもりなんだ?ここには俺の体の本体は無さそうだが...」
「ふふ、焦らないでソーマ。まずは貴方のメンタルケアが大事よ?」
「メンタルケア?別に俺は...」
「いいえ、必要な事よ。ソーマ...貴方、今まで何度も様々な苦難と死線を乗り越えてきたでしょ?だからこそ一時的な休息は必要。貴方が思っているよりも貴方の心はかなり疲弊しているわ」
どうやら彼女達に道中の電車内での会話でソーマ自身の精神状態があまり良くない事を見抜かれていたようだ。
エリシアとヘレナに言われた事でソーマは己の心情を思い返す。今まで自分はただ目の前に迫る脅威を倒し、大事なものを守る為に戦い続けた...。ハッピーエンドもあればビターエンドな結末を迎えたりと何度も心を揺るがすほどの濃い日々を今まで体験し過ごしてきた。...そういえば、しばらく崩壊や律者との連戦続きでまともに皆んなで遊びに行くようなリフレッシュするような時間もなかったなと思い返す。
確かにヘレナのいう戦士にも休息は必要という話には理解できる。それにソーマはこれから崩壊の繭の元に置いてきた自身の生身の肉体を取り返す目的が待っている以上、確実に邪魔をしてくる敵も絶対に現れるだろう。たしかに疲れたままの心に余裕のない今の状態では勝てる戦いにも勝てない...今回の戦いは自分だけでなく仲間達や自分達の世界の今後の運命にも関わってくるのだから。
「たしかに...そうかもしれない」
「ふふ、なら決まりね♪それじゃあ、一緒に私達が作った遊園地を楽しみましょ!ほらヘレナも!」
そのままエリシアに手を引っ張られるように遊園地の入場会場へ向かい、やれやれていった感じでヘレナも遅れてエリシアとソーマの元へ着いていく。
エリシア達に連れられて遊園地で遊んでいた時間は正にあっという間であった。
楽しい時間はあっという間に過ぎていくとはこういう事なのだろうと余裕ができた心で思い返す。アトラクションで子供のようにはしゃぎ、皆で写真を撮りながら思い出を残す...もし、崩壊という脅威の無い世界だったのなら今ごろはキアナ達とこのように幸せに過ごしていたのだろうか。いや...おそらくそうなったら自分は仲間たちやキアナに出会うことすらなかったかもしれない...この世界で生きているのだからこそ彼女達に出会えたのだから...。
時間がたち、夕日に照らされる楽園の遊園地は閉館を迎えるようにどこか寂しく感じた。
「楽しい時間はあっという間ね...」
「ああ...なんだかちょっと寂しいな」
「でもこれで終わりじゃないわ。...たしかにいずれ思い出の時間は終わる。けど、また新たな一日が始まり、新たな一ページの物語が始まる...でしょ?エリシア」
「ええもちろんよ。だからこそ心を休めた英雄は自身や愛するものを取り戻す戦いに身を投じるの。新たな明日を迎える為の戦いにね」
物思いにふけた後、ソーマはエリシアとヘレナに準備ができた事を告げる。
「ありがとう、エリシア、ヘレナ。もう十分に心は休めた。...後はやるべき事をやるだけだ」
「ふふ、もう最初に会ったときの元気のない暗い顔じゃなくなったわね。よかったわ」
「なら、そろそろ案内するわ。貴方のあるべき肉体が...境界の律者の器そのものがあそこで待っている」
ヘレナの指差す先には穏やかな海の境界線のはるか先に見える終焉の繭であった。その繭はソーマが過去の夢で見たものよりも遥かに赤く光っており、ギョロついたような目玉の繭が歪に膨れ上がっているのが確認でき、明らかに様子がおかしいという事が感覚的に理解できた。
「もしかして...アレがケビンが言っていた腫瘍のように膨れ上がった崩壊の繭とかいうやつじゃ...」
「ええ、境界の律者や終焉の律者にその膨大な崩壊エネルギーを譲渡してもなお膨れ上がっている...だからこそケビンはあれを止める為に貴方の力を求めていたのでしょうね」
「なら絶対に自分の力にして見せないとね。ね?ソーマ♪」
「どっちかっていうと自分の体を取り戻しに行くだけなんだけどな...」
「それじゃあソーマ、私達に着いてきて」
準備ができたソーマはエリシア達の案内を受けて崩壊の繭の中枢であるコアの部分へ向かう。道中エリシアとヘレナが済ました顔で海を渡ろうとしていた為、てっきり孤島から直接海を泳いで移動するのかと思っていたがどうやら海面上を歩いて渡れるようだったらしくその事を話したら自分達が泳いで渡っているシーンを想像したのか面白おかしく笑われた。
「ソーマって意外と常識人に見えてけっこう天然な事を考えるのね♪」
「いや、俺の幼馴染に任務作戦で目的地に急行する為にとんでもパルクールでショートカットする奴がいてな。そのせいで乗り物を乗るよりも早く目的地着くとかいう訳の分からん状況になってしまって気がついたら俺もそれが普通だと思ってしまった」
「うーん、もしかしてソーマが紹介したキアナちゃんって子のこと?」
「そうだ。昔のアイツはなんでも脳筋で解決しようとするからな」
「それに着いてこられる貴方も大概だと思うのだけど...」
雑談を挟みながら目的地に着くとそこにはゲートの様な門が見え、扉が開くと中に続く道が現れていた。門の入り口に入ると記憶のカケラのような残骸が空間を漂っており、そこにはソーマ自身が体験した過去の追憶らしき映像が映っていた。
「これは...俺の過去の思い出?テレサに出会う前や初めて芽衣と出会ったときの映像まで...これはいったい」
「これはおそらく貴方の律者の体に刻まれた過去がホログラムのように再現されているものみたいね。この世に生まれ落ちて今現在まで歩んできた貴方の思い出の追憶がいくつもの結晶のカケラのように現れている...」
ソーマは自身の懐かしい過去の記憶の思い出を眺めながら懐かしさに浸っているとふとある事を思い出す。
もしや、過去に孤児になる前の自分を産んだ生みの親の本当の顔を知ることができるかもしれないでは?と思った。そこで自身の知らなかった出生の記憶元を辿ろうと歩みを進めようとするもなぜか一向にソーマの出生らしき起源の記憶の断片が見つからない。
「...どういう事だ?何故俺を産んだはずの生みの親の記憶がどこにも存在していない。頭の中での記憶が無かったとしても体が覚えているはずじゃ...いったい何かあったのか?」
ソーマの疑問を感じ取ったのかエリシアとヘレナは少し気まずそうにどう話そうか迷うようなそぶりを見せ始めていた。彼女達の不自然な反応に違和感を感じて尋ねてみるがすぐには答えてはくれなかった。
「...まぁ、やっぱりそう来るわよね。エリシア、どうするの?」
「うーん、どのみち知る事になるから...少しヒントを教えてあげましょうか。ねぇソーマ?貴方は昔からこんな違和感を感じたことはないかしら?貴方は当時、過去に崩壊に汚染された地で幼少期をしばらくの間過ごして彷徨っていた...けど不思議と致死量の崩壊エネルギー汚染を長時間浴び続けても死ななかったし、正常体のまま、だった...」
「あ、ああ...確かそうだ。けどそれは俺が律者だから...いや待ってくれ、過去っていったいいつ頃くらいなんだ?まさか...律者コアを移植される前の事を言ってるのか?」
「ええ正解よ♪実際には当時の貴方はまだ律者に改造される前だった。けど、あの頃の貴方は人が生きる事ができない死の領域でのエリアにて保護されたの。しかも貴方たった一人だけっていう...であってたわよね?ヘレナ」
「私に振らないでちょうだい。ハァ...そうねそれで合ってるわ。つまり何を言いたいかというとソーマ、貴方はもうその頃から普通じゃないの」
「普通じゃない...?な、なら、いったい俺は何なんだ?...もしや人型の崩壊獣だったっていうのか!?」
「ソーマ、落ち着いて。私達は貴方を責めてる訳じゃないの。...うん、そうね。流石に可哀想だから素直に教えましょうか。...ヘレナの時も似たような感じだったし」
「...あまり私の過去を掘り返さないでくれる?私だってまさか貴方と同類だなんて思わなかったんだし」
何やらヘレナとソーマ自身何かの共通する因果関係があるようでヘレナが悪態をついていた。
勿体ぶるのをやめたエリシアが結論を言おうとソーマに向かって口を開く。
「ちょっとショックを受けるかもしれないけど、正直に教えるわね。ソーマ、貴方の正体は... "生まれた時から律者コアを必要としない限りなく人類に近い人間の律者なの" 。つまり貴方は生まれた時からすでに"律者"だったの」
「生まれたときから...律者...?」
エリシア達の話によるとソーマの正体は従来の律者のようなコアを必要としない人間型の律者であり、簡単に言えば崩壊側が生み出した崩壊版の原初の人類ということになるのである。つまり、ソーマに最初から人間の親がいないのは当たり前であり、真の生みの親は崩壊の繭という事になるのだ。
しかし、そこでふと疑問を抱く。なぜ、人類の敵として立ちはだかる崩壊がわざわざ自身の手でオリジナルの新人類を生み出したのか?それでは地球に人類を作り上げた終焉の主の意思から真っ向に対立することになるはずである。
「それには明確な理由があるあるの」
「理由?それはいったい...」
ソーマの疑問に対してエリシアに変わってヘレナがその理由について答える。
「それはね...私やソーマよりも遥か大昔に存在した、「"初代の境界の律者"の願い」だからよ」
「初代境界の律者の願い...」
_これは遥か気が遠くなるほどの大昔のお話...かつて太陽系を生み出し、地
球という生物や人類という生命体が生まれてくる生命の星を生み出した神様とい
うべき存在がいました。
最初は新たな生命の源を生み出し賑やかな世界を創ろうとしていましたが、我
が子達である人類を見ていると同じ仲間同士でかなよく触れ合い、友人や仲間を
作り、愛する人と交わり、家族を作るという人類の姿を眺めていた神様は自身が
いつまで経っても孤独な存在なままだった事に気づき、段々と神様は自分と対等
に接する事の出来る触れ合える存在を欲するようになりました。
そこで、神様は自身と同じ同等の存在を生み出す為に人類達に試練を課しまし
た。困難が多く待ち構えるほど人類はその愛情を強くさせます。その愛という存在
に心惹かれた神様はより難しい試練をどんどんと与えていきます。
しかし、神様は人類という我が子達を生み出したは良いものの彼ら全てを管理
し、世話する事は難しかったのです。何しろこの太陽系以外にもたくさんの宇宙に
住まう生命の子らの種子を撒いているのだから...。
そこで神様は律者と呼ばれる神様の使いを生み出しました。彼等には神様の代
わりに人類の管理と監視、選定をお願いしていました。そんな中で神様がお気に
入りとして創り出した"境界の律者"が神様が管理している人類の管理をやらせて欲
しいとお願いを申して来たのです。
境界の律者は神様の事を尊敬しており、彼女の為に何かをしようと考えたのが
きっかけの始まりでした。
我が子のように特別に大事にしていた子が自身の為に何かをしようとしてくれ
ている事に感銘し、神様は特別に境界の律者に人類の管理を任せる事にしまし
た。
その後は長い間、境界の律者に人類の管理を任せましたが、神様に会う度に律
者はよく人類の事や彼らの様子をよく語っていました。それは日に日に増えてい
き、気が付けば律者は神様よりも人間達の方に構う時間が増えていきました。
しかし、神様からしたらあくまでも観察対象でしかない人間に執心し、自身の
ことを後回しにしている律者に不満を抱きました。
そこで神様は律者に人類の管理は私が行うから貴方は私の周りの手伝いをして
ほしいと伝えるが、律者はそれを嫌がります。神様の事も手伝うからそれだけはや
めて欲しいと言って来ました。仕方なく神様はそのようにしましたが、やはり我
が子がいつまでも人間に執心的なのがだんだんと気に入らなくなっていき、そろ
そろ予定していた人類への試練を与えようとしますが律者はそれを必死に止めよ
うとします。
話を聞くと律者は人間たちのことが大好きになっており、死なせたくないとい
う気持ちで溢れていました。
それを聞いた神様は何かが吹っ切れた様に怒りをあらわにしました。親である
自分よりも人類の方を大事にするとは何事かと怒りながら律者を自身の懐である
虚数の世界に閉じ込めてしまいます。
しかし、律者は強引に虚数空間から脱出し、神様の行動を阻止しようとします。
しかし律者は生みの親である神様には勝てません。呆気なく倒されてしまいます
が律者の事を悲しんだ神様は貴方の力を半分剥奪する代わりに人類に接する事を
許しました。
神様の目的を果たす為にも人類への試練は止める訳にはいがなかったのです。
そこで律者はひとつのお願いをしました。それは自身を人類として生み落として
ほしいという願いでした。それは律者が大好きな人間たちを進化させるだけで無
く生き残らせる為の律者なりの人類に対する愛情表情でした。
対等な存在を生み出す為に人類に試練を課す神様、大好きな人類を守りたい律
者という相反する意識に神様は酷く悲しみました。しかし神様は気が付けば我が
子のように大事にしていた律者の事をただの人類の一人にはしたくなかったので
律者には黙って普通の人間に見立てた根本的には異なる律者コアを必要としない
律者型の人類として生み落としました。
こうして神様に反逆した境界の律者は力を半分に剥奪された事で"聖黒の律者"と
なり、その代わりに人間として生み落としてもらうという願いを叶えてもらい、
人間として生まれ変わった聖黒の律者は生涯死ぬまで人間達と共に生きていき、
最後には死んだ肉体の魂は神様の元へ帰るという契約を交わしました。
境界の律者ならぬ聖黒の律者は人として一生を迎える代わりに新しく転生して
人類の文明進化に合わせてその都度生まれ落ちてくるようになったのです_
「...俺たちは違っていて、実は同じ存在の生まれ変わりだった...っていう事か...」
「ええ...そういう意味では私は貴方の前世であり、貴方は私の生まれ変わった存在とも言えるわ」
ヘレナから話された初代境界の律者の昔話を聞き届けたソーマは自分達のご先祖様である初代の律者の考えや感情を思い浮かべる。おそらく本人は初めて人類と接した時に強烈なカルチャーショックを受けたのかもしれない。
生みの建造主とは違ってまだ何も知らない純白な赤子のような存在であった初代境界の律者はその不思議な存在に魅了されていったのだろう。無論、ソーマのように悪意や裏切りなどにも経験したこともあるはず。...しかしそれでも律者は人間のもつ愛情や可能性に惹かれ、人の二面性にも惹かれていた。
「ふふ、まさか私よりも昔からに人を愛している律者さんがいたなんてね。てっきり私とヘレナが初めて人類の為に戦った律者だと思っていたわ。ヘレナってばなぜそんなことを教えてくれなかったの?私、ちょっと傷付いたわ」
「仕方ないじゃない、事の真相は初代にしか分からないわ。それにこの話の真実を知ったのはつい最近の事...おそらく初代は私達やソーマが来る事を予期していたという事だと思うわ。つまりこの先を進めば...」
「初代の律者がそこで待っている、という事か...やっぱり戦わないといけない感じ、なるのかな?」
「...大丈夫よ。だってここにはかつて人を愛して、世界を愛して戦った...」
「「私達がいるじゃない?」♪」
「...ありがとう。今回初めて会ったも同然な俺たちだけどアンタ達のような人達に出会えてよかった」
「どういたしまして♪あ、ちなみに言ってなかったけど私はヘレナと違って"人の律者"を名乗っているわ。起源の律者ともいわれてるけど、もうすでに一番最初の律者さんがいるから...うーん、私が起源の律者を名乗るのは順番的におかしくなるかしら?」
「別にいいんじゃない?初めて未来の律者に人間性を持たせたキッカケを生んだのは貴方だし、そういう意味ではエリシアが起源の律者を名乗るのは可笑しくないと思うわよ?」
「そうかしら?ふふ、ありがとうヘレナ。私の事を思ってくれるヘレナはとっても可愛いわ。ハグしてい「謹んで遠慮させていただくわ」あーんいけず!」
何やら百合百合しい光景が始まりそうでどうするんだコレとソーマが気まずそうになるがヘレナがキッパリと断ち切ったので身内のキアナと芽衣の百合シーンみたいな光景を見ずに済みそうで安心するのだった。
女性比率の多い学園で過ごしている為、よく見る事のある光景であるがやっぱり気まずいものは気まずいのである。
記憶のカケラの空間を過ぎた後、しばらく三人で移動しづつけていくと何やら見覚えのあるような、あるいはないようなよく分からない場所らしき空間に着く。
「コレは...いったい」
「見るからに遺跡跡地らしい場所かしら?それにしては非現実的な場所ね」
「うーん、もしかしてソーマが過去に見てきた風景じゃないかしら?」
見渡す先にはいくつもの壊れた遺跡と聖遺物らしき武器の残骸や十字架らしきものが散らばっており、その地面は赤い血のような砂が一面に広がっていた。
「こんな所、見た事は...いや、これはもしや...聖痕空間?」
【正解だ。正確には"カスラナの聖痕空間"になるんだけどね?】
「...⁉️ア、アンタは!」
この場にいるソーマ以外にはいないはずの男性の声に気づくと三人の前に現れたのはこの場にいるソーマにしか知らないはずの...既に目的を果たして散っていったはずの人物がその場に現れた。
【久しぶりだね、ソーマ。元気にしてたかい?】
もうこの世にはいないカロスタンの地で別れを告げたはずの自身の育て親である男、オットー・アポカリプスの存在がそこにいた。
・"初代"境界の律者
ソーマやヘレナが誕生してくるよりも遥か昔に生まれてきた原初の律者(正確には律者のプロトタイプ)であり、ご先祖様に当たる存在。
旧約聖書でいうところのアダムのような存在に近いが厳密には人類の祖には当たらず、どちらかと言うと神様に使える天使長のような立ち位置。建造主が生み出した人間に恋してしまった為に建造主に追放(半分は自身の意思で)され、力を半分失い、聖黒と聖白というふたつの力の分散のキッカケを作った。
原初の律者ではあるがエリシアの起源の律者とは違って律者そのものに何かしら明確な変化を与えたわけでは無いので、あくまでも境界の律者は人を愛した律者であり、この世界線(本小説)のエリシアは人を愛したのは勿論、それとは別に律者そのものに人間性を宿した律者、あるいは与えた律者という意味で起源(真我・人)の律者という扱いになる。