飛ぶ理由を探した者   作:Jr.404

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 大分間が空いてきたので久々に投稿します。第二部編の話はあまりよく把握してないので代わりに番外編や別ストーリーを書いてみようか考えている最中です。


三十二話「私達の世界を彩る存在」

「...なぁ、いつまでこの状態?」

 

「私が満足するまでダメ」

 

「ハァ、まぁ...随分心配させちゃったから、当然か」

 

 やや不貞腐れたような反応をしながらハグする様に胸元に顔を埋め、温もりと匂いを堪能するように静かに幸せそうに寝息を立てるキアナの様子を眺め、ため息を吐く。

 ふかふかのソファーで互いに横になるようにくつろぎながら密着しながら寝息を立てるキアナのおでこに垂れ下がる前髪を優しく掻き上げながら彼女の頭を撫でる。

 

「ホントに...お疲れさま、キアナ。俺を迎えに行くために、ホントに、よく頑張ってくれた...」

 

「ソー...マ...ずっと...いっしょ、だから...大好き...ソーマ、ZZZ...」

 

「ハハ、夢の中でも熱烈なラブコールだなぁ。ああ...俺も、大好きだよ...キアナ」

 

 愛おしそうに眺めながらキアナを見つめているソーマは、自身の今までの思い出を改めて思い返す。

 

「ホントに帰って来てからずっと...騒がしい日々の連続だったな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー帰還当時ー

 

「ゾーマァァァァッッッ〜〜‼️」

 

「グヘェッ⁈...テ、テレサ、ま...待って。もう力を出し尽くしてフラフラだから...勘弁して...!」

 

「死ぬほど心配したに決まってんでしょッッ〜‼️こんのバカ息子ぉぉッッ‼️」

 

 号泣しまくりな顔でソーマの現保護者であるテレサがチョークスリーパーの勢いの如くキアナ達によって保護されて帰還してきたソーマを全力で抱きしめてきた事でソーマ本人が強烈な締め付けハグを喰らい、物理的に死にかけてしまう。

 

「ちょちょッ、落ち着けってテレサ!ソーマが死にかけてるぞ⁈」

 

「テレサさん落ち着いて‼︎」

 

 近くで出迎えとして同じく集まってきたジークフリートとビアンカ達が急いで止めにかかり、何とかソーマは窮地を取り留める。

 ソーマがキアナ達の宇宙船によって発見され、遂に地球に帰還できたという朗報を聞いた当初は天命やネゲントロピーなどの各陣営の関係者がお祭り騒ぎかの如き勢いで現地では大混乱が起きていた。

 大騒ぎになるのも無理もない。何せ長い年月もの間、行方が分からなくなっていた最後の"未帰還の英雄"がやっと見つかり、地球へ連れて帰ってくることが出来たのだから。

 これで当時起こった聖痕計画による唯一の犠牲者という不謹慎なレッテルが外れ、悲劇の英雄が歴史に刻まれることなくハッピーエンドな終わりを迎える事が出来たのだ。

 

 当然この騒動で真っ先に歓喜し、すぐに迎えに向かったのはテレサやビアンカ、ジークフリート等の身内の家族達であった。

 この知らせを聞き、学園で教官として勤務していた芽衣は電撃を受けたように即、一時的に休職して現地に向かいだし、当初、ゲーム会社に勤めていたブローニャはヴェルトから緊急連絡を受けて確認した話を聞き、即座に二人揃って現場を抜け出していたほどである。

 気がつけば当時の反聖痕作戦時に集まっていた各陣営の面子たちが集まっており、帰還するソーマを保護したハイペリオン号の帰還を今か今かと待ち望んでいた状況だったらしく、想像以上に仲間達にかなり心配をかけてしまっていたのだと当時のソーマは彼らに対する申し訳無さと同時に皆に大事にされているという嬉しさで支配されていた。

 

 ソーマが帰還してからの地球では崩壊による最大の脅威の根源が取り除かれたことで僅かに生き残った崩壊獣などが散発的に活動しているくらいであり、人々は自分達の故郷の復興活動に集中することが出来るようになり、今まで崩壊による脅威が当たり前だったピリピリ感が嘘のように無くなっていた。

 

 帰還後のソーマは色んな仲間達に顔を合わせる為にしばらくの間、療養生活を送った後、ブローニャと芽衣に会う事にした。

 芽衣に関しては過去に空の律者との戦いで負傷した時に本気で泣かれた時があったので、なんとか耐えれたがまさかのブローニャまで本気で泣ていたのは想定外だった為、精神的ダメージと罪悪感がかなりキツかったと言っても良いだろう。

 自分達の世界を守る為とはいえ、流石に彼女達にここまで悲しませるような顔はさせたく無かったと後悔する。

 しかし、同時に本当に生きて帰って来てくれてよかったと心から喜ぶふたりの表情を見て、ああやはり彼女達が生きるこの世界を守り通す事が出来た事については本当に良かったと心から喜んだ。

 

 ただし、感動の再会とは別にブローニャと芽衣からのあなたを守る為に絶対に逃がさないからという病んだ目からの告白宣言には怖過ぎて素直に喜べなかった。というより、最初に助けに来たキアナからもコレでもかと重めの告白宣言をくらっていたので実質的に三人から告白されたようなものである。

 

 幼馴染であるキアナからは、宇宙の果てでも永遠に一緒であるという愛を囁かれ、2人目の馴染みである芽衣からは、この世界が滅んでも生まれ変わっても永遠にあなたを愛してると囁かれ、大事な妹分であるブローニャからは、ただの兄ではなく、大好きな異性の人として深くどこまでも愛してると囁かれた。

 

 当初、ソーマはいきなりの彼女達からの告白にどんな反応を返したらいいか多いに混乱し、まだ回復し切ってない体力だった為に真剣に考え込んでしまって数日間寝込んでしまう程に体を壊してしまう。

 これに関しては流石に不味かったらしく、保護者であるテレサからはタイミングを考えろ!と三人とも本気でお説教され流石に彼女達も申し訳なさそうにしていた。

 

「...前々から何となく予想付いていたけど、遂に彼女達から告白されてしまうなんてな」

 

 あの時を思えば崩壊という災厄を相手に死と隣り合わせの戦いを続けていた自分達がお互いに大切にしている仲間であり戦友でもある彼女達と長く過ごしていく内にそのような関係や感情を抱くようになるのも無理はないだろう。

 ましてや四人の中で唯一の数少ない男性の崩壊戦士だという事もあり、そう時間はかからなかった。

 ただ当時のソーマは自身の素性の知れなさと皆に置いていかれてた境遇から必死に這い上がって追いつくことに頭がいっぱいだった為に彼女達の感情変化に勘付いても構っていられる余裕がなかったのが現状であり、長い戦いが終わりを迎えてからは、彼女達に無事保護されて地球に帰還出来た事で彼女達との関係に目を向ける方向へと余裕が持てるようになった。

 世間的に考えれば複数告白して来た女の子達からひとりを選ぶ事になってしまうのが普通かも知れないが、そんな勇気もなく、自分の命以上に大切な彼女達を切り捨てるなんて事は出来なかった為、テレサやジークフリートからの案でもういっそ全員付き合ってしまえという結論に至った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー聖フレイヤ学園にてー

 

「フフ、ソーマ君。もう身体の調子は大丈夫かしら」

 

「芽衣、ああ大丈夫だよ。いつもの調子に戻って来たさ」

 

「良かった。...こうやってふたりで肩を並べて会話するのも本当に久々ね」

 

「確かにな。そんなに昔って程じゃないのにまるで懐かしき思い出を思い返してる見たいな感じってとこだな」

 

「キアナちゃんが、私達を見つけたら私とソーマ君の膝を独り占めする為に川の字に寝転びそうね?」

 

「いやぁ流石にアイツもそこまで...いやありえるな、うん」

 

 ベンチに腰掛けてるふたりは久々に眺める聖フレイヤ学園の広場の様子を眺めていた。広場での訓練場では新しい世代の戦乙女や崩壊戦士の卵達が必死に戦闘訓練を行いながら切磋琢磨していた。

 その様子を眺めていたソーマに対して芽衣は甘えるようにソーマの肩に頭を乗せて体を密着させてきた。当然訓練中の生徒達がいる場所の近くでやっていた為、何人かの子に目撃され、チラホラと黄色い歓声が聞こえてくる。

 

「ちょっと...芽衣流石に人がいる前でやるのは...」

 

「大丈夫よ。みーんな私達の関係なんて噂でとっくに把握されてるから♪」

 

「いつの間に...それにしても芽衣も随分と大胆になってきたというか...」

 

「私もいつまでも奥手でいるわけにはいかないし、もう昔の頃の私ではないわ。それに、ほかの子達に見られても私は気にしないわよ?」

 

「ブローニャは気にしますが?」

 

「うおゎッ!って、ブローニャ?」

 

 芽衣の呟きに反応するように返答してきたのは地球を去った時とは随分と外見が変わり、大人びてきた色んな意味で大きくなったブローニャ本人がふたりの背後からヌッと乗り出すように現れた。

 

「芽衣姉様、昔から尊敬していましたが...まさかこんな抜け駆けをして来るとは...残念です」

 

「あらあら、ブローニャちゃんもいうようになったじゃない♪」

 

「兄さんが押しに弱いってことを知り尽くして擬似的に夫婦プレイを仕掛けてる癖に?」

 

「あら、そんなブローニャちゃんは仕事終わりに毎回ソーマ君に甘やかし赤ちゃんプレイをさせてもらってるのね?」

 

「...」

 

「...」

 

 何やら剣呑な雰囲気を互いに見せながら揃いも揃ってとんでもねぇ爆弾発言をかましてきたかと思ったら、ただ単におふざけで戯れ合っているだけのようであり、何事もなかったことにホッと息を吐く。

 

「なんだか私達、お互いにプライベートも全部筒抜け状態だから恥ずかしさよりも、お互いの性癖の正直さ清々しさを感じるわね」

 

「今更兄さんに遠慮する必要もないですからね。多分、キアナよりはマシだと思います」

 

 そう言いながらブローニャは息をするようにソーマの肩に手を回し、背中から抱きついて自身の豊満な胸を押し付けて来る。明らかにわざとやっているのが丸分かりであったが、ブローニャ本人はドヤ顔で座っているソーマの頭上にコテンと顎を乗せる。

 完全に芽衣対する私のものだ宣言アピールを見せていた。芽衣も分かっていたかのように更にソーマの肩や腕に密着させ、同じく豊満な胸を押し付けてくる。

 もはや彼女達に密着されてるソーマ本人は異性の美女ふたりに過剰に触れられている事への男としての嬉しさと幸福感に思い浸るが、周りに見られているという状況での社会的な恥ずかしさと悶絶で精神的にも物理的にも板挟みなため、もはや感情がそれどころではなかったが...。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー神州、太虚山にてー

 

 久々に識の招待状を受けてフカ師匠達に会う為に神州の地にある太虚山に訪れるとそこには歓迎会を準備した様に待ち構えていたフカ師匠や識達に大量の精衛鳥であるピィちゃん達が待機していた。

 

「ソーマ‼︎やっと私に会いにきてくれましたね‼︎全く私がどれだけ心配してたと思ってるの?朴念仁なんてずっと乙女みたいに身だしなみばっかり気にしてだんだよ?」

 

「識の律者、貴方そう言いながら今日来るか来ないか占う為に大量の高原の花を紡いで花弁を引きちぎりまくったのを知ってるのですよ?後でちゃんとチリ山を掃除しておきなさい、いいですね?」

 

「ちぇ、ハイハイわかりましたわかりましたよ。それじゃあ行って来るからソーマ逃げないでね?」

 

「別に逃げたりしないって」

 

 識の相変わらずなマイペースさに苦笑いしながらソーマはフカに向き直る。

 

「フカ師匠...いや、フカ委員長久しぶり。...それとただいま」

 

「おかえりなさい、ソーマ。よく無事に帰って来てくれました。...今回の私はどうやらまた一人だけにならずに済みそうですね」

 

「そりゃあそうさ何せ、キアナや芽衣、ブローニャにみんな、そして...委員長の弟子である俺もいるんだから!」

 

「ふふ、やっぱり貴方達と出会えて本当に良かった」

 

 フカとの再会に喜んでいると、屋敷の奥から識の声とは違う別人の声が聞こえ、ものを抱えてやって来る人物の姿が現れた。

 

「お祖師様、もう食卓の準備が終わりそうなので呼びに来ましたよって...あ、ソーマ!久しぶりだね!聞いたよやっと地球に帰ってこれたって」

 

「素翔さん、ただいま。本当に久しぶり、あの時の戦い以来だな」

 

「いやぁまさかこうしてかつての戦友仲間達がちゃんと集まって来れるなんて。私の時代じゃ珍しいかもね?」

 

「そっか、そういえば素翔さんって本来は昔の時代の人だったから結構状況が異なるんだっけ?そういえば今の時代の生活には慣れたか?」

 

「うん、大丈夫だよ。みんな優しくしてくれるし、私の事を目覚めた当時からずっと支えてくれてる優しい子がいたからね」

 

「優しい子?そんな子がいたのか」

 

「多分ソーマもよく知ってる子だと思うよ?あ、ほら来た来た」

 

 視線を向けると屋敷内の調理場らしき場所から疲れ切った顔で出て来たソーマの職場でよく知っている後輩の姿があった。

 

「って、素翔さんの恩人の人ってスーサナの事だったのか!以外だ...」

 

「はあ、つ、疲れた...ってあ、ソーマさん久しぶりです!素翔さんの手伝いで昔の仲間達と食事会を開くって聞いたから参加してみたらまさかソーマさんの事だったんですね!納得です!」

 

 彼女はスーサナ。ソーマと同じ天命支部に所属する戦乙女であり、ソーマの部下に当たる子である。同期のアルヴィトルとは頭はいいのにやり方はアホであると言うアホコンビ扱いされている不憫な子であるが、実際に総合成績でキアナとほぼ同じという有様だった為に事実を証明してしまう。

 なお、今では不朽なる刃という厨二病くさい名の小隊に所属しており、テレサの雑用係として振り回されてるのだとか。

 

「あ〜めんどくさかった!ほら終わらせましたよ朴念仁!」

 

 ようやく後始末の掃除を終わらせて来たのか識が戻ってくるのを確認し、フカはソーマを手招きする。

 

「それでは皆んな揃った事ですし、ソーマの帰還の歓迎を兼ねて皆で食事会を開きましょうか」

 

「私達が自ら料理を手掛けてるから味は保証するよ!」

 

「それは楽しみだな!神州の料理自体あまり食べたことないからな」

 

「食べ終わったら後で全力で遊び倒しますよ!ソーマ!」

 

「ハイハイ。...相変わらずむっちゃ元気だな、識の奴」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーネゲントロピーにてー

 

「ソーマどうだ?この素晴らしきアラハトのフォルムを!お前にも是非堪能してもらいたいんだ」

 

「ハハ、相変わらずヴェルト先生はホントに巨大ロボや特撮物が大好きだな。まあ、分かるけど」

 

 ネゲントロピーの仲間達に会いに行って来たソーマはブローニャとヴェルトが共同経営しているゲーム会社内でヴェルトによる巨大メカロボットであるアラハトの熱いオタク語りに巻き込まれていた。

 やはり男はどれだけ歳を重ねても少年心と浪漫を忘れる事は出来ないのである。

 

「ハァ、相変わらずアンタという奴は...」

 

「仕方ない、ヴェルトはああなり出すと止まる事なはいよ」

 

 ヴェルトの行動に呆れて苦笑いしているテスラ博士とアインシュタイン博士が彼らを眺めていたが、以外とそこまで不快感を感じてはいなさそうであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ー孤児院にてー

 

「さぁ、ソーマ!勝負よ!もしアタシに勝って見せたらウォッカガールの一員にくわえてあげるわ!」

 

「えー、やだよ。なんで勝ったらアイドルチームに入らなきゃいけないだか...」

 

「お兄さん、バカロザリアが勢いで言ってるだけだから、特に深く考えてないと思うよ?」

 

「何よ。ソーマだってアタシ達待機同じ角と尻尾があるんだからいけるでしょ?」

 

「いや、性別を考えろよ?」

 

 同じドラゴンっぽい見た目仲間として仲間に加えようと勧誘して対戦ゲーム勝負に持ち込んでくるロザリアに巻き込まれながら対戦ゲームに参加し、超絶猛突進なロザリアに呆れるリリアといういつもの光景が流れていた。

 その後、他の勝負ゲームとして尻尾で綱引き勝負とかいう変な遊びを始めたせいで、ロザリアと律者形態に変身したソーマの尻尾同士を雑に結んでしまったせいで外れなくなるというアクシデントが起き、慌ててリリアが解こうとしたせいで余計に悪化した。

 なお、久々に孤児院に休日で帰って来たゼーレとブローニャ達に助けられるまでお互いに三日間も絡まったまま生活する羽目になったのはここだけの話である。

 因みに常にうろちょろするロザリアのせいでしょっちゅうソーマが階段やドアに引っかかり、ぶつかったりするたびに身体のあちこちを痛めた。

 おまけに一度変身するとしばらくの長い間、元の姿に戻れない為、二度とこんな遊びするものかとソーマは心に誓った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ソーマ、どう?私達の世界。相変わらず皆んな騒がしく楽しそうにしているでしょ?」

 

「ああ...ほんとに、毎日が騒がしくて退屈しないな...。ちゃんと俺たちが守り切ったんだよな、みんなが生きているこの星をさ...」

 

 私とソーマが見渡している先には美しく蒼く光って見える自分達の生まれ故郷である地球そのものの景色が視界に映っていた。

 母なる大地の星に生まれ、様々な苦難と災難ばかりの人生を迎えていたけど同時に新たな出会い...芽衣先輩やブローニャ...そしてソーマ。楽しい日々もたくさんあったけど長くは続かなかった。私の大切な恩師、姫子との別れ...そして危機に晒される仲間達や大切な人を取り戻し、己の信じる正義と生き方を探し求め続けるために戦い続けた。

 今私の目の前に見える平和な地球の姿は正に自身が生き延び戦い続けた選択の結果なのだろう。

 

「ふふ、もしかすると私達の愛が世界を救って見せたのかも?なーんてね♪」

 

「あながち間違ってないかもな」

 

 わざとらしくソーマの前でおちゃらけて見せる。

 実際、私達の地球では何十億人もの人々が生きていて、日々その生活で笑ったり悲しんだりと喜んだりと色々な変化を体験している。

 けど、それでいい。楽しいことがあったり何か辛い事があったりしても次の日迎えれる明日があれば人はまだ新たな一歩を踏み出して生きていくのだから。

 ...そう、私達が諦めずにソーマの事を探し続けた時のように...。

 現在の私は残った崩壊の力をみんなの脅威に晒さない為に月に残っている。みんなが勝ち取った平和な日常を守り続けるために終焉の律者になった私はただ静かに見守る。少し寂しいけど、今の私はそれだけで充分だ。

 

 

 

 だって...私の隣には世界一大好きで素敵な"ソーマ(愛する人)"がいっしょにいてくれるのだから♪

 

 

 

「ね、ソーマ!地球を背景に一曲、ダンスをどう?」

 

「え?ダンス?...うーん...昔、リタにレッスンを散々やらされたけど...あまりセンスはないぞ?」

 

「いいの!私、ソーマと一緒に踊ってみたいの。...ねぇ、ダメ...?」

 

「ハァ...そんな顔で懇願されて断わろうものならジェントルマンとして名折れだな」

 

 彼は私の誘いに応じて声を整え、姿勢を正し、無駄のない綺麗な姿勢を正す。相変わらず彼の立ち振る舞いは綺麗なほど様になっている。境界の律者姿の衣装を身に纏うソーマの姿はまるでこの月の神様みたいだ。まぁ実際、神様そのものみたいなものだから間違ってないのだけど。

 

「ンンッ...では、見た目麗しいお姫様、是非私と踊って頂けませんか?」

 

「ッッ!...フフ♪もちろん、喜んで♡」

 

 ソーマからの優雅で誘惑的なセリフとお誘いに思わず気が昂ってしまう。...ああ、駄目だ...早くソーマを私の色に染め上げてしまいたい。

 芽衣先輩やブローニャと一緒に仲良くソーマを共有することになっているけど...もしかすると私は自分で思ったよりとっても独占欲が強くて愛に貪欲なのかもしれない。

 

 けど、今だけは私だけの"ソーマ(愛する人)"だから♪

 

 

 

 

 地球から遠く離れた白い月で見た目麗しきふたり組の若い男女が優雅に踊り舞う姿が続いていた。

 

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