飛ぶ理由を探した者   作:Jr.404

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 大分間が空いたので久々に投稿します。最近、世間からおもしれー女扱いされているヴィタという子にハマって来たので主人公とヴィタを関わらせる為にストーリーを作っています。


セント・ソルトスノー編
異星からの来訪者


「うんうん、君が噂の"境界の律者"さんだよね?初めましてかな、僕は"ヴィタ"。君とは過去にあった事があるんだ♪まぁ一方的にだけどね?」

 

 目の前にいるふわふわと漂うように身体を浮かばせながら佇む胡散臭い女性、自身を"ヴィタ"と名乗る人物は対面しているソーマの事を興味深そうに好奇心を抱きながら自己紹介をする。

 

「(ヴィタ...?同じ名前が複数人...)どこで俺のことを知ったんだアンタ」

 

「あ〜もう、そんなに警戒しないでってば〜。たしかに僕は怪しい奴に見えるかも知れないけど、一応君の命の恩人でもあるんだよ?」

 

「命の恩人...?何を訳の分からないことを...」

 

 任務で訪れた先で怪しげな見知らぬ怪しい人物に遭遇し、その現地人から自分のことを一方的に知っているというある意味ホラーな発言をかましてくる相手にソーマは敵になる可能性を示唆するが、彼女は自身がソーマの命の恩人であると口にしたことで余計にこの人物が何をしたいのか分からず困惑が広がっていくが彼女から告げられた回答によって思わず固まってしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だって、太陽系外の外側の次元で漂っている君を助けて"太陽系の近くまで連れ戻したのはこの僕なんだよ?"」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「...は?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァ?ゼーレ達が戻れなくなった⁈」

 

【いったん落ち着いてソーマ。ひとまず起こったことを手短に話すわ】

 

 仕事中に通信機から届いた養母であるテレサから任務中のゼーレ達に問題ごとが発生したことが伝えられてきた。

 テレサの話によるとどうやらゼーレ達は、かつて量子の海に沈んでしまった天命の旧拠点を調査し、そこに設置されていたビーコン(信号発信器のようなもの)を回収・稼働させる主任務を請け負っていた。いわゆる失われた天命や前文明の遺産を回収し、今後の地球に必要となる科学技術や貴重な情報などの成果物を得る為の任務でもある。

 

 しかし、思わぬアクシデントでゼーレ達は量子の海を渡っている最中に正体不明な磁気やエネルギーの乱れによってどこかの異次元世界に不時着したようで連絡も取れない状態に陥っているのだというらしい。

 

【本当は大変な思いをして戦ってくれた貴方にこんな事をやらせたくはなかったけど、ゼーレ達を助ける為にソーマの力を頼るしか...。ごめんなさい、貴方には量子の海に向かって欲しいの】

 

「そういう事だったのか...」

 

 実際量子の海というのはいわゆる多次元的な世界を渡り歩く為の手段を持つ事が可能な多次元空間であり、虚数空間と違って膨大な世界の泡という海の渦潮で合築されており、そんな海の中からからゼーレ達の迷い込んだ泡を探し当てるなんて海底に漂う原始生命体を探し出すほどの至難の業である。

 しかし、目の前にいるソーマはそれらの困難を解決できる力、又は権能をもつ最強の律者なのである。彼の持つ境界の権能はある意味ゼーレ達がいる世界の泡とそうで無いものの選定や分別を行える使い方が出来る為、探し物を探し当てるのに正にピッタリな力なのである。

 

「...分かった。大事な妹分のゼーレと仲間達だ、絶対に探してみせる」

 

【ありがとうソーマ、本当に貴方が私の子で良かったわ。念の為、万が一のことに備えて帰る為のアンカーポイント代わりになるものを用意しないといけないわね】

 

「それなら俺の"対極の陰月"をアンカーポイント代わりに設置すればいい。対極の陰月と対極の陽月はある意味、磁石のような惹かれ合う存在だからその性質を利用すれば千界一乗みたいな役割が果たせるはずさ」

 

【へぇ、そんな使い道があったのね。でも片方のみで大丈夫なの?】

 

「大丈夫だよ。元々、対極の陰月は世界そのものを掌握するレベルのヤバい権能持ちの代物なんだから元々過剰なんだよ。対極の陽月だけでも充分過ぎるくらいだからな」

 

【なら貴方の持ち物は大切に利用させてもらうわ】

 

「ああ、そうしてくれ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 テレサに手配をお願いした後、量子の海がある場所であるネゲントロピーの海底研究施設に向かい、準備が完了次第すぐにゲートの入り口に飛び込む事になる。

 側には量子の海のゲートを開いたアインシュタイン博士とソーマの対極の陰月をアンカーポイント代わり設置しているテスラ博士達研究員の姿があった。

 

「すまないねソーマ。いきなりの任務だけど絶対に彼女達を連れて帰って来て欲しい」

 

「アンタも絶対無事に帰って来るのよ、ソーマ」

 

「分かってる。博士達も首を長くして待ってるといいさ。...それじゃあ早速、行って来ます」

 

 

 

 

 

 海底のような次元のゲートに飛び込みながら空間を泳ぐように量子空間に降り立つ。そこには無数に漂うブロック状の浮遊物の島と遥か先に見える桜のような桃色の花弁をつけた巨大な大樹が見えていた。

 

「今更だけどゼーレ達、こんな空間の中を漂っていたのか。こんな所で足を踏み外したら一巻の終わりじゃん」

 

 自身が自力で飛行できる事に生みの親に一応感謝しながら漂っている浮遊物を避けながら突き進んでいると、付近の残骸に人影らしき人物を発見する。

 もしやゼーレ達かとすぐに見つかった事に安堵するが、残念ながら彼女達では無かったようだ。

 

「アレは...まさか"灰蛇"とかっていう奴か...?」

 

 人影の正体はまさかのかつて過去に天穹市にて遭遇したことのあるヨルムンガントの一員であった。あまり彼の事に関わったことが無いのであまり詳しいことは知らないが本人はどうやらアンドロイドの類であるらしく、複数体存在していると過去にヨルムンガントに所属した事のある芽衣から話を聞いた事がある。

 世界の脅威を観測する為の役割などを担っているという事らしいがまさかこんな人が決して立ち入れないような辺境な場所にまで居るとは...。

 

「助けたほうがいいのかコレ?」

 

 残骸に倒れ伏した様に佇んでいる灰蛇に手を伸ばそうとするが、何故か触る事ができず空ぶってしまう。違和感を感じてもう一度彼をよく観察するとまるでデータバグのように姿が荒れ出し、灰蛇の姿がチカチカと消えかかっていた。

 

「まさかホログラムアバター?...いや、よく見ると何体もいる...コレは灰蛇の行動の軌跡か?」

 

 灰蛇の行動跡の軌跡を辿ると明らかに何者かの攻撃を受けたかの様な様子や言動の光景が映像の軌跡のように現れていた。どうやら灰蛇は任務中に何者かの襲撃を受け負傷した様子であり、彼のいる場所がその襲撃者が現れた出所を痕跡として残していた。

 

「...もしかするとゼーレ達もその襲撃者に襲われたかもしれない。警戒しないとな...」

 

 戦闘体制を取りながら空間内を飛行し続けると、明らかに量子の海の中に偶然開いたかの様なゲートらしき入り口の空間が見えて来た。おそらくコレがいわゆる量子の泡と呼ばれる異世界への入り口なのだろうと想像がつく。

 ただ明らかに誘導されてるようで罠の可能性も考えられたが今目の前にある重要な手掛かりが存在している以上、ゼーレ達もこのゲートに入り込んだ可能性もあるので覚悟を決めて突入することにする。

 

「何事も起きないでくれよ...」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ッ...!なんだか寒いな。着いた、のか?」

 

 眩しい入り口のゲートの光から解放され、視界が見えるようになってくると着いた先の目的地らしき景色が見えてきた。

 ソーマの視界の先に映っている光景は正に一面雪景色に包まれた空間の空であった。昼間の時間帯なのだろう、明るくも弱々しい暖かな日差しが照らしており、下に視界を向けると雪が所々に積もっている美しくも、やや古風な近代都市の都がある孤島が見えていた。

 

「げっ、真下が海じゃん。もう少しマシな場所にワープして欲しかったな、ったく...」

 

 人が住んでいるであろうと思われる孤島の都を目指して飛行を続け、目的地の都市の街中まで近づいていく。

 

「なんだか昔いた頃のシベリアの景色になんとなく似ているな...懐かしい」

 

 雪国の街景色を眺めながら過去の思い出を懐かしみながら探索を続けていくが、いくら探し続けてもゼーレ達はおろか、住民らしき人物の人影が何一つ見当たらない。

 まるで神隠しにでもあったかの様な静けさに困惑しながらも突き進んでいくと何やら複数人の人影の気配を感じ取る。

 ようやく生きている人間に遭遇できたかと安堵し、見逃さないように人の気配を辿りながら気配に近づいていく。人が見つかって喜んではいるものの、場合によっては敵対的な現地人や生命体である可能性も決してゼロでは無いのだ。

 

「頼む、友好的な人間であってくれ...。ッ...!いたッ!」

 

 ソーマが上空から見渡す先に見覚えのあるショートカットボブヘアーの白いバトルドレス姿をしたゼーレの姿と、ヒラヒラしたフリル付きの踊り子衣装姿をしている仕事の同僚であるスーサナの二人組を発見することに成功する。

 上空を飛んでいるソーマの姿に気付いたのか、驚きながらも二人組は必死に手を振りながらここにいるとSOS信号を送り出しているのが確認でき、そのまま彼女達がいる場所まで急降下しながら着地する。

 

「うわぁーん!ソーマ先輩助かりましたぁ〜!もう二度と帰れないかと思いましたよ!」

 

「ハイハイ、落ち着けって。それにしても量子の海で二人ともよくはぐれなかったな?」

 

「助けに来てくれてありがとうソーマお兄ちゃん!まさかソーマお兄ちゃんが助けに来てくれるなんて。大変じゃなかった?」

 

「一応、帰り道を確保する為に俺の武器の片方をアンカーポイント代わりにしているからそこまで苦労してないよ」

 

「ならこれで無事に帰れますね!バッチリな采配、流石ソーマ先輩です!」

 

 ゼーレとスーサナとの無事の再会に喜ぶが、それとは別に発見したときからゼーレ達の側にいた見知らぬ現地人?らしき水色髪の少女にも目を向ける。

 

「アンタはもしかしてこの世界の現地人?もしそうならゼーレとスーサナを保護してくれてありがとう。俺の名はソーマ・アストラというんだよろしく」

 

「どういたしまして。残念だけど私はこの世界の住人じゃないよ、ソーマ君?」

 

「うん?違うのか?」

 

 現地人と思われた水色髪の少女は自身はこの世界の住人ではないと語っており、もしや彼女もゼーレ達みたいに量子の海に迷い込んだ漂流者なのではないかと予想する。

 

「改めて自己紹介するけど私は"時雨綺羅"。これでも私、天命に所属していたA級戦乙女なのよ?まぁ...色々と成り行きがあってこの世界を放浪しているんだけどね」

 

「戦乙女だって?まさか任務中に行方不明になった人ってことか?いや待ってくれ...アンタの顔、何処かで...」

 

「フフ、思い出した?」

 

 まさか同じ元地球の世界から迷い込んできた時雨綺羅という戦乙女が今もこうして生存していたことに驚きつつも、彼女の顔にどこか見覚えのあるのを思い出す。

 

「確か、昔、雪狼小隊って言う所の隊員にアンタのような顔ぶれがいた様な...あれでも昔全滅したって...」

 

「そうそう!私はセシリア隊長の率いる最強の戦乙女部隊のひとりである時雨綺羅本人よ♪...色々と訳あって部隊は全滅してしまったけど、色々と成り行きで私はこの通り無事助かったの」

 

「まさか生きてたとは...あれ?でも当時の時期を考えたら大分昔の頃の筈だから...まさか」

 

「おっと、まさか何だって?何を言おうとしたのかなソーマ君?」

 

「あ、ごめんなさいごめんなさい!冗談です!別におばさんなんて一言も思って無いから!」

 

「思いっきり口に出してるじゃないのッ!」

 

「いでででッッ!」

 

「ソーマお兄ちゃん...流石に口にしたらまずいよ」

 

「綺羅先輩に怖気つかないなんて...流石ソーマ先輩、流石ですね!」

 

「いや、尊敬する所じゃないと思うよ?」

 

 やり取りはともかく、ゼーレとスーサナの発見に加え、元雪狼小隊の生き残りである時雨綺羅を見つけるという思わぬ収穫にこのまま本人達を引き連れて帰還を考えようと考えたが、ゼーレ達はソーマに発見される前にこの村に住んでいる村人達がこの世界の怪物達に襲われている事を知り、彼らの助けを聞き入れてしまった為にまだ離れる事はできないと言った。

 それに加え、どうやらゼーレの方は相方の黒ゼーレが行方知らずになっており、未だになっても彼女の気配が感じ取れないとのことだったので、黒ゼーレを助ける為にもソーマも彼女達の捜索に参加することにした。

 探索を再開する為に村の中を全員で移動していると、街中が何やら騒がしくなっていた。騒ぎの元へと駆けつけるとそこには量子世界に漂っている怪物と未知の生物達がまとめて暴れ回っていた。

 

「災いが訪れたぞ!皆、家に避難するんだ!」

 

「もうすぐ賢者の使いがくるわ!」

 

 村人らしき者達が戸締りをはじめてしまい周りが一瞬で静かになり、代わりに怪物達雄叫びと暴れ回る姿だけが残る光景が広がる。

 

「うーん、先ずはこの怪物達を撃退しないとな」

 

「私はこの怪物達の弱点を知っているから皆んな私の動きに合わせて!」

 

「わ、分かりました綺羅先輩!」

 

「ソーマお兄ちゃん援護するよ!」

 

「OK!頼りにしてるぞ」

 

 人形のような華奢さと武器を携えた異形の怪物達の攻撃を防ぎ、ゼーレが大鎌で斬り裂きながら相手を引っ掻き回す。それに続いてソーマが長槍を振り回しながら敵を薙ぎ払い、結晶槍の弾幕を召喚して飛びかかる怪物を全て串刺しにする。

 

 

 

 

「きゃあッ!いやだ...どうしてこんな事にッ!?」

 

 

 

 

「悲鳴?...まずいッ!逃げ遅れた奴がいたか!悪いけど時雨先輩とスーサナはここを頼む!」

 

「ふええッ〜、無茶ですよ〜!」

 

「私がフォローするから安心しなさいスーサナ!」

 

 別方向から聞こえてくる女性の悲鳴に気付き、ゼーレを引き連れて逃げ遅れた者がいる場所まで全力で急行する。するとそこには白いローブ状の衣服を纏った赤目の少女が必死に怪物から逃げている光景が発見できた。

 

「あれじゃ間に合わない!」

 

「あ、ちょっ!ゼーレ突っ込みすぎだ!」

 

 怪物の刃が逃げ惑う少女の胸元に食い込もうとする寸前で飛び込んできたゼーレの大鎌が金属を弾くような音を立てながら攻撃を阻止する。

 

「え⁉︎...君は...」

 

「無茶しすぎたゼーレ!」

 

「ごめんなさいソーマお兄ちゃん!」

 

 攻撃を受け止められた怪物が再びゼーレと少女諸共斬り裂こうとすると横から飛来してきた槍の弾幕に襲われて壁に貼り付けられるように縛り付けられる。必死にもがいて脱出しようとする怪物の隙を見逃さずゼーレとソーマが2人がかりで怪物の戦闘力を奪いにかかる。

 

「ゼーレ合わせるぞ!」

 

「うん!」

 

 拘束から解放されたばかりの怪物から生えている多腕の腕をゼーレが巧みに強襲しながら全て斬り落としていき、弱点丸出しになった胴体をソーマの白い長槍が神速の突きで突き刺され、深々と上空へと突き上げられる事で怪物は沈黙し、消滅する。

 

「わぁ...!す、すごい!こんなにすごく強い人達が居るなんて!」

 

「お嬢さん無事か?」

 

「怪我はありませんか?」

 

 ソーマ達が少女の安否を確認するが、どうやら怪我はなくむしろ彼らの戦いぶりに興奮しているくらいであり、中々に肝の据わった図太い神経をしている子だったようだ。

 

「ありがとう!貴方達のおかげで本当に助かったよ。僕の名前は"ヴィタ"。歯が唇を優しく噛む『ヴィ』に、舌が優しく歯に当たる『タ』だよ」

 

 会話に応じて自己紹介してくれたのでソーマ達もヴィタという少女に自己紹介を返す事にする。もしかすると彼女からこの世界についての情報を聞き出せるかもしれないと今後の行動を予想付ける事にした。

 

「私はゼーレ。ゼーレ・フェレライと言います。ゼーレと読んでくれていいです」

 

「俺はソーマ。ソーマ・アストラだ。よろしくヴィタさん」

 

「ゼーレにソーマだね。もしかして君達って他所から来た旅行者?」

 

「旅行者って訳じゃ無いんだが...」

 

「私達、はぐれてしまった仲間を探す為にこの地を散策してるんです。私達以外にも仲間達が参加していて...」

 

「そんな事が...なら僕が何か力になれば協力するよ。助けてもらったお礼もしたいしね?」

 

 簡単な自己紹介を済ませたタイミングで怪物達を片付けてきたのか時雨先輩とスーサナがこちらに合流してきたのが確認できた。

 

「や、やっと追いつきました〜」

 

「どうやら無事に助けられたみたいね?流石私の後輩たちやるじゃない♪」

 

「おや、もしかして例の仲間達かな?」

 

 後から合流して来た時雨先輩達と解釈しながらヴィタは此方に向き直り、ソーマ達を歓迎する。

 

 

「それじゃあ、他所からきた来訪者のお客さん達に改めて...ようこそ、"セント・ソルトスノー"へ!」

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