いつも読んでくれる方々に感謝です。
襲撃事件から少し経ち、修学旅行当日の新幹線の中。
色々と問題が起こったが、俺たちは無事に修学旅行に行けるらしい。
オカルト研究部はリアス先輩が見送りに来ていたが、会長たちは学園祭の準備や授業で忙しくて来ていない。
だから、オカルト研究部が見送りの時にもらったであろう認証のカードは既に受け取っている。
悪魔が京都を歩き回るのは色々と不都合なことが多くて、それなりの理由と、京都の裏を牛耳っている陰陽師や妖怪たちの許可が必要らしく、修学旅行でもなければ京都旅行はできないらしい。
『禍の団』の英雄派が活発に動いている今、呑気に修学旅行なんて行っていても良いのかとは思うが、生徒会メンバーは凄く楽しみにしていたし、会長たちからも本分は学生なんだからそんな事気にせずに楽しんで来いと言われた。
ただ、修学旅行に行く前から嫌な予感がしてたまらない。
なにも起こらなかったらいいけど……。
「どうしたよ、修学旅行だぜ?もっとテンション上げてけよ!!!イヤッホウ!!」
「……」
「なんだよー。無視するなよー」
「……誰だよ、お前」
「青山だよ!!そのネタ二回目だよ!!」
「いや、すまん。しばらく会ってなかった気がしたから」
最近、昼休憩は生徒メンバーと一緒だし。
「……」
急に静かになったな。
頼むからそのまま黙っててくれ。うるさいから。
「うう……お……ぱい」
……は?
「う、うおおおおお!!おっぱい!!」
隣を見れば、友人が席を立ち、別の席に座っている女子に襲い掛かっているところだった。
「おっぱい、おっぱい!!」
「ちょ!?何すんのよ!!」
おっぱいという単語を連呼しながら、女子の胸を揉もうとしている友人。
なにが起きたのか分からないけど、アレは止めないと不味い。
「落ち着け、この馬鹿」
目が虚ろな友人の頬をぶん殴る。
「ふべらっ!?……ハッ!?何をしてたんだ、俺は……」
「おっぱい、おっぱいと連呼しながら女子の胸を揉もうとしてたぞ」
「あ、ああ。なんか、急に揉みたくなって……」
……頭大丈夫かよ。
『(我が分身よ)』
「(ヴリトラ?どうかしたのか?)」
流石にこの場に出るわけにもいかないので、頭に直接語りかけてくる。
『(先ほど、この男から赤龍帝の力が薄らと感じられた。気のせいかもしれないのだが……)』
またアイツか。
確かに、まるで兵藤みたいだったが何やったんだよ。
まだ京都に着いていないのに、面倒事増やしてくれるなよ……。
――京都サーゼクスホテル。
……ここに来るだけで疲れてしまった。
なんであっちこっちで痴漢が量産されてるんだ。
というか、魔王様は京都に進出しすぎでしょう。近くにセラフォルーホテルもあったぞ。
今はホテルの一室のベッドの上で横になってる。
ホテルの外にも出れるらしいが、なんだか出る気もなくしてしまった。
少し一人でゆっくりしたかったが、突然のノックの音でそれすらも叶わないらしい。
ドアを開ければロスヴァイセさんが立っている。
「……何ですか?」
「お休み中にすみません。実は匙君にお願いがありまして……。とりあえず私の部屋まで来ていただけませんか?」
断ろうと思ったのに、返事も聞かずにロスヴァイセさんは歩き出してしまい、タイミングを失ってしまった。
そのまま連れて行かれた部屋の中で待っていたのは、見知ったメンバーの四人。
「ほらー、やっぱり部屋に居たでしょー?」
「ええ、草下さんたちの言うとおりでした」
「草下?それに他の皆も……」
生徒会メンバーがこれだけ集められるって、何させたいんだよ。
ロスヴァイセさんに視線を向けると、俺が思った事を分かってくれたようで答えてくれる。
「女子の入浴時間の警備を皆さんにお願いしたいんです」
「警備?こいつ等だけならともかく、なんで男子の俺まで?」
「ホラ、私たちか弱い女の子でしょ?」
「いざという時の為に男子である元ちゃんの力が欲しいわけよ」
どの口か言ってるんだ。
由良と巡の二人だけでも男子数十人は余裕でボコボコにできるだろ。
「匙君を呼んだのは、兵藤君対策です」
ああ、成程。
その一言で納得してしまった。
「女子の入浴時間に彼なら間違いなく覗きに来るでしょう。だから、匙君には最後の砦として備えていて欲しいのです。最悪の場合は『龍王変化』を使ってでも止めてください」
そこまで警戒してるのかよ……。
「……ん?最後の砦って、最初は誰が相手をするんですか?」
「私が相手をします」
ロスヴァイセさんが?
それは流石に不味いんじゃないか?
「ロスヴァイセさん。俺もそっちに行きます」
「いえ、でもそれは……」
「最後に俺が居なくても、最初で兵藤を止めてしまえば問題ありませんよ。女性よりも男の俺が最初に当たった方が被害も少なくて済みます」
「……それもそうですね。では、女性陣は先ほど説明した所で待機していてください。匙君は私と一緒に女子風呂に続く非常階段まで行きましょう」
『はい!』
最近アイツも大人しいし、本当に覗きなんて危険な事するのか?
毎晩グレモリーの女性陣と寝ているらしいし、そんな所に性欲がまわらないんじゃないか?
――と、思ってた時期が俺にもあった。
「ロスヴァイセさん!?それに匙!?」
「……兵藤、俺は呆れかえって何も言えないよ」
頭が痛い。
そうだったな。俺は忘れていた。
お前はそういう奴だったよ。
「ロスヴァイセさん、この変態糞野郎は俺が相手をします。手は出さないでください」
「……わかりました」
「へへ、まさかこんな所でお前と再戦するなんて思ってなかったぜ……。だが、これだけは譲れない!!」
兵藤は籠手を出して、小さく威力を押さえたドラゴンショットを撃ってくるが、それを全て黒炎をぶつけて相殺する。
こんな中途半端な攻撃じゃ今の俺には勝てないよ。
「……やっぱり匙相手に小手先の攻撃は無駄だな。ならば突進あるのみ!!」
ドラゴンショットを撃つのを止め、接近戦を仕掛けてくる兵藤。
今度は拳と拳の応酬になる。
「……なぁ兵藤。お前、一つ勘違いしてないか?」
「何がだよ!!――ガハッ!?」
兵藤の攻撃を全て躱し切り、一瞬の隙をついて腹に一撃を入れる。
「俺がお前に劣ってるのは、その異常なパワーであって――」
「グヘッ!?」
「そのパワーが全力で出せないところで――」
「ゲホッ!?」
「尚且つ鎧も纏っていないお前なんて――」
「グボッ!?」
「相手にならないんだよ!!」
「ゴハッ!?」
俺の連撃を食らい、兵藤は仰向けに倒れる。
「おお、お見事です」
ロスヴァイセさんが驚いた顔で兵藤を倒した俺に拍手を送っている。
この人は俺がこんな変態に勝てないと思ってたらしい。
あながち間違ってはいないけど、そもそも、パワーと根性以外は俺以下なんだから、それが封じられている今、俺が勝てない訳ないんだよ。
「う、うう……。桃源郷はもうすぐなのにぃ」
「さ、兵藤君。大人しくお縄にかかりなさい」
あらかじめ準備していたらしく、縄を取り出して兵藤を拘束しようとする。
「うおおおお!!俺は覗きに行くんだぁあああああああ!!」
「へ?――きゃ!?」
……しぶといな。
大人しく倒れとけば良かったものを。
しかも、ロスヴァイセさんは抵抗する兵藤に触れられてしまった。
『洋服崩壊』して、その隙にここを通るつもりだろうが、そうはさせない。
「バラバラになれェェ!ドレスゥウウウ――」
「ラインよ!!」
「――ブレイク!!」
パチンッ。
兵藤の指が鳴らされるが、何も起こらない。
「……え?あれ?なんで!?ブレイク!ブレイク!!ドレスブレイクゥウウウウウ!!!」
パチンッパチンッと指を鳴らすが、なにも起こらない。
どうやら上手くいったらしい。
「な、なにが起こってるんでしょうか?」
「そんなの俺が聞きたいよ!!」
困惑顔のロスヴァイセさんと、涙目の兵藤。
「お前が『洋服崩壊』を発動しようとしたとき、ロスヴァイセさんにラインを繋げたんだ。で、お前の魔力を吸って発動を無効化したのさ。……『洋服崩壊』破れたりってな」
「う、嘘だろ!?」
「成程、私に『洋服崩壊』をやろうとしたんですね。――このジャージ高かったんですよ!?なんて事をしようとしたんですか!?」
「「え?怒る所そっち?」」
「下着だってセール中に買ったのに……今買おうとしたら三倍くらいの値段がするんですからね!!」
ああ、やっぱりこの人もグレモリー眷属なんだな。
どこか常人と考えがずれてる。
「なんだ、お前らこんな所に居たのか」
「アザゼル先生?どうしたんですか?」
「おお、匙もいるのか。丁度良かった」
……凄く嫌な予感がする。
「俺とお前らに呼び出しがかかった。近くの料亭まで来いってさ」
「ちなみに誰からですか?」
「魔王少女様からだよ」
どうやら嫌な予感が的中してしまったらしい。
……修学旅行まで来ても厄介事かよ。
もし匙が一誠の所為で痴漢になったら
匙「う、うう……おっぱい、おっぱい!!」
巡「元ちゃんが壊れた!?」
花「ダ、ダメ!!皆見てるよ。せめて二人っきりで……」
巡「揉まれようとしないで止めなさい!!」
由「桃のを揉むくらいなら私のを揉みなさい!!」
巡「それも違う!!」
草「翼紗ちゃんも巴柄ちゃんもぺったんこだから、私の方が良いよー」
巡「参加するな!!あとさりげなく私もけなすな!!」
匙「……ハッ!?俺は何を……」
花・由・草「……チッ」
巡「(……ホッ)」