おーい.......おーい......
誰かが呼んでいる声が聞こえる。しかも段々とその声の距離がかなり近くなってきているような気がしてきた。でも眠いし寝てよ。
「お前だよ、そこのお前。お前にさっきからおーいって言ってんの。」
「いででで!!」
俺はいきなり耳を誰かに引っ張られ強い痛みを感じた。その痛みを無くすために耳を引っ張る手を素早く払い除ける。痛みのせいで眠気が完全に冷めてしまったので今まで閉じていた目を開けると自分の目の前には1人の幼い男の子が立っていた。
「やっと起きた。起きるのが遅いよ、こっちにも都合ってもんがあるんだから起きることぐらい自分でやってくれよ。全く。」
そう言うと男の子は自分の向かい側にある椅子に向かい始めた。
その子は見た目はどう見ても幼い男の子なのに声は中年のおじさんみたいな声をしていた。俺がそれについて尋ねようとした瞬間「私について聞きたいことはあるかもしれないが遠慮願いたい。毎回聞かれてウンザリしているんだ。」と釘を刺されてしまった。
男の子は椅子に座るといつのまにか手に書類のようなものを持っており私について一つずつ事実確認を行い始めた。
「え〜っと、
「あっはい、
「1967年9月27日の東京都XX生まれで享年76歳であってますか?」
「え?」
「ん?何処か違う箇所でもありましたか?」
「いや、享年76歳ですか...俺?」
「はい、そうですよ、あなた亡くなったんですよ。今日老衰で。」
起きて数分で衝撃の事実を告げられた。えっ死んだの俺?確かに歳かなりとってたからいつかがくるだろうなとは思ってたけど今日なの?俺まだあと4年は生きるつもりだったんだけど!!
「ご安心ください、寝てる最中に亡くなったから苦しまずにこの世界に来れたので貴方幸せですよ。ここに来るまで地獄のような苦しみを味わってくる人が殆どですから。」
「いやいや、普通にショックなの、自分が死んだという事実が。あと4年は生きるつもりだったのに。」
「今さら嘆いていても仕方ありません。他にも確認したいことあるから話は後で受け付けますよ。」
その後体感20分ぐらいはこの確認作業が続いた。確認作業が終わったあと男の子は何処からか机を運んできてそこで書類を書き始めた。
書き始めている間暇だったから俺は自分の格好を見て見た。服は白装束を着ており手の皺などが無くなっているから恐らく今は20代頃の姿なのかな?
「あのーすいません。」
「ん?何?今忙しいから質問なら手短に頼むよ。」
「いや、これから私ってどうなるんですか?今から閻魔大王の所でも行って天国か地獄どっちに行くか決めるとか?」
「地獄行きならお前とっくに地獄に行ってるよ。ここは天国行きの人しか来れない神聖な場所だよ。」
「あっそうなんですね、よかった〜地獄行きとか言われたら俺舌噛み切って死ぬつもりでしたよ〜」
「お前とっくに死んでるから舌噛み切っても死ねないしただ痛みが永遠に残るだけだぞ。」
「ははは、わかってますよ。ただボケてみただけですよ。ひたすら書類を書くだけじゃ暇でしょ?」
「はいはい、じゃあ書類が書き終わるまで話でもなんでもしてどうぞ。」
「あっそうですか?じゃあ俺が今まで体験した話でもしておきますね!」
そこから俺は男の子が書類を書き終わるまでひたすら話をし続けた。男の子は基本的には黙って聞いていたがたまに相槌を打ってくれたり質問をしたり笑ってくれたりして話している俺は嬉しくなってさらに話を続けた。
話始めて大体3時間が立つごろにようやく全ての書類が書き終わったらしく男の子は書類を封筒に入れ机の中にしまった。
「さて、事前にやるべきことは全て終わったから次はお前の今後についてだ。」
「俺の今後?」
「そうだ、お前はこれからまた新しい人生を歩むか、それともこの天国で好きに暮らすかの2択の選択肢が用意されている。」
「なるほど。」
「そうだ。でお前どうする?新しい人生歩むか?お前は前世で真面目に生き目立った犯罪歴もないからお前の要望を聞いて普通の人よりか少し楽な来世を送ることも可能だぞ。」
「そうなんですか?」
「ああ、18歳から高卒の国家公務員として働き国民のために定年までせっせと奉仕したお前へのせめてものご褒美と言ったらいいかな。」
まじかよ、よかった真面目に働いて。やっぱ神様は見ているんだな悪いことをやっていないか。
「その要望ってなんでもいいんですか?」
「ああ、なんでもいいぞ。と言っても流石に聞ける要望は3つまでだ。その3つに自分の要望が収まるように努力しろ。」
「わかりました。」
「じゃあ決めたら呼んでくれ。それまで別の仕事片付けてるから。」
そう告げると男の子はすぐに姿を消した。え〜どうしよっかな〜どんな要望にしよう。まず絶対に名家に生まれることは欲しいよなぁ、あと美人な幼馴染、文武両道もいいなぁ〜あーでもこれで3つ終わってしまうな。
う〜んどうしよう、悩ましいなぁ。他にも要望あるしなぁ、どうしよ。あっこれって別に人間じゃなくてもいいのかな?ちょっと聞いてみるか。
「おーい、ちょっといいか?」
呼ぶとさっきの男の子がすぐに姿を現してきた。手にはまたさっきとは違う別書類を持っていた。
「なんだ?もう3つ要望が決まったのか?」
「いやまだ決まってないんだけど新しい人生って人間じゃなくてもいいの?」
「ん?あーどうだろ?わかんねぇな。ちょっと待ってろ、いいかどうか上に確認してくるから。」
そう言い残してすぐに男の子は姿を消した。数時間ぐらい帰ってこないと思っていたが数分後に男の子は帰ってきた。
「思ってたよりはやかったな、でどうだったの?」
「上に確認したら別にいいとのことだ。だから来世は人間じゃなくてもいいぞ。これは別に要望に含まれないから安心して人間以外の人生を選んでもいいぞ。」
「要望に入らないんですかこれ?」
「入らないらしい。」
でも入らないなら入らないに越したことはないな。でも人間じゃない人生って大体動物とかになるよな?動物に生まれ変わるなら何がいいかな?無難に犬?それとも猫?鳥とかもいいな。架空の動物とかにもなれるかな?
「架空の動物とかにもなれるの?」
「ん...ああ、なれると思うぞ。ただその場合生まれ変わるのは元いた世界じゃないぞ。」
「そうなの?」
「もちろんだ。例えばお前がユニコーンになって生まれ変わって元世界に行って人々に発見されたらビッグニュースになるだろ。あの世界ではユニコーンは幻の生物だからな。そのせいで大混乱が生じてしまう、それを防ぐために基本的に架空の動物になる場合は異世界で新たな人生を歩ませることになってる。」
「なるほど、その異世界って俺がいた世界の漫画の異世界とほぼ同じ感じですか?」
「ああ、大体同じだ。最も異世界の管轄は私してないからあんまり詳しいことは知らないがな。あとこれも要望には含まれないぞ。」
「わかりました。じゃあ決めたらまた呼びますね。」
「わかった。」
架空の動物の場合異世界で人生を歩まされることになるのか。うーん一回ぐらい異世界で人生過ごしてみてもいいんじゃないか?よし!!異世界で新たな人生を歩もう!!
でも肝心の動物何にしようかな?あ!そういえば俺小さい頃にゴジラ映画よくみてたな。その影響もあって将来の夢はゴジラになることとかだったな。でも今ならゴジラになれるんじゃないか?
よし決めた!ゴジラになって異世界で新しい人生を歩もう!じゃあ早速あの子を呼んで異世界に行こう。
「おーい、決まったぞ。」
「お、決まったか。で要望は?」
「ゴジラとなって異世界で新しい人生を歩みたいです!」
「ゴジラか!ゴジラか....ちょっと....それは厳しいかもしれない。」
「え....何でですか?」
「えっとね、ゴジラはね異世界の人たちでも太刀打ちできない可能性が大いにあるからゴジラで異世界行くのはちょっとご勘弁願いたいかなぁ....」
ウソーン。まさかのゴジラNG。えーでもどうしよ、ゴジラで異世界生活満喫するつもりだったのに。あっでもあのゴジラならいけるんじゃないか?
「あのゴジラはゴジラなんですけどエメゴジならどうですか?」
エメゴジはゴジラじゃない!!という人もいるけど一応自分はゴジラだと思ってるしエメゴジは普通のゴジラと比べたら強くないけどエメゴジの2代目はミサイルじゃ死なないし放射熱戦も吐けるからいけるな!
「エメゴジ?なんだそれ?ちょっと調べてみるわ。」
男の子は何処からか出したのかスマホを操作してエメゴジについて調べた。
「ふーん、なるほど。大体エメゴジについてはわかったぞ。エメゴジなら恐らくいけるだろ。でもコイツでもいいのか?」
「いいんです。私はゴジラと認めているので。だけどエメゴジは2代目にしてください。初代じゃ色々心配あるので。」
「わかった。あと2つの要望は?」
要望あと2つ何にしよう。大きさもうちょっと大きくしてもらうか?放射熱戦の威力を上げてもらうか?それとも防御を更に固くしてもらうか?2代目は初代と比べたら格段に強いし不安要素は少ないけどやっぱりエメゴジって時点で心配なんだよな。
「2つ目は魔法防御をできる限り上げてくれませんか?行く異世界の魔法の威力が分からないので。」
「わかった。そんじょそこらの魔法じゃ一切ダメージが入らないようにしておいてやる。最後の1つは?」
「擬人化もできるようにもしてほしいです。ずっと怪獣の姿じゃ人間との意思疎通ができなくて絶対暮らす時に苦労すると思うので。」
「わかった。この3つの要望でいいんだな?」
「はい、この3つで大丈夫です。」
「わかった、じゃあこの契約書に自分の名前を書け、これ上に提出したら向こうの世界に行くように手配するから。」
自分の目の前にペンと一枚の紙が出現する。紙の題目は生まれ変わりの契約と書いてある。俺は自分の名前を書いて男の子に渡した。
「おっけ。じゃあ上に出してくるわ。契約書にも書いてあるが向こうの世界にいった瞬間にお前は前世とここの記憶が全て消去され性格も今とは全く違うものになるぞ。」
「わかってますよ。」
「ならよし、じゃあすぐに行くことになるからその椅子と椅子の間に立っててくれ。そこに入り口がいきなり現れる。落ちた瞬間に視界が真っ暗闇になるから目を閉じろ。次に目が開いたらそこはもう異世界だ。そこで第2の人生をエメゴジとして過ごせ。」
「わかりました!」
「最後に何か聞きたいことはあるか?」
「うーん....あっ向こうの世界の言葉って俺理解できますかね?」
「大丈夫、そこら辺はちゃんと弄るから。」
「弄るってちょっと怖いこと言わないで。」
「安心しろ痛い思いは何もしないから。じゃあな、またいつか会おう。」
「またいつか会いましょう。」
男の子は姿を消してしまった。さて言われた通りに椅子と椅子の間に立ちますか。
......立ったけどこれいつ行くかわからないんだよな?じゃあジャンプしながら待つか!
「とうぉ!」
そう言って上にジャンプした瞬間に落とし穴が真下にできた。行く準備できるの早すぎない。
「うわぁぁぁぁ!?」
落ちた瞬間にあの男の子が言った通りに視界が真っ暗となった。だから俺は彼に言われた通りに目を閉じた。
古城マチルダ 城下町
「結構歩いてきたな。ここで数分休憩しよう。」
近くにあった瓦礫の上に座り水筒の水を飲む。私は探検家のオルド・セアランド、昔は冒険家も兼ねていたが今はもう引退して世界中を回り自分が見た景色を日記に記して本として売ることを
現在は古城マチルダに来ている。この城は魔王軍との戦いの為に当時の最前線であったここマチルダに建てられた城であった。地名がそのまま城名にも採用され最前線であったが故に他の城とは比べものにならない程頑丈に建築された。
守りも固くする為に一般的な平城でなく水城であり人工で作られた深さ20メートル、直径100メートルにも及ぶ円形の水堀があり中心に島のように城が建てられている。その周りに砦を八角形で設置しさらに城壁を築き上には可動式砲台が大量に配備されていた。
この城は他の城と完全に違う部分がありそれは城壁があるのが城だけであることだ。基本的に他の城では町全体を城壁で囲んで城郭都市を形成しているが、この城はあくまで魔王軍との戦いのためだけに建てられた城のため町の城壁を築かなかったのだ。
城下町もあるにはあるがそこに民家はなくあるのは死体安置所だけだ。現在はその役目を終え古城として存在し続けている。遠目でしかまだ見てないが城や城壁は築かれてから100年余り経つが崩れるような様子はなく
平地より高い丘に城が建てられており今日の天気が曇り気味なのもあってまるでこれからこの城に向かう私を威嚇しているような感じがする。
「そろそろ行くか。」
数分の休憩が終わったため椅子代わりにしていた瓦礫から立ち上がる。本命の城に向かう前に城下町にある数多の死体安置所を見て回る。この城下町にある死体安置所ではかつて最大で1万人にも及ぶ死体が安置されていたと言われている。
それだけ当時この地で私たち人類と魔王軍との間で壮絶な戦いがあったことが
一棟一棟死体安置所を見て回るが血痕が建物にベッタリ付いているのがかなり多かった。死体安置所にはここで亡くなった人のものであろう破れた衣服や錆びた鎧、武器、手紙などが大量に残されていた。
手紙の内容を見てみると家族や恋人、友達に宛てたものがほとんどだった。それも1つ1つ丁寧に日記に記していく。亡くなった人たちからしたら知られたくない内容かもしれないがこちらも生活がかかっている為申し訳ないが日記に書かせてもらう。
城下町にある全ての死体安置所を見て回ったのでいよいよ本命の城に向かう。城へと向かう道の整備がもうされていなかったため少し登るのに苦労したが城門の目の前までくると城門と城壁の圧倒的な威圧さと大きさに感心した。
城門は閉ざされていたが施錠はされておらず全力で城門を押して人1人が通れるぐらいには開けることができた。城門を通り過ぎると城まで続く大通りが目の前に広がった。大通りを真っ直ぐみると小さくマチルダ城が見えていた。
大通り沿いには軍病院が立ち並んでおり売店らしき建物はなく旗などもそのまま放置され草木が建物に絡みつきそこら中に生い茂っていた。
回りを見渡すと八角形に建てられている砦が何棟か見えた。砦や城壁の上にも行きたいと思ったがもう既に空が暗くなってきていた為今日は城に泊まって明日調べることにした。
そのまま大通りを進むと小さかったマチルダ城が段々とデカくなり遂に水堀に到着した。架けられている橋は城への入り口の一本だけであった。かなりの年数が経っている為橋の強度が心配だったが難なく渡ることができた。
渡る最中に水堀を覗いてみたが夜なのもあり中の様子は見えなかった。そして橋を渡り切り城の中へと入って行った。
城に入ると大きなホールが私を迎え入れてくれた。眠たかったのもあり寝室を探そうと思ってすぐにホールにある階段から2階に上がった。30分ぐらい掛かってしまったがなんとか寝室を発見できることができた。
寝室に入るとすぐに荷物を近くの椅子の上に置いてベッドの上に身を投げた。その瞬間に埃が空を舞い20秒ぐらい咳き込んだ。長い間使われていなかった為埃を大量に被ってしまったのだろう。
これはダニとかも大量にいると思いベッドで寝ようと思っていたが仕方なく持ってきていた寝袋で寝た。荷物から寝袋を取り出してその中に入る。
城にいるのに持ってきた寝袋で寝るのは変だなぁと思ったが仕方がない、我慢してそのまま寝ることにした。
窓から差し込む朝日で私は目を覚ました。寝袋から出て埃を払う。昨日は暗くてよくわからなかったが部屋自体がかなり埃まみれとなっている。埃を除ける為に窓を全開に開ける。
少々窓が開けにくかったがなんとかこの部屋にある窓を全部開けた。風が入り部屋中の埃が舞う。探索を容易にする為に城中の窓を開けて埃を少しでも無くそうと思って部屋を出た。
城中の部屋を1つずつ回っていくのだが部屋によっては家具が破壊されている、そもそも家具がない部屋などもあった。2階の全ての窓を開け終わったあとは1階の窓を開けようと思って1階に降りた。
しかし1階のホールに戻ってきた時ホールの中央に何やらデカい物体がポツンと立っていた。最初は何かわからなかったが近づいて見てみるとそれは卵のようなものだった。
その卵のようなものは私より大きく2〜3メートルぐらいあった。最初はドラゴンの類の卵とも思ったがこの城周辺にはドラゴンは生息していない。そもそもここマチルダ周辺の土地は魔王軍との戦いで荒廃し生物が暮らせる環境では無くなっていたからだ。
じゃあこの卵らしき物体は一体なんなんなのか?そもそも卵なのか?何かの繭という可能性もありえないのではないか?数分間この卵らしき物体について考えていたが得体の知れないこの物体のことをずっと考えても仕方がないと思いとりあえず1階の窓を全て開けてこようとホールから離れた。
その後1階の全ての窓を開け切り再びホールに戻ってきたがどうしようか迷った。この卵らしき物体が何なのか気になったからだ。私としてはこれがなんなのか徹底的に調べ上げたいと思っていたが私には生物についての知識が全くなかった。
本当はもっとこの城の探検をしてから王都に帰る予定だったがこの物体の存在を王に伝えギルドにこの物体の詳しい調査をさせた方がいいと考え帰ることにした。
城については次回の本の内容にすると決め、昨日寝た寝室に戻り荷物を全て持ちマチルダ城からでた。
城から出て橋を渡っている最中に昨日は暗くて見えなかった水堀を覗いてみる。水は想像してたより澄んでおり大量の魚たちが悠々と泳いでいる姿を確認できた。
城の窓は全て開けたままにしておいた。城の空気の入れ替えと埃を少しでも無くし将来来た時に探索しやすいようにする為である。私は来た道をそのまま戻り続ける。そして城門から出る前に後ろを振り返った。そこにはあんなにデカく見えていたマチルダ城がまた小さくなっていた。
オルド・セアランドが城門から出る頃ホールの卵では異変が起きていた。卵にピキピキとヒビが入っていきそしてある生物が卵の中から姿を現し
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」
と大きく叫んだ。
不定期更新なので次回は気長にお待ちくださると幸いです。