ハイスクールD×D 匙ストーリー   作:ヒツジン

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戦闘描写もっと上手く書ければいいんですけど、やっぱり難しいですね。
上手くなるまで時間がかかるかもしれませんが、長い目で御付き合い下さい……。



35話 闇に蠢く獣

ロキとの戦いが終わって、いつも通りの日常に戻る……と思ったが、むしろ忙しさは激しくなっていった。理由は『禍の団』の中でも英雄派と呼ばれる派閥の動きが活発化してきたから。

 

本来、昼はシトリーで夜はグレモリーの領分らしく、眷属になってからはぐれ悪魔の討伐などとまともに戦った事がない。そもそも、はぐれ悪魔がグレモリーの管轄地で問題を起こす事自体が頻繁にあるわけでもないので、リアス先輩たちだけで解決できていたらしい。

 

しかし、少し前から英雄派の連中がこの駒王町や各勢力の重要拠点を小規模で襲撃しており、リアス先輩達だけでは手が回らず、俺達シトリー眷属もこの町を守るために駆り出されていた――――――。

 

 

「……いっぱい居ますね」

 

目の前の光景を目にし、仁村がボソリと呟く。

口には出さないが、俺も同感だ。

 

駒王町のとある廃工場。異常な反応があると来てみれば、目の前には黒い異形のモンスターが蠢いている。

数も数体なんてレベルじゃない。百は優に超えている。

 

「うへぇ……。気持ち悪い上に数も多いなんて最悪」

 

「巴柄、これも私たちの仕事なのだから文句を言っては駄目ですよ?リアス達は文句も言わず、いつもやっている事です」

 

会長の言葉で全員の表情が引き締まる。

レーティングゲームで一度勝ったとはいえ、やはりリアス先輩たちとの力の差は歴然。

能力のバランスは此方の方が良いが、あちらはパワータイプに偏っているとはいえ、一人一人の実力が段違いだ。

それを自覚している分、全員劣等感をそれなりに抱いていて、それと同時に負けたくないという気持ちが強い。

 

「そんな事言われたら、何も言えなくなるじゃないですか」

 

やる気を出したのか、巡は愛刀を取り出して構える。

 

「数が多いし、折角だから倒した数を競わない?元士郎、私が勝ったら奢りね」

 

「じゃあ、私もソレに参加します!!」

 

由良と仁村がパキパキと手を鳴らしながら、一歩前に出る。

 

「リアス達には負けてられません。――いきますよ!!」

 

『はい!!』

 

会長の掛け声とともに、仁村、巡、由良の三人がモンスターの群れに突っ込んでいく。

その後ろを俺と副会長が、さらに後ろに会長、草下、花戒が控える。

状況によって配置は変わるが、今回はこれで行くらしい。

 

前衛三人がモンスターを蹴散らしていく。

それでも、攻撃したモンスター全部が倒せているわけでもなく、俺の目の前に数体ほどが飛んできて囲まれる。

どうやら中衛でサポートのみに徹することはできないらしい。

 

「……プロモーション『女王』」

 

会長からの許可はもらっているから、『女王』にプロモーションする。

 

狭い所では『龍王変化』は論外。力が強すぎて、この建物とその周りを破壊しつくしてしまうだろうし、味方を巻き込む可能性が高い。

 

黒炎の威力も調整していかないと近くの味方ごと燃やしかねないので、何も考えずに全力の黒炎で攻撃するのは最善とは言えない。

 

俺を囲んでいるモンスターは五体。

これぐらいなら、囲まれていても他の駒の特性と『漆黒の領域』と体術で問題なく捌ききれる。

 

囲んでいるうちの一体が飛びかかってくる。

 

「オラァッ!!」

 

それを正面から迎え撃ち、全力で殴りつける。

 

「ギュアッ!?」

 

一撃で倒せたらしく、まるで溶けるように消えていく。

これだけいる時点で普通の生き物ではないと思ってはいたけど、まるで何かに創られたような存在だ。

そんな神器があるのか?一応これが終わったらアザゼル先生に聞いておこう。

 

『我が分身よ、来るぞ』

 

「っとぉ。戦ってる最中に考え事は良くないな」

 

俺を囲んでいるモンスターの残りは四体。

最初の一体は牽制らしく、今度は同時に仕掛けてくる。

 

「グゲッ!?」「ゴキュッ!?」「ゴアッ!?」「グゴッ!?」

 

一体目の攻撃を躱して反対側の攻撃してきたモンスターと相打ちにさせ、残り二体のモンスターの内一体を掴んで、最後の一体にぶつける。

動きが一瞬止まったところで黒炎を放ち、止めを刺す。

『漆黒の領域』で弱っていたおかげか、思ったより楽だったな。

 

「……ふぅ」

 

「せやっ!!……助けようかと思いましたが、余計な心配でしたね」

 

副会長がモンスターを長刀でなぎ倒しながら近づいてくる。

 

「あれぐらいならどうってことないですよ……っと」

 

飛んでくるモンスターを蹴りつけて倒し、副会長と背中を守りあうように合わせる。

いつの間にか五体どころじゃない数のモンスターに囲まれていた。

 

「みたいですね。……ところで気が付いていますか?」

 

向かってくるモンスターを切りつけながら副会長が聞いてくる。

 

「気のせいかと思いましたけど、やっぱり気のせいじゃないみたいですね」

 

同じく向かってくるモンスターを殴ったり、黒炎を放って倒しながら答える。

 

一体一体はそんなに強くないが、この数はどう考えてもおかしい。

それに、さっきからモンスターたちが全然減らない。前衛三人がかなり倒しているはずなのに、全然減っているように見えない。寧ろ増えている気がする。

 

「数が多すぎて減っているように見えないのならまだしも、増えているように見えるのは明らかにおかしいですね」

 

「ええ、この場にこのモンスターを転送している者、若しくはこのモンスターを作り出している者が居る筈です」

 

「ほぼ間違いなく後者でしょうね。ソイツを倒さないとキリがないって事か……」

 

無限に生み出せるわけでもないだろうけど、このままだと此方のジリ貧だ。

 

「一度全員で集まった方が良いでしょう。前衛三人は私が連れてきます。サジは会長たちの方をお願いします。」

 

「分かりました」

 

副会長はそう言うと前衛三人の方へと向かっていく。

俺も会長たちの方を向くと、会長たちは壁際に追い詰められ、既にかなりの数のモンスターに囲まれて始めていた。

 

「チィッ!?」

 

『騎士』の特性を使い、近くのモンスターたちを無視して一瞬で距離を詰め、会長たちの周りにいるモンスターの一部を倒しながら会長たちの前に出る。

 

「サジですか。助かりました」

 

「ありがとう、元ちゃん」

 

「危なかったー」

 

「ああ、間に合ってよかった。でもなんで後衛の方にこんなにモンスターが?」

 

前衛も敵を倒していたし、中衛の自分たちも後ろに行かないように敵を倒していたはずなのに、何故か後衛の方は前衛の方と同じくらいモンスターが多い。

 

「会長!無事でよかった」

 

「なんなのよ、こいつ等!!全然減らないじゃない!!」

 

「なかなかキツイわね……」

 

「これじゃキリがないですよぉ」

 

副会長、巡、由良、仁村がモンスターを倒しながら近づいてくる。

どうやら全員無事に揃ったみたいだ。

前衛三人はかなり消耗しているようだ。

モンスターの発生源であろう場所の近くで戦っていたのだから、無理もないか。

 

……ん?

 

 

『ええ、この場にこのモンスターを転送している術者、若しくはこのモンスターを作り出している術者が居る筈です』

 

 

「ッ!?」

 

そうか、そうだったのか。だとしたらあのままだったら危険だった。

副会長の判断で一か所に集まったのは偶然とはいえ、良い判断だった。

 

「とにかく、このモンスターを作り出している者を探さなければ……サジ?」

 

「副会長、一つだけ分かったことがあります」

 

「……?」

 

「両方いるんですよ。このモンスターを創り出している人物と、それを転移させている人物の両方です。前から創って後ろに転移させているのか、創ったのを前後に転移させているのかは分かりませんが、最初っから挟撃されていたんです!!」

 

高い能力を持った人物が複数いるだけじゃない。

何より、この作戦を考えた奴が一番厄介だ。

転移させて挟撃なんて俺でも考え付かないような作戦、一体どんな奴が考えたのか。

 

 

「いやぁ、お見事。ちょっとした腕試しのつもりだったんだけど、良く気が付いたね」

 

 

『!?』

 

モンスターが道を開けた空間に三人の人物が立っていた。

一人は黒髪で漢服を着た男、一人は眼鏡をかけ魔法使いの格好をしている男、そして年端もいかぬ少年。

 

「グレモリーを破ったシトリーが釣れたと思ったら、存外大したことなくて退屈してたんだけど……。君が噂のヴリトラ君かな?」

 

漢服を着た男は此方を品定めでもするかのように見てくる。

 

「何者なんだよ、お前」

 

「ふむ、準備も殆ど終わってるから名乗るのは構わないんだけど。そうだな、今この場にいるモンスターを全部倒せたら教えてあげるよ。俺は手を出さないし、モンスターもこれ以上は増やさないからさ」

 

「随分舐めた事言ってくれるじゃない!?」

 

「だってそうだろ?グレモリーと比べると一人一人の能力が低すぎる。もし今日来たのがグレモリーだったらこんなに苦戦することは無かっただろうね」

 

巡だけでなく、シトリー眷属の全員が男を睨むが、涼しげな表情をしている。

 

「本当だな?」

 

「ああ、勿論だとも」

 

「いいぜ。やってやるよ」

 

右手に黒炎を滾らせる。

皆と比べるとそんなに消耗していない。

まだ試作段階だけど、会長たちは俺の後ろにいるから巻き込むこともないだろう。

 

「元ちゃん、いくらなんでも一人でこの数を相手にするのは無理だよ!!」

 

「そうです、サジ!!既にリアス達には連絡がいっているから、直に助けが来ます」

 

花戒と副会長が俺を止めにかかる。

 

「舐められたままじゃ終われないんだよ!!」

 

「元ちゃん!!」

 

「……桃、止めなさい」

 

「でも、会長!?」

 

「サジがここまで言うのです。出来るんですね?」

 

「……はい」

 

「私も少しだけ頭に来ています。一泡吹かせてやりなさい」

 

「はい!」

 

力を溜めながら右手の炎を段々と大きくしていく。

男は楽しげに此方を見ているだけで、モンスターたちも何もしてこない。

 

……舐めやがって!!

 

「ヴリトラ、威力制御は二の次だ。コントロールの方を頼んだ」

 

『分かった。任されよう』

 

「テメェ等全部燃やし尽くしてやるよ!!」

 

右手を前に突出し、溜めていた力を解き放つ。

放たれた黒炎は龍を形作り、モンスターたちを飲み込んでいき、建物内にいるモンスター全てが次々と燃えて消えていく。

 

「これは……」

 

「凄い……」

 

威力も申し分ないけど、力を溜めるのに時間がかかるし、コントロールも上手くできないから、まだまだ改良の余地ありだな。

殺してなければいいけど。

いや、殺した方が良いのか?

 

「へぇ、凄いな。弱めに創ってあるとはいえ、こんな簡単に倒されるなんて思ってなかったよ。でも、今回で分かった。君は十分評価に値するよ。だから『対策』はしっかりとしておくとしよう。俺たちはよわっちい人間だからな」

 

一体どうやって防いだのか分からないが、三人とも無傷だ。

全力で放ったのに、それはそれでショックだな。

 

「面白いものが見れたし、今日は大人しく帰るとするよ」

 

もう一人の男の能力なのか、霧のようなものが三人を包みだす。

その霧がなんなのか分からないが、どうやらアイツが転移の能力を持っているのは間違いないだろう。

 

「待て!!」

 

クソ……。

さっき全力で攻撃した所為か、もう力が残ってない。

 

「ああ、そうだ。俺が何者か……だったね。一応、曹操と名乗っている。また会おう、ヴリトラ君」

 

そう言って、三人は消えていく。

後に残ったのは静寂だけ。

 

「とりあえず、終わったって事で良いのかしら……?」

 

「ええ、多分……」

 

あまりに平然と帰られたから、会長も副会長も何が起こったのか分からないらしい。

他もキョトンとしている。

 

曹操か……。

自分の事を人間と言っていたけど、本当に何者なんだ?

『禍の団』の人間であることは間違いないだろけど、どう考えても下っ端なんてレベルじゃない。

英雄派の中でもそれなりの地位の奴、もしかしたらそれのトップか。

いずれにせよ厄介には変わらないか。

 

修学旅行が近いっていうのに、嫌な人間に関わったな……。

 




ソーナ「ところでサジ。今の技は何ですか?」

匙「邪○炎殺黒龍波です」

全員「……は?」

匙「邪王炎○黒龍波です」

全員「……」
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