李信率いる『秦軍』が『鄴』攻略を成功させた翌年、つまりは紀元前235年。
李信は王翦と桓騎、蒙恬と王賁達と軍勢を率いて『邯鄲』の手前、『武城』と『平陽』の更に前より大前線による防衛網を築いている『邯鄲の守護神』である大将軍扈輒の軍へと広範囲に展開しながら、侵攻に向かった。
「全軍、始めろ」
李信は自分が担当する戦場にて横陣を展開して待機する『飛信隊』へと指示を下す。
今の飛信隊は数万の兵になっているが部隊も歩兵隊は軽歩兵と重歩兵、騎馬隊も軽騎馬隊、弓隊は歩兵の弓隊と騎馬の弓隊、そして戦車隊、攻城の際には攻城隊など色々分類されていた。
『うおおおおっ!!』
李信の指示によって『飛信隊』は前進を開始し、そして……。
『ぐあああっ!!』
趙軍を怒涛の勢いで蹴散らしていく。
「(くっ、流石に強すぎる)」
飛信隊は激戦を戦い抜いている超精鋭なのもそうだが、なにより、超絶的な武力を有する李信の武威と勇姿を見ながら、率いられてきたのである。
必然的に『飛信隊』の兵たちも鬼人の如き、武威を有していた。無論、李信が惜しみなく財力を振るって良い装備を準備し続けているのもあるが……。
「ええい、ならば」
押されている趙軍の将は何とかすべく、指示を出すものの……。
「もう読めた」
李信は知略も磨き続けてはいるが、何より『本能型』の武将だ。
対峙する敵軍の表情や集団の重心などから『起こり』を本能と感覚的に捉える事が出来る。
「各隊に伝令を出す」
そうして、読み取った敵軍の『起こり』の応じた『返し技』を繰り出すために伝令を派遣する。
「李信将軍より、伝令。〜〜隊は百を率いて敵中央軍の脇を狙って攻め込めと」
『おおっ!!』
「伝令、〜〜隊は此処から北東に向かって駆け、背を追わせろと」
「伝令、〜〜隊を追う敵軍を奇襲しろと」
『分かったっ!!』
「伝令。〜〜隊は敵左翼の突撃に逆らわず押し込まれよと」
「伝令。〜〜隊は戻り、敵の背を討てと」
『承知した』
「伝令、〜〜隊と〜〜隊は敵を挟撃しろと」
「伝令、〜〜隊は反転し、入って来る敵を討てと」
『良しっ!!』
李信によるかなり特殊な指示が伝令によって伝えられるが『飛信隊』の者は戸惑いもせず、指示を実行していく。
そうして……。
「ば、馬鹿な……我が軍の動きを読まれているというのか……」
飛信隊と相対している趙軍は機先を制した李信の返し技により、次々敗れていき……。
「俺達の敵にしては力不足だな」
「がっ!?」
李信は飛信隊の中でも更に超精鋭である麾下千の騎馬隊を率いながら、隙だらけの本陣へと突撃すると共に弓を構え、数本の矢を引き絞り、そうして矢を放つ事で敵将とその側にいた兵たちを射殺した。
「ふっ!!」
そして別の方向から突撃した羌瘣が更に敵本陣の軍を討ち取っていく事で勝利を飾ったのであった……。